曖昧さ回避
- インド・アーリア系の民族。
- 『ガンダムシリーズ』に登場するモビルスーツ(MS)の一種。
- 『ワイルド・スピード』シリーズの主人公、ドミニク・トレットの愛称。
- 『ギアーズオブウォー』の登場人物、ドミニク・サンチャゴの愛称。
- 『宇宙一の無責任男シリーズ』『無責任艦長タイラー』の登場人物「ル・バラバ・ドム」。
- 『スペースハリアー』に登場するエネミーメカ。上記2のパロディ。→ドム(スペースハリアー)
本項では2について解説。
カタログスペック
頭頂高 | 18.6m |
---|---|
本体重量 | 62.6t |
ジェネレーター出力 | 1,269kW |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
スラスター総推力 | 58,200kg |
センサー有効半径 | 5,400m |
固定武装 | ヒートサーベル、胸部拡散ビーム砲 |
携行武装 | ザクマシンガン、ジャイアント・バズ |
概要
型式番号MS-09。ジオン公国の局地戦用量産型モビルスーツ。
ザクⅡと並ぶ名機の1つで、ジオン系地上戦用モビルスーツの集大成とも言える機体である。
MSは元々宇宙やスペースコロニーでの運用を想定した兵器であり、地上で長時間徒歩で行軍する事はそもそも考えられていなかった。そのため、地球侵攻作戦が始まると地上におけるMSの移動能力の低さが問題視され、ガウ攻撃空母やギャロップ、ドダイYSなどによる輸送への依存度が高まってしまった。こうした背景から『地上におけるMSの展開速度向上と行動半径の拡大』を目的とし、ツィマット社にて開発が行われた。
ジオニック社のグフがドダイYSとの連携による空中戦を展開したのに対し、本機は脚部に熱核ジェットエンジンを採用することによって、最高時速381km/hのホバー走行能力を手に入れ、一説には5時間ものホバー走行が可能だったともされている。
この結果、行軍時に於いては足で歩くよりも早く部隊を展開でき、輸送に伴う手間やコストもかからないという利点を生み出した。また、ホバー走行による行動半径の広さと関節部への負担の少なさが特徴とも言え、特に後者は機体のメンテナンス面で歓迎されている(またザクと部品が共有化されているらしく、ザクに毛が生えた程度である)。
ちなみにエンジンには、同社のヅダに採用されていた土星エンジンのノウハウが生かされている。
ヅダやギャンなどは基礎設計からツィマット社が担当しているが、ドムはジオニック社からライセンス生産を請け負っていたグフが開発の母体となっており、そのグフの競作としてライセンス生産品のザクをベースに作られた高機動型試作機と似通った開発経緯を持つ。
グフをベースに新型の頭部と武装を試験したグフ試作実験機、ザクをベースにグフ試作実験機の頭部と武装を引き継ぎホバー走行用の脚部に換装したドム試作実験機(THE ORIGINでの設定)、これらの試験データを基に新規に設計したプロトタイプドムといった複数の試作機を経て本機ドムへ結実した。
機体本体は空力や耐弾性を考慮した結果、従来のMSとは一線を画す重厚なスタイルへと変貌し、その剛性と装甲厚は格闘戦において威力を発揮した。連邦側からは「スカート付き」とも呼ばれている。
一年戦争後期に於いてオデッサ攻防戦で黒い三連星が搭乗した(本来はランバ・ラルの部隊に配備される予定だった機体をオデッサ基地の司令官マ・クベが横取りした)のを皮切りに、オデッサ・アジア・アフリカ方面の戦線に投入され、マッチモニードなどのキシリア・ザビ配下の部隊にも配備された。オデッサ戦やジャブロー攻防戦などでザクⅡの数倍の戦果を挙げたが、戦線を覆すには至らず、その活躍は終戦後のジオン残党軍や武装ゲリラでの物が多かった。また、次期主力機であるゲルググの開発が大幅に遅れたこともあり、宇宙軍の暫定主力機として改良されたのがリック・ドムである。
武装
ジャイアント・バズ
口径360mm・ロケット推進式の実体弾型バズーカ。
ドム系MSの代表的な武装であり、ホワイトベースのメインエンジンを損傷させる程の威力を持っている。
基本的には両手で保持した上で発砲するのが原則だが、フレームが頑強なドム系MSはこれを片腕で発砲できる。
ヒート・サーベル
背面のラックに装備された格闘兵装。
ガンダムの装甲も溶断可能なほど威力は高いが、発熱デバイスの消耗が激しく基本的に使い捨て。
拡散ビーム砲
左胸部に内蔵。
機体の出力不足が原因でビーム砲として運用された事例はほとんど無く、使用される時は専ら格闘戦時の目くらましがほとんど(と言うかゲームでは、ほとんど閃光ビーム扱いされている)。
一部作品では敵のビームを拡散させて威力を低下させる効果もある。
シールドランス
『ギレン暗殺計画』に搭乗したバネッサ・バーミリオン、ガイウス・ゼメラ両名のドムが装備した武装。
火器を取り除いたギャンのシールドと馬上槍のような巨大な実体槍とが組み合わされており、ドムの機動性と相まった突撃戦術で効果を発揮する。
この他、ザク系MSの武装を流用したケースも多々存在する。
余談
作品中では「高速移動をさせるためにホバーエンジンを採用した」とあるが、現実的な製作サイドの事情として「足を動かさずにホバー走行させた方がザクやグフのように歩いて移動させるより、作画枚数が少なくなる」という、製作サイドの高速化が理由となっている。
関連動画
バリエーション
YMS-08B ドム試作実験機
ザクⅡをベースにグフ試作実験機のパーツとホバー走行用の脚部を組み合わせた試作機。
詳細はドム試作実験機を参照。
YMS-09 プロトタイプドム
ドムの試作モデル。
詳細はプロトタイプドムを参照。
YMS-09D ドム・トロピカルテストタイプ
プロトタイプドムの砂漠試験用改修機。何機か量産型から仕様を戻す形で再生産されている。
詳細はドム・トロピカルテストタイプを参照。
MS-09K-1 ドム・キャノン
ドム・トロピカルテストタイプの砲撃支援用改造機。連装砲装備型のMS-09K-2も存在する。
詳細はドム・キャノンを参照。
ドム・ノーミーデス
ドム・トロピカルテストタイプの背部に、ヒルドルブの残骸から回収した30サンチ砲とギャロップのホバー推進機を組み合わせた重武装ユニットを連結した現地改修機。
詳細はドム・ノーミーデスを参照。
MS-09R リック・ドム
ドムの宇宙戦仕様。
詳細および宇宙仕様の派生型はリック・ドムを参照。
MS-09F ドム・フュンフ
09Fシリーズの基本形となる機体。
この機体から派生したバリエーション機には、ドム・トローペン、ドム・バインニヒツ、ドム・グロウスバイル、ドム・バラッジが該当する。
詳細はドム・フュンフを、バリエーションは各機体を参照。
MS-09G ドワッジ
地上用ドム系列の最終生産型。
詳細はドワッジを参照。
MS-09H ドワッジ改
アフリカ方面に潜伏するジオン残党軍のリーダー、デザート・ロンメルのパーソナルカスタム機。
詳細はドワッジ改を参照。
MS-09 ドム寒冷地仕様
メカニックデザイン企画『MSV-R』に登場。初期生産されたドムを元に改修された寒冷地戦用マイナーチェンジ。
カモフラージュ用に人工雪を噴射できる特殊な噴霧器を内蔵したランドセルを装備。他にもスラスターエンジン冷却のため肩、腹部、脚部にエア・インテークの増設や、胸部拡散ビーム砲の排除、ジャイアント・バズに防寒用ジャケットが施されるなど、より寒冷地での運用を想定した仕様となっている。
MS-09J ドム高速実験型
『MSV-R』に登場。グフ飛行試験型の開発データを導入した試作実験機。
可動式スタビライザー付属のジェット推進パックを装備、腰部の左右にも推進器を内蔵する事でドムのホバー走行性能が向上するように設計された。
MS-09 ドム(BFT)
ガンダムビルドファイターズトライに登場。あるビルダーが相棒と共に勝ち取ったトロフィーに隠していたガンプラで、外見はドムそのまま。ジャイアント・バズ等の射撃兵装が無い。
MS-09R-35 ドムR35
同じくガンダムビルドファイターズトライに登場するドムの改造ガンプラ。
詳細はドムR35を参照。
後継機
AMX-009 ドライセン
ネオ・ジオンによるドムの最終発展形。
詳細はドライセンを参照。
AMX-009G ドムⅢ
火星独立ジオン軍がドライセンをベースにしたバリエーション機。
詳細はドムⅢを参照。
OMS-09RF RFドム
火星独立ジオン軍「オールズモビル」が使用した量産型MS。
旧ジオン軍が使用していたドムにそっくりな外観となっている。
詳細はRFドムを参照。
アナザーガンダムにおけるドムに相当するMS
ホバー走行や3機運用が印象的なMSであり、以降のシリーズでもセルフオマージュとして取り入れられることが多い。
RMS-009 セプテム
機動新世紀ガンダムXにおいて宇宙革命軍が開発したMS。
現在は既に旧式だが一部が運用されている他、流出した機体はバルチャーの主戦力になっている。
ZGMF-XX09T ドムトルーパー
機動戦士ガンダムSEED DESTINYにおいてザフトが開発したニューミレニアムシリーズのひとつ。
コンペで不採用になっていたが設計図が「ターミナル」に流出しクライン派に横流しされ運用された。
MSJ-06II-C/B ティエレン高機動B型
機動戦士ガンダム00に登場する人革連の機体。高速移動の手段を高機動型で用いていた飛行からホバー移動に転換したティエレンのバリエーション機。
ovv-a バクト
機動戦士ガンダムAGEフリット編のUEことヴェイガンの重装甲MS。重装甲の機体ながらも可変機構を持っていて機動力もそれなりにある。
ovw-cc ゴメル
機動戦士ガンダムAGEのキオ編においてヴェイガンが開発した地球侵攻用MS。
砂漠での運用に特化しており、ホバー移動の他に変形して砂中を高速で潜行することも可能。
立体物
初代の人気量産機ではあるのだが、ザクやグフなどの人型からやや外れた太ましいデザインというのもあってフレームの流用が利きづらく、ガンプラの現行ブランドではHGUC、MGのみでの展開となる。しかし初期の頃から完成度は高く、「ドムのキットに外れなし」ともよく言われるほど。
初代アニメ放送後に発売された所謂旧キットは1/60と1/100が存在する(1/144はリック・ドム名義で発売、当時外見上の差別化は曖昧だった)。1/60はムギ球を仕込むことでモノアイを光らせることが可能になっていた。
HGUCは最初に発売されたガンキャノンから8年後の2006年にリック・ドムとのコンパチ仕様でようやく発売され、成型色変更+台座+セット限定オプションパーツ付きの黒い三連星トリプルドムセットも同時期に販売されている。
先行して発売されていたリック・ドムⅡやドム・トローペンと比較するとモノアイシールドがクリアパーツで中のモノアイを動かすことが可能など進化している面もある。
近年ザクやグフなどがREVIVEシリーズで大きくアップグレードされて発売された一方で本機やゲルググなどについては特に音沙汰はない。その為完成度自体は高いのだが(特に可動範囲の面で)かなり差をつけられた状態となっている。
その他にはカップヌードルミニのおまけとして1/380が付属していたことがある。
そしてMGの出来が非常に良いことでも有名で、開発に長い期間かけたのもあって1999年発売にもかかわらず可動範囲・強度・バランス全てにおいて完璧という評価がなされている。
どれくらい評価がすごいのかともっと詳しく説明すると、バンダイホビーサイトが開催した「BEST OF MY マスターグレード」で上位を最新の技術が投入されている比較的最近の商品とガンダムタイプばかりが占める中8位にランクインしたり、4000円台と比較的安価なことから今でも転売ヤーからの買い占めが続出しているほど。ガンダムは知ってるがガンプラをよく知らない人が見れば「何故ランキングの中にドムの名前が…?」と驚くのは間違いない。
そのオーパーツ級の出来の良さから発売から20年以上経過してもVer. 2.0にあたるアップデート版が発売されず、また顧客からもアップデートを特に望む声がなかったという稀有のガンプラである。
そんなMGドムも2021年に一部パーツをアップデートした、ガンダムで言う「Ver. 1.5」に相当するリニューアル版の発売が決定した。主なアップデート部分はプレミアムバンダイ限定品のMGドワッジを流用した腕関節と股関節周辺と、完全新規の胸部と肩アーマー。また元々可動式だった指はエモーションマニピュレーターに変更される。
すべてをリニューアルするわけではなくごく一部だけで現代に通用してしまうあたり流石である。
なおこの情報は新宿で開催の「ガンプラEXPO2020」が初出だが、これの少し前にMGドムの再販がされており、新規モデルを掴ませづらくするようあえて転売ヤーに旧モデルを掴ませた転売対策ではないか?という説があり一部から称賛されている。
SDガンダムシリーズにラインナップ。劇中で使用した武器が同梱し、腕部が大きく動かすことができる。
ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。武器を構えた固定モデルであるが、オルテガハンマーの構えの固定モデルもラインナップされた。※現在、入手困難
スラング
特徴的な脚部から、太い足の女性を指して「ドム足」と蔑称することがあるが、実際にはドムの足は末広がりであり、単に太いわけではない。
また、ルーズソックスが流行した当時、裾が弛んで広がった「スーパールーズ」というタイプは(男性から)「ドム足」と呼ばれていた。こちらはシルエットもよく似ている。
いずれにせよ、女性にとっては大変失礼に当たるので、公の場で言うのは控えよう。