概論
【beam】には「光線」「光束」の意味があるので、ブラスター、光線銃などと同類とみても差し支えない。
ただし光線銃は「レイガン」と呼ぶのが一般的で光学兵器とされるのに対しビームライフルは電子ビーム≒素粒子兵器、粒子砲として扱われる事が多い。
なお、実在のスポーツ射撃の一種目としても存在する(無論非殺傷性)。
銃の規制に厳しい日本用の競技として生まれた。
こちらは標的にレーザーを照射するかのように思われているが、実際はカメラのフラッシュにも利用されるキセノンランプカメラである。
(こちらを題材にした漫画『ライフル・イズ・ビューティフル』も存在する)
『粒子砲』の宿命として、人体に重篤な損傷を与える高熱粒子を巻き散らす事から、(たとえパワードスーツのようなものを纏っていたとしても)人間用兵器としては利用し辛く、日本(のアニメーション)においては、基本的にガンダムが用いる射撃兵器としての認識が主となっている。
このため、本頁ではこのガンダムシリーズに登場するビームライフルについて取り扱う。
宇宙世紀におけるビームライフル
宇宙世紀におけるビームライフルとは、ミノフスキー粒子にエネルギー(電力)をかけて圧縮し、縮退・融合させることで、質量のほとんどを運動エネルギーに変換した「メガ粒子」とし、それをIフィールドによって収束させ打ち出すモビルスーツ(以下、MS)用の携行武装である。
このメガ粒子の単位面積当たりのエネルギー(破壊力)は核兵器を超えるとされ、同じくミノフスキー物理学に従った対ビームコーティングなどを施さない限りは、事実上いかなる金属物質(装甲)を用いても防ぐ事はできない。このため宇宙世紀0079年に実用化された後は、MSの一般的な携行装備となった。
なお、ミノフスキー粒子という“電磁気を吸収して伝播を阻害する”=荷電によるエネルギー蓄積が起きない架空の粒子を用いるため、いわゆる「荷電粒子砲」(現実に研究されているものや、『ZOIDS』シリーズに登場するもの、ポジトロンライフルなど)とは全く異なるものであり、地磁気(磁場)や電場・重力の影響を受けずに、亜光速で直進するという特性を持つ。つまり、縮退により質量をほぼ無くしているため、“質量を持った高熱粒子”を撃ち出す粒子砲よりも光速に近づく事ができ(相対性理論により質量体は、「純粋な光速」には達せられない)、海中ですら直進するのである。
加えて、大気中での拡散も(重金属)荷電粒子と比較して緩慢であり、大気圏内でもある程度の射程を確保できる(ただし、大気圏内外を問わず超高熱の粒子が推進とともに周囲に拡散するため、メガ粒子が人間の近くを通り過ぎた場合は『穴だらけの死体』が残される事になる。本件については小説版F91におけるシーブックの父親の死因の他、Vガンダム劇中のザンネック戦にて「メガ粒子砲の粒子一つに直撃されても、人間は即死でありますから」と、その危険性が言及されている)。
以上より、宇宙世紀で言う「ビーム」=「メガ粒子」はむしろファンタジー的な設定と見なす方が正しい。
(なお原作者である富野由悠季監督による小説版では設定が少々異なり、超高温の重金属粒子を発射するもの=荷電粒子砲、としている。)
ミノフスキー粒子を縮退させるほどのエネルギーは、ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉(以下、ジェネレーター)といえどもMSサイズ(初期18m級)に積載可能なサイズでは確保が困難であり、宇宙世紀0079年までは戦闘用艦船の大型ジェネレーターを用いるしかなく、このためメガ粒子砲(ビーム砲)の搭載は艦船に限られていた。
しかし、一年戦争後期に地球連邦軍がジオン公国軍に先駆けて縮退直前のミノフスキー粒子を蓄積しておく「エネルギーCAP」技術の開発に成功。ガンキャノンおよびガンダムに、エネルギーCAPを内蔵したマニピュレーター保持式省力メガ粒子砲、つまりビームライフルを装備させた。
ビームライフルの火力は通常実体弾を大きく上回り、それまでは艦船の主砲以外には不可能とされていた、一射でのザクの撃墜を実現するものであった。この大火力のビームライフルを、近接戦を想定してザクを遥かに上回る高度な運動性と(短距離)機動力を与えられたガンダムが、パイロットの技量とあわせ高機動での精密射撃戦を展開したことにより、「ガンダム」の伝説的強さが急速に広まり、以降のMSの標準装備となると共に、『白いMS』の名が人類史に永きに渡って伝えられる事となったのである。なおビームライフルの射程は長くても数十km程度であり長距離狙撃に特化したF90Lタイプの専用火器「ロングレンジライフル」で百数十km台である。
メガ粒子ビームは一定以上のエネルギーを飛翔などで喪失すると縮退変成は解け元の無害なミノフスキー粒子に戻ってしまう。この性質により実体弾の様な「慣性距離自爆装置などが無いと永久に宇宙を飛翔するデブリ化」や「戦域を逸脱する流れ弾」とならない点は利点だが反面長距離に射程を延ばす為には十分な収束や砲身での加速などのエネルギー添付などを高技術力によって達成しなければならない為、長射程の達成はそのまま技術力の高さを示すバロメータにもなっている。
以下では、ビームライフル携行・射出方式のモデル毎に説明する。
エネルギーCAP内蔵型
基本的には最初期から存在したモデル。使用されたのがMS開発黎明期からであったこともあり、内蔵されたエネルギーCAP内のメガ粒子を撃ち尽くすと、MS本体のジェネレーターではメガ粒子に縮退させる事ができず(センサー連動やライフル自体を稼動させるエネルギーは、マニピュレーターのコネクターで供給する)、一旦戦艦に持ち帰って、縮退直前の粒子をE-CAPに再充填させる必要がある。例として、ガンダムが用いたビームライフルは15発の射撃で“弾切れ”となる。
戦闘中に帰還しての補給可否は戦況に依るため、ガンダムの場合は充填済みの予備ライフルをホワイトベースから射出してもらい、戦闘を継続した事もあった。
また、ビームサーベルも柄部分にエネルギーCAPを内蔵しているため、Ζ系MSなどが変形中にサーベルの柄尻を転用するビームガンなども、ここにカテゴライズされる。
Eパック型
エネルギーCAPを外付け、取り外し可能にしたタイプ。使い勝手の良さから、グリプス戦争以降はこのタイプが“標準”となった。エネルギーCAP同様、1パックで十数発のビームを発射できる。
この外付けエネルギーCAPはEパックと呼ばれ、箱型弾倉に近い形状で量産されており、各MSはウェポンラッチやシールドの裏面などに複数個を携帯、撃ち切る毎にEパックを交換してメガ粒子を“リロード”することで、充分な継戦能力を得る事ができる。機種や組織内でEパックの規格を統一しておけば補給の面でも簡便であり、普及は急速に進んだ。ただしその性質上片手で扱える「弾倉サイズ」以上にはサイズアップし難い為一部の大型ビームライフルではE-PAC以上の大きさの規模の内蔵E-CAPの方が容量効率などで性能を逆転する事もあった。
ビームショットライフル
サザビーに用意された、発射するビームの形状を任意に切り替える事のできるEパック型。代表例として本モデルを挙げる。
兵装サイズは標準的なビームライフルと同等だが、ビームを散弾、通常ライフル弾、3点バースト弾の三種に任意に切り替える事が可能。ライフル本体下部にセレクターが付属しているが、既述の通りMSはマニピュレーターのコネクターを介して、センサーやFCSとの連動を行うがコネクタの接触不良などによるデータ転送のみの不具合などに対処する為手動での(マニピュレーターでつまんでの)切り替えシステムが配されている。
νガンダム用ライフルは、エネルギーCAP内蔵型だが、ビームを通常、高出力(レズンが艦砲射撃と見違えた)、高速連射と撃ち分けていたことから、類似した機能は多くの他モデルにも採用されていたと思われる。
ビームマグナム
ユニコーンガンダムの装備として開発された、特殊なEパック型モデル。一射毎に1基のEパックを使い切る機構となっており、Eパック型でありながら、ジェネレーター内蔵型(後述)に迫る出力を有し、サイズも通常レベルのため取り回しに優れる。
ただし、一射毎にEパックを排出しなければならない必然として連射性に難があり、なによりも携行弾数が予備カートリッジを含めて最大15発と、開発・運用年代の携行武装としては極端に継戦能力が低い。
また、「マグナム」の名が示すとおり、射程よりも威力を重視してビームの弾速・収束率は出力に比するほどではなく、拡散するメガ粒子(エネルギー)により広範囲の敵機を薙ぎ払う事が可能な反面、混戦や市街戦には向かない仕様となっている。
更に、過去のモデルで採用されていた、一射当たりの出力調整機能がオミットされてしまっている事が、メリットとデメリット両面に拍車をかけている。
ジェネレーター直結型
メガ粒子をEパック(エネルギーCAP)から得るのではなく、MS本体のジェネレーターと接続し、その出力を用いて直接縮退を起こして射出するタイプ。
MS本体のジェネレーターからの供給エネルギーが大きいほど、威力・射程共に向上するが、当然ながら『余剰』エネルギーを超える場合は、MS本体の機動や他の武装との併用に支障が生じる。また、逆に本体の機動を優先した場合は、不十分な威力のビームが発されるに留まる。
一般的にEパック型よりも威力、射程に勝るモデルが多いが、扱いの難しい兵装でもあるため、充分に使いこなせるパイロットは限られる。
極端な場合、全スラスターをカットしてエネルギーを供給しなければ起動すらできないほど要求出力が高いモデルも存在し、このような高出力モデルはサイズも比例して大型で、取り回しにも支障が生じる形状となってしまっている。
ジェネレーター内蔵型
ビームライフルにMS本体とは別途ジェネレーターを内蔵し、武装内で粒子生成~射出の全てを賄うタイプ。
この型式のみMS本体からのエネルギー供給が必要無く、威力、連射性は武装に内蔵されたジェネレーター出力にそのまま比例して向上するが、ジェネレーターの高出力化はそのまま武装の大型化を意味し、被弾の可能性(被弾面積の増加および機動性の低下)に繋がる。更に、製造・メンテナンスコストの高騰をも招くため大量生産には向かず、必然的に高性能機の専用装備として用意される事が多い。ジェネレーター供給型より更に高威力・長射程を誇るモデルも存在する。
その他、珍しい運用目的のモデルとして、旧世代型MSの攻撃力を最新鋭機と互角以上に引き上げるため開発された、「クジャク」が存在する。
ジェネレーター内蔵・直結併用型
武装内にジェネレーターを内蔵しつつ、MS本体からもエネルギー供給を受けるモデル。
ZZガンダムの「ダブル・ビームライフル」やネオガンダムの「G-バード(G-B.R.D)」などがここにカテゴライズされる。「ダブル・ビームライフル」はジェネレーター直結型(メガバズーカランチャー級とされる)の威力を維持しつつ、サイズは当時の機体の通常のビームライフルと同程度に抑えられ、更に連射性・弾数も充分な性能を維持しているという、上述のビームマグナムの上位互換に近い性能を有する、優秀な武装であった。しかしながら、小型でありながら高威力のビームを収束加速させなければならない為バレル部の寿命は200射が限度である。ただし上述の通り、200発使用可能なメガバズーカランチャーとして考えた場合、長寿命な設計であるともいえる。
アナハイムがV.S.B.R.(後述)の技術を独自に昇華させた「G-B.R.D」(Generative Beam Rifle Device)は、携行式の大型可変速ビームライフルであり、ネオガンダムの専用武装として開発された。コロニー越しに一撃で戦艦を撃沈させる程の威力を有し、サブフライトシステムとしての機能も有する「メガライダーの機能を備えたヴェスバー」でもあった。装備方法はベルガ・ギロスのショットランサーと同じく右腕全体でホールドする形式であり、このため状況次第では他の武装に持ち替えての出撃も可能であり、MS本体の汎用性を高めている。機体全長に匹敵するサイズではあるものの全備重量は同時期の最新鋭機より軽量であり、内蔵ジェネレーター及びスラスターにより機動性能を向上させることが出来る。
ジェネレーター直結・Eパック併用型
宇宙世紀0120年代以降、第二期MSの武装として見られるようになったタイプ。
MS本体の小型化(省エネルギー化)、ジェネレーターの高出力化によって、粒子を縮退変換させるのに充分な余剰出力を持てるようになったことから、Eパック及びE-CAPにはこれまでのモデルとは異なり高エネルギーを帯びたミノフスキー粒子ではなく普通の状態のミノフスキー粒子を貯蓄する物に変更された。これは従来既存式の高エネルギーを帯びたミノフスキー粒子では故障暴発や武器破壊を行われると意図しない形でメガ粒子への縮退が始まり武器そのものの爆発や機体へのダメージを与える為それを抑える目的もあって採用された。メガキャノン級の威力、サイズになるとEパックの代わりに大容量メガコンデンサを採用しているモデルもある。
V.S.B.R.
Variable Speed Beam Rifle(可変速ビーム・ライフル)。ヴェスバーと発音する。
ビームの収束率と速度を無段階連続帯域レベルで調節することが可能な、高汎用ビームライフル。1つのモジュールで、高速・高収束率に設定し減衰拡散を抑える事で貫通力を優先しビームシールドを貫くビームから、低速で粒子の接触時間や時間単位当たりの接触面積を重視し破壊力を大きくした中距離対艦用ビームとしてまで、幅広く運用できる。
開発はサナリィが行ったが、裏取引によりアナハイム・エレクトロニクスやクロスボーン・バンガード(ブッホ・エアロダイナミクス)にも技術が流出、各陣営で試作されている。これらのモデルは、ビームの可変速機能は持つが、開発途上のデータをもとに作られたため、大容量コンデンサの存在が不明だったことから、本体より取り外しての射撃はできない。しかしアーム接続式の半固定火器である為、出力の安定性が高められ、脱着式よりも高出力化する事が可能であり、またアーム接続式半固定火器である事を利用し「射撃武装兼AMBAC肢兼可動式サブスラスターモジュール」としての機能向上が行われた。
ジェネレーター直結・粒子加速型
ザンネック専用に開発されたザンネック・キャノンが、唯一ここに分類される。
専用MSのジェネレーターで縮退させたミノフスキー粒子を、更に肩部に搭載した加速器で加速させ、多量のミノフスキー粒子を限りなくゼロ質量に近い状態まで縮退(エネルギーに変換)、蓄積した後、ロングバレルのIフィールドで収束、射出する。
その威力と射程は、成層圏から軍事施設に致命打を与えられるほどであり、既存のMS用装備はおろか、戦艦の主砲ですら大きく凌駕する。艦砲射撃の射程外からの対艦隊への命中率と艦載ビームシールドを貫通する威力を考慮すれば、むしろコロニーレーザー等の戦略兵器に近い。
ザンネックは当時としては大型機に分類される(20m級)がそれでもキャノンの取り回しは悪く、接近戦に持ち込まれた場合の不利は否めない。しかし、サイズそのものは15m級が一般機となっている時代のため、宇宙世紀0090年前後のメガバズーカランチャーやハイパーメガキャノンに比べればザンネック・キャノンは「小型」と言っても差し支えない。そもそもにおいて、ザンネック・キャノンの有効射程はMSが積載可能な推進剤による移動範囲を越えており、専用のザンネック・ベースによって単独での大気圏離脱が可能なため、相対するのが極めて特殊なMSでなければ、接近戦に持ち込まれる可能性を考慮する必要が無い。
ビームライフルのデメリット
完全無欠な兵器など存在し得ない事から、当然ながらビーム兵器にもデメリットが存在する。
戦闘、戦術レベルからの観点としてのものもだが、最大のデメリットはやはりスペースコロニーの外壁を傷つける可能性が高い事に尽きる。
始まりは様々な問題を抱えていたとはいえ、宇宙世紀の物語開始時点で既に半世紀以上が経過していることから、スペースコロニーは既に1千万人規模の人間が日々の暮らしを営み、次の世代を育む場(フィールド)であり、故郷となっていた。
このため、如何なる理由があろうともこの人工大地を傷つけるモノは、これへの批判は避けられない。
直進性
宇宙世紀のスペースコロニーはシリンダー型が採用されているため、天井=反対面の陸地となる。ライフルのビームは遠心力によって発生させている疑似重力を無視して直進する事から、射出角がわずかでも斜め上を向いていた場合、流れ弾が対面の都市部に被弾する可能性が生じる。特に、採光用のミラー部に着弾した場合、コロニーに穴を空けるという最悪の事態を引き起こす。このセイフティとして、対面側の人工大地に着弾する可能性がある場合は、トリガーを弾いてもビームを発射しないよう、コンピューターを設定する事も可能だが、パイロットが自分の命と引き換えにこの機能を使用するかは、個々人による。
また大気圏内戦闘においても、丘陵の向こう側を狙った曲線射撃が不可能な点も、デメリットとして挙げられる。
威力
こちらもコロニー外壁を傷つける恐れから。大火力大型MAをコロニー内に無理やり進入させる行為などは、正気の沙汰ではない。
更に、宇宙世紀0120年代以降のMSのジェネレーターは、ビームが直撃すると核融合の停止よりも先に隔絶場(Iフィールド)の崩壊が起こり甚大な核爆発を生じるようになった事から、『如何にして爆発させずに敵機を仕留めるか』が極めて重要な戦術的要素として取り上げられる。
メガ粒子の拡散
既述の通り、Iフィールドにより弾丸状に『成形』してあるとはいえ、メガ粒子は直進と共に収束が解け周辺へ拡散していくため、特に市街地での戦闘において二次被害が懸念される。
また、可能性は非常に低いがビーム同士がぶつかった場合は、大量のメガ粒子が周囲に飛散する。メガ粒子は質量がゼロに近く電荷を持たない超高熱粒子という特性上、ぶつかり合っても相殺し合う質量や正負の電荷が無いため、ライフルのビーム同士がぶつかり合うと互いを成形しているIフィールドのみが反発・消失し、内包していたメガ粒子はそのまま巻き散らされることになる。
グリプス戦役においてカミーユ・ビダンとジェリド・メサは、幾度も相まみえる中でガンダムMk-Ⅱとマラサイ、およびΖガンダムとガブスレイで相互に射出したビームが正面からぶつかり合うアクシデントが生じ、激しく飛び散ったメガ粒子によって双方の機体がダメージを受けている。
なお、ザンスカール戦争においては、ウッソ・エヴィンがV2ガンダムで何度も意図的に敵機が射出したビームを自分のビームで撃ち落としている。
上記のデメリットを考慮して、ビーム兵器が普及した後もコロニー内警備用MSは火薬量を落とした実体弾火器を使用している機種が一般的である。
水中戦への不適応
水中では当然ながらビームの減衰率が大きく、射程が極端に短くなるため、バズーカ等の大型実弾兵器の方がより高い利便性を持つ。宇宙世紀0150年代に入っても、ガンブラスターがバズーカ(形状はνガンダム用と同じだが、サイズが15m級用に縮小されている)を使用していたことがこれを証明している。
とはいえ、少ないながら水中での使用を可能にしたビームライフルも存在する。
なお、高出力のビームライフルであれば力づくで水中の敵機を撃墜する事も可能だが、ビーム自体は直進しても進行方向に沿って水蒸気爆発が連続的に生じ、海流を乱すため自機・敵機ともに機動が大きく阻害される。ただし、ジュドーやウッソはこの海流の乱れすら感覚でつかみ、利用して敵機を撃破している。
アナザーガンダムにおけるビームライフル
コズミック・イラにおけるビームライフル
CE世界のビームライフルはプラズマや重粒子を電磁気力で加速投射させるエネルギー兵器の一種。発射された荷電粒子ビームはその速度と熱で対象物を破壊する。理屈としては古典的なものだが、UC世界のようなミノフスキー物理学は存在しないために投射している粒子がいったい何者なのかまでは説明が及んでいない。とはいえ、ジン用のバルルス改やビームカービンのようにカートリッジ式のビーム砲もあるため、砲や本体に貯蓄する方式ではあるようだ。
UC同様、MSを一撃で撃沈できる高い破壊力を誇り、従来型MSに対しガンダムタイプのアドバンスとして機能した。ただし上述のように荷電した状態で発射されるため、他の電磁場が外側から干渉すると偏向される弱点もある(ゲシュマイディッヒ・パンツァー、陽電子リフレクター、対ビーム爆雷、広義的にはヤタノカガミも)。その他に衝突したビームに対しコーティング材を気化させて熱エネルギーを相殺させる対ビームコートや、装甲に施したトレッド処理にビームを射入させ、溝内に乱反射させる過程でエネルギーを相殺させる振動鋼材、射入したビームの熱を装甲全体に拡散させてエネルギーに耐久するラミネート装甲、場合によってはそれと併用される耐熱融除剤(元々は大気圏突入用の耐熱装備だが、ジェルの気化で熱を相殺させる作用からMSでは対ビームに使用されることもある)など、強力な装備ゆえに対抗手段も充実している(このほかに日本刀で斬ることもできるが、これはどういう理屈なのかよくわからない)。
同作品世界ではビームの中に他の粒子を収束させる技術も存在するようで、フリーダムガンダムのバラエーナに代表されるプラズマ収束ビーム砲や、アークエンジェルのローエングリンに代表される陽電子砲などである。
いずれにせよ荷電粒子ビーム兵器であるために衝突した物質の電子を電離させ、原子間結合を破壊する。つまり地上では大気との衝突によって電離(イオン化)が発生し、長距離に砲撃するほど威力が低下する弱点がある。これに輪をかけてリスキーなのが陽電子砲だ。反物質である陽電子は大気圏内で使用した場合に物質との対消滅を引き起こし、多量の光子(ガンマ線)に転化される。これは多量の放射線を残すため、地球環境に配慮して使用を控えるよう指示が飛んだ場面もあった。
ガンダム00の西暦2300年代におけるビームライフル
GN粒子を圧縮・高エネルギー化して撃ち出す。そのためGN粒子が必要不可欠。ミノフスキー粒子からGN粒子に置き換えた設定とみられる。
やはりMSを一撃で倒す強大な威力を誇り、対抗策として対ビームコーティング(ユニオンフラッグカスタム)や対実弾・対ビーム両面に有効なGNフィールドなどが存在する。
この世界のビーム砲の特徴として、GN粒子の収束性質を応用したセラヴィーガンダムのクァッドキャノン、スサノオのトライパニッシャーなど、砲身を用いずGNフィールドを圧縮する殻にしたりレール代わりにして機体前面に発生させた火球を飛ばすという兵器が存在する。
ガンダム登場以前でも三国家群でビーム兵器の研究は行われており、一歩進んだAEUは一部の大型モビルアーマーにプラズマキャノンを実装している。
機動戦士ガンダムAGE(アドバンスド・ジェネレーション時代)におけるビームライフル
劇中以前の大規模な戦争後に締結された銀の杯条約により、強力なビーム兵器の技術は封印されており、従来の主力機であるジェノアスが装備するビームスプレーガンはおろか、艦載の大型ビーム砲ですらUEを撃破不可能という、非常にしょっぱい威力のものしか普及していなかった。
ガンダムAGE-1登場以降の連邦側機体では、磁気旋光システムによってドリル状に粒子をスピンさせ惹起させたDODS効果の共振粒子で対象を分子崩壊させる「ドッズライフル(ドッズガン)」が使われている。
その性質故、発射直後に残余の粒子が螺旋状に拡散するなど独特のエフェクトと効果音を発する。
ヴェイガン系の機体には封印された技術から抽出した技術を用いた強力なビーム兵器を全ての機体に標準搭載しており、バルカン程度でも初期のジェノアスやザラムやエウバ陣営の機体を容易に破壊せしめた。
こちらの陣営のビームは「メガ粒子」という語が使われているため、宇宙世紀のものと似たようなものと考えていいだろう。
関連タグ
レーザーガン:メガ粒子砲より低出力(=低威力)とされる兵器。機動戦士Zガンダムのメタスに搭載されていたほか、フィンファンネル以前の無線型ビット兵器の武装もこれ(有線型はメガ粒子砲を搭載していた)。