人物像
CV:伊藤かな恵
火星付近に浮かぶヴェイガンのコロニー「セカンドムーン」に住む少女。
兄のディーン・アノンと2人で暮らしていて、ヴェイガンに捕らわれて街にやって来たキオ・アスノと知り合う。
彼女の体は死の病「マーズレイ」に侵されており、本人も先が長くないことを分かっている。
後にキオから病状の進行を遅らせる薬を渡され、それを呑みながら兄やキオと街へ出かけ、楽しい思い出を作る。そして、アセム達ビシディアンがキオの救援に現れた頃にひっそりと息を引き取った。彼女は、未来の日々の様子を描いた日記を書き残していた。
三世代編のOPでも、『主人公に影響を与えた人物』として、1カット出演している。
スーパーロボット大戦BXにも登場。中盤のキオ救出作戦ルートで登場し、おおむね原作と同じ役割だが、同じく捕虜として捕えられた機動戦艦ナデシコのミナトとメグミ、ヴェイガンに保護されたランカも加わり、よりドラマチックに交流が描かれる。
今と言う時間を大事にしたい気持ちが込められている、という理由でランカの「放課後オーバーフロウ」がお気に入りの曲。
そのすぐ後には原作通り死亡してしまう。そして、セカンドムーン脱出後にランカがバジュラを鎮めようとした際には、ルウへの哀悼の意も込めて「放課後オーバーフロウ」を熱唱した。
第2のユリン・ルシェル
その設定から見ると「第二のユリン」と称する視聴者も少なくない。しかし、ユリンとルウとは対照的に異なる部分がある。
①ユリンはフリットよりひとつ年上(15歳)だが、ルウはキオよりひとつ年下(12歳)。
②ユリンには弟がいるのに対し、ルウには兄がいる。
③ユリンは地球(コロニー)の人間に対し、ルウは火星(ヴェイガン)の人間。
④ユリンの死因は他殺に対し、ルウは病死。ユリンの場合はルウと同じヴェイガンの人間によって殺されているが、ルウの場合は(間接的ではないが)ユリンと同じ地球種に殺されたも同然、好意的な見方をすれば、ユリンの場合フリットと交流した末に非業の死を遂げたのに対して、ルウの場合はキオが関わったこそ安らかに生涯を終えられたとも言える。
そして最大の相違点は「双方の少女の死によって導かれたヴェイガンの在り方」である。
フリットはユリンを殺された事でヴェイガン「絶対的な悪」と決めつけ、最終的には「一人残らず殲滅」という冷酷な決断を下している。一方でキオはルウと出会った事でヴェイガンが「一方的な悪」ではなく、彼らもまた「被害者」だという事を理解し、争いを止めて解り合いたいという決意を秘めたのである。しかし、劇中を見てみると僅か13歳のキオよりも遥かに人生経験の多いフリットに味方をする人間の方が圧倒的に多い。このため、キオはフリット以上に過酷な戦いを強いられることになってしまった。
もしフリットがユリンとさほど変わらない少女=ルウを知り、理解できたとしたら、ヴェイガンに対する考えも変わっていたかもしれない。しかし、彼もまた半世紀以上もの間、「大切な者を奪われた」憎しみという過去に囚われていた以上、殲滅という名の矛先はルウといえども例外ではない可能性もある。やはりどの時代においても、戦争に踏みにじられるのはキオやルウのような、か弱き小さな子供達なのだ。