「白い奴のパイロットは、アムロといったな……ララァ、どうすればいい!?」
機体データ
型式番号 | MSN-02(MS-16X) |
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所属 | ジオン公国軍 |
開発 | ジオン公国軍ア・バオア・クー工廠 |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 23.0m |
本体重量 | 151.2t |
全備重量 | 231.9t |
ジェネレーター出力 | 9,400kW |
スラスター総推力 | 187,000kg |
センサー有効半径 | 81,000m |
装甲材質 | 超硬張力鋼 |
固定武装 | 腕部有線式5連装メガ粒子砲2基10門、頭部メガ粒子砲1基1門、腰部メガ粒子砲2基2門 |
概要
サイコミュ試験型ザクをベースにジオン公国軍が開発したニュータイプ専用モビルスーツ(MS)。
型式番号MSN-02。開発時の仮番号はMS-16X。
ジオン軍の最強のMSとは何か、という議題に於いては
終戦直前に次々と連邦の艦隊やMSを沈めたシャア・アズナブルの1号機の活躍から、本機が真っ先に上がるといっても過言ではない。
一年戦争時に製造された3機のうち残る2機と、開発途上の脚部ユニットは喪失(サンダーボルト版では接収)したとされるが、この事実が確たる証拠となり得る記録も存在しなかったとされる。また、残された機体データは後のサイコガンダムの開発に活かされる事になる。
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、ア・バオア・クー陥落直後の混乱に乗じて3号機のパーツを約8割回収し、のちにジオン残党の基地であるアムブロシアにて不足分を補ってパーフェクトジオングとして完成している。
一年戦争時
シャアがキシリア・ザビから受領した1号機はサイコミュの小型化が間に合わず、更に上腕の一部と脚部が無い80%の完成度で出撃。
アムロ・レイの乗るガンダムとの激戦の果てに胴部をビームライフルで射貫かれる。
脱出した頭部のメガ粒子砲でガンダムの首を吹き飛ばすも、ア・バオア・クー内部のラストシューティングで相討ちとなり大破。シャアとアムロは最後の白兵戦に挑む。
THE ORIGIN版
キシリアではなくその兄ギレン・ザビから受領する。シャア最後の機体。コックピットは頭部ではなく頸部。
ホワイトベースを強襲してMS部隊を壊滅させ、メガ粒子砲の連射で大破寸前に追い込む(ブライトらの脱出後にホワイトベースは轟沈)。
最後の調整を終えたガンダムに胴体が吹き飛ばされた後は頭と頸が牽連一体となって脱出し、LS時点では頭部を遠隔操縦する。
機体解説
ア・バオア・クーにおいて開発が進められていた「モビルスーツ」だが、腰より下が存在しない現状でさえ一年戦争当時のモビルスーツの標準的な頭頂高である18mを一回り上回る23mとなっており、完成した場合は倍の36mに迫るはずだったなど、当時のMSの規格を逸脱するモビルアーマー的な性質も強い。
必然的に被弾面積が増大しているが、積載容積も大きく、“単純な数値比較ならば”ZZガンダムすら凌駕する9,400kwと非常に高いジェネレーターを採用している。
戦法は、分離して独立行動が可能な頭部・腰部に内蔵するメガ粒子砲、5連装メガ粒子砲を搭載した腕部を有線式サイコミュで操作することによるオールレンジ攻撃。
ただし格闘兵装は一切装備していない。
シャアは「機体に足が無い」と指摘しているが、冒険王版では体当たりでジムを破壊する描写があるので、もしかすると脚部は最初から設計プランになかったともされている。
あんなものは飾りです
1997年に富野監督が『TV版ファーストガンダムの正式なノベライズ』として著した「密会 アムロとララァ」(角川スニーカー文庫)において、ジオングの機体性能としては、足が無くとも問題はなくむしろ機動性は高いと明言されているが、「有機体である人類が、自然環境の中で億単位の年月をかけて辿り着いた『人型』の内包している柔軟性」に全幅の信頼を寄せるシャアは、本機の形状に不安を持っていたと語る。
なお、通常の三倍で移動するシャア専用ザクは、ザクⅡの推進力に加えて隕石や敵艦などを足場に、特に「飾り」とも評された足の踏込で推進力をさらに上乗せするという人型の利点を最大限に使いこなしていたという説がある。
その操縦技術ゆえの指摘を「足を飾り」と言い切る技術者がパイロットの意向を無視して兵器開発を主導し、更にはエースパイロットが機体に不安を持ったまま決戦に挑まなければならないような事態は、ジオン公国が組織体として終焉に迫っている事を如実に表していると評している。
武装
腕部有線式5連装メガ粒子砲
サイコミュ試験型ザクを元に設計された両手の前腕部そのものを砲塔としたビーム兵器。グフのフィンガーバルカンのように指先がそれぞれ砲門となっており、加えてこちらは腕を射出し更に指を曲げたそれぞれの方向に同時に攻撃を加えることも出来る。
ジオング本体の潤沢なジェネレーター出力で、両手での一斉射は巡洋艦を容易に撃沈し、片腕の斉射でもガンダムの腕をシールドごと吹き飛ばすメガ粒子砲を各指から放つ。一説によると数十メートルのビーム・サーベルの発振も可能だったらしいが、劇中では未使用。
一般パイロットにも扱える有線式なので、後のノイエ・ジールやハンマ・ハンマのような準サイコミュに近い。ただし、一般パイロットが使う際には機体制御のためのパイロットを乗せた二人乗りの必要がある。
頭部メガ粒子砲
顎部内蔵のメガ粒子砲。
両前腕部の射出、或いは損失時の自衛装備だが、メガ粒子砲だけあってビーム対策が未熟な当時のMS程度なら充分撃破可能な破壊力を持つ。
頭部分離時にラストシューティングでガンダムを破壊したのもこの兵装である。
腰部メガ粒子砲
腰に1対装備されたメガ粒子砲。前腕部の使用が不可でも継戦できるが、射角が限られる。
劇中では外壁で放った程度であるが、PS3『ガンダム戦記』のアバンタイトルでは連邦軍を迎撃するのに用いられた。ゲーム作品によっては拡散メガ粒子砲としても描写されるが、おそらく収束率と出力調整もできるのだろうか。
バリエーション
パーフェクトジオング
型式番号MSN-02。
漫画『プラモ狂四郎』、模型企画『MSV』、漫画『機動戦士ガンダムC.D.A.若き彗星の肖像』などに登場。
脚部を装着したジオングの完成型。
詳細はパーフェクトジオングを参照。
ジオング
型式番号MSN-03。
『MSV』に登場。
パーフェクトジオングを発展させ、機体各部位を分離させてのオールレンジ攻撃を可能とした機体。
詳細はパーフェクトジオングを参照。
グレート・ジオング
型式番号MSM-03-2。
ゲーム『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズに登場。
ジオングの発展形。
詳細はグレート・ジオングを参照。
高機動型ジオング
型式番号MSN-02。
ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズに登場。
ジオングの高機動型バリエーション。
ジオングの背部にプラズマリーダー・コンテナ2基とスラスターを備えたバックパックを装備するとともに、リアスカートにもバーニアが増設されている。
脚部は省略されており、宇宙での使用に特化した機体となっている。
キケロガ
型式番号MSN-01。
元来は『機動戦士ガンダム』の構想案「トミノメモ」に於いて名前が挙げられた機体であり、その後ボードゲーム『トワイライト オブ ジオン』にてデザインが起こされた。
ジオングのプロトタイプとも言われる試作型モビルスーツ。
詳細はキケロガを参照。
MS-16X-1
Web企画『MS開発秘録』に文字設定のみ登場。
ジオングと同様に、「MS-16X」の型式番号で開発されたニュータイプ専用機(ザメル共々欺瞞のためにあえて同じ型番を使用しているとも言われる。)。
こちらも有線誘導式サイコミュ兵器を利用したオールレンジ攻撃を主戦術とする機体だが、MSではなくモビルアーマー(MA)とされている。
一年戦争最末期に月面グラナダ撤退戦で使用されたとする未確認情報が存在する。
ネオ・ジオング
型式番号NZ-999。
アニメ・小説『機動戦士ガンダムUC』に登場。
ジオングの名を冠しているが、実際にはシナンジュをコアとした別種の機体である。大型モビルアーマーであり、モビルスーツではない。
詳細はネオ・ジオングを参照。
グラン=ジオング
漫画『機動戦士ガンダム ムーンクライシス』に登場。
ネオ・ジオンが開発し、テロ組織「ヌーベルエゥーゴ」の首魁であるタウ=リンが搭乗する機体。
詳細はグラン=ジオングを参照。
ジョング
型式番号ZM-GE-03。
漫画『機動戦士Vガンダム外伝』に登場。
ザンスカール帝国が宇宙世紀0150年代の技術でジオングを再現した機体。
詳細はジョングを参照。
ジオング(サンダーボルト)
型式番号MSN-02。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場。
シャア・アズナブルが搭乗したジオングを第1号機とし、量産された機体。デザインはほぼシャアのジオングと変わらないが、肩、胸部に『ZEONG 02』と機体ごとにナンバリングされている。ほぼ完成真近だったが、ア・バオア・クーの決戦でジオン公国は敗れ連邦にガサ入れされてしまい日の目をみることは無かった。やはり足が無い。
が、月日は流れある者が宿敵を倒すために改修した本機で立ちあがったという……。
立体物
1/144 HGUC MG BB戦士 リアルBB戦士 SDガンダムフルカラーにてラインナップ。
各々劇中同様のギミックが再現されているが、 有線サイコミュの再現用部品が金属シャフトやリード線と異なる。 ※SDガンダムフルカラーには、組み込まれていない。
BB戦士 リアルBB戦士 SDガンダムフルカラーには、パーフェクトジオングへ換装するためのオプションパーツが同梱されている。
2021年1月にRGで発売。ハイエンド版「ラストシューティング ジオングエフェクトセット」と同時発売だった。
SDガンダムにおけるジオング
1stガンダムにおけるラスボスだけあって、悪の大幹部や猛者といったポジションが多い。(王允は除く)
PICOソフト『がんばれ! ぼくらのコンパチヒーローズ』では、メフィラス星人や地獄大使と共に巨大ロボットを動かしてラスボスとして立ちはだかる。
『グレイトバトルフルブラスト』ではジオン・ザフト同盟の盟主とされ、シャアではなくギレン・ザビに似た人格で描かれている。
以下はジオングをモデルとしたキャラ。
余談
富野監督の当初の構想では全身がビーム砲を持つ各部位に分離して攻撃を行う機体であったらしい。その構想は後の作品に登場したターンXで実現する。
ジオングの元ネタがUFO戦士ダイアポロン第5話「鉄騎兵+円盤鉄人=破壊軍団」に登場する円盤鉄人である、という説がある。
関連イラスト
関連動画
類似関連メカ
円盤鉄人 - UFO戦士ダイアポロン第5話に登場したメカ獣で、上半身が人型で下半身が円盤というフォルムはジオングに影響を与えたと言える。パイロットはダザーン軍団で一番ダイアポロンと対決したヒドー隊長。
ルザルガ - 銀河漂流バイファム前半に登場したククト軍の宇宙戦用ARV。ジオングと同じ上半身が人型,下半身は足無しのデザインで、ついでにメカデザインも同一人物。シャロン・パブリンがジェイナス号の銃座で撃墜し、初めて人を殺した事にシャロンが戦慄した場面は有名。
フェブラル - 機動新世紀ガンダムXで宇宙革命軍のランスロー・ダーウェルが第7次宇宙戦争時に搭乗した機体。下半身はスラスター、両手指はビーム砲、頭部は脱出ポッドになっており、ガンダムXの左腕と頭部を破壊してラストシューティング状態に追い込むなど、明らかにジオングをオマージュしたMSと言える。
プロヴィデンスガンダム - 機動戦士ガンダムSEEDのラスボスラウ・ル・クルーゼの最後の搭乗機。カラーリングや攻撃手段などがジオングに酷似しており、「もしもジオングがガンダムタイプだったら」というIf展開を思わせるデザインをしている。
ドロンキング - 平成ヤッターマンの最終エピソードに登場したドロンボー最終メカ。パッケージがMGプラモデルで、格好はまんまジオングの代物で、駄目押しはメカデザイナーの人もネタとギャグにしたのは本当に一本取られた。
月虹影 - コードギアス復活のルルーシュに登場するKMF。下半身がない状態で実践投入されたつながりがある。
関連項目
シャーマンキング:裏麻倉家の現当主の麻倉葉虚のオーバーソウル「祇園傀」はジオングへのオマージュである。
ジオング→ジ・O