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ラプラスの箱

らぷらすのはこ

ラプラスの箱とは、『機動戦士ガンダムUC』に登場するキーワードであり、物語の根幹を成す存在である。
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概要

ラプラスの箱とは、ビスト財団が宇宙世紀の始まりから秘匿し続けてきた謎の存在であり、百年近くにも渡ってビスト家と地球連邦政府を縛ってきた「呪い」である。

宇宙世紀元年、改暦セレモニーが行われていた首相官邸「ラプラス」が爆破されるという「ラプラス事件」が起こった。
そのテロに携わった青年(後のサイアム・ビスト)は仲間達と共に作業艇で脱出する途中で口封じ目的で作業艇に仕掛けられていた爆弾の爆発によって宇宙へ放り出され、ラプラスの残骸の中を漂流していた所を天文学的な偶然から、後に「ラプラスの箱」と呼ばれることになる「ある物」を手に入れた。
奇跡的に生還したサイアムはそれを利用して裏社会で頭角を現していくと共に連邦政府を恫喝、時に多額の献金といった癒着を繰り返して便宜を引出し、連邦政府との共生関係を築き上げていった。
しかし、「ラプラスの箱」の正体はサイアムと当時の一部政府首脳陣しか知らず、いつしか「箱が解放されれば連邦政府は転覆する」という噂だけが一人歩きを始めていくようになる。

やがてサイアムは当時中小企業だったアナハイム・エレクトロニクス社と関係を持つようになり、「箱」の力を使ってアナハイム社を急成長させると、同社に役員待遇で迎えられた後に専務の娘の婿となってビスト財団を立ち上げ、その地位を確立させていく。

そして宇宙世紀0096年、サイアムは「箱」を開放するべく自身の孫カーディアス・ビストと結託し、「箱」の鍵であり道標でもあるユニコーンガンダムネオ・ジオン残党「袖付き」に譲渡しようとする所から物語は始まる。

正体


以下の内容は『機動戦士ガンダムUC』の重大なネタバレが含まれます。閲覧の際には十分注意して下さい。



















その正体は、首相官邸「ラプラス」において発表される予定であった宇宙世紀憲章を記した石碑のオリジナルである。
しかし、それは宇宙世紀0096年現在ダカールにある事で知られるレプリカの石碑とは違い、当時の首相リカルド・マーセナスらによって七章目となる一つの条文が加えられていた。
未来」と銘打たれたその条文には、地球圏外の生物学的な緊急事態に備えた研究と準備を拡充する項目と、将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合の参政権を保証する項目が記されていた。

宇宙世紀開闢以前、地球は環境破壊と資源の枯渇により、爆発的に増え過ぎた人類をもはや支えることができなくなっていた。
そうした地球規模の諸問題を抜本的に解決すべく、世界統一政権たる『地球連邦政府』が発足。反対勢力を圧倒的な軍事力で押し潰しながら、半ば強引に宇宙移民政策が開始された。
しかし人類社会と地球を延命させるためとはいえ、それは社会の下層民を宇宙へ追放するという謂わば『棄民』という行為に他ならなかった。さらに過酷な宇宙空間で人類を生かし続けるためには膨大な予算を要することから、宇宙居住者(スペースノイド)は水や空気、重力にも重税を課せられた上、地球への渡航規制を受けるなど様々な面で冷遇され、地球に残った特権階級の人々(アースノイド)との間に軋轢が生まれていくことになる。
「箱」に記された「未来」の条文は、そうしたスペースノイドに対する行為への贖罪として、遠い未来に手向けられたリカルド首相らによる善意の「祈り」の言葉だったのだ。

その記述は、当初こそレプリカにない条文の存在がオリジナルであるということの証明として、連邦政府が首相官邸の爆破テロに関わっていたという政治的スキャンダルを暴く証拠程度の存在でしかなかった。
「箱」の奪回計画やサイアムの暗殺計画自体は何度も立ち上がったものの、当時の「箱」を利用したサイアムの要求も連邦の中枢権力に触れるようなものではなかったため、連邦は事を急いで余計なリスクを犯すよりも彼との共生関係を続けることを選択した。
そうして時が経ち、いずれラプラス事件が歴史の中の出来事になるとともにスキャンダルとしての「箱」の魔力もまた風化し、消滅するかに思われた。

しかしラプラス事件から半世紀が過ぎた頃、運命のいたずらか、ジオン・ズム・ダイクンジオニズム(ニュータイプの出現を予見した思想)を提唱したことによって、「箱」の持つ意味は一変してしまう。
ジオニズムの登場が、「箱」に「連邦政府はジオニズムに類する思想を秘匿してきた」という事実を後付けしてしまい、スペースノイドが連邦を攻撃する口実となり得るものになってしまったのである。
更に「箱」にはリカルド首相ら当時の首脳の署名が入っているため法的にも十分有効で、尚且つ「宇宙に適応した新人類」の定義も曖昧でいくらでも拡大解釈出来るということから「スペースノイド=宇宙に適応した新人類」とする事もでき、参政権を持たないスペースノイドからの反発が強まるのではないかという危惧が生まれるに至る。
ジオニズムの生まれた時点で「箱」の存在を公表していれば、あるいはその後の歴史は変わっていたのかもしれない。だが、「箱」の存在を知ったスペースノイド達がもしもジオンを先頭にして反旗を翻せば、途方もない大混乱が人類世界を包むことは間違いない。何よりも「その存在を知りながら隠し続けてきた」という紛れも無い事実こそがジオン信奉者達にとっては最大の武器となってしまう。
それを恐れた連邦政府は「箱」を隠匿し、沈黙し続ける他無かった。
「祈り」の言葉は、この瞬間から「呪い」へと変貌してしまったのだ。

しかし、それでも悲劇は起きてしまった。一年戦争の勃発である。
その犠牲の大きさと、戦争によって実証されたニュータイプの存在が、「箱」の呪いをますます重たくした。連邦は「一年戦争のような人類全体の悲劇を繰り返さないように」と、さらに真実の隠蔽とニュータイプへの否定的態度を続ける事を選択せざるを得なかった。既得権益を守るための悪しき行為であったかもしれないが、喩え歪んだ体制下の仮初の平和であったとしてもそれを維持し、殲滅戦争を繰り返させないためには止むを得ない決断でもあった。

ビスト財団はラプラスの箱を秘匿する事で連邦から様々な見返りを受けて来たが、サイアムの財団設立の最終目的は、あくまで将来の「箱」の開放を意図したものであった。
ジオン軍は「シャアの反乱」で既に反連邦派の一大勢力としての力を喪い、さらにジオン軍を切り離していたジオン共和国(サイド3)も宇宙世紀0100年を契機に自治権を放棄し完全に連邦政府の統治下に入ることが決まっており、反連邦運動のシンボルであるジオン勢力はいずれ消滅することになる。
サイアムはジオンという反連邦運動の先鋒が消えることで、連邦の絶対的支配とそれによる文明の停滞が人類の可能性を逼塞させるとして、箱の開放を望んだのである。

サイアムの孫、カーディアス・ビストはフル・フロンタル率いるネオ・ジオン残党「袖付き」へラプラスの箱の道標となるユニコーンガンダムを譲渡すべく手筈を整えるが、それも財団と連邦の共生関係を続けることを目論む妹のマーサ・ビスト・カーバインの差し向けたロンド・ベルの介入により失敗する。
ユニコーンガンダムは数奇な運命を経て、カーディアスの息子であるバナージ・リンクスの手に渡り、のちにラプラス事変と呼ばれる小規模軍事衝突の戦端が開かれてしまう。

ユニコーンのラプラス・プログラムに導かれた旅路の果て、サイアムのもとへ辿り着いて「箱」の正体を知ったバナージとミネバ・ラオ・ザビは、第七章碑文は決してニュータイプ論を正当化させるものでも忌避するものでもなく、100年前の人々が新たな可能性を信じて地球の重力を振り払い新天地へと旅立つ同胞たちへ向けて、祈りを込めて贈った善意の言葉であったはずだと気づく。
始まりは罪悪感からの無責任な根拠無き慰めの言葉に過ぎなかったかもしれない。それでも宇宙移民政策は人口増加解決のただの棄民政策ではなく、スペースノイドは人類の新たな可能性を信じて希望を以って送り出されたのだという事は、その未来を生きる人類には周知されるべきであり、そして何より、「その先にある人の持つ可能性を信じたい」としてバナージ達は「箱」の開放を決断する。
ミネバによって全世界に「箱」の持つ真の意味が公表された事でラプラス事変は終結を迎え、「箱」の魔力は今度こそ完全に消滅した。

放送の中でミネバは告げる。
「人間の業を否定して、ニュータイプの地平に救いを求めても何も始まらない。世界を変えるには自分達が自ら変わっていくしかなく、そして人はニュータイプにならずとも変わっていくことのできるだけの力を持っている。だから百年前の人々と同じように、善意を以って次の百年に想いをはせて欲しい。自分達の中の、可能性という名の内なる神を信じて

歴史的影響

「ラプラス宣言」、「ミネバ・ラオ・ザビ殿下の演説」として、地球圏全域に響き渡った呼び掛けではあったが、人々はただ目前の生活を続けていくことに精一杯であり、二ヶ月もしない内には、各コロニーのワイドショーで取り上げられる程度にまで、“世界”は平穏へと戻っていった。
更にその後、一年が経過してなお、世界の枠組みは大きく変化することなく、日々は続いていった

結局、100年という月日は――その間に人が重ねた世代は、サイアム・ビストという“個人”の覚悟など嘲笑うかのように、「呪い」と「祈り」さえも風化させてしまっていたのであった。

関連項目

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