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フリット・アスノ

ふりっとあすの

フリット・アスノとは、『機動戦士ガンダムAGE』第1部(第1世代)の主人公で、作品全編に渡って登場する『AGE』という作品のキーパーソンである。
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CV:豊永利行(第1部、青年時代) / 井上和彦(第2部以降・ナレーション兼任) / 嶋村侑(幼少時代)

人物像編集

なお、アニメ版、小説版、漫画版などメディアミックスによって大まかなキャラクターこそ共通しているものの、描かれている内容の細部が異なっている事から人物像が変わっている点は留意。

第1部編集

14歳の少年。7歳の頃に住んでいたコロニー・オーヴァンを「UE(ヴェイガン)」に襲われ、母(マリナ・アスノ)を失う。だが、その際母から「AGEデバイス」を託され、内蔵データにあった設計図を連邦軍の技術者達と研究し、7年後(14歳時)に、ついに「ガンダム」と「AGEシステム」を完成させ、「UE」と戦っていく。


頑固で完璧主義、天才と言われるほどエンジニアとして優れているが、それは自分の様にUEの被害から人を護りたいと努力した結果である。ガンダムにかかりきりであるため子供らしい経験に乏しく性格的にかなり不器用な人間だが本質的には正義感が強く優しい性格。


いざという時は大人たちに食ってかかる程の気丈さ、プロの軍人をも唸らせる類稀な頭脳などで、当初通っていた学校では教師から問題児扱いされていたが、ガンダムを得た事で次第に周囲にも認められるようになっていく。正規の軍人では無いはずなのに頻繁に出撃しようとしてエミリーに咎められたり、「ガンダムは僕の物だ」と公言し誰にも渡さないと意地を張る(ちなみに本来のパイロットはラーガンであった)など子供っぽい一面も見せる。

ファーデーン」の戦いでザラムとエウバの抗争を批判するがザラムの首領ドン・ボヤージから自分も過去の遺恨で戦っていると指摘される事に。

UEとの戦いの最中訪れた「ミンスリー」で戦闘になった際、「Xラウンダー」と呼ばれる特殊能力を覚醒し、敵を退ける。その後のデシル・ガレットとの戦いでユリン・ルシェルを亡くすという悲劇に遭い、宇宙要塞アンバット攻略戦ではギーラ・ゾイの乗るデファースを破壊する。敵であるUEが人間であったことを知っても尚も人間じゃないと罵るが、ギーラ自身と生身で対峙した際は、ギーラの戦争への信念に気圧され、銃を向けるも撃つことはできず、そのまま「コウモリ退治戦役」と呼ばれた戦いを終える。


これ以降、フリットは、大切な人々を死なせてしまった悲しみと、ヴェイガンへの憎しみ、そして何よりそのヴェイガンから大切な人を守れなかった自責の念から、ガンダムを操る自分が『救世主』でなければならないという誓いを自分自身に立てて生きていくこととなる。


しかし長期化する戦争を通して母、初恋の人、親代わり、同僚、恩師と次々と大切な人間を目の前で喪っていってしまったことでその思いは苛烈な方向に歪んでいくことになってしまう。



青年期編集

過ぎ去りし肖像フリットパパの話がむしろ見たい

ゲーム版での新規書き下ろしシナリオおよび外伝「UNKNOWN SOLDIERS」で登場する22歳のフリット。イケメン。

数少ない子供らしく過ごした時をエミリーが思い出させたことで彼女がいつも帰りを待っていたことに気付き彼女を意識していく事になる。そのため時系列的にはエミリーとの結婚前であり、彼女に花をプレゼントするかで悩むなどの一面を見せる。

コウモリ退治戦役後は正式に軍に入隊し、MS部隊の隊長というポストに就いており、「ガンダムAGE-1レイザー」を主な愛機とする。アーシュランス戦役で大活躍し、異例の3階級特進をした。


第2部編集

フリット

第二部では39歳~41歳。地球連邦軍総司令部「ビッグリング」の司令官となる。階級は中将

髭をたくわえ、立場上の心労もあってか顔の彫りも深くなっているため、実年齢…というか年上のはずのウルフ・エニアクルミレース・アロイよりもかなり老けて見える。

エミリー・アスノと結婚し、アセム・アスノユノア・アスノを授かったニ児の父。

MSパイロットとしての腕も健在で、25年前の機体のはずのガンダムAGE-1でデシルが乗るヴェイガンの最新鋭機クロノスを圧倒。

地球軌道上の決戦では自らガンダムで陣頭指揮をとり、自身も大きな戦果をあげるなど、第2部を通して『非の打ち所のない完璧超人』として描かれている。


しかし、任務に没頭するあまり家庭のことは顧みておらず、息子アセムの意志や気持ちに疎く、家庭人としては不器用であった(劇中描写を見る限り物心ついたころから資産家とはいえ母子家庭で育ち、幼少期からガンダムにかかりきりであった彼はブルーザー以外での「父親像」を知らないことでこのような不器用な父親になったのではないかという意見もある)。


その後、勇気の日の慰霊式典でフロイ・オルフェノア首相の内通行為を暴露・糾弾し、それを契機に粛正委員会を率いて連邦上層部のヴェイガンに内通している政治家・軍人を粛正し、連邦政府と連邦軍の大規模改革を行った。

少年期に近しい人間を殺された反動からか、『地球とヴェイガンの全面戦争を引き起こしてでもヴェイガンを殲滅する』という到底主人公とは思えぬ(作品によってはラスボス寄りの)思想を持つ。

ただし、その原因となった初恋の人について回想するシーンは少ない(ヴェイガンの犠牲者は彼女だけではなく、ましてやヴェイガンへの怨みが積み重なり過ぎていたのも大きい)。

この思想はグルーデックとウルフの死がきっかけで尚更硬直化していくこととなる。


また、回想やEDなどでは若かりし頃(アセム幼少期)の姿が描かれているが、この頃はまだヒゲを生やしていない。


作中二部のラストでは、フロイ首相から「復讐に取り付かれた男」と言われていた。


第3部・第4部編集

じいちゃんonガソダム

第3部では63歳。髭がさらに伸び、特徴的なゴーグルを着用している(ただし常用しているわけではなく、特に宇宙では殆どの場面でゴーグルを外している)。

この頃は連邦軍司令官を退官し、独力でガンダムAGE-3を開発して孫のキオにガンダムを託す。

予めキオに様々な英才教育を施してガンダムのパイロットに仕立て上げた他、自らも共にガンダムに乗りキオをサポートする。

第4部では半世紀前からの愛機であるガンダムAGE-1をバージョンアップし三度前線に立つ。


ヴェイガンの指導者であるフェザール・イゼルカント『人類の敵』『邪悪な存在』『魔王』と言ってのけ、連邦を去り宇宙海賊ビシディアンに身を置いたアセム・アスノに対し裏切り者と言うなど、その思想・態度はますます硬化している(ただし、アセムに関しては軍を去ったことよりも13年もの間家族をほったらかしたことへの純粋な怒りが噴き出したため。実際、エミリーにアセムのことをどう説明しようかと右往左往したこともある。)


その一方でキオの事を誰よりも思っており、キオがヴェイガンにガンダムごと奪われた際には、感情的になってクルーに当たったり、周りの意見を無視してまでも助けようとした程。


また、ガンダムとAGEシステム関連の予算について愚痴ったり、セリック・アビスをはじめ若手から異論を唱えられたり、老齢からの衰えという以上に、第2部の「完璧超人」扱いが弱くなっている面もある。また、その思想の硬さゆえに正規の手続きにのっとって扱われるべき捕虜について「全員処刑すれば良いのだ」と言ったり、戦闘の際に「ヴェイガンは殲滅する!」と叫ぶ等、人間関係に溝を作ってしまう事もある(これは彼が多くのものを奪われすぎた事にも起因しているが、結果的に孫と思想が決別することになってしまった)。


最終決戦でヴェイガンの本拠地・セカンドムーンにプラズマダイバーミサイルを撃ち込み戦争を終結させようとするがキオとアセムに説得され、キオの強い想いを込めた言葉を受けて観たビジョンの中でユリンだけでなく自分を支え導いてくれたウルフやグルーデックたちの声を聞きそして母マリナが出現したことによって、ヴェイガンに対する憎しみ以上に大切な人さえ守る事が出来なかった強い自責の念に囚われていた自分自身から解放され、セカンドムーンの崩壊を食い止めるために連邦・ヴェイガン問わずに共闘を呼びかけた(その際に孫のキオに「本当の救世主になれた」と評されている)。


その後は火星のマーズレイの対策に人生を費やし死病の克服を実現し「抱え切れなかった人口」全てを許容できるよう火星移住計画を実現するも、完遂を待たずして鬼籍に入ってしまう。そしてラ・グラミス最終戦から37年後に当たるある日、地球とヴェイガンの双方を救った彼を讃え、ガンダム記念館に「フリットの銅像」が建てられていた。この記念館の完成時点をもってフリット生誕=UEと人類の接触より100年、「機動戦士ガンダムAGE」の謳い文句でもある『100年に渡る戦い』はついに終わりを迎えたのだった。


結果的にその人生の多くを戦争に費やし、護れなかった自責の念から他者のために戦い続け、ヴェイガンを憎んで憎んで憎み続けながらも最終的には憎しみを捨て、地球とヴェイガンの双方に尽力した末にその生涯を終えるという壮絶な人生を送った。



補足編集

よくフリットの思想は「ガンダムシリーズ」ではバスク・オムパトリック・ザラ、他のロボットアニメでも三輪防人ミツヒロ・バートランドと同一に見られるのがある。

しかしこれはまったくの見当違いという一言に過ぎない。本編を見てれば尚更にである。

バスクはコロニー内への毒ガス攻撃、パトリックも民間人を含め自分達 の皆殺し等の非人道的な前科を犯している。三輪とミツヒロに関しても非戦闘員(つまりは民間人)ですら勝つ為の犠牲は当たり前という方針。

一方でフリットの場合、口では過激なことを言っているが実際に行動に移したことは全くない。


また誤解されがちなアセム編終盤での粛正委員会についても、ヴェイガンに協力をした者への処罰というだけなのである。(戦争中に利敵行為に走った連中を排除したに過ぎない)

確かにフリットがヴェイガンに対して強い憎しみを持っているのは事実だが、だからと言ってそれを理由に動いているわけではなく、自身の中の憎悪と現実をうまく擦り合わせ、折り合いをつけながら冷静に動いているのである。


キオ編において孫のキオに対しMSバトルシミュレータを用いた『英才教育』を施していた事に対し、『自分の孫を復讐のための戦闘マシーンとして利用した』と評されることもあるが、人生の殆どをヴェイガンとの戦争の中で過ごした彼にとっては、ヴェイガンとの対決はもはやアスノ家の命運であり、いずれ必要になると考えている事を孫に教えていたにすぎない。


『AGE』の世界観ではヴェイガンがいつ襲ってくるかも分からない中である程度自衛の手段を授けるのは至極当然なことであり、幼少期に突然のヴェイガンの来襲で母を失ったフリットの体験を踏まえれば、家族をむざむざと死なせないための教育の一環でもある。マリアの死から数十年が経ったキオ編開始直後においてもヴェイガンによる地上侵攻で無抵抗の一般市民を巻き込んだ無差別虐殺が発生しているため、仮にキオに操縦技術を教えていなければより大惨事になっていたことは否めない。


実際MSバトルシミュレータを与えたのも父親であるアセムが不在のキオに少しでも気晴らしの楽しみとなるものを与える名目もあり、小説版においてはフリット自身もキオを戦いに出してしまったことに対し強い罪悪感を抱いている。


また、三世代編での捕虜の一件など、過激な意見を口にするのは必ず部下や身内がいる=止めてくれる誰かがいる時であり、むしろそういう者たちが止めたり反対したりするのを前提として口に出している(実際捕虜の件でもアルグレアスから宥められた際にも『勝手にしろ』と直ぐに引き下がっている)、要は本当に口先だけなのである(だからこそ、戦役終盤でPDMを持ち出した際には誰もが驚愕している)。


纏めるならフリットの過激な言動は

『こうでもしないとヴェイガンを許してしまい、死んでいった人達や守りきれなかったユリンに申し訳が無い』

という物であり本来はこうして自分に言い聞かせないと戦えない優しい心の持ち主と言える。


このようにキチンと本編を見るとちゃんとそういう一面があるのだ。

念を押すように言うがその辺をちゃんと理解するかしないかではフリットというキャラは先入観(というかは間違った認識だが)でしか見れないのである。


近年では後のシリーズ作品にて、自身の目的のためには手段を選ばないフリット以上に復讐に染まった毒親キャラが登場したこともあり、これらの誤解は薄まりつつある。


小説版編集

全体的にアニメ版の過程が変更され、より過激的なものとなっている。一方でアセムやキオを戦争に巻き込んでしまった自責の念は感じている模様。


  • フリット編

「復讐者」・「戦士」・「天才」といった側面がより濃く描かれており、性格もストイックなものになっているが、それゆえにディケやウルフから自身の危うさを指摘されることも多い。家族ぐるみの付き合いだった「ノーラ」在中の連邦軍人が次々と亡くなっていった悔しさから、ガンダムのパイロットを続ける道を選ぶ。「ファーデーン」でリリアの救助に赴いた際は、デスペラートを操縦した。

そしてザラムとエウバの両軍に対し、「あなた達は自分の子供にまで武器を持たせるつもりなのか!」と非難し、内戦を終わらせているが、皮肉にもこの言葉は後に自分に返ってくる事になる…。


  • アセム編

自分が生まれて38年間の間に戦争やテロで亡くなった人たちの名前を何と全て覚えている。これは、フリットが地球人すべてを自分の家族のようにとらえており、かつ、自分はそれを守る救世主でなければならないという彼の信念の表れでもある。それゆえに仇敵のヴェイガンを殲滅することが罪であっても、救世主にならんとしている決意が描かれている。だが、この信念がやがてアセムやキオを始めとした若い世代を大いに苦しめていくことになり、彼が守ろうとした地球の人々は愚か、自分のからも憎しみを買ってしまう事になる。


  • キオ編

アセムが生死不明になったことがきっかけで第一線を退いた。広い屋敷の中で寂しそうにしているキオに笑って欲しいとの理由でマッドーナ工房と共同で「MSバトルシミュレーター」を組み立てたが、その戦闘データからキオの才能を見出し、深い罪悪感を抱きながらも彼を戦わせることを選択する。また、ガンダムAGE-1フラットとガンダムAGE-2ダークハウンドによるアセムとの親子対決も展開された。

劇中では「悪女となったの密かな悪行に振り回される(シャナルア・マレンの裏切りを知らせない、ビシディアンにディーヴァの情報を送るなど)」「無理難題かつ身勝手な命令をされたナトーラからはっきり意見を返されて反論される」「キオが攫われて焦っている間に、アセム率いるビシディアンの不意を突かれる」など、アニメ版以上に「完璧超人」扱いが弱くなっており、こちらは逆にアセムに喰われている感じである。


  • 三世代編

終盤でキオに対し、彼の優しさを評するも、ヴェイガンを討つ理由を「ヴェイガンは自分達が被害者であることに甘んじ、それを口実に怠惰している」と語り、「それで大罪を背負う事になるのなら、キオに殺されても厭わない」という理屈を講じてヴェイガンを殲滅しようとする。しかし、そんな永い戦争のせいで崩壊してしまった家族の絆を取り戻したいというキオからすれば、そんな理念に納得がいくはずもなく、最終的に「あなたとイゼルカントは(過去を言い訳にしてこの宇宙に憎悪を巻き散らす)同じコインの裏表だ!」と糾弾され、彼によってXラウンダーの空間に飛ばされる。そこでユリンと再会するものの、アニメ版とは打って変わって彼女の言葉は完全に無視。その後、ウルフを始めとした死んでいった者達の亡霊を目のあたりにしても頑なに拒み続けたが、そんなフリットの前に現れたのは、自分が憎しみに囚われていなかった頃の、少年時代の自分の幻影だった。

その後、少年時代の自身との戦闘を行い、憎しみと自責の念から解放されていく姿がグランサのパーツを破壊されていく様で表現され、フリットにとって全ての始まりと言えるオーヴァン襲撃事件の際にミューセルを使用したパイロットによって殺害される事なく救われ(その時からフリットのXラウンダーとして覚醒の兆しがある事が明らかになった)、かつて自分が抱いていた「皆を救う救世主になる」という信念を取り戻した。まさに、自分の中の英雄が未来の自分を目覚めさせたのである

終戦後、グルーデックの形見の銃で自決しようとするが、ユノアに説得され思い留まる。

その後、地球と火星の平和の為に残りの人生を費やし、「イヴァースシステム」の構築に携わった(その過程でフリットは、自分を憎んでいた人々から何度も暗殺されかけたという)。そして、A.G.3世紀に突入(つまり、A.G.201年)し、最後のマーズレイ患者が死去し、マーズレイの撲滅が確認されたのと同時期に100年の生涯を閉じた。


ガンダムEXA VSにおいて編集

『マキシブースト』に『AGE』が参戦したのに合わせてフリットも『ガンダムEXA VS』に登場。初めてAGE-1を動かした彼の前にアスノ家に「救世主」として語り継がれた存在「ザ・ガンダム」が出現する。しかし、その機体を駆るのはヴェイガンとは異なる火星からの征服者、マーズIのアル・アダであった。

レオスはEXA・フェースで立ち向かおうとするもジュピターXの異変に気づきダイブオフ。フリットはジェノアスに乗ったGダイバーのテミスと共に戦う。…だが、その男は初めてMSに乗った彼のかなう相手ではなかった。「征服者」と変貌したザ・ガンダムにAGE-1とジェノアスをまとめて一刀両断される。

なお、UEはアル・アダの配下の一人であるセシア・アウェア・アハトにより殲滅されたため、結果としてフリットを阻もうとした存在の配下であるアハトがフリットが望んだ「ヴェイガンの殲滅」を実現するという皮肉な結果になった。

フリット自身は生き延びたが、一部ではフリット殺害というデマが流れた。

結果的とはいえ主人公レオスに見殺しにされかけ、アル・アダの「エースパイロットをズブの素人時代に抹殺」という目的があったとはいえオリジナルキャラのかませにされるというファンにとっては複雑な心境を抱く結果となった。

(ちなみに同作では『AGE』以外のガンダム作品への介入もあるが本作みたいな扱いにされている作品は無い)


スーパーロボット大戦BX編集

ガンダムAGE初参戦作品であり、第3部(キオ編)の設定で参戦。


ヴェイガン殲滅の憎しみに突き動かされていたこともあり、描写が心配されていたが、蓋を開けてみれば、長きにわたる戦いを生き続け、かなりの勇名を馳せている経歴ゆえ、物語開始以前から幾人もの他作品のキャラクターと面識を持っている。原作同様ヴェイガンに対して強い憎悪を向ける場面では周囲に戸惑いを与える事もあるが、同時に優れた人格者である面も多々描写され、BXのメンバーからも強く信頼されている事もしっかり描写された。

しかしフリットが扱うAGE-1フルグランサのプラズマダイバーミサイル(以下PDM)使用可能という要素が追加されてる(原作では最終的に殲滅用途としては使用はされずに終わってる)と言う点がフリットというキャラに厄介な誤解を(一部の人に)追加してしまったのである。


つまり、それによるPDMによるジェノサイド担当というキャラ付けを植えつけてしまったのである。(ちなみにPDMはMAP兵器でもある)

ストーリー上ではPDMの扱いはアニメ版とあまり変わらないので(違いとしては作中でも本人がキオに使用理由を告げたようにラ・グラミスがセカンドムーンごと地球に落下するという地球側にとっても非常事態だったことなどがある)、あくまでその後のフリットの運用の仕方の問題ではあるのだが……。

なお、これは案外知られていないのだが彼の乗機にPDMが追加されるのは人類同士の戦争が終わった後のことである。そのためそもそもどういう運用をしたとしてもチートでも使わない限りPDMで敵対している人類キャラを虐殺することは不可能ではある。(スパロボにおいてはこの手の配慮はよくあることであり、過去にはこの人物が人殺しができないようにフォローされたこともある)


また今回はUC00マクロスシリーズの歴史が正真正銘の地球で繰り広げられたことになっているため、彼の人生の年表が凄まじいことになっており、発売前から話題となっていた。


纏めてみると、


・3歳の時にマクロスが地球に落下

・7歳でUE(ヴェイガン)に母親を殺される

・伝説の『救世主ガンダム』を建造するも地球人同士の対立やまず

・原作第1部(フリット編)コウモリ退治戦役、この時ユリンと死に別れてしまう、前年にミンメイアタック、前々年に統合戦争

・ユニオン、AEU、人革連による軌道エレベーター紛争、2年後に青年フリット編

・アセム誕生前後も続く太陽光発電紛争

・原作第2部(アセム編)の4年前、ニュータイプ提唱者ジオン・ズム・ダイクン暗殺、ジオン公国建国へ

・原作第2部(アセム編)ノートラム攻防戦、かつての相棒だったウルフを失う、この後ヴェイガンに内通する政財界の要人・高官が多数判明、粛清委員会を立ち上げる

・3年後、シャロン・アップル事件勃発

・3年後、ジオン公国暴走・一年戦争勃発、アセムも戦う

・2年後、マクロス7船団がプロトデビルンと遭遇(バロータ戦役)

・翌年、初孫キオが誕生し喜びに包まれるもデラーズ紛争勃発、この戦いでアセムMIA(戦時中行方不明)

・同年クルジス共和国滅亡、刹那が0ガンダムを目撃

・アセムMIAにより挫折し軍を退役、しかしそれを待ってましたと言わんばかりにティターンズ台頭

・3~4年後、火星で小規模クーデター勃発するも鎮圧、これに便乗しネルガルがテンカワ夫妻暗殺

・翌年、グリプス戦役勃発、翌年第一次ネオ・ジオン戦争、同年、ギャレオンが護を天海夫妻に託す

・翌年にペズンの反乱、さらに前年~同年ソレスタルビーイングが『ガンダム』を使って第一次武力介入開始、『ガンダム』は「救世主」ではなく「混乱、矛盾」の象徴になってしまう

・3年後、第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱、アクシズ・ショック)勃発、これを受けて第二のティターンズ・アロウズが結成されてしまう

・翌年、アロウズを打倒すべくソレスタルビーイングが第二次武力介入開始、アロウズは打倒され、地球連邦の体制は大きく変革、同年、獅子王凱の乗ったシャトルが最初のゾンダーEI-01と激突

・サイコフレームの光、高濃度GN粒子等々あったのに分かり合えない人類、ヴェイガン・ジオン残党・木連も相変わらず

・BX本編の1年前、第一次火星会戦勃発

・BX本編スタート、ラプラスの箱を巡る騒動勃発、バジュラとの戦い、ヴェイガンが大規模蜂起、奇械島重力炉停止作戦、ナデシコによるスキャパレリ・プロジェクト始動、ゾンダー・ELS・木連・ジャーク帝国・バイストン・ウェルの軍勢・マーダル軍・Dr.ヘル一派・デストルークetc襲来


…何と言うか、ハード通り越してベリーハードな人生である。


その他、本作では息子のアセム以外にも後輩、教え子にあたるアムロたちが行方不明になったり、目をかけた有望な若者であるカミーユが精神崩壊したり…と人物関係でも様々な事態が発生している。


特にミンメイアタックで異星人と和解した直後一年戦争勃発、プロトデビルンとわかり合った直後デラーズ・フリート、アクシズ・ショック直後にアロウズおかわりと何度も何度も希望を見せられたのに即座に人間自身の手でその希望を粉砕されている。

また、グリプス戦役は彼の教え子同士の殺し合いであるし、アセムのMIAで失意の内に一旦引退した瞬間ティターンズ台頭起きるなど一瞬たりとも気を緩められない=自分以外みんなクズである事を否応なしに自覚させられている。


作品が作品なら地球人類皆殺しか、木星おじさんことジュドーの様に全部見捨てて居なくなるくらい計画しても何もおかしくないと思われるが…よくこれで最後の最後にミサイルを降ろせたモノである




余談編集

「フリット」(揚げ物)の名は「揚げ(AGE)」との洒落ではないのかとかウワサされている(実際にイタリア語で『揚げる』は『フリット』と呼ぶ)。

英語で「フリット」は「夜逃げ」と言う意味である。

キオ編コミカライズである『クライマックスヒーロー』では高らかに笑い声を挙げながら「さすがわしの孫ぢゃ!」と言うなど飄々とした性格になっている。

また、全編に渡って登場する為、時としてその世代の主人公を食う活躍をする場合もある。

特に息子であるアセムに関しては、フリットとゼハート両名に対する劣等感から、一時期自分を見失って苦悩する原因になってしまうほど。


また第3部時点で、歴代ガンダムのメインパイロットとしては最年長(ちなみにこれまでの最年長は東方不敗マスターアジアの49歳で、『∀ガンダム』本編開始前にコールドスリープしたロラン・セアック(17歳だがコールドスリープ中の期間は年齢にカウントしない)は除く。)

ただしこれは刹那・F・セイエイ(劇場版においては23歳から50年間ELSとの対話や宇宙の旅を行い、およそ73歳の時にダブルオークアンタと共に地球に帰還している。ただしELSと融合しているため肉体年齢は不明瞭)を除く場合ではあるが。

ちなみに刹那とはフリットの母親の中の人繋がりで『フリットは刹那の息子』というネタにされる事がある。

なお「ガンダムに搭乗し戦闘した」というだけなら仇敵フェザール・イゼルカント(推定70~80代)が最年長になる。(上述の刹那は戦闘をしていないと思われるためここに入らない)


また、『主役ロボットを主人公が作成する』というガンダムシリーズとしてもロボットアニメとしても非常に珍しい境遇の持ち主でもある(アムロカミーユ等、メカに強いガンダム主人公は多いが、それでもだいたいは設計や基礎アイディアまでである)。


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