解説
一射につき『マグナム弾』と呼ばれる専用の弾倉型Eパックカートリッジを丸ごと一つ使用し(通常はEパック一つで十数発の射撃が可能である)、同年代のビームライフル4発分の威力という、メガバズーカランチャーやハイパーメガランチャーとほぼ同等の火力を有するビームライフル。後述の理由からユニコーンガンダム専用と言える。
その高出力故、周辺空間へのメガ粒子の拡散が顕著で撃ち出されるビーム弾体も光束に近い状態となり(劇中では不規則な紫電として描かれた)、並みのモビルスーツなら直撃させずとも掠めただけで破壊でき、特にモビルアーマーや艦艇などといった大型の目標に対しても有効打となり得る。映像では放たれるビームも従来のビームとは異なる独自の光彩で表現された。
これは、敵の攻撃を先読みして避けてくるニュータイプを、避けてもムダなレベルの極太攻撃範囲で一撃でブッ殺すという設計思想に基づいたものである。
つまり冒頭のセリフは「掠めただけで落とされた」のではなく「弾が掠る距離ではエネルギーの拡散が直撃する=実はキチンと被弾しているので落とされて当然」となる。
また、アムロやシャアが時折見せている「最小限の動きで掠めるギリギリを避ける」に対して「その避け方だと余波が直撃して撃破される」という対策になっている(ただ、彼等は殺気や悪寒を読んで躱しているため、下手をするとビームマグナムの弾を「赤い弾芯のビーム」ではなく「それを覆うエネルギーの塊」として把握して、「加害範囲ギリギリを避けに行く」というイタチごっこが発生する可能性はある)
第一次ネオ・ジオン抗争期は、ハイパーメガランチャーすら凌ぐ出力の携行火器を備えるMSも運用されていた。しかし、以降の軍備縮小が進められた宇宙世紀0090年代において当モデルでも高出力の部類に属する。
マグナム弾は5本1セットで連結された弾帯ホルダーを本体に装填する形で使用され、一射毎に自動的に本体後部がスライドし、空になったEパックの排出と次弾用のEパックの装填が行われる。
なお、一般のEパック(エネルギーCAP)式に比べ、容量性能と大きさの面の性能が上回り過ぎている為、「Eパック」と称しているが内部構造は「使い捨てのメガコンデンサ式では?」というファンの説も有る。
非使用時は、本体は腕部やバックパックに、予備のEパック・マガジンは腰部にそれぞれマウント可能。
武装特性
上述のハイパーメガランチャー等と比較すると、遥かに小型で軽量であり、携行・取り回しの両面において通常のビームライフル感覚で扱える扱いやすさが最大の利点となる。
この装備が運用された時代においても、大型MAやジェネレーター直結といった方式であれば同等以上の火力の兵器は存在しているが、いずれも運用に大掛かりとなる欠点があり、上述の「行動を先読みしてくるニュータイプを倒す」目的においては呑気に接続やチャージは困難であるため、気軽に撃てる点は唯一無二の利点となっている。
一方で、Eパック・マガジンは5個1セットを基本とし、機体腰部のウェポン・ラッチに2本までしか携行できないため、1度の出撃で射撃可能なのは最大15発と、装弾数は少ない。
出力調整は不可能であるため最大出力での発射しかできず、次弾(次のEパック)の装填後、チャージ・発射となることから、連射速度は標準的なビームライフルに劣る。上述の装弾数の少なさによる継戦能力の低さもあり、非常に癖の強い武装である。
取り回し自体はビームライフルと同等ではあるが、実際には少ない弾数を確実に当てる必要があるため、通常のビーム兵器のような牽制や連射・弾幕といった使い方は不可能に近い。
このため、基本的には「初見殺し」を狙う切札であり、継戦能力については様々なプランがとられている。
ユニコーンガンダム用の武装としては、マグナムより威力は劣る標準的装備ながらサイコミュ連動した武装群として複数の「アームドアーマー」及びその試作にあたるハイパービームジャベリンが製作された。
しかし、ユニコーン1号機は様々な事情によりマグナムとシールド以外の装備を持ち出すことができていない。このためユニコーンはガランシェールが保有していたビームガトリングをいわば現地改修として搭載し、そちらを主力としてビームマグナムを温存する運用を実施している。
また、バンシィ・ノルンにおいてはアームドアーマーの運用に加え、ビームマグナム自体にも銃身下部に追加装備としてリボルビングランチャーを搭載し拡張している。
継戦能力の低さはUC計画自体がニュータイプとの短期決戦を想定したものであり、デストロイモードの運用にも時間制限があるため、装弾数が少ないこと自体はそもそもが15発も使う前に決着がつく運用思想のため直接的には問題とならない。
本来はサポート機のジェスタと連携し、ニュータイプ以外はジェスタに処理させてニュータイプだけを確実に仕留める戦術であるため、上記の武装群に加えそもそも一撃必殺以外で戦う必要自体が少ない運用思想である。
しかし、実際にはUC計画はビスト財団・連邦政府・アナハイム幹部の三つ巴の政治抗争により本来の運用はなされず、ジェスタはユニコーンともバンシィとも異なる勢力で運用されることとなり、結果として2機はそれぞれに継戦能力に独自の運用プランを求められている。
特に連邦からの支援や改修を受けられない状況になったバナージのユニコーン1号機は、過剰な威力を避ける目的でユニコーンモードのままでの戦闘が目立ち、本来の思想とは逆にビームマグナムを過剰な威嚇射撃として用い、ビームガトリングガンやハイパーバズーカを使用する逆転した運用の場面もあった。僚機として運用できる機体の数の少なさから、フルアーマーユニコーンガンダムへの改修時にネェル・アーガマに搭載されていた様々な武装を大量に装備することでこのビームマグナムの継戦能力の低さを補った。
本モデルの10年近く前に開発・運用されたダブルビームライフルがメガ・バズーカ・ランチャー並みの出力を有していることから、同威力もしくは上回っている可能性が高く、こちらはおよそ200発の発射で砲身がダメになる制限付きとはいえ連射が可能であり、加えてマニュアル操作による出力調整機能が設けられていた点と比較すると、利便性の低下が目立つ。
もっとも、ダブルビームライフルはライフル本体のジェネレーターとZZガンダム自体からの供給を前提としたZZガンダム専用の武器であり、Eパック式かつ反動及び電力供給の過負荷を無視すれば、ユニコーンから強奪したデルタプラスが即座に撃てるビームマグナムとは異なる系統の武器である。(要はファーストの頃「バカデカいジェネレータバックパックを積んで無理矢理ビームを撃っていた一部のザク」と「普通にザクマシンガンに近い銃だけでビームをぶっ放していたガンダム」というような違いである)
また同じ出力でも、見えない余波で焼き切るのが主目的のこちらとただのビームであるあちらでは想定目標も違うのでどちらが強い、弱いと言う話ではない。
これは開発当時の主流でもある大火力の追求があったZZガンダムと、時間制限のあるデストロイモードで対ニュータイプ兵器を想定したユニコーンガンダムとの設計コンセプト時点からの違いと言えるかもしれない。
マグナム本体にはメイングリップの他にフォアグリップが配されているが、パイロットであるバナージはほとんど牽制として使っていたこともあって、初回以降は殆ど利用せず片手で撃つ描写が多い。
他機体での運用
上記の通り、運用においてはユニコーンガンダム専用として設計された武装ではあるが、ZZガンダムやドーベンウルフのような本体ジェネレーターを必須とする完全な専用ではない。
規格自体は同時期の他のアナハイム系MSのビームライフルと同じユニバーサル規格であり、他のMSでも発射自体は可能である。
デルタプラスがシャンブロ撃破時にビームマグナムを使用したが、メイングリップを保持した右腕を中心に電装周り(ビーム兵器への動力供給系)がオーバーヒートによる機能不全を起こしている。
そのため、共通規格とEパック式ながら実質的にはユニコーンガンダム専用武器となっており、RX-0シリーズ以外で問題なく運用できたのはガンダムデルタカイのみ。
破損することについてオーバーヒート以上の公式の言及はRGにおいて出力の差とされている。これは単純なジェネレーター出力ではなく、エネルギー・サーキットで耐えられる要求出力が高いと思われる。
HGにおいては「反動が大きい」という表現もあり、一般的に反動という言葉は物理的な反動を指すことが多いため、発射の物理的な反動で腕自体が物理的に壊れると誤解されることも多い。
これはユニコーンがフル・サイコフレームによりニュータイプ感応で機体強度が増す驚異的な仕様である点もあり、サイコフレーム強度が必要というイメージの面も後押ししているといえるが、実際にはユニコーンモードのままの運用も多い。また、上述の通りデルタプラスが破損している一方でそのサイコミュ装備カスタムでしかないデルタカイは運用に成功しており、サイコフレームに関係無く機体の調整次第で運用が可能であることは立証されている。
ユニコーン以降のバナージの乗機にはビームマグナムを持たせている。
これは条約によりユニコーンが運用不可能(本来は解体処分であるが、ミネバ派は表向きは解体したと言いつつ機体は封印のみで保持している)である一方、ネオ・ジオング等との戦闘経験からビームマグナム級の武装が必要な状況を警戒し続けていることによる。
しかし、当然ながらユニコーンのようにデメリット無く発射できる機体の用意は難しく、特にミネバ派はジオン共和国内でも行動に制限がかかる状況下に置かれているため、ユニコーンに代わる完全な新型機を用意することは不可能である。
このため、調達可能な機体やパーツでの強引な改修で対応せざるをえず、ユニコーンガンダム以上に一撃必殺で敵ニュータイプを仕留めて即座に離脱する運用を前提としたピーキーな機体になってしまっている。
裏を返せば、本武装の即座に超高威力を発射できる特性には、無茶な運用をしてでも使える対ニュータイプにおける戦術的価値があるとも言えるが。
ミネバ派は旧ビスト財団の拠点であるメガラニカを根城としているため、財団が保有していたシルヴァ・バレトが機体及び予備パーツを最も確保しやすい状態にある。
最初に用意されたガンダムMk-Ⅱでは右腕をドーベンウルフのものと交換して二重にして強化しているが、漫画作者のツイートによればビームマグナムは腕を使い捨てにして二発までであり、腕自体の取り回しの悪さもあり実用性には課題があった。
その後、シルヴァ・バレト・サプレッサーでは一射撃ごとに右腕を交換するという機能不全対策をとっており、シルヴァ・バレトのもともと腕が分離できる仕様を活かしつつ、腕の分離方式を専用化している。こちらは有線式で飛ばす機能が無くなったこと以外には本来の腕の機能から変化が無いため、ビームマグナム以外を用いた戦闘も原型機同様に行える状態を保持している。
いずれも故障自体の阻止ではなく、故障を前提に腕を使い捨てる方式となっており、少なくともミネバ派やネオ・ジオンでは先述のデルタカイのような故障しない改修はできなかったものと思われる。
なお、その腕を使い潰してまでロマン砲をぶっ放すというキッズが考えたようなおバカな発想を大真面目にやっていることがたびたびネタとなっているが、ふざけた発想ながらミネバ派の抱える複雑な機体運用事情の範囲内での最大火力としては案外合理的であり、いずれもフルアーマーユニコーン同様にタクヤ・イレイの発案ではないか?と考察されている。
本編外で運用可能と設定されているガンダムビルドダイバーズのモビルドール・サラは反動の大きいビームマグナムの連射に耐える強度を持つとされているが、GBN内でのビームマグナムの運用に関する設定が不明な部分があり、物理的反動に対する強度か内装側かは不明。
ガンダムビルドダイバーズRe:RISEではGPDにて物理的反動のような描写がされたが、使用場面はSG RX-78にフィールドで拾った規格の異なるHGと思われるRX-0の腕を装着して使用というイレギュラーな状況であり、GBNと同仕様かも不明。
機動戦士ガンダムF90FFにおいて、GカスタムがEパックカートリッジのみであるが、ビームマグナムのカートリッジを搭載。
同機にはMSA-0120と同型のブースターが増設されており、カートリッジはブースターと有線で繋がった腰部に搭載されている事から、Eパックカートリッジを利用したメガブーストによる加速に使用されるのではと推測されている。
余談
当初はビームの出力調整が可能な兵器(そもそも企画発案的には「宇宙世紀のガンダムにA.C.のバスターライフルを使わせたい」という意見が有った為である)と言う設定であったが、便利過ぎる(出力の調整が出来ず強力すぎる事も含めての本兵装)とされ、本編のような過剰兵器となった(そのためアニメ版で大気中とはいえ道路にあまりダメージが入っていなかった点がネタにされることも)。
また、射撃音はRX-78ガンダムのビームライフルのリメイク版とも言えるものになっており、同じくジオングのそれのリメイク版であるシナンジュのビームライフルとは対になっている。
カードゲーム
カードゲーム「バトルスピリッツ」にてガンダムとのコラボデッキが発売。ガンダムUCは赤属性として登場し、その中のマジックカードにこのビームマグナムが収録された。
コストは6だが軽減は4。
ブレイヴの追加BPを無視してBP15000以下のスピリット1体+3000以下のスピリット2体を破壊する
または、
ネクサス1つと3000以下のスピリット2体を破壊する
という、超火力ついでにどうあがいても雑魚スピリット2体が巻き添えにされるという効果。
しかも自分のフィールドに「ユニコーン」がいれば軽減を満たして扱える(実質コスト2)。もちろんバンシィでも可。
劇中の凄まじい破壊力はもちろん「かすっただけでこの威力」も見事に再現している。
また、バトスピにおけるユニコーン(特にデストロイモード)は攻撃力に全振りな効果であることが多いので、アルティメットがいなければ併用するだけであっという間に相手フィールドを更地にできる。
関連イラスト
関連項目
ズキュウウウン…発射音(?)