CV：東地宏樹
人物像
地球連邦軍の軍人で、階級は中佐。39歳。
元々はアリンストン基地の副司令であったが、UEの襲撃による混乱の中で、宇宙戦艦ディーヴァの本来の艦長であるディアン・フォンロイドを拘束し、データを改竄して自身が艦長に就任する（立派な不正行為であるが、これはディアンが民間人を見殺しにして自分たちだけ逃げようとしていたためでもある）。
コロニーエンジェルの出身で過去に起きた「天使の落日」によって妻子を亡くしており（その時、彼は他のコロニーに出張していた）、その原因となったUEを憎んでいる。
戦艦ディーヴァの強奪や、裏取引など数々の不正行為に手を染める事すら躊躇わないのは家族の復讐のため。「天使の落日」以前は民間企業に勤める一介の優秀なコンピューター技術者で、UEへの復讐の為に連邦軍入隊後は過去の技術者としての能力と作戦立案能力によって異例の速さで中佐まで出世を遂げている。
その一方で復讐の念に凝り固まっているだけの人ではなく、巻き込んでしまった部下たちに詫びたり、ザラムとエウバの争いにガンダム込みで割って入ったフリットが、ドン・ボヤージに過去を理由に批判された際は「フリットはザラム・エウバみたいな連中とは違う」といった旨で毒づいている。
腐敗した連邦軍に対しても憂いており、地球連邦上層部がUEの正体を知っておきながら隠蔽している事も感づいていた。
フリット達やザラム、エウバと共に独自にUEを戦う準備を進め、遂に宇宙要塞アンバットに乗り込んだ際に「天使の落日」の元凶たるギーラ・ゾイを射殺した。
アンバットでの戦闘後はディーヴァ艦橋で部下たちに頭を下げ、妻子に復讐の完遂を報せた。
一連の戦役の後、戦艦私有の罪をすべて背負う形で、反逆者として収監された（刑期については言及されず）。
第二期(アセム編)でも刑期を終えて釈放されて登場している。刑務所の看守達からは「栄冠無き真の英雄」として敬礼された。
コロニー「ソロンシティ」の酒場でフリットと再会。収監中に得た情報から連邦軍にヴェイガンの内通者がいる事を告げる。その翌日、雨の降る夜で内通者の差し金により成長したアラベル・ゾイの闇討ちを喰らい、殺害された。享年65歳。
死ぬ寸前、復讐を成功させたアラベル・ゾイに労いの言葉を送り、自分の端末に入っていたデータを全消去し、フリットに詫びつつ死亡した。
…あれは、今まで復讐の為だけに生きてきたアラベルがもしも逃げ延びた場合、彼に殺人の嫌疑がかからない様にしたかったのかもしれない。事件後に現れたフリットから見れば「内通者を発見したものの、口封じの為に内通者の手で殺され、データも消去された」としか思えない訳である。
一方でフリットは恩人を殺された復讐の為、彼がナニを調べていたのか改めて調査し、クーデターに至ってしまう。完璧な復讐者にして恩人である彼と落ち着いて人生相談していれば、そこまで行かなかったかもしれないが、そんな機会は無かった。
時折見せる悪役じみた邪悪な笑みがチャームポイント。「一番まともな大人」「（軍人としてはともかく）優秀なリーダー」「明確で真っ当な神経をした人」「主人公の良き理解者」「復讐以外のこともちゃんと考えている人」である一方、その悲劇的な過去故にディーヴァ乗っ取りの際の正規クルー拘束・見殺しや敵の子供相手に「亡霊に囚われて悲劇的な人生を歩め！」と呪詛を浴びせかける時のようなドス黒い部分も多く描かれ、『敵を射殺する』という汚れ役を引き受けることになったのも彼である（敵の方が民間人虐殺上等なので、それを踏まえると仕方ないことではあるのだが…）。
なお、意外にもMBS・TBS系列放送のガンダムシリーズでは初の男性主役艦艦長でもある。
小説版
小説版の前歴は技術者であると同時に凄腕のハッカーでもあり、電脳戦のプロフェッショナルでもある。入隊後は情報局に配属されており、その時に入手した機密情報をドン・ボヤージに渡して協力を取り付けている。
また、アニメでは放置していたディアン一味を明確に憎悪して射殺、証拠隠滅ついでに死体を爆破した上でデータ改竄するなど、本編以上に冷徹非常にして情け容赦なくなっている。
フリットに対しても自分の復讐の道具同然のように冷酷な指示を出し続けるなど、彼を懐疑的にさせていたが、一方でザラムとエウバの内戦を危険を顧みずに阻止したフリットに対し、「お前が死ねば悲しむ人がいるとは考えなかったのか！」と殴って叱責するなど、彼らしくもない一面を見せた（しかしそれ以前にフリットを戦いに駆り出す自分のやり方に意を唱えるエミリーやミレースを一喝しているため、これはあまり意味がない）。
第2部においてはアラベルに殺害されるのは同じだが、フリットと再会せず、また殺される前に内通者のデータがネットワークに流れるように仕向けていた。
上記の様にフリットを冷徹にこき使っておきながら、何とも理不尽な𠮟責をしたグルーデックではあるが、一方でフリットに対し（自分と違い、まだ大切な人達に恵まれている事を踏まえると）「自分の様な愚かな人間になってほしくない」と密かに願っていたのかもしれない。しかしフリットは、皮肉にもグルーデックの死がきっかけで彼以上に冷徹非情な人物となり果ててしまい、前述の思惑が正しければ、ある意味フリットはグルーデックの想いを踏み躙ってしまったとも言える（フリット自身もそれを自覚しているのか、後にキオ編において自分の孫を戦争に駆り出してしまった事に対し、「今の自分を見たらグルーデックは決して私を許さないだろう」と内心で呟いていた）。
余談
小説版のユノア・アスノの台詞を借りれば、「差別意識と父権主義とエリート主義を擬人化したような男」。そして、そんな人間となり果ててしまったフリットが影響を受けたのは紛れもなくグルーデックである。「例えやり方は間違っていても己の信念を貫く」という冷徹さはフリットのみならず、彼の子供たちにも悪影響を与え、結果的にアスノ家の崩壊を招いてしまった。
果たしてグルーデックのやり方は本当に正しかったのか…？それとも…
関連タグ
機動戦士ガンダムAGE ガンダムAGE ミレース・アロイ アダムス・ティネル フリット・アスノ
ヘンドリック・ブルーザー ディアン・フォンロイド ストラー・グアバラン
アスラン・ザラ、ギルバート・デュランダル：主人公に悪影響を与えた上官繋がり。
ジャミル・ニート：外見が非常に似ている。
カトウ(ガンダムビルドファイターズ)：オマージュキャラ。
