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ザンスカール帝国

ざんすかーるていこく

ザンスカール帝国とは、TVアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場するスペースコロニー国家である。
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タグは「ザンスカール」が多い。

概要編集

本作における敵勢力。

地球連邦政府が形骸化し始めた宇宙世紀0140年代にサイド2にて勃興した独裁コロニー国家。マリア・ピァ・アーモニアを女王に置き(「帝国なんだから女帝じゃないのか?」とツッコむ声もあるかもしれないが、帝国には「皇帝が支配する国家」だけなく「元首を問わず複数の地域や民族に対して君臨する国家」も差す場合があるため大英帝国みたいなものだと考えればそれほど違和感はない)、実権をフォンセ・カガチが握っている。マリア主義の実践を唱えるガチ党の党員が中心となり、同じくマリア主義を唱える民衆によって成り立っている。従わない者はギロチン公開処刑に処すと言う恐怖政治による統制が行われている。


また、帝国直属の軍隊「ベスパ」を従えている。


ベスパ編集

ザンスカール帝国の軍隊の通称で、"Ballistic Equipment & Space Patrol Armory"(弾道研究と宇宙偵察部隊本部)の略。

その組織構造はガチ党の一党独裁体制が確立していく中で接収したサイド2駐留地球連邦軍の部隊とサナリィの一部が母体となっており、帝国建国と同時に設立された。

イエロージャケットやズガン艦隊、ゴールデンエッグスなどで構成される。

後に戦力増加のため、志願兵や学徒兵も受け入れている。


新興組織かつ一種のカルト宗教団体の私兵ともいえる集団の体質ゆえか、よく言えば個々人の能力が組織での実力に直結する実力主義な傾向が強いが、裏を返せばこれが野心や権力志向の強い人物が続出する背景になり、独断に奔る者や手段を選ばぬ悪辣な手法、クーデターの勃発などに繋がっていた事は否めない。もっとも帝国の事実上の支配者であったカガチの真の目的からすれば、彼にとってこれらは急速に組織を拡大し事を成すためには許容範囲内であったと思われる(ベスパを長期間維持できる軍事組織とする事は実はカガチの眼中になく、彼にとってベスパもザンスカールも最終的に使い捨てる腹積りであったと推測できる)。


スーパーロボット大戦D』でカミーユ・ビダンアムロ・レイの所見では『お前等べスパもティターンズとやっている事は大して変りはしない』と断じられていた。


他のガンダムシリーズと違い敵対組織の黒幕がほとんど表舞台に出てこない(要するに影が薄い)ため、ザンスカール帝国というと相対的にカテジナやクロノクル含むベスパ所属の兵士達の方が視聴者の記憶に残りやすい。


マリア主義編集

「母なるものを大切にする」ことを中心として、人類は宇宙の中で特別な存在ではなくあくまで生物の一種であることや、宇宙での生活が主となる時代においても未だ愚かさを捨てきれないでいることを教え諭すものである。ザンスカール帝国の掲げる帝国の基幹を成すとされる思想、主義だが、オカルト的な能力をもつ女王マリアへの個人崇拝も含まれ、かなり宗教色が強い。


発端は宇宙世紀0140年代。サイド1のアルバニアン政庁のコロニーに在住していた、しがない占い師(小説版では売春もしていたことが書かれる)マリア・ピァ・アーモニアは、妊娠と同時にオカルト的な能力(ヒーリング能力)を持ち始め、相談所を開いて治療を行い始める。以降、治療に来た人々に自らの考えを広め始め、共感を得て民間団体の指導者に収まる事となる。

帝国独立までのプロセスは、こちらに詳細を記載。


ザンスカール戦争編集

この時代、ザンスカール同様に各スペース・コロニーは形骸化する一方の地球連邦からの自立の傾向を強めていったが、これが各コロニー間の勢力争いに発展し、宇宙戦国時代と呼べる様相をていしていた。その宇宙戦国時代真っ只中の宇宙世紀152年10月、地球圏に新たな秩序を築くべくザンスカール帝国はベスパを出撃させ、他のスペースコロニーや地球への侵攻を開始した。これがザンスカール戦争の開戦である。

ベスパの地球降下部隊イエロージャケットはヨーロッパのラゲーンを占領しウーイッグなどへの攻撃を敢行したりした。これに対して地球連邦政府は弱体化・形骸化していた為に無関心(厳密には紛争勃発の連鎖を避けるために迂闊に手を出せない状態であるためである。もし連邦が空気を読まずに手を下せばどうなるかは察するべきだろう)で地球連邦軍もベスパの新型MSに翻弄される始末であったが、Vガンダムを開発した抵抗分子リガ・ミリティア及び、それに同調する連邦軍一部部隊の反撃を受ける。


大量破壊巨大ビーム砲カイラスギリー奪取や首都アメリア攻撃などを許す事になったが後に北米でバイク型戦艦を中心としたモトラッド艦隊による地球クリーン作戦を実行に移し、その後、地球連邦と休戦条約が締結された。だがその間に宰相カガチはエンジェル・ハイロゥを投入する。カガチがこの戦争を起こした真の狙いはエンジェル・ハイロゥを使って現在の腐敗した人類を粛正する事であった。前述の大規模な兵器投入や作戦の数々もエンジェル・ハイロゥを投入するまでの陽動、時間稼ぎという側面があった。

しかし、エンジェル・ハイロゥを巡るリガ・ミリティア・連邦軍の連合軍との最終決戦で主戦力を失った上にタシロ大佐の反乱によりマリア女王、カガチ、ズガン、クロノクルら首脳部が戦死し、戦争は終結。


ちなみに同時期にキゾ中将が離反し「エル・ザンスカール帝国」を建国すると言う事件も発生したがそのエル・ザンスカール帝国もまたある勢力の活躍で壊滅した。


ザンスカールが遺した爪痕編集

上記の出来事により首脳部を軒並み失い、組織を維持する事すら困難となったザンスカール帝国は内部反乱が頻繁に起きることになる。上記の通り、実力主義の集まりであったザンスカールはそれらを統べる人物が消えたことによりベスパ同士の抗争が頻繁に起きることとなり、最終的には共倒れという形で消滅している(15年後には影も形もなくなっていたとのこと)。それと同時に今まで培ったMS技術も流出、分散したため、それらがロストテクノロジーと化してしまうこととなる。


一方、ザンスカール瓦解後も地球連邦衰退とスペースコロニー間の争いである宇宙戦国時代は何十年に渡って続いていく事となる。皮肉にもザンスカール戦争は地球連邦がいよいよ頼りにならないことを知らしめ、各コロニーの奮起を促すこととなり、独立国家が次々と生まれる結果を招いたのである。絶え間ない紛争により各コロニーの経済関係は途絶≒事実上の鎖国状態になり、これにより技術交流が途絶え、結果的に地球圏文明そのものの衰退に繋がることとなった。


ザンスカール戦争後の宇宙戦国時代ではザンスカール時代のMSが連邦のMS、ジオン公国系MS、コスモ・バビロニアのMS等と同様に野盗や傭兵に運用されているが、技術衰退の影響により万全な状態とは言えず、ジャンクパーツや他の機体のMSで補修されているものも少なくなかった。また、以前のモデルと同じでもビームライフルビームシールドといったビーム兵器の技術維持や再現が困難なため外装を流用した実弾銃や剣といった武器が主流となっている。


ザンスカール戦争終戦から半世紀以上たった後の宇宙世紀0200年代になると地球連邦はシャアのクローンを擁立する反連邦組織の出現と内部組織の反乱、そして各コロニーとの大規模紛争といった騒乱の果てに完全に政府機能を失った末、スペースノイド独立を正式に認めた直後に崩壊してしまう。それに伴い地球圏は地球と月をそれぞれの軸とする新たな二大陣営に分かれ、それらが監視する形となったため、宇宙戦国時代は(一応は)終結したと言われる。

この結果は形こそ違うもののカガチの思惑通りの展開となったといえなくもなく、時間こそかかったものの最終的に地球圏の衰退を促し、連邦をも崩壊させた。結果的にザンスカール戦争はそれの引き金を引く遠因となったのである(もっともカガチが欲し目指したのはこういったものより早急かつ更に過激な形での人類粛清であったわけであるから、それが全面的に叶ったとは言い難い)。





所属人物・関連人物編集

マリア・ピァ・アーモニア(女王)

フォンセ・カガチ(宰相)

ムッターマ・ズガン(大将)


タシロ・ヴァゴ(カイラスギリー艦隊→シュバッテン艦隊)

ファラ・グリフォン(ラゲーン基地→シュバッテン艦隊)


クロノクル・アシャー(ラゲーン基地→モトラッド艦隊・アドラステア隊)

カテジナ・ルース(モトラッド艦隊・アドラステア隊)


ラゲーン基地編集

ゲトル・デプレ

メッチェ・ルーベンス


ピピニーデン隊→モトラッド艦隊・ラステオ隊編集

アルベオ・ピピニーデン

ルペ・シノ


ガッダール隊→モトラッド艦隊編集

ドゥカー・イク

レンダ・デ・パロマ


ゲストキャラ編集

2話 ガリー・タン


3話 ライオール・サバト リー・ロン クリス・ロイド


4話 ジム・スティフ カービン・リチャーズ


6話 ワタリー・ギラ ディ・トランプ バクー・チー


7話 キーラ


9話 カズー・ミウラ レイ・ブラッド


13話 クワン・リー


15話 ゴッドワルド・ハイン


16話 ハズ・カイフ アーネスト・リゲル ヘンリー・ダグラス ミサキ・アイザワ


22話 トランス バンド


23話 ズブロフ・シモネフ ノマイズ・ゼータ ニコライ・ハンス パトリック・ブーン


28話 アジス・バギ


32話 ゴズ・バール ブロッホ


37話 シシリー・フィツィーネ


39話 マチス・ワーカー


43話 キル・タンドン


44話 カリンガ・ウォーゲル キスハール・バグワット


45話 トッリ・アーエス


49話 ネネカ・ニブロー(ネネカ隊)


ボンボン版Vガンダム編集

  • ギンザエフ
  • シューマッハ
  • セナ
  • プロスト

機動戦士クロスボーン・ガンダム ゴースト編集


所属MS・MA編集

ザンスカール帝国のMS・MA・戦艦へ。


ジュピトリアン編集

ゲーム作品『スーパーロボット大戦α』ではザンスカール帝国は木星圏に存在する独裁国家ジュピトリアンと言う設定になっており、実質的には原作のザンスカールとほぼ同じで木星帰りのNTパプテマス・シロッコもこの組織の所属でティターンズとも通じており、またエアロゲイターとも結託している。終盤ではシーマ・ガラハウヤザン・ゲーブルも所属した。


関連タグ編集

機動戦士Vガンダム シャクティ・カリン サイド2 木星船団公社

機動戦士クロスボーン・ガンダムゴースト


ジオン公国木星帝国:過去の宇宙世紀におけるコロニー国家でこれらも独裁体制が敷かれており、特に後者はザンスカールに近い体制である(これはカガチが木星にいた事があったからか)。ちなみにスーパーロボット大戦シリーズでは作品によってはジオンの後継組織「ネオ・ジオン」と結託、もしくは対立している。また「SDガンダムGジェネレーションNEO」ではネオ・ジオンと結託している。


新生ネオ・ジオン:主要の構成員達が改心する結末が描写されていない点が共通するシャア・アズナブル率いるネオ・ジオン。


南洋同盟:『サンダーボルト』に登場するニュータイプが僧正となって率いる宗教組織。『ゴースト』執筆開始と同時期に初登場した為、異なる宇宙世紀ガンダム漫画でニュータイプ(サイキッカー)宗教が立て続けに登場する形となった。


フロスト兄弟:ニュータイプが主軸となっている『機動新世紀ガンダムX』の主要な悪役。ゲーム作品「SDガンダムGジェネレーションNEO」ではザンスカール帝国の一員となっている。


ファウンデーション王国:『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』に登場する新興国家。こちらも軍事組織に意図的とも取れる欠陥があり、元主が「自身の野望のためだけに国家を使い捨てる」という暴挙を本当にやってしまった。

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