概要
ガンダムシリーズ初の地上デジタル・アナログ同時放送作品であり、日本TVアニメ史上初のフル3DCGアニメーション。そしてSDガンダムとしては初のTVアニメ向けに作られた作品でもある。
バンダイがアメリカにおいてSDガンダムの商品展開するにあたって企画・製作されたもののため、アメリカで先行放映された。
その後日本では、2004年1月から12月まで全52話が放送された。この総話数はTV放送されたガンダムシリーズで最長となっている。ちなみにアフレコはアメリカでの放送時点でほぼ終了済だった。
内容
元々はベビーシッターとなったキャプテンガンダムとそれを邪魔する悪役達のゆるゆるとした内容にしようと計画されていた。しかし、アメリカで展開していくうえではヒロイックさが求められることから、一転して制作陣がハードSFと称すようなバトルを意識した作品へ変貌した。このため「バックボーンは複雑ながら、表面的には単純明快」という子供アニメに落ち着いている。
パラレルワールド、タイムパラドックスなどの設定を一部取り入れた世界観、G-ARMS、騎士ガンダム、武者頑駄無シリーズのキャラや設定にアレンジを加えつつ、一つに統一しているのが最大の特徴。
他のSDガンダムシリーズとの繋がりは原則存在しないが、コマンドガンダム等、裏設定でつながっているキャラはいる。
映像はまだ当時では発展途上だったトゥーンレンダリングを使用。3Dでありながらどこか2Dアニメを思わせるポリゴン的な映像となった。その映像美やアクションは現代目線で見ても陳腐にならないという程、かなり練られていた。動きについてはモーションキャプチャーを使うことで、SDでありながらリアルな動きを取り入れつつアクションをしていることも特徴。
これを実現するため、特撮畑出身としてアベユーイチ監督を起用、副監督にアニメ畑の近藤信宏を付けている。
序盤は特に特撮のそれとして見ると納得のいく細かくじっくり魅せるアクションが多く見られる。しかし作品が進んでいくうちにアニメ的なテンポも取り入れたスピード感のある戦闘シーンへと推移していく。
当時の評価
アメリカでのSDガンダム普及を目指した作品だが、肝心のアメリカでこの内容は成功しなかった。特に表情をわかりやすくするために実装したキャプテンガンダムのフェイスオープンは裏目に出て大不評となってしまう。話の展開も対象年齢を低くしすぎたせいで退屈に捉えられやすく、それらが重なって当時のアメリカでネット民が選ぶ駄作アニメのワースト10に名を連ねるという不名誉な反応も飛び出した。結局その絶不調が覆ることはなく、2シーズン(コマンダーサザビー戦)で作品は打ち切りとなった。
異国の大地で打ちのめされた中、不安を抱えながら始まった日本での放送も低調だった。「その当時のガンダムシリーズの視聴率の最低記録を更新」、「プラモも玩具もまるで売れず投げ売りの山」と、序盤の反応はアメリカとそう変わらないものが多かった。加えて当時の日本においてはSDガンダムというジャンルは既に下火となりつつあったのが災いしたのもあり、状況は最悪であった。あげく、SDガンダム初のTVアニメということもあって、SDガンダム全盛期世代(古豪)に期待されすぎたのも仇となって、過去作との設定の差異による反発も大きく、それによるネガキャンも多く見られた。
子供にもあまりウケず、昔ながらのファンからもウケが悪い………と、中盤までの状況は正に八方塞がりであった本作。しかしスタッフの渾身のエピソードとも言える「コマンダーサザビー戦」は日本において一部から高い評価を受ける。これを皮切りに視聴継続者や、口コミによって視聴復帰者などが増え始め、アメリカでは無念の撤退となった3クール目以降からは少しずつながら、ファンを獲得し始める。
さらにまだフル3Dアニメとしては模索中だった本作は映像演出自体も進化を続けており、3クール以降はテンポを重視した映像へと変わっていく。この演出の好転も重なって視聴者の評価も一気に上昇を魅せる。
視聴率が目に見えて上がったわけではないが、インターネット上では序盤のブーイングムードは消え、一転してアニメ実況も盛り上がりを見せるようになった。
最終的には多くの視聴者から称賛を浴び、「涙腺崩壊アニメ」「名作」「子供に見せたいアニメ」という声が飛び交うなど、愛される作品へと昇華される。しかし序盤の低調があまりにも致命的過ぎ、一部玩具の開発・発売中止、セルDVD(一般発売のソフト化)発売一切なし(レンタルのみ)という惨状が広がるようになる。
番組終了後は公式から省みられることなくコンテンツが放置されるなど、シリーズ最長話数の作品に対する扱いとは思えない、酷いものが続いた。
再評価
放送後、映像ソフト化が行われないことを憂いたファンによる布教活動が盛んになる。今で言うところの「ガルパンはいいぞ」に近い。結局商品化されなかったものをファン自らフルスクラッチで立体化してみたり、キャプテンガンダムのリアル頭身プラモをスクラッチビルドしたり、イラストを描いてみたりと方法は様々だった。
また、当時はレンタルDVD・VHSしかなかったことから、視聴方法を必死に伝えようとするファンも多くいた。これが実ってなのか、後にスタートしたサービス「バンダイキッズチャンネル(現在はサービス終了)」の配信第一弾作品として週間で無料配信が開始された。これらの努力が実り目覚ましい増加とは言えないが、着実にSDガンダムフォースという作品は視聴層を増やしていき、知名度もあがっていった。
それが実ってなのか、放送終了から4年後にDVD-BOXという形で元々レンタルとしてパッケージされていたソフトをまとめて発売することが決定。さらに特典DVDには新作のアニメ(4年ぶりのザコザコアワー)、一部でしか限定公開されていなかった番外作品、ガンダムエースで連載されていた3Dモデリングを流用した静止画マンガを収録などが行われた。さらにブックレットも封入されているかなりの豪華仕様である。その分40,000円を超える高額ソフトとなってしまったのはご愛嬌。
その後~現在
このように長い年月をかけて逆転を果たした本作は、海外でも日本ほどではないが再評価の機運が生まれた。3クール以降はソフト化限定で視聴者達に届き、これを見たアメリカの人達はこぞって「こんな素晴らしい作品を放送しなかったなんて………」と嘆いたという。
その後はガンダムビルドファイターズトライでのサブリミナル出演、ガンダムビルドダイバーズにおけるSDガンダムフォースのモチーフ利用などが行われており、バンダイからの扱いも目に見えて良くなっている。
惜しむらくは未だにオールスター・コラボ系のゲームに出演したことがないこと。特にGジェネやスパロボで本作の参戦を願う声は多い。しかしかつての大不評っぷりが足を引っ張っているのか、はたまたバンダイアメリカとの版権取り扱いの問題があるのか、未だにそれは叶っていない。
ストーリー
人とロボットが共存する未来都市ネオトピア。
別次元からやってきた侵略者ダークアクシズと戦うガンダムフォースと、シュウトとの交流によって始まる。
登場人物
ガンダムフォース
- シュウト(CV:朴璐美)
- キャプテンガンダム(CV:神谷浩史)
- 武者頑駄無爆熱丸(CV:千葉進歩)
- 翼の騎士ゼロ(CV:斎賀みつき)
- 元気丸(CV:小林由美子)
- リリジマーナ・ミヤ・ド・ラクロア(CV:松来未祐)
- ガンバイカー(CV:柳沢栄治)
- ガンイーグル(CV:浪川大輔)
- ガンダイバー/ガンチョッパー(CV:01中井和哉/02吉水孝宏)
- 炎天號(CV:伊藤健太郎)
- ライミ(CV:佐藤ゆうこ)
ネオトピア
- ハロ長官(CV:吉水孝宏)
- ジュリ(CV:夏樹リオ)
- アリシア(CV:かかずゆみ)
- カオ・リン(CV:中嶋聡彦)
- ベル・ウッド(CV:山岸功)
- 隊員ジム(CV:松本大 / 山岸功 / 中井和哉 / 古島清孝)
- オペレータージム(CV:松本大)
- カオ・リン専用通訳ボール(CV:伊藤健太郎)
- マーガレット・ギャザームーン(CV:佐久間レイ)
- プリオ(CV:野島裕史)
- けい子(CV:久川綾)
- マーク(CV:吉水孝宏)
- セーラ(CV:中川亜紀子)
- ナナ(CV:中川亜紀子)
- アヤカ(CV:松来未祐)
- タカヒロ
- レオナルド(CV:長嶝高士)
- ジム(CV:古島清孝 / 松本大)
- ボール(CV:古島清孝)
- クレーンロボ(CV:松本大)
- 白鳥号(CV:松本大)
- 市長像ロボ(CV:佐久間レイ)
- 列車ロボット(CV:伊藤健太郎 / 山岸功)
- アニー(CV:佐久間レイ)
ラクロア
- 氷刃の騎士ディード(CV:伊藤健太郎)
- 紅蓮の騎士バトール(CV:西脇保)
- 熱砂の騎士ロック(CV:桐本琢也)
- 青銅の騎士ナタク(CV:近藤孝行)
- レビル王
- ドア(CV:杉本ゆう)
- コア(CV:葉月絵理乃)
- ノア(CV:的井香織)
- フェン(CV:的井香織)
ダークアクシズ
- ジェネラルジオング
- プロフェッサーガーベラ(CV:大塚明夫)
- コマンダーサザビー(CV:池田秀一)
- グレードーガ(CV:中嶋聡彦)
- ブルードーガ(CV:水島大宙)
- パープルドーガ(CV:諏訪部順一)
- イエロードーガ(CV:宮田幸季)
- ザッパーザク(CV:柳沢栄治)
- グラップラーグフ(CV:岩尾万太郎)
- デストロイヤードム(CV:松本大)
- ザクレロゲート(CV:長嶝高士)
- チョビレロ(CV:若林直美)
- エルメチュ(CV:石毛佐和)
天宮
ラクロア反乱軍
- 闇の騎士デスサイズ/闇の魔導士デスサイズ(CV:伊藤健太郎)
- リリ姫(黒)(CV:松来未祐)
- 嵐の騎士トールギス(CV:楠大典)
- 狂戦士エピオン
- 轟雷の騎士メリクリウス(CV:野島裕史)
- 暴風の騎士ヴァイエイト(CV:陶山章央)
- ポーンリーオー(CV:長嶝高士 / 近藤孝行 / 古島清孝)
天宮(ダークアクシズ陣営)
- 騎馬王丸(CV:田中正彦)
- 東方不敗爆覇丸(CV:小村哲生)
- 天剣絶刀猛禽丸(CV:西脇保)
- 獅王争覇機獣丸(CV:野島裕史)
- 笑倣江湖破餓音丸(CV:浪川大輔)
- 阿修羅丸(CV:小西克幸)
- 虚武羅丸(CV:梁田清之)
- 虚武羅丸(空蝉)(CV:梁田清之)
- 虚武羅丸ノ赤(CV:加瀬康之)
- ザコブッシ(CV:長嶝高士 / 松本大 / 野島裕史 / 神谷浩史)
その他
- 破壊大将軍破壊丸(CV:橋本真也)
- 鉄槌の騎士ダ・ジャーレ(CV:江原正士)
主題歌
オープニングテーマ
「SUNRISE」(1月 - 3月)
歌 - PUFFY
「LOVE & PEACE」(4月 - 6月)
歌 - little by little
「太陽に焦がれて」(7月 - 12月)
歌 - 晴晴゛
エンディングテーマ
「信じる力」(1月 - 3月)
歌 - Whiteberry
「ココロオドル」(4月 - 6月)
歌 - nobodyknows+
「キミと僕」(7月 - 9月)
歌 - I WiSH
「恋しくて…。」(10月 - 12月)
歌 - Les.R(レ・アール)
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | その名はキャプテン |
第2話 | 輝け!ソウルドライブ |
第3話 | 天駆ける騎士 ゼロ |
第4話 | 敵のムサイ艦を叩け! |
第5話 | 結成!ガンダムフォース |
第6話 | 炎の武者、ネオトピアを征く |
第7話 | 激走!ガンバイカー! |
第8話 | 姫とケーキと翼の騎士 |
第9話 | 爆熱丸奮闘記 |
第10話 | 必殺!トリプルアタック! |
第11話 | 迷宮のラクロア・前編 |
第12話 | 迷宮のラクロア・中編 |
第13話 | 迷宮のラクロア・後編 |
第14話 | ガンダムフォースの秘密にせまれ |
第15話 | 音速の翼 ガンイーグル! |
第16話 | 深海の覇者 ガンダイバー! |
第17話 | 新たな刺客、その名は阿修羅丸 |
第18話 | S.D.G.基地 危機一髪! |
第19話 | 決闘!爆熱丸対阿修羅丸 |
第20話 | フェンの災難 |
第21話 | 覚醒!フェザードラゴン |
第22話 | ビグ・ザム強襲 |
第23話 | 発動!キャプテンシステム |
第24話 | ピンチ!ソウルドライブ強奪 |
第25話 | ネオトピア最大の危機 |
第26話 | 決戦!コマンダー対キャプテン |
第27話 | 突入!ダークアクシズ |
第28話 | 三つの道 |
第29話 | 必殺技封印!?ミノフス境海の脅威 |
第30話 | 復活!俺たちが主役だ!? |
第31話 | 魔剣エピオン |
第32話 | エピオン強襲! |
第33話 | 奪還!呪われしラクロア姫 |
第34話 | 黒き衣のラクロア姫 |
第35話 | 天下一等!元気丸~っ!の巻 |
第36話 | おにぎりと英知の園 |
第37話 | 激突!闇のデスサイズ |
第38話 | リリ姫、復活! |
第39話 | ガーベラの呼び声 |
第40話 | 騎馬王丸、襲来! |
第41話 | 囚われたシュウトとリリ |
第42話 | 戦乱の天宮 |
第43話 | 究極の一手!騎馬王丸対シュウト |
第44話 | 爆心丸、炎上!! |
第45話 | ガンダムフォース集合!! |
第46話 | 虚武羅丸の涙 |
第47話 | 起動!武者大神将 |
第48話 | 炎の天地城、元気丸の叫び! |
第49話 | 破滅への序曲、ガーベラの正体 |
第50話 | 世界消失!?ジェネラルの脅威 |
第51話 | 大決戦!ジェネラルvsみんな |
第52話 | 帰り道 |
余談
- 本作のアフレコはかなり早い段階で終わっており、公式サイトでは3クール以降に登場する小林由美子のコメントなどが載っている。
- 本作では『機動戦士Zガンダム』及び『機動戦士ガンダムZZ』に登場する機体がほとんど登場しない。これは制作当時、アメリカではZとZZが放送されていなかったかららしい。
- 主演の一人である神谷浩史は、当時から一定の人気を得ていた。が、本作放送時にはブレイクと言うまでには至らず、平成ガンダム作品の主役のオーディションを受け続けるが、全て落ちてきたという苦い経験を持つ。このため本作で演じられた際は「ガンダムに乗るのが夢だったけど、まさかガンダムになるとは思っていなかった」とコメントしていた。本作に思い入れがあるようで、ガンダムエキスポでは「今でも玩具を飾っている」と語り、DVD-BOXはメーカーからの贈与分とは別に自分でも購入した。ちなみにDVD-BOXのCMのナレーションも神谷が担当している。なお、収録当時から放送時まではしばらく神谷は「キャプテン」と呼ばれていたようである。(その後、神谷氏はティエリア・アーデとゼハート・ガレットを演じることになる)
- アフレコはかなり厳しく、主演陣である朴璐美と神谷浩史は制作陣の納得がいくまでかなりリテイクを重ねたことを語っている。特に初期は、役柄的に感情を出してはいけない神谷は、少しでも感情の起伏が大きくなりすぎるとNGを出された。朴璐美は「君の代わりならいくらでもいる」とまで言われたという。
- 当時、池田秀一=シャア・アズナブルというイメージの固着に反発していた池田は、本作のインタビューにおいて「シャアじゃないよ」と視聴者にアピールしていた。また、旧作のSDガンダムは個人的な思いからあまり仕事として好みではなかったが、本作はほぼシリアスな悪役を演じられたということでかなり好意的なコメントをしている。さらにガンダムシリーズのファンにして後輩である神谷に、登場回の収録を前にした酒の席で「俺も本気で戦うからお前も本気で来い!」と酔って発破をかけ、神谷をタジタジにさせたという。
- ザッパーザクらジオン系統がモチーフのキャラはあまり口パクが重視されておらず、アドリブ入れ放題だったという。特にデストロイヤードムを演じた松本大はアドリブが好きなうえ、特に口パクらしい口パクがないため、かなり自由にアドリブを入れていたとか。また、女性陣はあまりザコソルジャーを演じられず、かなり悔しい思いをしていたらしい。
- 本作2ndエンディングであるココロオドルは今や様々な音MADや歌ってみたなどで世代問わず人気の曲であるが、残念ながら本作発祥であることはあまり知られていない。
関連イラスト
関連タグ
武者・騎士・コマンドSDガンダム緊急出撃:本作の元祖とも言えるガンダム作品。
ガンダムビルドダイバーズ:ガンダイバーに似た管理人が登場した2018年のガンダムシリーズ。
SDガンダムワールドヒーローズ THE LEGEND OF DRAGON KNIGHT:登場する騎士ガンダムとドラゴンに類似点があるSDガンダムの外伝作品。
勇者シリーズ:本作同様人間の少年とロボットの交流と絆を描いたサンライズ作品で、人間側の主人公もシュウトと同じく赤い服を着ている。