「なんという性能だ。やはりこの機体…凄い!最早ガンダムなど、恐るるに足らずッ!!」
概要
型式番号 | GNX-603T |
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所属 | 国連軍(旧三大国家群に各10機) |
開発 | アレハンドロ・コーナー、ラグナ・ハーヴェイ |
生産形態 | エース用少数量産機 |
頭頂高 | 19.0m |
重量 | 70.4t |
動力機関 | GNドライヴ[T]×1 |
装甲材質 | Eカーボン |
武装 |
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アレハンドロ・コーナーがヴェーダから持ち出した技術と、ガンダムスローネシリーズから得られた各種運用データや実戦データを基に、GNドライヴ[T](タウ)(擬似太陽炉)と共に極秘裏に開発された擬似太陽炉搭載型の量産型モビルスーツ。
全身ライトグレーのカラーリングは無塗装のEカーボンに由来するものである。ガンダムスローネの量産試作機である「スローネヴァラヌス」の設計や運用データがベースにされており、頭部に4基配置されたカメラアイや、X字状に配置されたGN粒子発生装置など、ヴァラヌスの特徴が色濃く受け継がれている。
前述した通り、ガンダムスローネの量産機にあたる為にガンダムの系譜に入る機体であり、作中でも度々言及されているが、ソレスタルビーイングに対する国民感情への配慮から(パイロット補助システムを搭載する関係上など他の理由もある)、頭部にはアンテナの類は無く四つ目にしゃくれ顎と、全体的にガンダムとは全く異なる頭部レイアウトやデザインをしている。
また、操縦系統の違うパイロットでもすぐに使いこなせるように、頭部に新開発のサブコントロール・システムが搭載されるなど、運用面に配慮された操縦系統となっている。
ただし、擬似太陽炉の制御システムだけはブラックボックスだった為、軍の技術だけでは制御装置を小型化する事が出来ず(あるいはオリジナルの太陽炉よりも大型の制御システムが必要だったとも考えられる)、太陽炉部分にコックピットを設けるスペースが作れなかった為、コックピットブロックが股間部に位置しているのも特徴。
疑似太陽炉には、スローネシリーズのような始動機(スターター)は備えられておらず、出撃毎に外部装置を利用した疑似太陽炉の始動、通称「火入れ」が必要となる(発展型及び後継機も同じ)。
AEU、人類革新連盟、ユニオンの旧三大国家群を統合して発足した国連軍に、計30機(各国家群に10機ずつ)が配備され、それぞれの機体に各国を代表するエースパイロット達(パトリック・コーラサワー(01)、セルゲイ・スミルノフ(11)、ソーマ・ピーリス(20)、ダリル・ダッジ(22)など)が搭乗している。その為に「エースパイロット専用の量産機」という、ガンダムシリーズの中でもかなり稀有な立ち位置にある機体である。
量産機と言っても、その基本性能はオリジナルのガンダムスローネやプトレマイオスチームのガンダムと遜色の無いレベルであり、それに元々旧世代機でもガンダムと張り合い生き残って来た、各国のエースパイロット達が搭乗した結果の戦闘力は凄まじく、幾度となくソレスタルビーイングとガンダムを追い詰めて実際に組織を壊滅状態にまで追い込んだ。その為、歴代ガンダムシリーズでも最強の量産機として名が挙がる事も多く、その知名度と人気は非常に高い。
ただし、あくまで基本性能が同等なだけの汎用機なので、各ガンダムがそれぞれ得意とする射撃や格闘などの特化要素では一歩劣るが、そこは各パイロットの技量でカバーされている。
建造にあたっては、各パーツを細かく分散し「新型ワークローダーの部品」という名目で民間企業に組み立てさせ、それらを軌道エレベーター内の秘密工場に集めて完成させる、という綿密な偽装工作が行われた。
グラハム・エーカーに支給された1機については、GNフラッグ開発の為に解体されたが、残りの29機はガンダム掃討作戦「フォーリン・エンジェルス」に対ガンダム戦の切り札として参加し、その殆どが大破したものの刺し違える形でガンダムを撃破した。
秘密裏に開発された機体ではあるものの、非常に完成度が高くバランスの取れた量産機であり、その後は疑似太陽炉の生産が可能になった事で、国連軍の主力として追加生産され後の世界統一に活かされた。
ソレスタルビーイング(及びそのデータを奪取したイノベイター)以外の陣営にとっては、GN粒子を使用するMSの雛形であり、その設計思想を完全に解析しきれていない為か、設計を流用した改良型や本機の設計に独自の改良を加えた後継機が、地球連邦平和維持軍において後年まで長く使用されている。
これらの機体は、本機と同時期に配備されたアルヴァアロンなどを含め、疑似太陽炉の形状がスラスター付きのコーン型そのままで共通しているのも特徴である。
ポジション的は、ガンダムの量産型という点ではジムに、ガンダムに匹敵する性能を持つ敵軍の量産機という点ではゲルググに相当する機体だという解釈もできる。ガンダムの量産型が敵になるという点ではバーザムやストライクダガーにも通じる点があると言える。
ちなみにネーミングとの関連性は不明だが、TVアニメ本編に登場したガンダム(太陽炉搭載型MS)としては、0ガンダムから数えるとちょうど10番目になる。
武装
GNビームライフル
銃身の換装で用途に応じた運用を行う事が出来るビームライフル。
腕部コネクタから粒子供給が可能な他、稼働時間に限りのある擬似太陽炉搭載機の使用を考慮して大型のGNコンデンサにGN粒子を貯蔵できる。さらにセンサーとバレルを増設する事でロングライフルとして使用可能。この換装機構を利用して後継機と共に様々な装備オプションが開発されている。
汎用性に特化した本機を、ある意味象徴する武装だと言える。
GNビームサーベル
大腿部に収納されるビームサーベル。
威力はガンダムの使用するGNビームサーベルと同等であり、近接戦に使用される。
GNバルカン
頭部に搭載されたビームバルカン。
ビームライフルよりも威力は低いが連射性能に優れ、主に牽制やミサイル等の迎撃などに使用される。
GNクロー
腕部マニピュレータは指先が鋭利に尖っており、これを予備兵装として使う事ができる。
GNフィールドをまとう事でその破壊力を増大させられるが、本来は粒子切れの際に使用される。
GNシールド
腕部にマウントされるEカーボン製シールド。
GNフィールドの効果によって単純な追加装甲以上の防御能力を得ている。
AEUやユニオン出身のパイロットが搭乗する事を考慮して、中央部にはディフェンスロッドを装備している。
劇中での活躍
チームトリニティの襲撃を受けた人革連基地への増援という形で劇中に初めて登場。
セルゲイ・スミルノフ中佐率いる特務部隊「頂武」へ供与された10機は、統率された集団戦法と各パイロットの卓越した操縦技術と、ガンダムと同等の高い性能を遺憾なく発揮し、ガンダムスローネを圧倒して撃退に成功するという華々しい初陣を飾り、世界にその力を知らしめる事に成功する。
特にソーマ・ピーリス中尉は、初めて自身の反応速度に追従出来る機体だったという事もあり、スローネツヴァイのGNファングによる全方位攻撃を難なく回避し、逆にファングを撃墜している。
その後は、トリニティの基地襲撃の際に反撃で1機を撃破されるも、「頂武」が編み出した対ファング用のフォーメーションによって、ファングを全て撃墜し確実にトリニティを消耗させて追い詰めていった。
一方で、カティ・マネキン大佐率いるユニオンとAEUの部隊は、19機で宇宙でのプトレマイオスチームに対する攻撃を慣行する。GNアームズの介入等もあって数機を撃破されて幾つかの機体も小破したものの、パトリック機がデュナメスを中破させて確実に痛手を与える事に成功した。これによってロックオン・ストラトスの利き目を負傷し、それが最終的な彼の死因となった。
そして、アリー・アル・サーシェスによってスローネツヴァイが鹵獲され、スローネアインが撃破された後は、トリニティは一先ず壊滅したとしてプトレマイオスチームを優先し、宇宙の部隊を支援するべく「頂武」は鹵獲されたスローネツヴァイと共に宇宙に上がり、マネキン大佐の部隊と合流する。
その後の2度に渡る戦闘では、ガンダムの新システムであるトランザムシステムや、GNアームズの本格運用によって機体を次々と撃破され苦戦を強いられるも、アルヴァトーレ等の増援もあって勢いを返し、最終決戦時にはパトリック機がガンダムナドレを相討ちになりながらも撃破。
加えて、ピーリス機とスミルノフ機はいずれも中破しながらも連携して、キュリオスを撃破・鹵獲に成功している(ただし、キュリオスのオリジナルの太陽炉は事前にアレルヤが分離していたので奪取に失敗した)。
殲滅戦が終了した頃には殆どの機体が損傷、もしくは大破してしまうが、ガンダムのほぼ全機の破壊と鹵獲、母艦のプトレマイオスの撃破にも成功しており、GN-Xという機体の多大なる性能を見せつける事になった(実際にガンダムサイドを壊滅に追いやった量産機など、間違いなくこのGN-Xが初である)。
関連動画
バリエーション
アドヴァンスドジンクス
GN-Xの後期生産型に改良を加えた機体で、国連軍のエースに支給された。
肩部ディフェンスロッドの追加や通信機能の強化など、様々なカスタマイズが施されている。
詳細はアドヴァンスドジンクスを参照。
ジンクスⅡ
外伝漫画『00F』などに登場。
両肩にマウントラッチが設けられ、全身のGN粒子発生装置が小型化されているほか、ジンクスⅡソードやジンクスⅡキャノンといった特定の攻撃レンジに特化したサブタイプも存在する。
詳細はGN-XⅡを参照。
ジンクスⅢ
地球連邦平和維持軍の主力機体。
GN-XⅡで小型化された粒子の発生装置がさらに小型化され、よりシンプルなシルエットを有する。
詳細はGN-XⅢを参照。
スペルビアジンクス
メカニックデザイン企画『機動戦士ガンダム00V』に登場。
GN-XⅢのカスタム機。
海からの強襲揚陸用に開発された機体で、水中巡航の際には外付けの強襲揚陸ユニットを装備する。
詳細はスペルビアジンクスを参照。
ジンクスⅣ
映画『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』に登場。
スペルビアジンクスを設計母体とし、イノベイドから得た技術を積極的に採用したことで、第3.5世代ガンダムをも凌駕する程の大幅な性能アップを果たし、トランザムシステムの標準搭載にも成功している。
詳細はGN-XⅣを参照。
ジンクスⅤ
外伝フォトストーリー『機動戦士ガンダム00V戦記』に計画として文字設定のみ登場。
ELS戦役で多数のパイロットを喪った状況を鑑みて、ジンクスⅣの改修機であるコア・ファイター搭載型から引き続き股間部コクピットにコア・ファイターを標準装備することが予定されている次世代機。
SDガンダム外伝シリーズでは
SDガンダム外伝の新約SDガンダム外伝 創世超竜譚では、魚人剣闘士ジンクスとして登場。魚人族で漁師であったが、妻子が何者かに殺されたことで、妻子を殺した者への復讐の為に旅立つ。しかし、その旅も半ばに生きる目的を失っていたところ、神の座を決めるバーサルウォーに選ばれたが、第2試合で竜剣士キュリオスに敗れる。
心の安否を求めて覇界神バロックガンの近衛騎士(モチーフは、GN-XⅢ)となり、誇りを取り戻すため新たな秩序を求めた。しかし荒廃していく世界と竜王アリオスに敗れたことで、世界をバロックガンに渡してはならないことを悟り、決戦でバロックガンを真の邪悪と見定め、世界を黄金神の仲間たちに託しバロックコアの影武者である近衛騎士バロック1を道連れにして散っていった。
その後、バロックガンがいた世界カッズ・ザルド界で騎士ジンクスIV(モチーフは、アンドレイとコーラサワーの指揮官機のジンクスIV)に転生。メガファウナ団の一員となり、元バロックガンの近衛騎士であったGNフラッグトーラスから転生した騎士ブレイヴと共に、バロックガンの再来を掲げた邪教集団ジットと戦っていた。
立体物
ガンプラシリーズではHGとして一般で発売されたのが最初。
関節は全てPSとポリキャップPC-123によるABSレス式。オプションは一通り揃っており、プロポーションも設定画通りで申し分ない出来だが、HGの革命史となったダブルオーガンダムの2ヶ月前のリリースだった事から肘が一重関節だったり、合わせ目も多かったりと色々と惜しい面もあるキットである。
MGも発売されている。アナザーガンダムの量産機がMG化されたのはGN-Xが初であった。
「ガンダムの技術を導入している」という設定通り、フレームの一部にはMGガンダムエクシアのものが使われている。勿論疑似太陽炉も分離可能であり、分離時に連動してロックボルトが飛び出すという中々凝った仕様になっている。パイロットはソーマとセルゲイの選択式。
MG00シリーズのガンダム同様に、太陽炉を発光させられるLEDユニットにも対応しているが、GN-Xに対応する赤色のものはプレミアムバンダイ限定なので注意(MGエクシアトランザムモードから流用するという手もある)。
アクションフィギュア「ROBOT魂」ではプレミアムバンダイ限定で販売されていた。
余談
その量産機にしては非常に凝った見た目と、劇中での圧倒的な活躍ぶりから、未だに歴代ガンダムシリーズの量産機の中でも屈指の人気を誇っている機体である。
宇宙世紀後期以降の非ガンダムタイプは基本的に人気が出づらく(勿論トールギスなど例外もいるにはいる)、大ヒットとなったSEEDシリーズですら、あくまで人気はガンダムタイプに集中していた事からも、本作のGN-Xやユニオンフラッグカスタムの人気や与えた影響は計り知れない。
その為か、スーパーロボット大戦シリーズやGジェネレーションシリーズなどの外部作品においても、量産機としてはかなり高い性能を持っている事が多く、何かと優遇されている機体である。MG化が早期に実現したのも同様の理由だと言える。
関連項目
ガンダムスローネ:オリジナル。
アヘッド:後継機。
ザクウォーリア:宇宙世紀外シリーズでGN-Xの次にMG化された量産機。ただし最初にMG化されたのはカスタムモデルであり、完全な汎用型ならジンになる。