概要
タカラ社(現在のタカラトミー)が男児向けロボット玩具販促のために展開したシリーズ。『トランスフォーマー』のTVシリーズがひとまず終了した際、それらのノウハウを生かすためのロボットアニメの制作をサンライズに依頼したことで開始されたシリーズ。
タカラから持ち込まれた玩具の試作品を元に、第1作から3作までの監督である谷田部勝義とその弟子高松信司が企画し制作された。以後の各作品もこの形式で制作されていくことになる。
『勇者』というネーミングは15年前に放送されたサンライズ初のロボットアニメにあやかって付けられたとのことらしい。
基本的にはTVシリーズで数えて全8作品として扱われるが、関連ゲームも含めると厳密には9作品+αとなる。8作品それぞれには直接のつながりはないが、ほとんどの作品に「意志を持つロボットが身近な乗り物から変形して戦う」「ロボットと少年の交流」などといった共通点が存在する。
玩具に関してはメインデザイナーに大河原邦男を配したことから、変形機構のまとまりや合体の豪華さは頂点を極めたものの、TF時代と比較するとビークルモードが大味に過ぎ、実在の乗り物と比べ実感を欠くきらいもあった。
近年の立体化においてもビークルモードとロボットモードとのバランス調整はかなり難しい課題になっており、勿論完全変形するものも出てはいるものの、バランスを優先した場合はバンダイのミニプラのボルフォッグは変形に車体の大半部分を差し替えにしたり、コトブキヤ勇者シリーズプラモデルでは広域の可動確保のために変形機構を廃するなどといった措置が取られている。
下記玩具に関しても参照。
pixivにおいては、タイトルに漢字部分も含むかどうかでタグが異なるため、その表記ゆれ対策としてか、個別タイトルの他、「勇者シリーズ」のタグも併せて付けられていることが多い。また、リスペクトした(構図やデザインが勇者っぽい)作品にも、このタグがつけられることがある。
シリーズ一覧
TVシリーズ
- 『勇者エクスカイザー』(1990年~1991年)
- 『太陽の勇者ファイバード』(1991年~1992年)
- 『伝説の勇者ダ・ガーン』(1992年~1993年)
- 『勇者特急マイトガイン』(1993年~1994年)
- 『勇者警察ジェイデッカー』(1994年~1995年)
- 『黄金勇者ゴルドラン』(1995年~1996年)
- 『勇者指令ダグオン』(1996年~1997年)
- 『勇者王ガオガイガー』(1997年~1998年)
- 『ベターマン』(1999年。勇者シリーズではないが『ガオガイガー』と設定上の繋がり有)
- 『勇者王ガオガイガーFINAL -GRAND GLORIOUS GATHERING-』(2005年。『ガオガイガーFINAL』の再編集版)
- 『覇界王~ガオガイガー対ベターマン~』(2016年~2021年。『ガオガイガー』と『ベターマン』のクロスオーバーにして両作の完結編)
OVA
コンシューマゲーム
- 『勇者聖戦バーンガーン』(1998年)(『ブレイブサーガ』シリーズ作品内)
- 『勇者聖戦バーンガーン_THE_NOVEL』(2024年)(バーンガーン本編のノベライズ)
- 『量子跳躍レイゼルバー』(2005年)(『新世紀勇者大戦』作品内)
WEB漫画
- 『勇者宇宙ソーグレーダー』(2023年)(ホビージャパンのWEBコミックサイトにて7月末より連載)
シリーズ終了
四度の終了騒動
勇者シリーズは過去四度終了が検討されていた。
- 勇者エクスカイザー
- 当初はエクスカイザーのみ製作し、次番組は『機動戦士ガンダムF91』のTV版導入が検討された。だがエクスカイザーの好調と、メ~テレ関係者がガンダムシリーズの中高生偏重を恐れたため、勇者のシリーズ化が決定した。
- 伝説の勇者ダ・ガーン
- 勇者警察ジェイデッカー
- サンライズがバンダイグループの子会社となった事による。タカラはバンダイ傘下のサンライズが玩具の宣伝アニメを作ることに難色を示したようで、次作の企画会議がなかなか行われない状況が続き、タカラは他社で代替作品を模索するも実現せず、結局は引き続きサンライズ制作でのシリーズ続行となった。次作の企画会議が遅れての開始となったため、会議が始まった際にはゴルドランの玩具が完成品で持ち込まれた。
- 勇者指令ダグオン
- トランスフォーマーの再開が決まったのと、キー局の改革、及びお家騒動の影響で、ANNネットワークは完成を迎える。これに合わせ、当時不採算枠が多かったアニメのみならず、伝統と実績を誇るドル箱な放送枠すら切り捨てられる事態が起こっていた。結局、サンライズ側の企画持ち込みと、メ~テレ関係者もテレビ朝日に頭を下げ、1年だけシリーズ延長となった。(メ~テレアニメのニチアサキッズタイム参加が1年ズレたのもこの為。)
終了について
元々勇者シリーズはトランスフォーマーのアニメシリーズ終了の穴を埋めるための企画であったこともあり、『ビーストウォーズ』でトランスフォーマーのシリーズ展開が復活するのに合わせて、こちらのシリーズが終了することになった。
晩年にはライバル会社のバンダイがスポンサーに付いた『ウルトラマンティガ』のヒットがあったため、これに押し負けた結果の終了ではないかという噂も囁かれた。これについては『タカラSFランドエヴォリューション』内のインタビューにて、「シリーズは最後まで黒字のまま終了した」と否定された。
後番組は『ボンバーマン』と『ビーダマン』を題材とした作品『Bビーダマン爆外伝』となり、アニメ制作会社もサンライズと縁の深いマッドハウスが担当となった。キャラやメカがボンバーマンに準ずるため前作とのギャップを感じるものの、メカのコンセプトや一部の設定など勇者シリーズと共通するところが少なからずあった。
またスタッフも勇者シリーズに参加していた人物が多く、それが勇者シリーズの遺伝子を受け継ぐ要因となった。ただし本作(と次作)は『ロボットアニメ』と認識されていないケースが多々あり、とある新聞の記事にも「名古屋テレビのロボットアニメ枠が終了した」という文章が掲載されていた(ボンバーマンのアニメ化の印象が強かったため)。
続編の爆外伝V終了をもって本当に名古屋テレビのロボットアニメ枠が終了したが、皮肉にも次作からサンライズアニメが復帰することとなる。その後、しばらくヒーローアニメやホビー系アニメが続いたため、この枠でのロボットアニメ復活は16年の歳月を過ぎた後であった。
幻のシリーズ
- フォトグライザー(1998年度放送予定)
本作の存在はシリーズ終了後に発売されたムックで明らかにされる。「勇者王ガオガイガー」が作品的に成功した事を受け、もう一作製作を希望したが、キー局から却下される。
ムックによると、主役ロボは普段カメラ等の日用品に擬態しており、事件が起きると変形・巨大化し、ピンチになるとサポートメカと合体するものであった。世界観も少年とロボットとの交流を描くものであったため、勇者シリーズの原点に立ち返った作品になる予定だったという。
玩具に関して
本シリーズは、タカラがメインスポンサーとなり、「エクスカイザー」から「ガオガイガー」まで、主役側の勇者ロボたちの玩具を発売していた。
ダイアクロン・トランスフォーマーを初めとした変形ロボットを数多く製造販売していただけあり、その出来は現在も通用するほどの良いもので、中古玩具界隈でも高値が付いている。
また、「敵方の製品」「タカラ社の他作品からの流用商品」も発売している。
タカラ社は「ダイアクロン」「ミクロマン」の頃から、敵側のキャラクターの製品を多く出しており、本シリーズでも敵側の製品を発売している。
ただし、新規製造はエクスカイザーの「ダイノガイスト」、ファイバードの「ドライアス」のみで、他はトランスフォーマーなど、過去の他シリーズからの流用や仕様変更品だったが。
主なものは、レッドガイスト=デスザラス、飛龍=ソニックボンバー、轟龍=ダイアトラス、デスギャリガン=スカイギャリーなど。
製品は未発売だが、劇中に登場したロボットにも(「ゴルドラン」のリバイバロン(頭部レッドガイスト+胴体ソニックボンバー=飛龍)や、ザゾリガン(メガザラック))など、流用したものが見られる。
また、主人公側、善玉の方にも、過去製品の流用商品がそれなりに多い。
シャドウ丸=シックスショット、ダグベース=グランダス、サンダーダグオン=ギャラクシーシャトルなど。また、ロボットではないが、「マイクロトランスフォーマーステーション」四種が、ジェイデッカーの「ミニコレ秘密変形基地」として仕様変更され発売されている。
唯一「ガオガイガー」だけがタカラの他作品からの流用玩具が無いが、初期案ではキングジェイダーに該当するロボットは、マイトガインから流用。マイトガインの製品およびデザインを一部仕様変更して登場・発売する事も想定していた(ガオガイガーのムックなどで、そのデザインを確認できる)。
版権問題
勇者シリーズは版権がとても複雑なことでも有名である。
スポンサーがタカラでありながら、シリーズ放送真っ只中だった1994年にサンライズがライバル会社のバンダイの子会社になってしまい、当時企画段階だったゴルドラン及び今後の勇者シリーズ放送存続にまで関わる問題となった(ほかにも原因はあるが決してシリーズが低迷したわけではない)。テレビゲームの面でも当然タカラが各作品をゲーム化しているため、サンライズ作品でありながらバンダイグループのバンプレストが展開するスーパーロボット大戦シリーズへの参戦を難しくしている原因にもなっていた。
勇者ロボの規格にTFというタカラが版権を持つ別ロボット作品の金型を一部流用しているのも版権を複雑化させている原因といえ、元からバンダイが版権を握っているスーパー戦隊シリーズやクローバー倒産からなし崩しに版権を獲得したガンダムシリーズ(とザンボットからダイオージャ(ザブングル以降は元からバンダイが関与している)までの名古屋テレビ枠のアニメ)とは違い、タカラトミーから復刻は出来ても最新フォーマットでの立体物を出すのが難しい状態にある(とはいえ、サンライズがバンダイの子会社になっても他社メーカーのスポンサーを担当できないわけではないし、玩具を発売できないわけでもないが)。
ちなみにエルドランシリーズもトミーから玩具を出していた関係からそれに近い問題を抱えているが、全作品がスーパーロボット大戦に参戦しているため、版権的には勇者より緩いといえる(バンダイとトミーとの関係が比較的良好であり、子会社化以降もサンライズ作品のスポンサーになっているのも要因といえる)。
サンライズがバンダイグループに入った当時、シリーズの監督をしていた高松信司氏もこの版権問題には相当手を焼いたそうである(尤も当時氏が苦労していたのは同時期に別の問題も抱えていたからなのだが)。最終的にタカラ側が代わりの製作スタジオが見つかるまでという条件で続投。
テレビゲームについては、スーパーロボット大戦シリーズにて、『勇者王ガオガイガー』のみ2000年発売の『スーパーロボット大戦α』で参戦が企画されこの時点では頓挫するが、2003年発売の『第2次スーパーロボット大戦α』にて初参戦を果たし、現在に至るまで複数回参戦し続けている。もっともこの頃は他の勇者シリーズ作品の参戦は相変わらず困難だった用で、『マイトガイン』が2017年発売の『スーパーロボット大戦V』に参戦するまでには14年の年月が経ってしまっている。以降『X』・『T』と連投(『T』では『ガオガイガー』とも同時参戦)。また初代作『エクスカイザー』も2018年末、『スーパーロボット大戦X-Ω』に参戦を果たし、2021年『ジェイデッカー』が『スーパーロボット大戦30』で参戦。
立体物の方も2011年のスーパーロボット超合金ガオガイガーからバンダイが参入し、2012年ににはマイトガインが発売されるなど積極的に商品化を進めている。また、バンダイ以外でもやコトブキヤ、グッスマをはじめとする各メーカーで勇者ロボの立体化がなされている。
現在のところ勇者シリーズに関する版権問題については年がたつにつれ緩くはなっているものの、まだまだ不透明な状態である。『ガオガイガー』のみ先行して他社展開が行われた理由については、「制作にサンライズの徹底監修があったため」・「続編のガオガイガーFINALが制作されたため」等の諸説があるが詳細は不明。
関連動画
関連イラスト
関連タグ
年代 | 90年代、90年代アニメ |
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メイン | ロボ、メカ、懐ロボ、ロボットアニメ |
勇者○○ | 勇者ロボ、勇者ロボの一覧、勇者パース |
合体 | グレート合体 |
ゲーム | ブレイブサーガ、ブレイブサーガ2、新世紀勇者大戦、スーパーロボット大戦 |
パロディ | 輝煌勇者ファルセイバー、勇者っぽいの |
シリーズ全体 | 作品単体 |
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類似する作品
- エルドランシリーズ
- サンライズが製作したロボットアニメでパートナーとして小学生が登場する。
- 超ロボット生命体トランスフォーマーV
- トランスフォーマー カーロボット
- 勇者のTVシリーズが終了した後に放送されたトランスフォーマーシリーズの1作で、『ビーストウォーズ』の動物路線から、乗り物へ戻った最初の作品。主人公が少年、合体ロボが多め、日本が舞台など符合する部分が多い。
- 勇者であるシリーズ
- 「最後まであきらめないのが勇者」というセリフなど、オマージュがいくつかある。しかも勇者シリーズで二度主演を務めた檜山修之氏がCMに出演していた。ちなみに実際に出演した勇者声優もいたりする。
- 電光超人グリッドマン
- 円谷プロ製作・タカラ出資の作品。実写版勇者シリーズというコンセプトを持ち、シリーズ内のロボットがカメオ出演したこともある。
- ゲッターロボ號
- ファイバードのころに放送されていた作品。ゲッターロボの派生だがトランスフォーマーVのスタッフが参加していたり、グレート合体にあたるスーパーゲッター號の存在から勇者1.5号と呼ぶファンもいる。
- 勇気爆発バーンブレイバーン