機体データ
型式番号 | ORX-005(CRX-005) |
---|---|
所属 | ティターンズ他 |
開発 | 地球連邦軍オークランド研究所 |
生産形態 | 試作機 |
全高 | 25.2m |
頭頂高 | 19.8m |
本体重量 | 50.7t |
全備重量 | 94.2t |
ジェネレーター出力 | 3,040kW |
スラスター総推力 | 183,000kg |
センサー有効半径 | 13,000m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 | ビーム・ライフル×2、ビーム・サーベル×2、ムーバブル・シールド・バインダー×2 |
概要
型式番号ORX-005(CRX-005)。
グリプス戦役期において、地球連邦軍のニュータイプ研究機関「オーガスタ研究所」が提出した基本設計を元に、「オークランド研究所」(クラークヒル湖畔に存在する事からクラークヒル研究所とも言われている)が開発したティターンズの大気圏内超高高度迎撃用可変モビルアーマー(TMA)である。
カテゴリー通り、MA形態での運用を基本としているが、アッシマーと違い空力学的に有利となるリフティングボディや、空気圧縮方式の熱核ジェットを持たず、機体背部に集中配置した熱核スラスターの大推力によって、力づくで飛行する。なお、MA形態において、推力を一面に集中させる事で高速移動力を確保するのは、可変型機全体に採用されている思想である。
このため燃費効率が極めて悪く、推進剤搭載量の関係もあって飛行航続距離は極端に短い為、大気圏内での作戦時には多くの場合、サブフライトシステムの併用か、専用追加ブースターの装備が不可欠となる。
また、加速時のGが激烈なため通常のパイロットでは肉体強度が耐えられないため、耐G強化施術を施した強化人間専用機となっていた。これは本機に限ったことではなく、本機の後に続くORXシリーズ自体、強化人間の高い身体能力によって性能を発揮する機体群であると言える。
なお、その特徴的な設計のためか古い資料では「元は大気圏外での運用を想定した」と書かれる事もある。一方で、別の資料では「最初から大気圏内迎撃用」と書かれている事もあり、挙げ句には同じ資料内でどちらも記述されている。
後年では加速時の問題点が改良され、強化されていない一般兵でも搭乗可能な機体が少数量産されている。この量産機は、大気圏外で運用される任務に多く就いており、本機のジェット推進を使用していない、つまり空気を必要としないという設計がメリットとなっている。
本機最大の特徴はシールド・ビーム・ライフル・スラスターを兼用したバインダー(ムーバル・シールド、またはムーバブル・シールドとも呼称される)を両腕に装備している事である。
シールドにビーム砲などを仕込むことは他機でも行われているが、ここまで特化したものは他に例が無い。これは、ギャプランが高高度迎撃機という機体性質上、武装を「携行」する事が現実的でない事に加え、運用戦術が「一撃離脱」を主とする為である。
ビームライフル、バーニア類はケーブルを通じてジェネレーターに直結されているため、出力、レスポンス共に高く、特にモビルスーツ(MS)形態では広い可動域を利用した、大推力の可変ベクタードスラスターとして機能する。これによりギャプランはMAの特徴である大推力を、MSに近い自由度で急激な減速や方向転換に使用し、トリッキーな機動を可能とした。その一方でこれが機体にかかる加速Gの激烈さに拍車を掛けている面もあり、メリットでありデメリットでもある。
シールドとしては、最終装甲に耐ビームコーティングが施す事でその機能を果たす。
このムーバブル・シールドはアンクシャに受け継がれる事となる。
更にギャプランは、増槽を兼ねた総推力60,600kgの大型の追加ブースターを装備する事で大気圏離脱をも可能とする。
自重相殺の必要がない宇宙空間での運用ならば、機体両側にMSを1機ずつ係留して長距離を移動する、サブフライトシステムとしての役目も果たせられる。
このブースターは、装備した状態でも本機のMS形態への変形を阻害しない優秀な設計であり、一定の汎用性も確保しているため、ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー]や後のバイアラン・カスタム2号機など他機体にも流用されている。
MA形態の強力な推力を利用した強襲や空中戦で活躍したが、ヤザンに「動きが硬い」と言われた通り、機体が大型でかつ大推力を一方向に集中した設計上、小回りの面ではむしろ劣った部類となる。
なお、ヤザンが搭乗しているギャプランは一般兵用に調整された後期生産型であるが、全天周囲モニターに欠陥があり、機体下方に死角が生じてしまう欠点を抱えていた。これはギャプランが元来抱える欠点ではなく後期型が急遽設計されたために生じた物であり、後の調整によりこの欠陥は解消されている。
その設計の優秀さはティターンズの内外で評価されていたようで、グリプス基地の開発グループはガンダムMk-Ⅲハーピュレイの開発時にギャプランの設計を参考にしていた他、他陣営ではエゥーゴとアナハイム・エレクトロニクスがメタスX-2、ネオ・ジオンがガザWとしてギャプランの機体構造や可変機構を模倣した機体を開発している。
宇宙世紀0105年を舞台にした劇場アニメ版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』にも登場。組立途中で放棄されていた機体を「マフティー」を名乗るテロ集団が再生・運用しており、その高高度飛行能力を活かして地球へ降下中の往還シャトル「ハウンゼン」にハイジャックのための人員を送り込んでいる。
なお、この機体は緑系のロールアウトカラーで塗装されている他、モノアイにも改修が加えられているようで、本来はピンク色の発光色が緑色に変わっている。
宇宙世紀0203年を舞台にした小説『ガイア・ギア』の冒頭場面の海岸にも、長期間放置された残骸が登場しているが、いかなる状況で撃墜もしくは廃棄されたのかは不明。
武装
ビーム・ライフル
左右のバインダーに各1基ずつ固定装備されている。
ジェネレーター直結型の利点として出力3Mwの高出力と連射性を両立している。劇場版では、2丁の同時射撃によりガンダムMk-Ⅱのシールドを粉砕する威力を見せた。
ただし、エネルギーをいったんコンデンサに介した後に、メガ粒子を射出するため、事前のチャージ数を撃ち尽くすとリロードに一定時間が必要となる。
ビーム・サーベル
サイドアーマー内に格納された接近戦用武装。出力0.6Mw。
本機の設計思想上、使用が想定される状況は限られていたが、劇中ではヤザンが二刀流によりΖガンダムと激しい剣戟を演じた。
この他にもヤザン機が、放棄されたゲルググのビーム・ナギナタを使用したこともあった。
バリエーション
ドミンゴ
型式番号ORX-003。
ゲームブック『機動戦士Ζガンダム ジェリド出撃命令』に登場。
ギャプランの原型に相当する機体で、ドダイなどのサブフライトシステムに依存しない単独飛行能力の獲得を目指して、グリプス戦役前夜に試作されたもの。
可変機としての技術が未成熟だったためか、エンジン出力の低さや可変機構に起因する機体の肥大化、MS形態からMA形態への変形所要時間が10秒弱と長いといった欠陥を抱えている。
試験が行われていた連邦軍バックランド基地が反連邦組織に占拠された際に本機も奪われており、ハイザックで鎮圧に向かったジェリド・メサ士官候補生と交戦している。
ギャプラン改
型式番号MAK-005S。
ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場。
クワトロ・バジーナのダカール演説の効果によってカラバに配備されたギャプランの改修機。
詳細はギャプラン改を参照。
ギャプランTR-5[フライルー]
型式番号ORX-005。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場。
頭部をガンダムTR-1[ヘイズル]と同様にガンダムタイプ(ただし1号機のカメラはモノアイ)の物へ変更し、ムーバブル・シールド・バインダーをヘイズルなどでテストが行われてきたシールドブースターへと換装したデチューン機。
詳細はギャプランTR-5を参照。
ガンダムTR-6[ウーンドウォート]フライルーⅡ形態
形式番号RX-124HR。
『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場。
改定前の名称はガンダムTR-6[ギャプランⅡ]。
ギャプランの腕とムーバブル・シールド・バインダーを使用しているが、機体特性はギャプランともフライルーとも異なるパーツ評価試験用の形態。
詳細はガンダムTR-6を参照。
ギャプランカスタム エリシアスペシャル
型式番号ORX-005CS。
漫画『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル 天空の学校』に登場。
エリシア・ノクトンの乗機だったギャプランを、ル・シーニュとの戦闘で損傷した際に試作パーツを用いて修復した機体。
改修内容は武装面の強化が主で、右腕シールド・バインダーは2連装ビーム・キャノン内蔵の新型タイプに換装、反対に左腕バインダーは火器を排除し、防御及びブースターとしての機能を重視した仕様としている。また、股間部にはガトリング機関砲及びビーム・キャノンを1門ずつ内蔵し、ドッグファイト時の火力が向上している。
ただし、外見は原型機とは大きく印象が異なっているが、本質的なスペックにはさほど向上が無く、関係者からは「(エリシア自身の才能の限界を含めて)見せ掛けだけのハリボテ」と揶揄されていたようである。
ギャプラン(イングリッド0機)
型式番号ORX-005。
漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場。
ムーバブル・シールド・バインダーが大型のものに変更、小型バーニア2つから大型バーニア1つになり推力が強化、大型化したビーム・ライフルは火力が強化された他、銃身は稼働する機能が追加される。さらに、通常のビーム・サーベルに加えてバインダー表面に固定式のビーム・サーベルを搭載、格闘戦に即座に対応が可能になった。バインダーの改良に対応するためか、接続のためのアームは2本に増えている。
バインダーは機体を包む形の稼働に変更され、ビーム・ライフルが機首に配置される。この状態でのビーム・ライフルは高火力のメガランチャーとしても使用できる。
外装にはジョニー・ライデンを思わせる赤と黒のカラーリング、エンブレムが施されている。
パイロットはジョニー・ライデンを名乗る少女イングリッド0。
レッド・ウェイラインの乗るコア・ブースタープラン004を襲撃するが、レッドの奇策により環境プラントへ墜落し、機体は放棄された。
ギャプラン・トレーナー
型式番号不明。
ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場。
ギャプランの練習機型。
詳細はギャプラン・トレーナーを参照。
シュツルム・イェーガー
形式番号ORX-005EX。
漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』を初めとする近藤和久の漫画作品に登場。
『ジオンの再興』の作中ではネオ・ジオン軍の制空用MSとして扱われており、宇宙世紀0090年代にネオ・ジオン軍で運用されているハイザックやマラサイ同様、連邦・ティターンズの機体を接収したものと思われる。
詳細はシュツルム・イェーガーを参照。
ビルドブースターMk-Ⅱ
アニメ『ガンダムビルドファイターズ』に登場。
「ティターンズがギャプランを参考に開発した、ガンダムMk-Ⅱ5号機用の強化ユニット」という設定で、イオリ・セイが製作したカスタムガンプラ。
詳細はビルドガンダムMk-Ⅱを参照。
立体物
1/144、HGUCシリーズにラインナップ。 劇中同様にMS形態⇔飛行形態に可変可能。HGUCには、専用の大型ブースターとスタンドが同梱する。
ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズにラインナップ。※現在、入手困難
関連動画
関連項目
フライダーツ - ギャプラン以前に高高度迎撃任務に就いていた戦闘機。
ファーヴニル(アーマー形態) - ギャプランに偽装した外装を持つ機体。