「トレーズ、そんなに付き纏うな…過剰な期待に応えたくなるではないか…元同志のよしみ、仮面砕ける迄の付き合いだぞ!」
機体解説
基本情報
型式番号 | OZ-00MS |
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頭頂高 | 17.4m |
重量 | 8.8t |
装甲材質 | チタニュウム合金(小説版では『ガンダニュウム合金』) |
ガンダムW世界の全モビルスーツの原点とされるモビルスーツ。
本編より20年ほど昔にガンダムを造った科学者達と、後にデュオと共に行動するマイク・ハワード博士らのグループが造ったモビルスーツ。
物語前半におけるライバル機体。
そのコンセプトは防御力・機動性・攻撃力を並立させた最強兵器という、後のウイングガンダムやウイングガンダムゼロと変わらないシンプルすぎるもの。
但し、ガンダニュウム実装前のトールギスではチタニュウム合金の重装甲化で防護性能をクリア(サンクキングダム軍事施設に隕石になるような速度で突撃し、ビルなどが宙を舞う程の速度で体当たりしても傷一つ無いくらい)しているために、それをカバーするためにハワードの開発したバックパックのスーパーバーニアで重量以上の大推力を叩きだす力技で解決している。
腰部の両側の小型のサブスラスターのみですらリーオーを遥かに超える機動力を持つ。
火力は一撃で複数のMSを飲み込み破壊する範囲と火力を持ち、直撃すればガンダニュウム合金に有効打を与えるドーバーガンを装備し、抜かりはない。
一方で機体をフルスロットルにした場合直線機動で15G以上まで達するためパイロットに『殺人的な加速』による文字通り全身の骨を砕き死に至り兼ねない最大速度は後に開発されたエアリーズ(全速で飛行するジェット戦闘機を後方から軽々と肉薄する速力)を遥かに超え計測不能、旋回性能もエアリーズの3倍以上、目標に激突寸前で予備動作なしで一瞬で停止、超鋭角的な連続機動をとっての超々高速戦闘を行うほど。
同時にスペックを盛って行った結果、人間には扱えないという欠点と機体は大型化してしまい、後の量産型リーオーでは非対称戦争を想定していた事から大いにデチューンされたのだった(そのため、本機は俗に『プロトタイプ・リーオー』とも呼ばれている。ちなみにガンダムタイプに似たフェイスガードを外すとリーオーと同じ四角のカメラセンサーが現れる)。
一方で、このトールギスの問題点である機動性を更に強化し、その冗長してしまった部分を無理矢理に改善(実際には解決策になっていないが)した機体がウイングガンダムゼロであったりもする。スラスター技術も後にエアリーズにフィードバックされたため、一応無駄にはなっていない。
量産型のように汎用性や扱いやすさ重視ではないその極端な設計思想ゆえに、20年後の本編でも、最先端技術のガンダムに対抗しうる性能を持っている。
だがエピオンの性能の一部を加えられ基本性能を強化しエピオンシステムの前身モデルを搭載したトールギスⅢをもってしてもガンダムという機種、特に後期の改修されたガンダム4機とゼロやエピオンといった機体の基本性能の全ておいて到底及ばない。
ゼクスがトールギスⅢでガンダムナタクの戦闘を想定してその全てにおいての性能差に不安を漏らしている。事実、ナタクはバスターライフルの使用を控えているとはいえウイングゼロとの空、宇宙問わず凄まじいまでの高速近接戦闘を行える程で、滞空、海上から単独で大統領府まで飛行をも行っている。ゼロのウイングユニットの前身モデルを搭載し速度、運動性を驚異的なまでに強化されたトールギスFでもようやく未完成のデスサイズHに劣らない程のものになる程度で、出力や装甲においてはまったく歯が立たず圧倒されている。
元々この機体のカラーも、現在のリーオーのような色合いの迷彩柄になるはずだったのだが、
開発現場に立ち会っていた、若き日のトレーズ・クシュリナーダの進言により、現在の白いカラーに変更されている(トレーズは、当時の技術主任であったハワードに本機を「エレガントな色に」と注文している)。
武装
ドーバーガン
ロングバレルの大型の火器。未使用時は右肩のハードポイントにつるされるように装備されており、使用時はアームを介して手持ちで構える形をとる。
発射時の反動を抑えるためにわざと旧式のマズルブレーキを使用するなど、外見的にはやや古めかしい型に見えるが、複数のMSを一射で消滅させ、ガンダニュウム合金製のガンダムにもダメージを与えられる威力を持つ。ビーム弾説と実弾説があってイマイチ判然としない装備(状況に応じて切り替え可能という説も)。
ドーバーガンのデチューン仕様がリーオーのオプション武装となっているが、そちらは実弾のみ発射が可能。
ビームサーベル
シールド
やや小型の円状のシールドと、その内側に装備されている高出力のビームサーベル。
シールドは左肩のハードポイントに接続されており、状況に応じて手持ちで装備することもある。
柄がチタニュウム合金製のため、出力はガンダムのものには一歩劣り、調整を行わないと物理的衝撃を与えるには至っても、ガンダニュウム合金を切断するほどの威力はない(Ⅲでは調整された模様)。
量産機であるリーオーにもデチューンされて装備されているくらい汎用性の高いものとなっている。
ミサイルポッド
グリップ上下に装着された手持ち式の小型の二連装ミサイルポッド。
第33話で登場。ルクセンブルクに大気圏突入しようとするOZの輸送艦を襲撃する際に使用。
デザインは「Zガンダム」に登場したハイザック用のミサイルポッドに、装弾数とグリップ部分の変更を加えたもの。
大型ヒートランス『テンペスト』
「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光」に登場。
ワーカー特士の遺したデータから開発されたもので、肩部ハードポイントのどちらかにマウントする形で装備する。赤熱化した槍先で標的を貫くだけでなく、熱エネルギーを放出しての防御も可能。トールギスのバーニア加速を利用した一撃離脱戦法を得意とする。
劇中での活躍
ガンダムに対抗する戦力を欲したゼクスに、同じくスペシャルズ所属のワーカー特士がコルシカ基地にて発見しゼクスに譲渡するべく復元作業を行っていた。
ゼクスの部下であるオットー特尉がテストパイロットを務める。
モビルスーツ操縦技術や耐G能力も高いはずのゼクスですら初陣では性能に振り回されて負傷し、その後連合軍サンクキングダム基地制圧のためにゼクスの代わりに無断出撃したオットーは、その強烈なGによって命を落としている。
しかし、ゼクスは乗る度にダメージを受けながらも操縦のコツをつかみ、ついにはその性能を最大限に発揮してガンダムと互角の戦闘を行えるまでになる。
シベリア近くでヒイロウイングガンダムと一騎打ちに突入するが、レディ・アンがコロニーを軍事衛星で狙う事でガンダムを脅迫すると言う余計な事をしたおかげで戦いはゼクスにとっては納得できない結果となった。
南極でのヒイロとの決闘の際にOZより送り込まれた70機の刺客を単機で殲滅し、一時行方不明となる。
その後、ハワードに保護されて、ミリアルド・ピースクラフトに名を戻したゼクスと共に大型バーニアを装備して宇宙へ上がり、モビルドール部隊を相手にしても引けをとらない戦闘を見せる。
しかし、ゼクスの操縦技術や反応速度の成長が著しくなり、次第にトールギスのその性能をもってしてもゼクスの反応速度に追いつけなくなっていくことになる。
最後は漂流していたウイングガンダムゼロに乗り換える際に、モビルドール部隊への囮として自爆し、その役目を終えた。
自爆前にゼクスはトールギスに対して敬礼を行っていることからも、彼のトールギスに対する信頼が窺える。
なお、「新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop」でもトレーズ・クシュリナーダの過去を描いた『トレーズ・ファイル』に未完成の本機が登場している。
当時、少年士官だったトレーズは見学に来ていたコルシカ島で本機と出会い、技術者であったハワードとも意見を交わしている(この時に彼が構築した理論が、当時は連合軍内で無用の長物と言われながらも後に本格化するモビルスーツ部隊の戦術を生み出す基盤となった)。
EW版
パッと見分かりづらいが、スーパーバーニアの接続が肩からバックパックに変更されている。これにより腕を引き出した時にバーニアの向きが変わってしまうという矛盾点が解消された。
一方、強度があるという設定だがバーニアの接続アームが細過ぎるという声も少なくなく、細いアームであのバーニアの出力にどうやって耐えられるのかという新たな謎も生まれている。
それ以外では特に変更はないが配色にところどころ黄色がアクセントで加えられている。逆にシールドにあった黄色い鳥のシンボルは一回り小さくなっている。また、バックパックのスーパーバーニアも黒ではなく白。これをエレガントと取るかどうかは人の好みにより大きく分かれる。
実はこのカラーリング、リアルタイム時に掲載されたビジュアルの一つに全く同じカラーリングのものが登場しており、これを元ネタにしたものと思われる。
ちなみに同ビジュアルにトールギスと共に描かれた後ろ姿のウイングガンダムにもアレンジが加えられており、こちらはウイングの形状が現在のアーリータイプに近いものとなっている(この頃にはアーリータイプの概念はなかった)。
トールギスF(フリューゲル)
「敗者たちの栄光」では上述のテンペストを抱える他、ウイングガンダムゼロカスタムのあの翼をバックパックに装備したトールギスF(フリューゲル)も登場している。
ゼロのウイングユニットということでトールギスの超絶な機動性を更に驚異的なものにしており、未完成とはいえガンダムデスサイズヘルカスタムに迫るほどの機動性を持ち、接近戦を繰り広げた。
トールギス始龍
『episode0』、及び『敗者たちの栄光』に登場。
老師Oがシェンロンガンダムと同時に造った機体。シェンロンを開発する際に動作テスト機として製造されたという。
『episode0』ではゼクスの乗っていたトールギスと同じ姿だが『敗者たちの栄光』では機体色が濃紺、頭部がリーオーのものである以外はほぼゼクス機と同様。張五飛の妻である龍妹蘭がOZの侵攻を阻止するために搭乗し、やはりその強烈なGにより命を落としている。
トールギスヘブン
FrozenTeardropに登場した。
トールギスの後継機である第4のトールギス。モビルドールなどの無人機を行動不能に追い込む『ナノ・ディフェンサー』を搭載している。このナノ・ディフェンサーは生前トレーズが対MD用に設計・開発を依頼したシステムでガンダムアクエリアスのアンチMDウィルスに似たものであるが関連は不明。
パイロットはキュレネの風。
立体物
TVアニメ放送当時は1/144のみが発売されている。
その後EndlessWaltzOVAの商品展開に合わせトールギスⅢとのコンパチ仕様で発売され、劇場版公開時は同じくコンパチ仕様でHG 1/144が発売された。
またHG1/144にはパーツをクリアカラーとメッキに変更した特別仕様も一般販売されている。この類は限定販売が多いだけにかなり珍しい。
BB戦士シリーズにラインナップ。小さいながら、ドーバーガンとシールドが同梱している。
2008年にはハイコンプロ、2013年にはロボット魂で発売された(トールギスⅢのロボ魂はそれよりも前に発売済み)
2012年にはEW版の方がマスターグレード化され、後にプレミアムバンダイ限定ではあるがトールギスⅡやトールギスⅢもMG化した。2018年にはリアルグレード化もされており、やはりほかの2機もプレバン限定でキット化している。ただしどのキットにも『テンペスト』の立体化はなされていない。一方で本家トールギスのTV版はEW版とそこまで違いがないのが祟ってか未だMG化されていない。
幸いTV版との違いは上記の三点くらいなので塗装環境や技術のある人はスーパーバーニアの接続に不満さえなければ塗装するのもいいかもしれない。
ちなみにイベント限定ガンプラとしては、W勢の主役のガンダム達を差し置き各部にメタリックカラーやチタニウムフィニッシュなどの豪奢な色変えがなされたMG トールギス(EW) スペシャルコーティングが販売されている。通常版では賛否あった黄色のアクセントがここで良い意味で生かされており、まさにエレガントの一言に尽きる。
最初にイベント販売された時は通常版の倍を優に超える8000円という超高価格帯にもかかわらず、真っ先に売り切れるほどの人気を誇った。その影響もあってなのかイベント限定ガンプラでは現在でも生産が打ち止められる事なく続いており、ガンダムベース東京でもイベント限定ガンプラの一環として販売されている。
そして、スペシャルコーティングの反響を受けてか、トールギスⅡの方のスペシャルコーティングもイベント限定ガンプラとして発売されることが決定した。
SDガンダムでは
やはり序盤のライバル機と言う事もあってか悪役としての登場が多め。また、作中では特に絡んでいるわけでもないのにヴァイエイトとメリクリウスが助さん格さんの如く控えているケースも見受けられる。
作品名 | キャラ・メカ名 |
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『新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記』 | 雷迅機トールギス |
『SDガンダム聖伝』 | トマホークギス |
『超SD戦国伝 武神輝羅鋼』 | 武者刀流義守 |
『SDガンダムフォース』 | 嵐の騎士トールギス |
『SDガンダム三国伝』 | 呂布トールギス |
『SDガンダムワールド三国創傑伝』 | 夏侯淵トールギス |
余談
名前の由来は、降霊術師を意味するTheurgist(テウルギスト、サージスト)から。
しかし英語表記のスペルはTallgeeseとなっており、これだと「背の高いガチョウたち」の意味になってしまう。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
ゼクス・マーキス ミリアルド・ピースクラフト トールギスⅡ トールギスⅢ 殺人的な加速 ガンダム開発者(新機動戦記ガンダムW)
ユニオンフラッグカスタム:約12年後のシリーズに登場。トールギスのような直進ではないものの全速旋回自に12Gの負担がかかる可変型高機動モビルスーツ。こちらはパイロットは吐血程度で済んだ。
ガンダム・キャリバーン:『乗り手を無視した構造』『本編の20年以上前から設計されている』といった特徴からトールギスを思い出した人が続出した。