殺人的な加速だ!
さつじんてきなかそくだ
「殺人的な加速だ!」とは9話でトールギスに初搭乗し、その加速Gを体験したゼクス・マーキスが言い放った台詞。
同様に、「トールギスの欠点はパイロットが生身の人間である事だ」とも言い残している。
そもそもトールギス自体が開発当時の最先端技術で実現可能な最高性能を目指して設計されており、真価を発揮する際にパイロットにかかる負荷やその命を守る為の対策が全く考慮されていない「人間が搭乗する兵器」としては致命的な欠陥を抱えた機体なのである。
性能の為に安全性を切り捨てるという本来なら許されない設計になっているため、後世の技術者には羨望と揶揄を込めて「パイロットの安全を無視した贅沢な機体」と評された。
トールギスに装備されたスーパーバーニアは、本機において基本的な移動手段だが、あまりの加速性能故に、制止から一瞬にして15G以上(直線軌道)まで加速し、さらにそんなGに常に晒され、圧倒的な速度のまま(ジェット戦闘機を軽く超える戦闘機動を行うエアリーズを遥かに超える速度、エアリーズを軽く凌ぐ機動性のMDトーラスがMS形態でわずかな直線にて一瞬で8Gまで加速しているのでその速度がどれほど異常なのかが分かる)で直覚的、鋭角的な機動、大地に向かって超高速で突撃し激突寸前に予備動作なしで一瞬で制止などの行動で戦闘を可能としている。
それゆえにエアリーズを含むあらゆる戦力を寄せ付けなかった難攻不落のモガディジオ要塞のマルチロックも可能なノベンタ砲がトールギスのその余りの加速性能からなる桁違いの速度の機動ゆえに、ロックオン不可能になってしまったほど。
更にオプションとしてウイングゼロのウイングユニット(の発展前)を装備したトールギスFは極超音速機動が可能なウイングガンダムと同等の機動が可能なデスサイズ(ルーセット)の改良であるデスサイズヘルに勝るとも劣らないものになっており、より驚異的な機動性を持つ。
本機のテストパイロットであったオットーもまた、本機を操縦した際にその加速Gで重傷を負い、その後サンクキングダム制圧のために負傷した状態で基地へ特攻を仕掛けるが、撃墜の前にその加速Gで絶命している。
同様に、張五飛の妻である龍妹蘭が故郷のコロニーを守るためにトールギス始龍(L5コロニーで建造されたトールギスの再生産機)に搭乗した際、やはりスーパーバーニアの加速によるGに耐え切れずに負傷し死亡している。
このように、この台詞はトールギスを乗りこなすのが命がけであると端的に物語っていると言える。
しかし、ゼクスは物語が進むにつれて当初吐血や不整脈を引き起こすほど苦しんでいた加速Gに慣れていった挙句に自分の反応速度にトールギスが追いつかないと言い放ち、トレーズに至っては後継機のトールギスⅡ(性能はゼクスの乗っていたものと同一)を苦しむ素振りもなくエレガントに乗りこなしている。
ロケット打ち上げ時の負荷が10G、ジェットコースターの最大速度で約5Gとされているため、その負荷の大きさがわかるだろうか。
またとある一命を賭した耐久実験では瞬間的に約39Gに達した時点で全身の毛細血管が破裂し、一時的な失明と瀕死の重傷をおったとされている。逆に言えば、十分な鍛錬を積んだ人間ならば、瞬間的に39G未満まであくまで瞬間的にではあるが、耐えられるということである。
尚、「最も大きい重力に耐えた人間」としてギネス記録を持つF1ドライバーのデビット・パーレイは、1977年のF1イギリスグランプリの予備予選でクラッシュし、179.8GものGを受け、両腕両足を粉砕骨折、頸部も骨折させ内臓も破裂、そして一時は心臓も停止するなどの瀕死の重傷を負いながらも医師達の懸命の救命活動により生還した。
ちなみに戦闘機パイロットなどの耐G訓練を受けた人間がスーツや座席の緩和機構無し(完全な生身)で失神せずに耐えられる限界は9Gとされ、訓練を積んでいない一般人では6Gで失神するとされている。
同様に加速Gで一般的なパイロットがダメージを負う機体はギャプランやガンダムMk-Ⅴ、ユニオンフラッグカスタム(『機動戦士ガンダム00』)、ガンダムケストレルなどガンダムシリーズに度々登場している。
ガンダムMk-Ⅴはパイロットの奥歯が砕け、フラッグカスタムは限界を超えた機動で吐血し、ケストレルは半年も乗り続けた結果パイロットが脳に障害を負っているものの、トールギスのように加速Gが原因でパイロットが死に至った機体はガンダムシリーズにおいてブルーディスティニーくらいである。宇宙世紀では更に後年になると慣性緩和機能を有するV2ガンダムなど、20Gの加速を許容するMSも存在する(ただしV2は長大な加速時間を要して許容限界のGに達するものであってトールギスのように制止から一瞬というわけではない)。
『W』にはトールギスに軽く劣るとはいえ、やはり制止状態から一瞬で8Gまで加速し、そのまま超鋭角にマニューバを行い、一瞬で180度反転と殺人的かつ異常な機動性のトーラスや更には具体的な限界性能は明かされていないが、最低でも装甲とプロペラントを除くフレームのみでトールギス以上の基本性能かつトールギスもう1機分以上のスペックを持つウイングゼロ(と同等以上のエピオン)も存在する。
ゼロは背面に存在する双発のサブスラスターのみで空中を全速で逃げる可変状態のトーラスを地上待機状態から文字通り一瞬で追いつくという凄まじい事をやってのけるほど。
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