スペック
型式番号 | ARX-014S |
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所属 | ジオン共和国ミネバ派・ガランシェールJr. |
製 | ビスト財団・メガラニカ |
生産形態 | ワンオフ機 |
頭頂高 | 23.4m |
本体重量 | 41.1t |
全備重量 | 75.6t |
ジェネレーター総出力 | 5,250kW |
スラスター総推力 | 85,500kg |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 |
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携行武装 |
概要
航宙船メガラニカに残っていたシルヴァ・バレトを、バナージ・リンクス用にカスタマイズしたモビルスーツ。このため型式番号にはARX-014Sが与えられた。
カラーリングが白からネイビーブルーに変更されていることを始め、脚部がハイヒールタイプ、頭部はカメラアイのカラーリングが紅色になり、マスクの形状も鬼面を彷彿させるものに変更。
機体名の「サプレッサー」とは「対抗勢力に対し、これを抑止・抑制するための機体」という意味を持つ。
最大の特徴は、主力装備にRX-0の共通武装であったビームマグナムを採用している点。
シルヴァ・バレトのジェネレーター出力は、ユニコーンガンダム以上とは言え、試作機専用装備に分類されるビームマグナムでは、一射するだけで射撃による反動により腕部の機部(エネルギー・サーキット系と思われる)に不具合を起こしてしまうため、本来ならば装備運用はされなかった。
しかしサプレッサーは、バックパックの各種武装を撤廃して、代わりにクレーン・フレームを装備。このフレームに交換用の右前腕を4基マウントして出撃し、ビームマグナムの一射毎に右腕を交換することで、マグナム弾1カートリッジの5発に対応可能な機体に仕上げられている。
要するに、(ほぼ)戦闘で超絶火力のビームマグナムを5発撃つ為だけの狙撃特化機体である。
このような尖りすぎた運用思想のために、インターネット上などではカッコヨサのために合理性を欠いたネタ機体の扱いを受けてしまうことも。
また、作劇上の事情が大きく反映されていると感じさせる機体でもある。「前作主人公が救援に来た!」という盛り上がるシーンではあるが、前作主役機体は使用不能。映画の限られた上映時間では長尺の戦闘も望ましくない。こういった制約下において、援護狙撃だけで新主人公の窮地を救いつつ、特徴的なギミックで短い出番ながら機体の印象を強く残せたと言えるだろう。
開発経緯とその考察
汎用性を捨てて専用武器の運用に特化した極端な仕様だが、実はこれで中々に合理的である。
ラプラスの箱を巡る闘いでサイコフレーム機の危険性を経験したバナージ達からすれば、多少の欠点を差し引いても強大な仮想敵への対抗手段を手放すわけにはいかない。
しかし、ラプラス事変を経て肝心のユニコーンガンダムは1号、2号共に解体もしくは封印処分となっている。1号機は解体こそ未着手だが条約により使用禁止の状態。2号機バンシィは漫画『獅子の帰還』では、頭部と四肢を分断されて宙づりの描写があり、使用出来ない状態。加えて、秘密裏に開発され、暴走した3号機フェネクスの動向も仮想敵として警戒対象に含まれている。
そのため、バナージの新たな乗機にはサイコフレームに依存せず、かつ武装火力ではユニコーンガンダムに匹敵する機体という条件を満たす必要があった。
しかし、この時期のミネバ派はジオン共和国に秘密裏に匿われている立場のため、保護はされているものの政治介入や武器の入手はできず、ネオ・ジオン軍の機体を運用するということはできない状況にあった。このため、実質的に運用可能な機体は、旧ガランシェール隊の僅かな残存装備と、ビスト財団がメガラニカに保有していたシルヴァ・バレトに限られ、完全な新型の開発など非現実的。
本機の前段階としてガンダムMk-Ⅱの改造機があるため、他の入手ルートもゼロではないようだが、時代遅れ甚だしい同機では「ビームマグナム運用構想を検証する試作」を超えられなかったのだろう。また、あちらでも拡張パーツとしてやはりシルヴァ・バレトのパーツが転用されている。
シルヴァ・バレトはネオ・ジオンのドーベン・ウルフと基礎を共有するため、そちらの仕様に差し戻せば、胸部直結メガ粒子砲によりビーム・マグナムとは異なる形で火力の獲得はできたであろう。しかし、ジェネレーター周りの改造は大掛かりになること、あの武装がコクピット周りの危険性から改良に際し廃止された欠点があること、そして本機を開発に至った仮想敵はニュータイプのためジェネレーター直結の取り回しの遅さは致命傷になりうることなど、様々な問題が考えられる。
そうした問題に比べれば、腕関連以外に大掛かりな改造を必要とせず、1射目はノータイムで即座に使用でき、2射目以降も換装にあまり時間はかからず充分に連射が可能な本機は、ミネバ派の戦力・予算といった事情の中で必要とされる運用条件をクリアするためには、最適解だったと言える。
加えて、腕を交換するという一見トンチキな発想も、シルヴァ・バレトにはもともと前腕をインコムのように分離できる機構が備わっており、機体の基礎設計や電子回路が腕の着脱に対応していた意味でも、機体仕様に合致している。
ただし、従来の着脱方式をそのまま使っているわけではなく、換装ユニットのために着脱の仕様自体が変更されている。このため、右腕と左腕は肘周りが左右非対称となっている。
腕が壊れる原理については公式の説明が少ないためにはっきりとしない部分があるが、前腕だけに不具合をとどめ、上腕から先が壊れないようにするという「わざと途中までだけ壊す」形でのリスクヘッジも、交換を前提とすれば可能となるだろう。
また、「バナージ自身の愛着から失われた愛機の武装であるビームマグナムを使い続けているのでは?」という解釈も。実際、亡き父の形見のようなものでもあり、(忌まわしい記憶も含めて)想い出深い存在なのは間違いない。前作で強大過ぎる力に振り回されがちだったバナージが、それを使いこなせるようになっているという点で精神面・パイロット技量の両方で成長を感じさせ、感慨深くもある。
あるいは単純にタクヤが趣味優先で暴走した案が採用された結果この仕様になった、なんて説もあるが……。
武装
60mmバルカン
ビーム・サーベル
グレネードランチャー
ビームキャノン
原型機(シルヴァ・バレト)の装備。
背部ユニット以外は装備・機能は据え置きであり、左腕についても原型機と機能は同じであるが、いずれも劇中では未使用。
右前腕
元来より第二世代モビルスーツ以降の機体に標準採用されているムーバブルフレームは、メンテナンスやハードウェア・アップデートを容易とする機構となっているが、本機の右肘には戦場でのパーツ換装を可能とする、特殊フレームが組み込まれている。
クランプ構造の肘関節がオープンすることで破損した前腕をパージ、新たな前腕のクランプが噛み込むようにしてフレーム接続され、電装系のセットアップも秒単位で完了してアクティブとなる。
ビーム・マグナム
詳細は同記事を参照。
サイド6(旧サイド4)のヘリウム3備蓄基地において、ガランシェールJr.の艦上からの長距離射撃でⅡネオ・ジオングの右腕の一本を撃破し、ナラティブガンダムを失ったヨナ・バシュタの窮地を救った。
立体物
HGUC 1/144シリーズにおいて、2019年6月にリリース。
劇中同様の右前腕交換ギミックが再現されている。
ガシャポン「MOBILE SUIT ENSEMBLE」にラインナップ(※)。
食玩「GUNDAM CONVERGE」シリーズにラインナップ(※)。
※:共に現在では入手困難。
外部出演
宇宙ルート序盤から何度かスポット参戦を経て終盤に加入。スポット参戦時は自主的に封印しているのかビームマグナムが使えない。加入が遅い割に性能は物足りないので、バナージを主力にしたいなら席の空いたナラティブガンダムを使うとよいだろう。ちなみに今作では登場しないユニコーンだが、有料DLCでは解体後にサイコフレームの一部が別機体へ再利用されたらしい事が示唆されている。
原作では5発しか撃てないビームマグナムだが、ゲームシステム上は育成・強化次第でかなりの弾数増加が可能。(戦闘アニメ上の演出を考えなければ)腕一本あたり2~3発くらいまでは発射負荷にも耐えられるという事になる。スパロボ世界では他の参戦作品の影響で負荷軽減に関しても技術水準が引き上げられているのかもしれない。
戦闘演出では他の機体と異なり、味方の戦闘開始セリフや演出が行われないまま攻撃アニメーションに移行することがある。無言で敵機の上から降ってきて逆手持ちのサーベルでコックピットを一突きしたり、画面外からいきなりビームが飛んできて敵機を爆散させたりする様は暗殺者か某仕事人さながらである。
とは言え、バナージのグラフィックの件もあり『こんな形ならイアゴ隊長の方を自軍にくれ』という人もいた。
「遠いな…光の速さでも追い付けそうにない、それでもいつかは…」
2023/12/7実装。650コストの支援機。
兵装はビームマグナム、ビームサーベル、60mmバルカン砲×2、肩部ビームキャノン×2、グレネードランチャー、グレネードランチャー[連続爆発]。
劇中の狙撃手のごとき活躍からか、宇宙では静止状態でよろけリアクションを軽減する機体固定装置を使用し、静止射撃のビームマグナムを起点に高火力な兵装を次々叩き込む機体。かと思えば2種のグレネードはスラスター移動中にも使用でき、突撃しながらグレネードで足止めしビームサーベルを叩き込むというアグレッシブな運用も可能。
連続爆発のストッピングパワーと機体固定装置によるよろけ射撃耐性、同コストに存在するステルス機であるジェスタ[シェザール隊仕様A]を通常より遠距離から捕捉可能なアンチステルスLv1から強襲機への対抗能力も高く非常に強力な支援機だが、耐格闘自体は低い為格闘機に捕まると一瞬で撃墜される脆さもある。
ちなみに腕の交換ギミックは残念ながら実装されていない。本ゲームはモデリングやギミックの再現に力を入れている事からどのように再現されるか注目されていたが、「ゲーム仕様上、どうしてもプレイの障害になり得たため断念」したとの事。
具体的な理由は明かされていないが、リロードモーションが弾切れの武装を装備中かつリロード終了時に発生する・リロードモーション中は実際に動作に支障がある・ビームサーベルを基本的に右手に持つ等の明らかに問題が発生しそうな関連仕様が多数存在する為、心当たりが多過ぎてやむなしといったところか。