CV:大友龍三郎
イゼルカント様!!万歳!!
UEこと、ヴェイガンの最高指導者。国民からは崇拝に近い尊敬を受けている。
妻にドレーネ・イゼルカントがおり、側近にザナルド・ベイハートを置く。妻との間に、キオ・アスノに似ているロミという息子がいたが、彼は幼い頃に火星圏に蔓延る死の病「マーズレイ」で亡くなっている。また、本人もマーズレイに体を侵されていて、余命は長くないらしい。コールドスリープによって老いる事無く半世紀以上の時を過ごしているが実際は火星移住計画マーズバースディ計画における最初期の移民者であり、かなりの年月を生きてきたようである。かつての事を知っている数少ない生き証人であった事がヴェイガンの指導者になった理由である可能性が高い。また、ゼハート・ガレットについては、地球制圧部隊の総司令に任命したり、敗退・失策も寛大な処置で済ますなど、彼が幼少の頃から目をかけている。
ヴェイガンにとって聖地とも言えるエデン(地球)から地球種と地球連邦を一掃し、国民を地球に帰還させる事を最終目標とすると語るが、あえて敵に生き延びる猶予を与えるような作戦を立案するなど、殺戮が目的ではないようである。
半世紀越しの敵対者であるフリット・アスノからは魔王とも呼ばれている。また、AG80年代頃に地球圏を偵察していた時に発見した「EXA-DB」にハッキングを仕掛け、データの一部を手に入れたことにより、ヴェイガンに強力なMSや兵器を開発する技術等をもたらした。首都コロニー「セカンドムーン」に連行されてきたキオにヴェイガンの現状を語って聞かせ、さらに脱走した彼の前に自らガンダムレギルスを駆り立ちふさがる。その際に、自らの野望である「プロジェクト・エデン」の真相を明かした。
それは、地球種を抹殺してヴェイガンの民を地球へ移住させるのではなく、地球と火星との全面戦争によって地球人類に「死の恐怖」を与えて「生きる価値」を問い、その結果生き残った者こそが優れた種であるとして、優良種による優良種だけの世界、すなわち「戦争の存在しない平和世界を築く」ことであった。そのためには、自らを崇拝するヴェイガンの民を裏切ることも致し方ないと、悲しみを含みながらも断言している(デシル・ガレットが優良種として選抜されているあたりどうなのよと視聴者からツッコまれることもあるが、デシルに対しては単に計画に利用するための方便であった可能性もある)。ちなみに火星圏のコロニーでもわざと事故を起こしているらしい。
仮に表向き通りに地球種を抹殺して国民を地球へ移住させたとしてもそれは縄張り争いに勝っただけの事で、結局いずれ争いを繰り返すと見なしている。
高齢ながらパイロットとしての技量は恐ろしく高く(レギルスの性能前提とはいえ)、キオのガンダムAGE-3とガンダムAGE-2ダークハウンドの2機のガンダムを圧倒するほど。Xラウンダーとしての能力も極めて強大であり、部下たちやキオに対して能動的に『理想郷・エデン』のビジョンを見せるなど能力を自在にコントロールすることができる様子がうかがえる。だが彼自身はXラウンダーを人類の進化などでは無く理性無き野獣への退化であると否定しているような事を言っていたようである(事実、それを証明するような事が起こった)。キオが死んだ息子に良く似ていることから、異常なまでにキオに固執している。さらにはキオを「息子の生まれ変わり」だと思い込んでいる描写もあった。
高潔な理想と長い時間をかけてそれを貫く強い意思を持つ反面、その覚悟と非情さには只ならぬ狂気が見え隠れしている。しかし病には勝てず、自身の限界を悟りゼハートに後継者として「プロジェクト・エデン」の全権とガンダムレギルスを与えている。また、自身のクローンとしてゼラ・ギンスを用意していた(彼に与えるつもりであった役目はゼハートに託す)。そして病状悪化によってベッドの上に寝たきりになり、ラ・グラミス攻防戦の終盤、キオにXラウンダー能力で思念を送り、感謝の言葉と地球の未来を託すことを述べ、妻のドレーネに看取られながら息を引き取った。
「ドレーネ…私は戦争をしたかったわけではない…ただ作りたかっただけなのだ。
人が人らしく生きていける新世界を…しかし…」
「あなた、それでも世界は変わろうとしていますわ。あの子のおかげで…」
「私は今でも……あの子がロミの生まれ変わりではないかと思っている……」
「ええ、だからこそ私達に教えてくれたのかもしれません。
忘れかけていた 人の優しさを」
なお、第1部ではギーラ・ゾイのセリフで名前だけ登場、第2部では顔の下半分と声のみの出演。顔や容姿が本格的に公開されたのは、第3部以降となる。
余談
当初は戦争を引き起こした張本人でありながらも、冷静な態度や「人として生きていけない事が悲しい」という真っ当な願いを発言するなど、(理由があるとはいえ)過激な発言が多いフリットと比較してまともな人物かと思われていたが、プロジェクト・エデンの全貌が明らかになると一変して「身勝手な独裁者」というレッテルを貼られる事となり、一部の視聴者からは 「ヴェイガン殲滅もあからさまに間違ってはいなかった」 という声まで挙がってしまっている。
しかし、勘違いしてほしくないのは、あくまで「人の選別」を考えているのはイゼルカントの独断である(実際にイゼルカントは地球種はおろか、同じヴェイガンの人間ですらテロや内戦で犠牲にしているほどであり、当然ながら彼らもまたイゼルカントの身勝手によって苦しめられた被害者である)。
無論、キオもイゼルカントの横暴さは理解しており(小説版では「ゲームに出てくる悪役以下の人間」だと痛烈に非難している)、それを承知の上でヴェイガンとの和解を目指したのも、ヴェイガン全員がイゼルカントの様な愚かな人間ではなく、彼らもまたれっきとした被害者であるという事をしっかりと理解しているからである。
しかし、真っ向からヴェイガンの殲滅しか考えてこなかったフリットにとっては「ただの子供の甘い戯言」「ヴェイガンの民は被害者である事に甘んじて堕落している」としか認識されず、結果的にイゼルカントの横暴はフリットの信念を強固にさせてしまうことになった(しかしフリットはヴェイガンの手で大切な人を失い続けた事を考慮すべし)。
そしてフリットも踏み止まりはしたがプラズマダイバーミサイルでヴェイガンを何の罪もない人間もろとも皆殺しにしかけた。
魔王イゼルカントの暴虐はその被害者をも苛烈な行動に走らせてしまったのだ。
前後の文脈は兎も角、「どうあろうと、イゼルカントは狂った支配者だ」というフリットの評は彼を的確に表していると言えよう。
スパロボでは
AGEが参戦したスーパーロボット大戦BXでは人類の争いの根本たる原因として描かれている。
この作品でのヴェイガンはゼントラーディやプロトデビルンともわかり合えた人類に対し戦いを挑むという蛮行を繰り広げており本編開始前に様々な敵組織が立ち上がり暗躍を繰り広げたのも大体ヴェイガンが原因と言い切れる(作品の歴史上1番古いのがAGEのため)。
つまりスパロボでのイゼルカントは自らの目的のために沢山の戦乱を引き起こし多くの命を弄んだ「魔王」そのものと化していると言える。
関連タグ
ドレーネ・イゼルカント ロミ・イゼルカント デシル・ガレット ギーラ・ゾイ アラベル・ゾイ
ゼハート・ガレット ダズ・ローデン メデル・ザント マジシャンズ8 ザナルド・ベイハート
ファントム3 フラム・ナラ レイル・ライト ダレスト・グーン ディーン・アノン ルウ・アノン
ファルク・オクラムド ゼラ・ギンス キオ・アスノ フリット・アスノ
ギレン・ザビ:オマージュ元
ホーマー・カタギリ:中の人が同じの前作の敵組織司令官。但しこっちは表向きで実際は黒幕がいた。
クラックス・ドゥガチ:他のガンダム作品における他惑星の敵勢力の指導者。こっちも自分勝手な野望の為だけに多くの人間の命を奪った。
ドアクダー、エンブリヲ(クロスアンジュ):スパロボにおける似たような野心家共。