「目覚めよ勇者、戦えダ・ガーン!」
概要
勇者シリーズ第3作目で、谷田部勝義監督が手掛ける勇者シリーズ最後の作品でもある。名前の由来は某CM…(当時話題に上がり、ネタにもなった)でも駄玩具でもなく、公式には、男児玩具の略称である『男玩』(男玩→だがん→ダ・ガーン)だとされている。
エクスカイザーから見続けた子供の成長に合わせてなのか、前二作より群を抜くリアルを重視したシリアスな描写が多く見られ、主人公である星児を取り巻く人間模様や、敵の侵略によって変わっていく日常、戦闘に置いても辛勝が多く、そしてテーマである「地球」の環境を扱った描写等、ハードな物語が展開された。
勇者エクスカイザーや太陽の勇者ファイバードでは「悪を倒し、正義が勝つ」と言う単純明快な物語だったが、今作からは、敵が後に改心して主人公をサポートするという、「勧善懲悪の否定」を初めて取り入れている(最後まで敵対する者もいるにはいる)。その為なのか、敵側の宇宙人も多種多様なものとなっている。
また、『主人公が勇者ロボへ命令する』スタイルも取り入れられ、黄金勇者ゴルドランまで続く事になる。主人公が専用コスチュームを着用するのも本作が初ではあるが、後発作品と異なり、生身での戦闘シーンは無く、専ら正体隠しの印象が強かった。
他作品と違い、CMに入る前後のアイキャッチがアメコミ風となっている。また勇者シリーズで初めて最終回が特殊EDとなり、最終作までそれが続くこととなる。
あらすじ
緑ヶ浜小学校に通う少年「高杉星史」が暮らす街に、突如UFOが飛来。初めて見る宇宙人に興奮する星史達だったが、対する宇宙人は友好的な相手ではなく、一方的に攻撃を開始。
命からがら、小学校の裏山にある「厳光寺」へ逃げ込んだ星史は、不思議な声に誘われ、宝玉「オーリン」を手にする。すると、オーリンが光り輝くと同時に、仏像の額に埋め込まれていた「勇者の石」が反応し、寺の近くで乗り捨てられていたパトカー(実は根元巡査所有のパトカー)と勇者の石が融合、ロボット「ダ・ガーン」へ姿を変えた。
オーリンに選ばれし者(星史)の命令のみ聞き従うダ・ガーンは、星史の叫びに答え、瞬く間にUFOを撃退したのだった。敵の狙いは、惑星の生命力「プラネットエナジー」を奪い尽くす事。このプラネットエナジーが無くなると全て滅びると云う。
星史はダ・ガーンと共に、地球を守る残り7体の勇者を探すため、世界中を駆け回る事になる…。
プラネットエナジーを狙うオーボス軍の幹部・レッドロンの妨害に遭いながらも、星史とダ・ガーンは空の勇者・セイバーズと地の勇者・ランダーズを仲間に加えて、8体の勇者全ての力でレッドロンを撃破する。そんな星史の秘密を知っているのは、クラスメートの桜小路螢ただ1人だった。
レッドロンを倒した星史は晴れて進級を果たし、星ヶ浜に不思議なサーカス団・アヤシサーカス団が来て、更には彼のクラスに山本ピンクが転校する。星史はピンクとサーカスの団長とピンクの姉にして花形踊り子のマジカル・ピンキーと親しくなる。そんな彼らの前にセブンチェンジャーという強敵が現れて、勇者たちは闘争を繰り広げるも彼に敵わずセイバーズは勇者の石に戻されてしまい、ダ・ガーンも解放点をヒットされたことで亀裂が生じたアフリカ大陸を命がけで繋ぎ止めるため、地中にこもってしまう。その上そのサーカスの一員は全てオーボス軍の一員だった。中でもピンキーとピンクは同一人物であった。そのことで落胆する星史だったが、古代勇者・ホークセイバーとガ・オーンの復活を気に、ホークセイバーを加えたセイバーズはペガサスセイバーに、ダ・ガーンとガ・オーンは伝説の力によりグレートダ・ガーンGXに合体を果たし、螢の協力もあって幹部のレディ・ピンキーとその部下のデ・ブッチョを倒す。
しかし、軍の首相・オーボスが地球に迫り、その部下のビオレッツェはレッドロンをサイボーグに改造して、任務に失敗したブッチョを小さく8分割してレディ・ピンキーから変身能力を奪い少女の姿に若返らせる。地球のプラネットエナジーを奪うことを目論む。
そんな星史と螢の前にヤンチャーという少年が姿を見せる。ヤンチャーはオーボスによって滅ぼされた星の王子だったが、その星で覚醒した勇者によって唯一生き残り、その中で匿われながら勇者はオーボスのスパイとなっていた。その勇者とはセブンチェンジャーだった。全てを知った星史はセブンチェンジャーとヤンチャーを仲間に迎え、共闘することになった。オーボス軍との戦いの最中、ビオレッツェ、ピンキー、ブッチョは螢と星史の優しさに触れて、改心をして、ブッチョは星史達の仲間に加わり、ビオレッツェとピンキーは宇宙に旅立つ。その代償に星史の幼馴染みのひかるとその両親、螢のばあや、ダ・ガーンが憑依しているパトカーの主・根本、そして星史の両親は勇者達の秘密を知ることになる。
オーバス軍との最終決戦の最中、セブンチェンジャーはヤンチャーを星史に託してレッドロンと刺し違え勇者の石に戻り、ダ・ガーンも初めはオーボスの側近のシアンに苦戦をするも、星史の叱咤、地球上の生物の祈りや仲間達の勇者の石を融合させて、シアンを倒す。いよいよオーボスとの戦いが幕を開ける。星史とダ・ガーンは気持ちを1つにして、ついにオーボスを倒すも、使命を終えた勇者達は眠りに就く。ダ・ガーンは眠りに就く直前に星史を故郷に送り届ける。そして星史は仲間達と感動の再会を果たすのだった。
登場人物
メインキャラ
緑が浜の人々
伝説の勇者
- ダ・ガーンX / ガ・オーン / グレートダ・ガーンGX / ダ・ガーンGX(CV:速水奨)
セイバーズ
ランダーズ
異星の勇者
オーボス軍
- オーボス(CV:千葉耕市)
- レッドロン(CV:沢木郁也)
- レディ・ピンキー / マジカル・ピンキー / 山本ピンク(CV:冬馬由美)
- デ・ブッチョ / 団長(CV:塩屋浩三)
- ビオレッツェ(人間モード CV:梁田清之 / 猫モード CV:冬馬由美)
- シアン(CV:笹岡繁蔵)
- 学者ロボ(CV:岸野一彦)
- 美少年隊隊長(CV:子安武人)
主題歌
オープニングテーマ
- 「風の未来へ」
作詞:山田ひろし / 作曲:井上徳雄 / 編曲:井上日徳 / 歌:佐藤有香
エンディングテーマ
- 「ハレルヤ・パパイヤ」(1 - 45話)
作詞:横山武 / 作曲・編曲:鶴由雄 / 歌:佐藤有香
- 「風の未来へ(合唱バージョン)」(46話)
歌:松本梨香(高杉星史)&速水奨(ダ・ガーン)&紗ゆり(香坂ひかる)&白鳥由里(桜小路蛍)&高乃麗(ヤンチャー王子)
挿入歌
- 「LOVE EARTH」
作詞:横山武 / 作曲・編曲:岩崎文紀 / 歌:白鳥由里(桜小路蛍)
- 「伝説の勇者〜心はひとつ〜」
作詞:川崎ヒロユキ・横山武 / 作曲・編曲:岩崎文紀 / 歌:松本梨香(高杉星史)・速水奨(ダ・ガーン)
余談
- 編成上の都合、本作はシリーズ最短の全46話の放送となった。また、当初は本作を以て勇者シリーズは完結し、次番組はガンダムシリーズを予定していた。しかし、テレビ朝日が「ANNネットワーク拡大運動で活用し、ゴールデンタイム全国ネットで放送する」との条件で、権利をテレ朝へ売却・譲渡し、一転して勇者シリーズ続行となり、勇者特急マイトガインが次番組となった。そして、ガンダムシリーズは機動戦士Vガンダムとなり、ゴールデンに空き枠が出来る93年秋開始を予定していたが、バンダイカーンの圧力によるゴリ押しで半年繰り上がることとなり、新設した金曜夕方枠に収まった(そのあおりを受けて同時間枠である日テレのサンライズ枠が消滅している)。その後のシリーズは皮肉にも系列局からネット拒否が相次ぎ、最終的には早朝へと左遷されてしまった。
- アニメの監督だった谷田部勝義は実はダ・ガーンではなく、ママは小学4年生の監督をしたかったそうで、本編でママは小学4年生に登場するコンパクトが出て来たり、後に同じスタッフが製作したムカムカパラダイスではママは小学4年生へのオマージュを見せた。(どちらも放送回数は同じ全51話だった)
- ガ・オーンの酋長発言が原因で表現規制に引っ掛かった為、00年代以後地上波での再放送が困難になった。が、テレ玉での再放送では問題なく放送、ただし注意書きのテロップは入っている。
- 韓国輸出版主題歌は、ある意味日本オリジナル版より格好良かった。
- 上記の通り、『勧善懲悪の否定』が盛り込まれているが、それと同時に『因果応報』も用いられている。その為、改心した幹部のほぼ全員は、何らかのペナルティを負ってしまっている。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
- ヤマトタケル:ダ・ガーンをモチーフにした日本アニメーション製作のアニメで、本作では、谷田部勝義が森田風太のペンネームで監督を務めた。奇しくも裏番組は盟友の高松信司が監督を務めた『勇者警察ジェイデッカー』であり当該記事のダ・ガーンとは真逆のコンセプトと作風である。
- 乃木若葉は勇者である:勇者の力を手に入れる経緯や物語全体の進行、結末がほぼ同じだがこちらはビターエンドとなっている(続編ありきの構成なのでしかたないことだが)。
- ダダン:公式には無関係だが当時、語感が似ていると話題になり、二次創作のネタにされる事も多かった。
- 電撃戦隊チェンジマン:敵が多種族で終盤で寝返る者がいる、ラスボスの正体が同じ存在など、共通点は多い。
- 大権威ガ・ダーン:名前が似ている。
太陽の勇者ファイバード←伝説の勇者ダ・ガーン→ 勇者特急マイトガイン