宇宙世紀の地球連邦政府
地球、及び地球圏に属するコロニー群を支配している統一国家「地球連邦」の政府機関。
軍事組織の「地球連邦軍」と同一視されがちだが、地球連邦の組織が『武力のみでは無い』と言う事を示すのがこの地球連邦政府の存在である。
また、地球連邦首都(地球連邦政府本部)と地球連邦軍本部は「地球連邦本部」と一括りされる事も多いが、これらも実際はそれぞれの本部がある。樹立したのは西暦1999年とされる。
機動戦士ガンダムUCで樹立の経緯が語られている。人口増加や環境破壊などの諸問題を解決する宇宙移民を進める為に樹立したと言われ、政治的、経済的あるいは宗教的な理由からそれに反対的な分離主義勢力を連邦軍の手で潰させた。初代首相であるリカルド・マーセナスは穏健的だったが改暦セレモニーで起きた分離主義者による爆破テロ事件ラプラス事件で多くの首脳部と共に死亡してからは、リカルドの息子である保守的な副首相ジョルジュ・マーセナスらを中心とした新政権がすぐに発足され、分離主義者の摘発や制圧を開始、そうした紛争は0022年に消滅するまで行われ、これにより地球連邦政府は世界を支配する強大な国家として君臨していった。だが体制が官僚主義に染まっていった事で政府が腐敗していってしまう。
良く誤解されるがジオン公国(ジオン公国軍)が絶対悪で地球連邦(地球連邦軍)が絶対的な正義の味方と言う簡単な話ではない。
そもそもの話し、地球連邦の宇宙移民政策の内容やスペースノイドへの圧政となる法案の類いは、地球連邦政府が地球連邦議会を通して認可させたものであり、反地球連邦デモやそれを目的とした軍事勢力が生まれる元凶とも言える。地球連邦軍は地球連邦(地球連邦政府)が有する武力と言う側面でしか無い。
機動戦士Ζガンダムでの地球連邦軍エリート部隊ティターンズは地球連邦政府から認可を得た正規部隊として設立され、それに反抗する反地球連邦組織エゥーゴの幹部陣営は地球連邦軍の将校の軍閥で構成されている。作中で軍事衝突をしているのは、ティターンズが「地球連邦をアースノイド中心とした地球至上主義であるべき」としているのに対し、エゥーゴは「地球連邦をアースノイドとスペースノイドが対等な立場におく組織とすべき」としている方針の違いからである。
実は地球連邦がスペースノイドをアースノイドと対等にしようとしなかったり独立を認めなかったりするのはとんでもない理由があったからである。
主人公たちが関わるのは軍事組織である地球連邦軍のためか、地球連邦政府の役人や閣僚との関わりは基本的に薄い傾向にある。さらに、地球連邦議会に出席する議員も地球連邦軍の将校が描写されがちで、メタ的に言えば視聴者にとって馴染みがない。連邦議会で軍服以外のスーツを着て騒いでる連中はだいたいが地球連邦政府の役人や閣僚と言えるのだが、彼らは基本的に名前や役職が不明なモブ役人であることが多い。
一年戦争以降は軍拡を狙う地球連邦軍に対して、地球連邦政府の高官は予算を戦後復興などに回して、軍縮を掲げている。
0083での連邦議会においては地球連邦軍の発言権が強かったのか、デラーズ・フリートの要求を鼻で笑う連邦軍将校に対して「政局に影響を与えてしまう」と口を滑らしてしまい、他の議員が慌てて「月の重要性で意識は一致していると申している」と訂正を入れる様を見せてしまい、将校たちは前者へ「政権は守りたいからか?」、後者へ「これぞシビリアンコントロールですな」と発言されるなど足元を見られる始末であった。
0083以降は先述の通りにティターンズの設立を認めており、その理由を「うるさいやつら(反政府デモ)を黙らせるために認可した」と語っている(更に付け加えると連邦議会はティターンズに連邦軍の指揮権を委譲させる始末であった)。ハマーン・カーン率いるネオ・ジオンとの抗争は「向こうはサイド3を明け渡せば戦争を止めると言ってる」「むしろ戦火を広げてるのはエゥーゴ、君たちの方じゃないかな」などと宣い、挙げ句の果てにはネオ・ジオンのコロニー落としを黙認して「これでカラバの連中も黙るだろう」「地球の穀潰しも減らせた」と高笑いする始末である。
この腐敗はシャア・アズナブル率いる新生ネオ・ジオンが地球寒冷化作戦を狙っていた際にも発揮され、「アクシズを明け渡せばシャアは武装解除を約束してくれた」と信じており、結果的に騙されてアクシズを新生ネオ・ジオンに与えてしまい、アクシズ落としが実行されてしまう(だが結局は失敗している)。
マフティー動乱の時代では、組織腐敗が悪化しており、アデレードの中央会議で『地球帰還に関する特例法案』を可決しようと動いており、この法案は簡潔に言えば「政府が認可した者以外は地球上に例外なく居住できなくなる」と言う地球の居住権を占有しつつマン・ハンターによる「人狩り」を後押しするための法案である。マフティーのアデレード襲撃は、この特例法案を廃案に追い込むために決行されたものであり、それでも可決に踏み切るなら粛清すると言う武力蜂起での意志であった。だがマフティーは迎撃され、法案も可決してしまった。
それからは比較的平和ではあり、連邦議会にはスペースノイド出身の議員も出るようになったがジオンの残党勢力であるオールズモビル軍によるテロが何度か発生し、そして0123年にクロスボーン・バンガードによるコスモ・バビロニア建国戦争が起こった。この戦いはコスモ・バビロニアの内部崩壊と言う形で幕を閉じたがこの戦乱においての連邦政府の対応はお粗末なものであった事(一応連邦軍は攻勢に出ていた)から連邦に防衛を依存ずることに不安を抱いた各コロニーが自立を始め、独自の軍備を持つようになっていく。0133年の木星帝国との戦いでは帝国側にあっさり騙されて危うく地球滅亡と言う事態に追い込まれそうになったが宇宙海賊側と各コロニー軍が連邦軍に協力した事で最悪の事態は避けられた。
そして0140年代には地球連邦の形骸化が始まり、ザンスカール帝国などの続発していく各コロニーの自治政府による紛争が続発する宇宙戦国時代へと突入。連邦政府はこれに対して動こうともせず0153年に勃発したザンスカール戦争ではレジスタンス集団リガ・ミリティアと彼らに呼応した連邦軍の一部が抵抗、そしてどうにかザンスカール帝国は滅亡したのだがこの戦争で地球連邦の弱体化は内外に知れ渡り、それをいい事に各コロニーの独立運動が暴走し戦国時代が激化してしまう。またザンスカール戦争によるデブリの増加などでコロニーの統治や防衛もままならなくなってしまった模様。
0203年頃になると弱体化が進みすぎており、新たな反連邦組織メタトロン機関の台頭やその腐敗した現状に不満を抱いた内部組織の反乱を招いてしまっている。
そして0217年。腐敗や弱体化が進みすぎた事で政府内部では地球至上主義が再燃、紛争鎮圧と言うお題目で勝手に自立していく各コロニーの制圧を連邦軍に命じると言う暴挙に及んだ。これが切っ掛けでコロニーとの大規模紛争へ発展し、そのせいで支配体制は事実上瓦解してしまった。翌年の0218年に親地球派サイドの仲介でコロニー側と和解したものの紛争によって権力や政府機能を失った事で各コロニーの独立を認めざる負えなくなり、地球連邦政府はとうとう崩壊した。だが地球連邦を構成していた地球の国々は一つの政体に留まったままになっており、それが親地球派サイドを取り込んでセツルメント国家議会を樹立する事になる。
逆襲のシャア時代のカムラン・ブルームや先述のリカルドのような良心的な者たちも少なくないが、多くはアデナウアー・パラヤや保健衛生大臣ハイラム・メッシャーなどの"平和の治世が生み出した政府高官"として登場している。
余談
よく誤解される話しとして「地球連邦軍本部は作品ごとに移転を繰り返している」とまこしやが、移転しているのは国家である地球連邦の首都と政府機関の地球連邦政府のことであり、地球連邦軍本部がジャブローから変わるのは逆襲のシャアにおいてダカールへ移転したのが最初となる。
機動新世紀ガンダムXの地球連邦政府
アフターウォー以前の時代に存在したとされる政府で正式名称は地球統合連邦政府である。
機動戦士ガンダム00の地球連邦政府
ソレスタルビーイングとの戦いを経て、ユニオンと人革連、AEUの3大超国家群と国連の加盟国328か国によって西暦2311年に樹立した世界統一国家。
ちなみにこの動き自体がソレスタルビーイングの狙いでもあったりする。
西暦2312年には各国の軍隊を統合した地球連邦平和維持軍と反乱分子の討伐を任務とする独立治安維持部隊アロウズを組織している。
軌道エレベーターや太陽光発電、疑似太陽炉と言った最新技術を独占しており、それらと宇宙開発によって安定した財政により加盟国の市民は豊かな生活を送っている。
だが発展途上国や中東諸国などの逆らう非加盟国に対して受け入れないような加盟条件を突き付けており、軍事力を背景とした国家の再編や統合を推し進める姿勢には反発も強く、カタロンと言った反対勢力も多発している。だがそうした国家に対しては容赦のない非道な弾圧を行っており、弾圧や中東国家の悲惨な内情などの暗部は情報操作により徹底的に隠蔽されている。
実は大統領を始めとする閣僚全員や政財界の人間達はヴェーダを掌握しているイノベイドリボンズ・アルマークと結託しており、実態はリボンズの支配する独裁国家だったのである。
後にアロウズが壊滅状態となり、リボンズ達イノベイド軍団がソレスタルビーイングに倒された事で情報操作が不可能となり、様々な悪政やアロウズの非道な作戦行動が暴露された為に全閣僚が失脚、融和政策を行う新政権が樹立した。
機動戦士ガンダムAGEの地球連邦政府
アドバンスドジェネレーション以前から存在する統一政府でコロニー国家戦争の後、全兵器を廃絶する銀の杯条約の締結に伴い地球連邦軍を解体した。
AG101年のUE出現に際して連邦軍を再編したが軍事技術のノウハウをほぼ捨てた為に劣勢を強いられている。実は上層部は異星人であるとされていたUEの正体が昔マーズバースディ計画の失敗とその隠蔽の為に見捨てた火星移民の末裔ヴェイガンである事を知ってて隠蔽していた。
コウモリ退治戦役以降はヴェイガンの正体も公となり、交戦状態が続いていた。だがフロイ・オルフェノア首相を始めとした首脳部の多くがヴェイガンと内通しており、AG142年にフリット・アスノらによってそれが暴露された事でフロイら内通者は粛清委員会によって摘発・粛清されていき、政府は新政権による大幅な組織再編がなされた。だがそれでも内通者は絶えず、更に地球中心の政策を行った為にそれに反発する勢力や宇宙海賊も発生してしまう。
ヴェイガンとの戦争後に和平が結ばれ、マーズバースディの不祥事に対して謝罪した。後に太陽系連邦へと再編されていく事になった。