機種統合計画
きしゅとうごうけいかく
メディアミックス作品『ADVANCE OF Ζ』シリーズに登場する兵器「ガンダムTR-6」に組み込まれた計画。
前身機にあたるガンダムTR-Sやその試験機のガンダムTR-1で試験された、戦況に応じた装備の柔軟な換装によって機体特性を変化させる「万能化換装システム」のコンセプトを更に推し進め、ガンダムTR-6を基底としあらゆるモビルスーツの代替後継機として運用する計画がこの機種統合計画である。
機種統合計画はティターンズ・連邦全軍の装備をガンダムTR-6に一本化し、様々なモビルスーツの開発により規格が乱立し悪化した整備性を改善する構想だった。
前身のTR-Sが採用した万能化換装システムを突き詰めた結果、TR-6という統合された兵器体系は(細かなパーツ違いを含め)「無限のバリエーション」に派生すると言われるほど、宇宙世紀でも比類のない規模となっていた。
また、それにより複雑化した操縦系を統括制御するために高度な「並列思考能力」「学習能力」「自律性」を備えた疑似人格OS「強化人間人格OS(BUNNyS)」も並行して開発された。こちらについての詳細は親記事のガンダムTR-6を参照。
基本的にはグリプス戦役当時のモビルスーツ運用思想である「可変による全領域対応」を基本コンセプトとし、素体MSはモビルアーマー形態への変形機構を有する。どの戦場においても常に最高の性能を発揮するべく各種オプション・強化パーツの換装によって多種多様な形態を採る事が可能となっており、パーツの換装と可変を併用しその特性を激変させる。
万能化換装システムのオプションとして開発された強化パーツ群はこれまでのTRシリーズで実験されてきた数々の技術がフィードバックされており、その外見は板金を繋ぎ合わせた直線的で簡素な外見が多かった試験用パーツと比べ空力特性にも配慮されており、曲面的な一体成型のエアロフォルムを主体とし量産・実用を前提とした工業製品としてブラッシュアップされたものが多い。
またこの換装パーツの一部はTR-1およびTR-5と規格が共通しており共用となっている。
また、機種統合計画に発展するにあたって新たにTR-6に盛り込まれた、四肢を折り畳み関節部のジョイントを露出させる「四肢換装形態」と呼ばれる変形機構は、代替元となるモビルスーツの手足を接続することによりその性能を再現することが可能となる。
単純にTR-6本体に勝るスペックのパーツを付けることでその利点を獲得するといった運用以外にも、前世代機のパーツを付けることで意図的に機能を限定しTR-6への機種転換を容易にするといった運用も視野に入れられている。
先述の通りガンダムTR-6は無限大とも言える拡張性を有しているが、その換装形態にはある程度の法則性があるため、大まかに6つのカテゴリーに分ける。
- Gパーツ形態
- 素体
- 四肢換装形態
- アドバンスド・ウーンドウォート
- 超重装備形態
- 最終形態
なお、機種統合計画の絡まない純粋な万能化換装システムによる換装形態も便宜上纏めて記述する。
また、現在HGUCで発売されている形態は●、複数キットのミキシングで特別な改造をせず再現可能な形態は▲の記号を付ける。
『ティターンズの旗のもとに』から設定が存在していた形態については書籍『機動戦士ガンダム新訳MS大全集 U.C.0081-0090編』にて各種形態への型番の追加や名称の変更など大規模な命名規則の改訂が行われており、以前は「ガンダムTR-6[〇〇Ⅱ]」と呼称されていた形態の殆どが「ガンダムTR-6[ウーンドウォート]〇〇Ⅱ形態」と呼ばれるようになった。
『Re-Boot』においても大全集刊行以降の公開分については改訂後の名称へに準拠しており、複数の名称が存在する理由についてもVol.76にてグリプス戦役末期の混乱から本来の命名法則と異なる名称が使われたためと説明されている。
なおティターンズでは実戦配備が始まる前に終戦を迎えたため、ティターンズ仕様についてはハイゼンスレイⅡ形態とインレ形態(ファイバーⅡ形態とダンディライアンⅡ形態の合体)以外のほぼ全てがペーパープランとなっている。
その他『Re-Boot』から新たに設定されたため改訂の影響を免れたものや代替機形態の名称自体に変更が加えられているものは当該項目で解説する。なお、括弧内はレジオンにおける型番とする。
Gパーツ形態
宇宙戦闘機としての側面を持つGパーツとして開発されたFF-X29A[フルドド]試作機のコンセプトを源流としている以下の4形態は頭部や四肢を備えておらずMS形態への変形もできないため、専ら戦闘機ないし非可変の小型モビルアーマーとして運用されている。
また、それそのものが強化用パーツの塊と言っても過言ではない機体構成をしており、他のモビルスーツに装着することでドッキングしたモビルスーツの火力や機動力などを強化できるようになっている。
FF-X39A(ARZ-124) [フルドドⅡ]▲
[フルドド]試作機の完成形としての形態。
[プリムローズⅡ]とドラムフレーム、そして[ウーンドウォート]の股間部サブアームとマルチ・コネクター・ポッド兼用ブーストポッドを中核とした胴体の左右にショルダー・ユニットを接続した形態。本形態は胴体と左右のショルダー・ユニットと併せ計3基の大型ドラムフレーム有する。
ブーストポッド部とショルダー・ユニットは『Re-boot』のある時期までは直接連結されていたが、Vol.83以降はオプション式の小型ドラムフレームとベロウズフレーム(蛇腹状に伸縮可能なフレームジョイント)を組み合わせた「マルチ可動フレーム」で繋ぐ形に再構築された。
ブーストポッドは後ろ斜め上を向いており頂点のハッチがプリムローズⅡの尾部で押さえられる形になっているのでハイ・メガ・キャノンは恐らく発射不可。
サブアームにはTR-6用に開発された複合兵装「コンポジット・シールド・ブースター」を掴んで懸吊している。
また、『Re-Boot』では94式ベースジャバーのものに似た円柱状のシュツルム・ブースターをドラムフレームに接続した形態が描かれた。
Gパーツとして本形態のショルダー・ユニットを装着したMSはフルドド試作機とドッキングしたガンダムTR-1が[ヘイズル・ラー]と呼称されたことに倣い、[フライルー・ラーⅡ]のように機体名の後に「ラーⅡ」が付く。
専用のラッチを持つガンダムTR-1にのみ対応していたフルドド試作機と異なり、腰部ドラムフレームを有する機体ではドラムフレーム同士の接続、トランスパック対応の機体ではバックパックをヘイズル系に交換して可動式ブースター・ポッドへの接続、それらを持たない機体では股間部へのベロウズフレームもしくはサブアームでのホールドと多種多様な接続方法に対応しており、加えてマルチ可動フレームで繋がったショルダー・ユニットとドラムフレームで肩を挟み込むという3点で固定するドッキング方式により装着可能なMSを選ばないようになっている。
ただショルダー・ユニットのみ先行して完成していたグリプス戦役末期に実戦投入された仕様は、肩部を挟み込んだだけの[フライルー・ラーⅡ]や試作フルドドのコクピット・ブロックを介して可動式ブースター・ポッドに接続された[ヘイズル・ラーⅡ]など胴体部が欠けた分解状態でドッキングされていた。
一部のMSは[ヘイズル・ラー]同様に下半身にも装着することができ、計2機分、4基のショルダー・ユニットを装着したMSもまたガンダムTR-1に倣い「ラーⅡ第二形態」と付く。
(ARZ-124HBⅡ) ガンダムTR-6[ハンブラビⅡ]
『Re-Boot』で新たに設定された試作型フルドドとハンブラビMA形態の代替機。試作型フルドドのスラスター・ウイング・ユニットはハンブラビのバインダーの基となっており特に2機合体したMA形態[フルドド・ラー]は「TRハンブラビ」とも呼ばれたため、代替機形態である本形態はその要素を継承してハンブラビⅡと名付けられた。
そのため他の代替機形態と比べると、MS形態への変形を可能としたハンブラビに対するGパーツならびにMAとしての性能を追求したハンブラビⅡと枝分かれした兄弟としての色が強い立ち位置になっている。
[フルドドⅡ]のブーストポッドとプリムローズⅡの配置を逆転してブーストポッドを機首側に配し胴体部ドラムフレームにはヒート・ブレードらしき部位を有した尻尾状のスタビレーターを増設、ジェネレーターを有した新設計のウイング・バインダーをショルダー・ユニットのドラムフレームに1対、TR汎用強化パーツのハイメガ粒子砲ユニットを胴体上部に接続した形態。マルチ・アーム・ユニットにはビームキャノンを接続している。
また、ブーストポッドやビームキャノンは[アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態の上半身を構成するパーツでもあり、ウイング・バインダーは『Re-Boot』で新たに画稿が描き起こされたハイゼンスレイⅡ形態のテール・バインダーにも転用されている。
バーベイン・ラーⅡはフルドドⅡではなくこちらの形態でGパーツを纏った現状唯一の装着例。
(ARZ-124HBⅡM) アクア・ハンブラビⅡ●
TR-6のハンブラビⅡ形態をもとに構築された水中用形態。
ショルダー・ユニットはドラムフレーム側面のウイング・バインダーが取り払われハイドロジェット式ブーストポッドに換装され、前方に4連装マイクロミサイルポッドを装着し水中における性能を重視した「アクア・ユニット」となった。このハイドロジェット式ブーストポッドはGパーツとして装着される際は上面に組み直される。
胴体部のハイメガ粒子砲ユニットもハイドロジェット式ブーストポッドに換装されたため、ハイドロジェット式ブーストポッドは計3基装備している。
尻尾状のスタビレーターの先端はハープーン・ガンに換装されている。
マルチ・アーム・ユニットにはウインチ・キャノンに代わり4連装小型ミサイルランチャーを内蔵した水中用シールドブースターを装備、更に表面に大型のSLCM(水中発射式巡航ミサイル)を2発、計4発装備することが可能。
また、コンポジット・シールド・ブースターも銃身を取り囲むように炸裂式ハープーンを4本装備したフェダーイン・ライフル「バハル・ライフル」に持ち替えられている。
Gパーツ「アクア・ユニット」として本形態を装着した機体はアクア・ジムの代替後継機となり、ジムⅡ・ラーⅡ・アクアやアクト・ザク・ラーⅡ・アクアのように機体名の後に「ラーⅡ・アクア」が付く他、一部のMSはアクア・ハイザック、アクア・ウーンドウォートのように機体名の前に「アクア」が付く。
ドッキングする際はフルドドⅡと同様に両肩をホールドしドラムフレームか可動式ブースター・ポッドへの接続、あるいはアームで股間を掴む3点で固定しドッキングする。ただアクア・ハイザックのようなドラムフレームも可動式ブースター・ポッドも有していないながらも股間をホールドしていないドッキング方式のものもある。
素体
TR-6の基底となる可変モビルスーツ形態。Gパーツ形態には無い頭部や四肢を有しているため、広義にはこの状態すら換装形態と言える。
背骨ドラムフレームを中心に頭と胸を腰部ブーストポッドに収納し四肢を折り畳む事でモビルアーマー形態へと変形可能。
ヘイズルⅡ形態やキハールⅡ形態などごく一部の代替機形態は腕と脛を折り畳んだ四肢換装形態(後述)を経ずに直接強化パーツを外付けした形態なので、このMA形態への可変機構を維持している。
RX-124(ARZ-124WD) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]●
名称はイギリスの児童文学『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』に登場するエフラファ村を治める暴君のうさぎ「ウーンドウォート将軍」に由来。
ウーンドウォートは万能化換装システムとガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]の構想を土台に、機種統合計画を反映させて換装システムの基幹となるように構成された。
モビルスーツとしての最もベーシックな形態となっており、例外はあれど通常はウーンドウォートを中核とし各種形態に換装することになる。
MA形態時には上下反転した姿勢になり機首部分に位置する丸型ブーストポッドから噴射するガスにより冷却フィールドを形成することで、大気圏突入が可能となっている。
RX-124+FF-X39A×2 ガンダムTR-6[ウーンドウォート・ラーⅡ]▲
[フルドドⅡ]のショルダー・ユニットを装備したウーンドウォートのラーⅡ形態。ショルダー・ユニットはフルドドⅡ2機分を用い両肩のみならず腰部両脇にも装着した所謂「第二形態」がデフォルト。
大型ユニットの接続ハブとしてフルドドⅡのドラムフレームが利用されることから超重装備素体として振る舞うことの多い形態だが、元から高性能機であるウーンドウォートの性能を更に底上げする形の強化となっているため、この形態でも戦闘能力は十二分に高い。
両肩にクロー・ショルダー・ユニットを選択しロング・ブレード・ライフルのバレルを噛ませた形態は「中距離支援形態」と呼ばれる。
『Re-boot』において初めに一部加筆修正が施された画稿では臀部ブーストポッドがマルチ・コネクター・ポッド兼用の角張ったタイプに変更された。その後新たに描き起こされた接続図解では、臀部ブーストポッドは外さずに本体とフルドドⅡ胴体側のドラムフレームを連結し、両肩のショルダー・ユニットが背部角型ブーストポッドへ繋がるマルチ可動フレームの2点で接続される形に描き直された。
ガンダムTR-1[ヘイズル・ラー]同様にギャプランの増加ブースターユニットを接続してクルーザー形態となることも可能。
(ARZ-124WDM) ガンダムTR-6[ウーンドウォート・ラーⅡ・アクア]▲
[アクア・ハンブラビⅡ]を背部に装着したウーンドウォートで、別名[アクア・ウーンドウォート]。
アクア・ハンブラビⅡの角型ブースト・ポッド両脇にはフリージーヤード1対がオプションとして装着されている。
武装はアクア・ハンブラビⅡ同様にアクア・ユニットから伸びるマルチ・アーム・ユニットに水中用シールドブースターを2枚装備している一方、携行武装はアクア・ハンブラビⅡに付随する「バハル・ライフル」ではなくウーンドウォートから引き続きコンポジット・シールド・ブースターを装備している。
RX-124HZ ガンダムTR-6[ウーンドウォート]ヘイズルⅡ形態●
大気圏突入能力を必要としないミッションでの運用を想定した[ヘイズル2号機]高機動仕様の代替機形態。
本体の基本構成はほぼウーンドウォートだが、腰部ブーストポッドは冷却ガス噴射機能を廃したマルチ・コネクター・ポッド兼用の角張ったものに換装され、そこにコンポジット・シールドブースターを2基懸架している。
コンポジット・シールドブースターはヘイズル同様に増速用のブースターの他、2門の高出力ビームキャノンとして使用される。
基本形態ではキハールⅡ(後述)のスプレッド・ビームを内蔵した腕部強化パーツをシールドとして装備し、ガンダムMk-Vと同型のビームライフルを装備する。(なお、MA形態時におけるシールドは画稿には描かれていない。)
『Re-Boot』では四肢換装形態から性能の再現を試みたバリエーションが新たに設定された。(後述)
RX-124KH(ARZ-124KHⅡ) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]キハールⅡ形態●
決戦兵器であるインレ形態への搭載を企図して開発された護衛艦載機形態。機種統合計画におけるアッシマーとバイアランの後継機である。
ウーンドウォートにプロトタイプアッシマーTR-3のデータを基に開発された強化パーツを装着し、アッシマーの形状を模した円盤状のMA形態に変形する小型可変MSで、肩部強化パーツのジェットエンジンをはじめとした空戦用のオプションを装着している。
オッゴ胴体と同系のメインカメラを内蔵した頭部カバー(記事イラストでは未装着)を有しており、そのすぐ後ろにはサイコミュ・リンク用の長大なブレードアンテナを持つ機首フェアリングがドラムフレームから伸びるアームを介して配される。このアンテナはフェアリング内に収納可能な他、内蔵センサーが下記MB形態でも正面を向けられるよう基部に回転軸が設けられている。
胸部から前方に伸びる大型の姿勢制御用バインダーは高機動型ガルバルディβの物を発展させた物で、MA形態時は左右に分割され、機体上面から後方に伸びる1対のAMBAC作動肢となる。
MA形態やMS形態の他、空中での機動戦を想定し肩部強化パーツがMA形態同様に横倒しで機首のフェアリングも同様に横に寝かせた中間形態(MB形態、何の略称かは不明)も持ち、この形態がバイアランの後継を兼ねる所以となっている。
他のMSを乗せて航行するサブフライトシステムとしての機能も有しており、アドバンスド・ウーンドウォートとはクローアームを介してドッキングする事が出来る。
両腕の大型シールドである腕部強化パーツにはスプレッドビームが搭載されており、加えて肩部強化パーツ正面にもスプレッドビームを搭載している。初期のイラストではロゼットTR-4の強化ロングレンジライフルやヘイズルⅡのビームライフルを持つものがあったが、コンポジット・シールド・ブースターに統一されている。
キハール以外のT3部隊で運用されたTRシリーズのデータも反映されており、中間形態ではヘイズル改のイカロス・ユニットによるMS単体での空中戦闘能力のデータが、MS形態ではロゼットのホバリング・スカート・ユニットを元にした高速制圧戦闘能力のデータが活かされている。
火星ジオン残党「レジオン」において量産され、サイコミュに対応した同組織のアリス親衛隊の専用機として運用された。
色はウーンドウォート本体は黒が主で、強化パーツは赤が主となっている。その形状と所属から敵対するジオンマーズからは「アリシアの輪っか」という異名で恐れられている。
RX-124KH ガンダムTR-6[ウーンドウォート]キハールⅡ形態EWACタイプ
臀部をアッシマーと共用のレドームタイプ大型ブーストポッドに換装したEWAC仕様。能動的な索敵要員。
MA形態における姿勢制御用バインダーは機首付近から前方に伸びる形に変わっている。また、MS形態での運用は考慮していないため、画稿はMA形態とMB形態のみでMS形態のものが存在しない。
RX-124KH/AD(ARZ-124KHⅡ) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]アドバンスド・キハールⅡ形態
キハールⅡ形態の強化仕様。クィンリィ形態(後述)の両肩部にバインダーとしてドッキングしている仕様もこの形態をとる。頭部にはハイメガ粒子砲が、肩部には強化パーツに被せるような形で2基のマルチウェポンコンテナが増設されている。
増加した重量に対応するためにアドバンスド・ウーンドウォートと共用のホバー式増加ソールユニットが使用されている。(『ティターンズの旗のもとに』の頃の設定ではシンプルなソールユニットを足先に装着する形だったが、『Re-Boot』におけるホバーユニットの設定に伴い没になった。)
クィンリィ形態とのドッキング時には無人状態での運用も可能。
四肢換装形態
大半の代替機形態はこれに該当し、腕部と下腿部を折り畳んだガンダムTR-6に元となるMSの四肢が増設される形態。しかしバイザックⅡ形態(ゼク・アインの腕部にマラサイの脚)やティターンズの想定した[バーザムⅡ](ヘイズル・アウスラの四肢)など元のMSのパーツを殆ど用いていない代替機形態もいくつかある。
TMAの代替機形態であるフライルーⅡ形態などもMA形態の画稿は存在しないが、ギャプランTR-5[アドバンスド・フライルー]の代替機形態であるアドバンスド・フライルーⅡ形態だけは例外で簡易的な姿勢の変更に留まっているが形態を変化させた画稿が存在する。
ガンダムTR-6[ヘイズルⅡ]▲
先述のヘイズルⅡ形態と同じくガンダムTR-1の代替機形態ではあるが、こちらは同機の四肢を接続した四肢換装形態で、脚部推力や拡張性を強化した[ヘイズル改]以降のバージョンの代替機となっている。
ヘイズル自体が様々な形態を持っているためその代替機形態であるヘイズルⅡのバリエーションも多岐に渡り、単純にウーンドウォートにジム・クゥエルの腕部とヘイズル系の脚部を接続した[ヘイズル改]の代替機の他に、肩部装甲をラッチ付きの強化型に、ブーストポッドを上記のヘイズルⅡ形態同様に角型のものに換装しコンポジット・シールド・ブースター2枚を接続、脚底部補助スラスター・ユニットを装着した[ヘイズル・アウスラ]の代替機形態が存在し、ブーストポッドに接続する装備の変更や腕部ミサイルポッドバインダーの装着などにより各種仕様の再現も可能となっている。
また、四肢をヘイズルに発展する前のジム系のものにデチューンした[ジムⅡ]や追加装備を施した[バーザムⅡ]などの発展型も存在する。
RX-124HR ガンダムTR-6[ウーンドウォート]フライルーⅡ形態▲
改訂前は「ガンダムTR-6[ギャプランⅡ]」という名称だった。
ガンダムタイプの主力量産機化を目的に、各種パーツの評価試験用に用意された形態。
ギャプランの腕とムーバブル・シールド・バインダー、ヘイズルの足を接続し、腰部にはマルチ・コネクター・ポッド兼用タイプのブーストポッドを介してシールド・ブースターを2枚装備する。
フライルーの名称を冠しているが、ギャプランのように尖った性能は無いとされ、過不足の無い戦闘が可能。機体特性はむしろガンダムやジムに近い。
(ARZ-154BZ2) ガンダムTR-6[バーザムⅡ]●
連邦系主力機の代替後継機として、TR-Sの簡易量産型であったバーザムを模した形態。
ヘイズルⅡ形態(四肢換装形態)の発展形態のため四肢にはガンダムTR-1のパーツが用いられており、他のバリエーションと比較して統合性能で劣るが扱いやすく、練度の低いパイロットであっても運用が可能。
ドラムフレームにはバーザムのものと同型のテールスタビレーター、胸部には対ミサイル防御用スプレッドビーム内蔵の増加装甲、折り畳まれたTR-6の腕部にはプリムローズの増加装備の発展型であるミサイルポッド・バインダーが装着されている。
頭部はガンダムフェイスの殆どが覆われているほか、バーザムを模し前後並んで垂直に2本伸びるブレードアンテナを持つ。これはキハール系などと同様のサイコミュ・リンク用アンテナであり、後のユニコーンガンダムのように左右に展開することで僚機EWAC機とサイコミュ・リンクを形成し高度な連携を取ることが可能となるほか、ガンダムフェイスを曝け出す「変身」による敵味方への心理的影響を期待して作られている。
頭部の変形はバイザー部のヒサシ下部分が下りてガンダムフェイスを隠すようになっており、ブレードアンテナはただ左右に開くだけでなく、ブレードアンテナに隠れた部品が前部に移動する構造になっている模様。
レジオンにおいてはアリス親衛隊のキハールⅡダイアナ機を換装する形で調達、特務部隊の隊長ウェンディの乗機として供与され、巨大なホバリングスカート「グラン・ユニット」を装着した「グランバーザムⅡ」として運用している。
レジオン仕様の機体は四肢がバーザムのものに変更されているなど、細部がTR計画で想定されていた物と異なっており、地上走行用のグラン・ユニットを装備する事で砂漠地帯でも機動性を損なわずに移動でき、ガンダムTR-1などに用いられていたシールド・ブースターを併用することで更なる高速化も可能。また、サイコミュリンクは監視衛星エレノアとの連携も視野に入れられている。
ちなみにレジオンの運用するガンダムTR-6はフラッグシップ機であるリハイゼ(後述)の素体も含め基本的に黒で塗装されているが、本機に用いられているガンダムTR-6は例外で素体も一部の強化ユニットや他の運用MSと同様に赤で塗装されている。
RX-124BZ(ARZ-124HZ2) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]バイザックⅡ形態▲
改訂前は「ガンダムTR-6[ハイザックⅡ]」という名称だった。
TR-6をジオン系の代替後継にした形態。バーザムⅡと同じく機体特性を前世代機に近づけることで扱いやすいようにしたもので、第2世代モビルスーツに慣れた一般パイロットに向けたアセンブリ。
ハイザックの腕とマラサイの脚を接続している。腰部ブーストポッドはマルチ・コネクター・ポッド兼用タイプへと変更され、[フルドドⅡ]のショルダー・ユニット2基が接続されている。また、ショルダー・ユニットを接続せず腕をゼク・アインの物に換装したバリエーションも想定されていた。
武装としてアッシマー用のビームライフルを携行する他、右背部のショルダー・ユニットにウィンチ・キャノンを装備する。ゼク・アインの腕部を装備した仕様は第三種装備に準拠するため120mmマシンガンとクレイ・バズーカを携行する。
なお、本機は改定後の名称の基となっているバイザックTR-2[ビグウィグ]の機体特性は有していない。
ガンダムTR-6[ジムⅡ]▲
TR-6を連邦系の代替後継機にした形態。D型系ジム系の四肢を接続している。なお、RGM-79RならびにRMS-179ジムⅡとはジムの後継である点以外の繋がりは無い。
バーザムⅡ及びハイザックⅡ同様に機種転換を容易にすることを目的とした一般パイロット向けのデチューン仕様。
ガンダムTR-6[リバウンド・ドックⅡ]
『Re-Boot』で新たに設定された形態。建機形態とも呼称される。
火星のアルカディアシティ郊外で発生したティターンズ残党によるテロ(という事になった。復旧作業に向かった作業員の一人が元ティターンズで作業から逃げたため)からパイプラインを保守するためにダイアナが換装した応急形態。
野戦換装の最たる例のため右腕に増設パーツは無く展開したままとなっている。脚部にローザックのものを、左腕にリバウンド・ドックのクレーンアームを、胴体部ドラムフレームにブーストポッドに代わりノンブラビのドリルテールを接続している。
ただし上記の特徴は『Re-Boot』の解説ページ用に書きおろされた画稿のため『くろうさぎのみた夢』ではそのままの形態にはなっておらず、ダイアナ機がキハールⅡ用強化パーツを排除後にローザックの脚部とリバウンド・ドッグのクレーンアームを換装しているが、ノンブラビのドリルテールはシンシア機がキハールⅡ形態のまま装着してノンブラビの撃破に使用している。
RX-124HR/AD ガンダムTR-6[ウーンドウォート]アドバンスド・フライルーⅡ形態
改訂前は「ガンダムTR-6[フライルーⅡ]」という名称で、このフライルーⅡの名前は旧名称ガンダムTR-6[ギャプランⅡ]へスライドすることになった。
ギャプランTR-5[アドバンスド・フライルー]に用いられていたTR汎用強化パーツ(ウイング・ブースター2基、頭上ハイ・メガ・キャノンユニットとその上のマルチウェポンコンテナ)を組み込み、ガンダムTR-1あるいはバーザムの脚部を取り付けた高速迎撃形態。
両腕は他のMSの腕部の代わりにウイング・ブースターを装着したコンポジット・シールド・ブースターが肩部に直付けされ腕部の代わりとして振る舞っている。
コンポジット・シールド・ブースターをライフルモードにし胸部の強化型ウインチ・キャノン、頭部ハイ・メガ・キャノンと共に運用する長距離射撃を主観に置いた射撃モードと、ウインチ・キャノンを後方に折り畳み、ベロウズフレームを伸ばしたクローモードのコンポジット・シールド・ブースターによる近接戦闘を行う格闘モードの2形態を持つ。
また本機はアドバンスド・フライルーから引き続きMA形態への変形はしないとされているが、頭部を胸部に収納し脚部を後方へ投げ出した簡易的な変形を行うことでMAに近い一撃離脱に適した姿勢へ変化する。
なお、初代AOZから存在する画稿では先述の通りガンダムTR-1の脚部を装備しており格闘モード時はパージされていたが、『Re-Boot』で新たに描き起こされた一撃離脱用の射撃モードの画稿ではホバーユニットを装備したバーザムの足がパージされずに付いている。
また、肩部と腰部にショルダー・ユニットを接続し素体を[ウーンドウォート・ラーⅡ]することで[フライルー・ラーⅡフルアーマー]形態となり、クィンリィ形態などの大型形態のコアMSとしても扱われる。
レジオンにおいては副総裁グロリア、及びアリシアのクローン達により運用された。
ガンダムTR-6[ウーンドウォート]フライルーⅡ・フレア形態(仮称)
副総裁グロリアのクィンリィ・フレア形態(仮称、後述)が損傷を受け、戦況に対応するために応急換装した形態。
大破した友軍機のパーツを回収・換装しアドバンスド・フライルーⅡ形態に似た形態と姿を変えている。
両脇に接続していた数珠繋ぎのコンテナとアドバンスド・キハールⅡ形態のTR-6、臀部のダイダロス・ユニットを排除しバーザムの脚部を装着している。
フレア・ユニットのギガンティック・アームはクィンリィ・フレア形態から引き続き2セットを重ねて2本の腕としており、有線制御により射出可能なほか、上下に展開するとそこからフレアユニット構成部材のひとつである強力なハイ・メガ・キャノンが一対覗く。このハイ・メガ・キャノンは追加バレルで強化されたフェンリス・ヴォルフのハイメガ粒子砲さえ押し返せる威力を誇る。
このギガンティックアーム4本による構成はフレア・ユニットの本来の運用機であるガンダムTR-Sのフライルー形態(画稿未公表)にも用いられているとされる。
地球圏から帰還したジオンマーズの敵MSを蹴散らす中で被弾で更に損傷したようで、敵旗艦ミダラーンに取り付いた際にはギガンティック・アーム以外のパーツが排除されていた。
アドバンスド・ウーンドウォート
ZZガンダム、Ex-SガンダムなどΖ計画の次世代可変機を上回るために開発された形態であり、同時にティターンズ上層部が欲した「フラッグシップ機としてのガンダムタイプ」への回答でもある。
ドラムフレームの2基連結による胴体部の延長、肩部中継フレームによる肩幅の延長、四肢にTR-6専用の強化パーツを装着するなどTR-6本来の拡張性をある程度犠牲に単機での性能を高めてある。
それと同時に機種統合計画におけるガブスレイの後継機として開発されたたため、MS形態とMA形態の両方でガブスレイの形状を参考にしており、脚部がクローアームになった中間形態を経てMA形態へと変形する。このためハイゼンスレイⅡ形態はガブスレイ形態とも呼ばれる。
先述の通り胴体は2基のドラムフレームを連結する形で構成されており。上半身と下半身を容易に分割できるようになっているため、単なる変形以外にもバウのように上半身と下半身の分離を伴う変形形態も持っている。
分離変形した上半身と下半身はそれぞれトップ・ファイター[ストローベリー]とボトム・ファイター[ニルドル・ハイン]と呼称される。
分離した際にハイゼンスレイⅡ形態のコクピットのコクピットとなっている[プリムローズⅡ]が存在しない[ニルドル・ハイン]側は腰部ブーストポッドのスペースにもう1機プリムローズⅡを搭載することで、パイロットが搭乗できるようになる。無人時にはBUNNySによる自動操縦となる。
RX-124HS(ARZ-124HSⅡ) ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態●
ガンダムTR-6の純粋な強化形態兼ガブスレイの代替機形態として開発された高速戦闘形態。
この呼び方の他にも「ガンダムTR-6[ハイゼンスレイⅡ]」だったり「ガンダムTR-6[ウーンドウォート]高速戦闘形態」だったりただ単に「ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]」だったりと公式の呼称が安定しないうえ、エゥーゴが戦役後に運用兵器ごと接収した衛星軌道基地「スターシップダウン」では「ガブスレイH」と呼称されていたことが判明している。更にレジオンでは上記バイザックⅡ形態と型番被りを起こしている。
本来は「[ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態」が正式名称となっているが、T3での運用時に専用強化パーツと汎用強化装備とを区別せずに運用したことや、戦役末期の混乱からTRシリーズ汎用強化パーツを装備した形態に使用される「アドバンスド」が専用強化パーツが使用されたこの形態でも使用されている。
上腕部はビーム・キャノンと腕部カバーとウェポン・ベイのセットで構成される肩部増加装備に覆われ、胸部には増加装甲を装備、臀部の丸型ブーストポッドはそのままに背部にも角型ブーストポッドを増設、脚部はカニの鋏のように配されたヒートブレードとその左右に付いた下と前後に回転可能なスラスターで構成された強化ユニットがベロウズ・フレームを介し装着されるなど全身に高速戦闘用の強化パーツを装備しており、華奢だった[ウーンドウォート]と比べかなりマッシブになっている。
また、これらの強化にあたって頭部オプションはバルカン・ポッドからギャプランTR-5のような直線的な形状の強化センサーユニットへ換装、大腿部装甲のウェポン・ベイ(肩部のそれと同じもの)への換装とそれに伴うスプレッド・ビーム砲とラッチを備えたフロント・サイド一体型のスカートの装着など他の換装形態では触れられなかった部分に関しても手を加えられている。
上半身も下半身も覆われるような形で増加装備が施されているため四肢換装形態は失われているが、[フルドドⅡ]のショルダー・ユニットは変わらず装着可能。
リアスカート等各種スラスターが生み出す莫大な推力により大気圏内でも空力特性を無視した動きで飛行・高速戦闘を行うことが可能。
さらに本形態は単独での大気圏突入能力はもちろん、大気圏離脱能力も有する。
脚部強化パーツには接地面積を増加させるソールも付属しており、着艦時や地上任務での安定性を増すことができる。
先述の通りそのままでは他のMSの脚部を接続することは不可能だが、脚部強化パーツを外しさえすればその下は一部装甲が欠けているとはいえTR-6の脚なので、他のMSの脚部への換装も可能となっており、装備例としてはガンダムMk-Ⅴの脚部を接続した画稿が存在する。その場合MA形態における脚部は前方へ向けず後方に投げ出す形となり、メッサーラ等に似た状態となる。
ただし『Re-Boot』で追加された設定によりヒートブレード部を前後に開き内側に収納されていたホバーユニットを踵を軸に倒して接地させることで地上用の形態にも変形することができるようになり、脚部換装の意義が揺らいでいる。
なお、このホバーユニットはバーザムやアドバンスド・キハールⅡ形態などにも転用可能。
武装はコンポジット・シールドブースター、背部ブーストポッドのハイ・メガ・キャノン、腰部スプレッド・ビーム砲、換装式肩部アーマーのビームキャノン。
肩部と脚部のウェポン・ベイに内蔵可能な装備は6連装ミサイルランチャーの他に基部の角度をある程度調節可能なガトリングガン、インコムなどが明らかになっている。
『Re-Boot』で追加された設定では胸部がハイ・メガ・キャノン内蔵式になり、先述の脚部のホバー移動形態の他に、ソールをサーベルホルダーとして下腿部にビームサーベルを内蔵するようになり、MA形態ではそこが展開するので同じく後付けで設定された股間部ビームサーベル同様にビームガンとして扱うことができる他、MS形態でも脚部をMA形態同様クロー状に変形させた中間形態を取り発振部を露出させることでサーベルを握らずとも振るうことができるようになっている。
また、分離MA形態では[ストローベリー]側に装備されているのが基本のコンポジット・シールドブースターも一応[ニルドル・ハイン]側にも装備して使用できることが明かされた。
更に外見上の変更点として上下ブーストポッドの間に存在したリアスカートが[ハンブラビⅡ]の強化Gパーツであるウイング・バインダーに差し替えられた(というより『ティターンズの旗のもとに』版は仮のデザインで『Re-Boot』版が決定稿と言った方がより正確)。
レジオンに鹵獲後運用されたRX-124 ガンダムTR-6[ハイゼンスレイⅡ](旧名称)はブラックヘアーズカラーはそのままマーキングが変更されレジオン建国戦争に投入されており、戦後後述のリハイゼに改装されている。
ハイゼンスレイⅡ形態のエンブレムは元々は大剣を構え甲冑を纏った兎の全身像(ペイント前に出撃となっために使用されず)であったが、鹵獲仕様では翼を広げた羽根飾りを持つ黄金の兜を被った兎の横顔となっている。元々のエンブレムは長くラフスケッチしか存在しなかったが、2024年にプレミアムバンダイから受注開始された「ガンダムデカールDX09」において清書されたものが収録されると同時に、ガンダムTR-Sのエンブレムとして再設定されることになった。
トップ・ファイターとボトム・ファイターの名称[ストローベリー]と[ニルドル・ハイン]はカウスリップといううさぎが治める村の夫婦、ストローベリーとニルドロ=ハインに由来する。
なおこの[ストローベリー]と[ニルドル・ハイン]という名称とRX-124HSという型番は2022年3月刊行の『機動戦士ガンダム新訳MS大全集 U.C.0081-0090編』にて明かされた設定である。その後、Re-Bootにおいて再度名称が変わりストロベリーⅡとニルドルハインⅡという名称となっている。
パーツの親和性から上半身の強化パーツが使われたガンダムTR-1[ハイゼンスレイ]と、脚を本形態の物に換装したバーザム「バーベイン」の下半身MA形態[ニルドルハインⅠ]は本機の名称から逆説的に数字が減らされている。
RX-124HS+FF-X39A(ARZ-124HSⅡ) ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート・ラーⅡ]ハイゼンスレイⅡ形態●
アドバンスド・ウーンドウォートが[フルドドⅡ]のショルダー・ユニットを装備する事でガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート・ラーⅡ]と呼ばれる領域支配型の上位機になる。
こちらも「ガンダムTR-6[ハイゼンスレイⅡ・ラー]」や「ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォートEX]」など他の命名規則から外れた別称をいくつも持っている。
武装はハイゼンスレイⅡ形態時のものに加え、コンポジット・シールド・ブースターが1枚追加装備されたため両腕に携えるようになり、胸部ハイ・メガ・キャノンは股間部にもブーストポッドが加わったためドーベン・ウルフのように2連装化、肩部ショルダー・ユニットから伸びるマルチ・アーム・ユニット1対にはそれぞれ強化型ウインチ・キャノンが接続されている。
サイドスカートに更に1対ショルダー・ユニットを装着することでガンダムTR-1[ヘイズル・ラー]や先述の[ウーンドウォート・ラーⅡ]同様に「第二形態」、更にギャプランの増加ブースターユニットを用いることで「クルーザー巡航形態」となりMS形態のまま長距離移動や強襲及び一撃離脱作戦が可能となる。なお、ブースターユニットを接続する際には臀部ブーストポッドは取り外される他、推力の偏向や邪魔にならないようにするためか、4基の強化型ウインチキャノンは全て後方に向けた状態となっている。
また、後述のファイバーⅡ形態やダンディライアンⅡ形態、この2機の合体したインレ形態等の管制も[アドバンスド・ウーンドウォート・ラーⅡ]で行うことを想定している。
『Re-Boot』での改定でギャプランブースターを用いたクルーザー巡行形態は「RX-124HSガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ・ラー(Ⅱ)形態ブースター装備クルーザーモード」という名称となり、臀部ブーストポッドの取り外しが不要であることが判明した。(ブースターの上に臀部ブーストポッドが被さるような配置となる)
また、ウインチ・キャノンはMA形態での格闘戦時には翼のように後方へとむけ、射撃時に前方へ向けるようになった。
レジオン仕様(鹵獲ハイゼンスレイⅡ)はショルダー・ユニット4基を用いた第二形態となっており、強化型ウインチ・キャノンは肩部の2基のみだが、下方向ではなく後方へと向けた状態となっている。
[アドバンスド・ウーンドウォート・ラーⅡ]のデザインモチーフは「ZZガンダム」および「Sガンダム」であり、「悪役の作り出した偽者」というコンセプトが織り込まれている。
(ARZ-124HSⅡM) ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]アクア・ハイゼンスレイⅡ形態
アクア・ユニットを装着したガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]の水上用形態。パイロットのオメガ・ザビが潜行能力よりも水上における機動力を取ったため、アクア・ユニットは[アクア・ハンブラビⅡ]をそのまま背負う形ではなくボトムヘビーになるよう下半身に集中している。
頭部は指揮官機としてサイコ・ブレードが装着されており、股間部に装着されたブースト・ポッドからマルチ可動フレームを介してアクア・ユニットや6枚の水中用シールド・ブースターが装着されている。
両腕にベロウズ・フレームを介して接続されているコンポジット・シールド・ブースターは裏面に水中用ブーストポッドが取り付けられており、水中用モビルビットとして運用する。
臀部には尻尾状のスタビレーターも装着されており、両手にはバハル・ライフルを携行する。
本仕様はオメガがレジオン建国戦争時に運用し、ブラックヘアーズから接収した他のMSを率いてジオンマーズの地下氷河基地に侵攻し、陥落させた。
この氷河基地は後に『くろうさぎのみた夢』においてグラン・インレ(後述)の建造工廠として利用されている。
(ARZ-125) リハイゼ
火星を拠点とするジオン残党軍「レジオン」が鹵獲した[アドバンスド・ウーンドウォート]を改修した機体。
アドバンスド・ウーンドウォートを持ち込んだティターンズ残党をして「魔改造」と称される程の大幅な改修を施されている。
レジオンのフラッグシップ機であり、同組織の指導者アリシア・ザビの専用機。ジェネレーター直結型のハイパーメガ粒子砲とサイコミュを標準装備している為、正真正銘の第四世代モビルスーツである。
装甲は総帥専用機としてサバイバビリティを高める目的でジオン規格の物が全身に渡って外装されており、ほぼ手を加えずに使用されているウーンドウォートのパーツとドラムフレームの2基連結というアドバンスド・ウーンドウォートの特徴は最低限残しているが、原型機から引き続き装備している強化パーツは胸部ハイメガ粒子砲ユニットと腕部カバー、脚部ホバーユニット程度である。
同時に肩部やサイドスカートなど機体各部に推進器が増設されており、これによって装甲増設をものともしない程の推力・機動力をリハイゼに与えている。これは火星圏では単独での飛行を可能とするだけの推力を生み出し、キハールⅡによるアシストを加える事で単独で大気圏離脱を可能とする。この改修に関しては、アリシアの「大空を飛び回る事で自身が火星の大地を支配している事を誇示する」思想が絡んでいる。
股関節部アーマーは当初他のTR-6バリエーションと同様にサブアームとしての機能を有していたが、パイロットであるアリシアの攻勢より守勢を重視する意向によりIフィールドジェネレーターに換装された。
可変機構はハイゼンスレイⅡ形態からそのまま残されているが、背部ブーストポッドは胴体部外装と一体化したものに改められ、肩部や脚部、リアスカートなどの増加スラスターにより機動性が更に底上げされた一撃離脱戦法を強く意識した構成となっている。
なおリハイゼでは分離MA形態に固有の名称を付けられておらず単にそれぞれ「トップファイター・リハイゼ」、「ボトムファイター・リハイゼ」と呼称される。
また、コンポジット・シールド・ブースターは左右に増加パーツを設け推力を強化しているほか、ロング・ブレード・ライフルのバレルをヒート・ブレードを廃した連射型冷却バレルに換装するなど、クローを残して格闘兵装としての機能を削り射撃兵装としての機能が強化されている。
他に追加武装として肩部強化パーツ内に自軍のハイザックがバックパックに搭載しているものと同じヒート・トライブレードが1対仕込まれている。
超重装備形態
ウーンドウォート・ラーⅡに接続された増加ドラムフレームの強度に物を言わせ、モビルスーツそのものやモビルアーマーの一部などといった重量級の装備を全身に纏った形態。
大火力による敵の制圧や敵が巨大な兵器をぶつけてきた際のカウンターとしての運用を目的としている。
RX-124QL(ARZ-124QN) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]クィンリィ形態
TR-6の拠点防御形態。
名前の由来は『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』ではなく、上部3基のマルチウェポンコンテナを女王の王冠に見立てたもの。ガンダム試作3号機の事実上の後継機であり、GP計画が抹消されなかった場合デンドロビウムⅡと呼ばれていた可能性があった。
エンブレムは王冠とドレスを纏い杖を携えた豊かな髪を持つ兎の正面図という名前に即したストレートなもの。
ガンダムTR-1の脚部を排除しウイングブースターを腰部に移したフライルー・ラーⅡフルアーマー形態の両肩ドラムフレームに、2機のアドバンスド・キハールⅡ形態のTR-6をバインダーとしてドッキング。各アドバンスド・キハールⅡ形態のドラムフレーム部には腕のようにコンポジット・シールドブースターが接続されているほか、背部にもキハールⅡの機首フェアリングが接続されている。
マルチウェポンコンテナは単純にアドバンスド・フライルーⅡ形態の1基にアドバンスド・キハールⅡ形態2機分(4基)が追加されて5基に増えた。この5基のコンテナが冠を連想させるため女王形態とも呼ばれる。
更にダイダロス・ユニットを臀部に装備しており重力下での飛行も可能となっている。
戦略兵器であるのインレの投入は戦場によっては費用対効果が見合わず、政治的影響も考えられるため、代替兵器として用意された。
ガンダムTR-6[ウーンドウォート]クィンリィ・フレア形態(仮称)
『Re-Boot』で新たに設定された形態だが、『くろうさぎのみた夢』における描写のみで設定画と解説文は未公開。
レジオンにより仕様変更が施されたクィンリィがフォボス宇宙港で地球圏から帰還したジオンマーズを迎撃する際に投入。
藤岡建機氏は「クインリイフレア形態」と中黒や小文字の無い呼称を用いているが現状公式媒体での名称は公開されていないため、ここでは公式媒体で用いられている記法に当て嵌めたものを仮称としている。
コアとなるTR-6はサイコ・ブレード装備、TR汎用強化パーツはウイング・ブースターのみで胸部強化型ウインチ・キャノンや頭上ハイ・メガ・キャノン等は装備しておらず、マルチウェポンコンテナはTR汎用強化パーツからフレアユニットを構成しているタイプに、ベロウズ・フレームに接続された両腕代わりのコンポジット・シールド・ブースターも同様にフレアユニットのギガンティック・アームに換装されているが、左右用をそのまま装備するのではなくエルアライラーMA形態のように上下に重ね合わせて片腕とし2セット、計4本分装備している。
アドバンスド・キハールⅡのマルチウェポンコンテナも同様にフレアユニット由来のものとなってる一方で、機体両舷に翼か触手のように大量に数珠繋ぎに連結されているマルチウェポンコンテナ(クィンリィ形態には無かった特徴)にはファイバーⅡ用のものが用いられている。
マルチウェポンコンテナ内にはミサイル等の兵装に加え、防御用としてビーム防御用のIフィールドジェネレーターとIフィールド稼動用の増加ジェネレーター、弾幕防御用のモビルビットを複数搭載し、実弾とビーム兵器の両方への防御能力を広範囲で有している。また、マルチウェポンコンテナの連結にはベロウズ・フレームが用いられており、コンテナ間を広げることでより広範囲にIフィールドを展開する事も可能。
副総裁グロリア・ザビにより運用されるも、フェンリス・ヴォルフの飽和攻撃により損壊、大破した友軍機のパーツを回収しフライルーⅡ・フレア形態(仮称)へと換装している。
RX-124PG+FF-X39A×2 ガンダムTR-6[ウーンドウォート・ラーⅡ]ギガンティック形態
ウーンドウォート・ラーⅡにサイコガンダム系の四肢である「ギガンティック・アーム・ユニット」と「ギガンティック・レッグ・ユニット」を接続した形態。サイコガンダム系の代替後継機にしてクィン・マンサ等の敵大型機動兵器への対抗策として計画された形態。四肢はサイコガンダムMk-Ⅱのものでも変わりなく装備可能とされる。
初代AOZではTR-6ならびにフルドドの拡張性の高さを説明するために用意された形態とされていたが、『Re-boot』で開発計画などの設定が大幅に改定されている(下記)。
ギガンティック・レッグ・ユニットは四肢換装形態と同様に畳んだ脚部に接続されているが、ギガンティック・アーム・ユニットの方は直接接続されている訳ではなく、ウーンドウォート・ラーⅡの肩部に接続されたショルダー・ユニットのドラムフレームを介することで接続されている。そのため本体の腕部は他の四肢換装形態と異なり自由に展開でき、別途武装の携行も可能。
また、肩部ショルダーユニットにはギガンティック・アーム・ユニットの他にもマルチ・アーム・ユニットを介しウインチ・キャノンが装備されており、上部にはマルチウェポンコンテナを装備、ここにはファンネルやそれを制御する外付けサイコミュ・ユニット、Iフィールド・ジェネレーターなどが格納可能。
腰部両脇にはショルダー・ユニットとTR汎用強化パーツであるウイング・ブースターがそれぞれ1基ずつ付いている。
(ARZ-124WD) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]サイコガンダムⅡ ギガンティック・アーム・ユニット形態
『ティターンズの旗のもとに』では仮想の存在に過ぎなかったギガンティック形態だが、『Re-Boot』では実戦運用にも耐えうる巨神装備形態として設定面の再構築が行われた。
構想上の四肢がサイコガンダム系であるというのは共通するが、接続レイアウトが大幅に見直されている(設定画ではMk-Ⅱの物である)。
折り畳んだ脚部に下腿部を直付けされていたギガンティック・レッグ・ユニットは大腿部まで用い下半身のショルダー・ユニットを介する形に変更。股間にもマルチウェポンコンテナを増設したことで接続アームの配置が見直され、アーム同士が組み合わさり巨大な装備を背負って立つウーンドウォートを背部から支える外骨格として振る舞っている。
さらにダイダロス・ユニットを臀部に装備しており、代替元であるサイコガンダム同様に飛行も可能になった(ただしサイコガンダムが飛行に際しモビルフォートレス形態への変形が必要なのに対し、こちらはそもそもモビルフォートレス形態を持たない)。
ギガンティック・アーム・ユニットはガンダムTR-1[ヘイズル・アウスラ]やギャプランTR-5[フライルー]でも実験されており、サイコギャプランやガンダムTR-S[エルアライラー]等の開発に繋がり、最終的にこのTR-6の拠点防衛形態に結実した。
TR-6の各形態だけでなく、他の機体でもフルドドⅡが装着可能であればBUNNySの補助によりギガンティック・ユニットが運用可能である。
BUNNySによる補助で強化人間でもNTでもない一般のパイロットによる運用が可能だが、NTもしくは強化人間が搭乗する事で真価を発揮する。
戦闘中の切り離しと再接続が可能となっており、レジオンでギガンティック・ユニットが複数生産され、建国戦争時にはインレのサイロ内に搭載して現地換装し、レジオン及びティターンズ残党のNTにより運用されている。
FA-124QL(ARZ-124QN) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]フルアーマー・クィンリィ形態
クィンリィ形態が四肢のショルダー・ユニットのドラムフレームにギガンティック・アーム・ユニットとギガンティック・レッグ・ユニット、そして股間部にマルチウェポンコンテナを装備した対巨神兵器形態。
敵がサイコガンダム級の大型MSを投入してきた際に備えた形態で、TR-6の柔軟な換装のシンボル的要素が強いとされるが、後の火星レジオン建国戦争で実戦に投入されている。
最終形態
ギャプランTR-5[ファイバー]とロゼットTR-4[ダンディライアン]の発展型となる機動兵器。元からモビルスーツがすっぽり収まるほど大きかった2機だったがそれに輪をかけて大型化しており、更に合体までこなすためその大きさは生半可な大型モビルアーマーさえ凌駕する。
元々はガンダムTR-6ではなく前身のガンダムTR-Sの装備として開発されていたが、TR-6に万能化換装システムの開発が引き継がれたためこれらの装備もTR-6用の物になったという経緯を持つ。
上記のような理由からかコアMSとの接続は大型アームをショルダーユニットに接続する形で行われるため、理論上は[フルドドⅡ]を装備可能なら管制できるかどうかはともかくどんなMSでもドッキング自体は可能であると思われる。
小説版『ティターンズの旗のもとに』では「モビルアーマー用外装」という名前で存在が示唆されているに留まり、アスワンにおける換装が間に合わなかったため未登場。
RX-124HS+LRX-007-2(ARZ-124FV-2) ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]ファイバーⅡ形態
ギャプランTR-5[ファイバー]の発展型となる[ファイバーⅡ]ユニットを装着した侵攻・制圧形態とも呼ばれる形態。コアMSとの接続は肩部に装備したフルドドⅡのショルダー・ユニットを介してファイバーⅡ側の頭部ユニットから伸びるアームに繋ぐ形で行う。
メッサーラの後継機でもあり、ガンダムTR-6[インレ]の上半身を構成することから「インレの翼」とも呼ばれている。
超音速侵攻とビグウィグキャノンⅡの圧倒的な火力、攻撃ユニット「キハールⅡ」の空間制圧能力による敵地制圧を目的としている。
バインダー基部の大型Iフィールドジェネレーターは元となったギャプランTR-5[ファイバー]と異なりMS形態時も分割されないため、自由にIフィールドを展開することができる。バインダー上面にある球状の4連装拡散ビーム砲は基部ごとウィンチユニットで有線射出可能。また、頭部に相当する位置にある巨大な角型ブースト・ポッド状のユニットは上下に開くと歯のようにマルチウェポンコンテナのハッチが並んでおり、当然ながらそのコンテナひとつひとつに様々な武装が入る。
[ファイバー]と同様に上部バインダーはモビルスーツを懸吊可能となっており、搭載可能数はキハールⅡで6機、通常サイズのMSで2機である。
コミカライズ版『ティターンズの旗のもとに』ではインレ形態にドッキングした状態でアスワンに駐機されていたが、ダンディライアンⅡ部分が被弾した為にパージ。無事だったファイバーⅡは[ヘイズル・アウスラ]が装備する形で使用された。
『くろうさぎのみた夢』ではトリスタン派により火星に持ち出され、レジオン建国戦争の際にアリシアおよびオメガの駆るハイゼンスレイⅡ、バーバラのフルドドⅡにより運用されたが建国戦争後に解体されており、レジオンにより氷河基地で再建が進められている。
また、ビグウィグキャノンⅡは解体後に火星の対地監視衛星「エレノア」へ搭載された。
グラン・インレ(仮称)
レジオン建国戦争後に解体されたファイバーⅡを氷河基地で再建した仕様(レジオンはファイバーⅡをインレ、もしくはインレの翼と呼んでいる)。
ファイバーⅡの頭部ユニットにはブレードアンテナ付きの垂直発射式増加ウェポンコンテナが上から被せる形で装着されている他、下半身はダンディライアンⅡの代わりに巨大なグランユニットがドッキングしているため、後のシャンブロを彷彿とさせる水陸両用のホバー仕様となっている。
設定資料上のテキストやレジオン側はこの形態を[インレ]と呼称している。
飛行できないようバインダーの殆どが取り外され、大型のMAとの格闘戦ができるように腕が増設されているなど、元のファイバーⅡの機能はほとんど残されておらず、ビグウィグキャノンⅡも代替品と思われる大型の砲となっている。
ウェポンコンテナには大量のモビルビットが搭載されている。
コクピットには生体ユニット「ダイアナ・ザビ」として再調整されたダイアナが組み込まれており、感情が昂った際には頭部ユニットを開くと同時に咆哮を上げるなど彼の精神をダイレクトに反映したような挙動を取っている。
RX-124+NRX-005-2(ARZ-124DL-2) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]ダンディライアンⅡ形態
ロゼットTR-4[ダンディライアン]およびガンダムTR-S[ラブスカトル]の発展型となる大気圏突入モジュールを装備した侵攻・殲滅形態とも呼ばれる形態。コアMSとの接続は腰部に装備したフルドドⅡのショルダーユニットを介して左右から挟み込む形で行う。
バインダー群でコアMSを完全に覆ったバウンド・ドックのようなMA形態から内部に収納されていたコアMSを露出させ、クローアームが巨大な脚部ユニットとなったMS形態に変形するが、あちらのようにMA形態への変形が不可逆かは不明。
尾部にはサイコガンダムⅡやクィンリィ形態、そして前身のラブスカトルにも用いられた「ダイダロス・ユニット」を装備している。
大気圏内での飛行が可能なほか、高い機動性能・格闘性能と大気圏に突入するというコンセプト上堅牢な装甲を持つ。
コミカライズ版『ティターンズの旗のもとに』ではグリプス戦役終盤、最後の激戦にてインレにドッキングした状態でアレキサンドリア級アスワンに駐機されていたが、ダンディライアンⅡ部分は被弾し、誘爆を避ける為パージされた。
『くろうさぎのみた夢』ではエゥーゴに接収された地球軌道上の衛星軌道基地「スターシップダウン」で研究が進められている。これはトリスタン特務大佐が逃亡に際しインレを完全な状態でエゥーゴへと渡さない為にあえて分割した片割れのみを引き渡したため。
同じインレの片割れながらファイバーⅡとは対照的に『ティターンズの旗のもとに』、『くろうさぎのみた夢』共にあまり活躍の描かれていない不遇のユニット。
RX-124IL(ARZ-124INL) ガンダムTR-6[ウーンドウォート]インレ形態
ファイバーⅡ形態を上半身、ダンディライアンⅡ形態を下半身として合体した形態であり、TR計画の到達点。その真の目的であるトライステラー計画の翼となる存在。
名前の由来は『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の民間伝説における死の遣い「インレ(うさぎ言語における月)の黒うさぎ」から。
全高はα・アジール(108.26m)に匹敵し、肥大化した兵器構想から戦略兵器に分類される。
エンブレムは耳が翼となった黄金の兎がシルエットでティターンズのエンブレムを象ったもので、TR計画が到達点に至ったことを意味する。
MAもかくやという異形だが、このような図体でも可変機構を有しており、ファイバーⅡのバインダーとダンディライアンⅡの脚部を四肢に見立てたモビルスーツ形態、ファイバーⅡの下部1対のバインダーのみ前方に向け他は後方へ投げ出したモビルアーマー形態、MA形態からバインダーを左右に広げ頭部を開きキハールⅡやマルチ・ウェポン・コンテナ内蔵兵装の射出に特化したモビルフォートレス形態を持つ。
MS形態は更に下部バインダーを可動肢として前方に向けて脚部を反転させクローを先端に配した接地形態と思われる形態(イラストの姿勢)を持つことが下記サイコ・インレ形態で示唆されており、ラフスケッチではバインダーに接続しなくとも有線で伸ばした4連装拡散ビーム砲が手に相当する事が描かれている。
コアMSはファイバーⅡ側もダンディライアンⅡ側も[アドバンスド・ウーンドウォート]だが本機は[ウーンドウォート]と呼称されている。
TR計画は元々このインレの開発を目標としており、「フリス」と「インレのゆりかご」(後述)を装備した外宇宙侵攻も計画されていた。
また、地球圏内での運用としてはT3部隊の母艦「アスワン」の艦首をインレを3機懸吊できるようにする改修案や、果ては専用の衛星軌道基地「スターシップダウン」を建造し地球のどこへでもインレを迅速に派遣できるようにする配備計画(ラフから読み取れる限り20機)なども立ち上がっていたが、アスワンの轟沈ならびにティターンズの敗戦により全て水泡に帰した。
トライステラー計画に於いては外宇宙侵攻という究極的な目標に伴い兵器以外の性質も重視されており、人間はもちろん蓄積された「メモリー」(人格データ)を運ぶ翼としての側面や、「テラフォーミング」の側面も持ち合わせる。
2014年に掲載された予告によると、TR-6とZZZガンダムは互いに「本物」になるための戦いを繰り広げるとのこと。漫画『OVER THE MIND』にも登場した実験体の女の子とインレが接触する事で何かが起こるとされる。
インレの機体管制にはコアとなるTR-6が2機必要であり、下半身のダンディライアンⅡ側が機体操舵、上半身のファイバーⅡ側が火器管制を担当する。
ファイバーⅡとダンディライアンⅡの全ての兵装(ビグウィグキャノンⅡと拡散ビーム砲内蔵シールドは合体させて運用)、及びオプションの大型ミサイルポッド等を運用でき、さらに、頭部相当のユニットには各種オプションが装備できる。
大気圏離脱用ブースター「インレのゆりかご」や惑星間巡行用ブースター「フリス」をインレにドッキングする事で惑星間航行形態へと発展し、外宇宙への武力侵攻が可能となる。
「インレのゆりかご」は、半球状の大気圏離脱用ブースターであると同時に惑星間の長距離航行を想定した小型拠点(とはいえインレに匹敵するサイズはある)であり、大出力ジェネレーター、大型格納スペースなどを備え、これ自体が独立したバイオスフィアとしても機能する。また、長距離移動時の居住スペースとしての機能を兼ねている。
「フリス」は外惑星侵攻(最短5億km)を想定した太陽風推進システム。外観はラフに留まるものの、Y字に広げたインレの倍はあろうかという3枚の翼状の推進装置と、その推進装置の上1対に2基ずつ付いた球状の推進剤タンクで構成されている。名前の由来は『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の民間伝説において創世神と同一視されている太陽のうさぎ言語「フリス」から。
惑星間航行形態の他サイコ・インレ形態なども開発予定であったがグリプス戦役時にはペーパープランに終わっている。
ただし、インレ用の拠点「スターシップダウン」に限れば『Re-Boot』において連邦が建造を引き継いでいた事が判明している。今後の展開に注目したい。
コミカライズ版『ティターンズの旗のもとに』ではアレキサンドリア級アスワンに駐機されていたが、ダンディライアンⅡ部分は出撃前に損壊、ファイバーⅡユニットも[ヘイズル・アウスラ]に装備され、エリアルドはコアユニットの[アドバンスド・ウーンドウォート・ラーⅡ]で出撃したため戦闘には投入されなかった。
『くろうさぎのみた夢』においてブラックヘアーズの保有する2機目の存在が明らかになったが、隊を率いていたトリスタン特務大佐はインレを分割しダンディライアンⅡを持ち込まなかったためエゥーゴ同様火星でもインレは成立せず、火星ジオン残党軍「レジオン」は上記のようにファイバーⅡを運用したほか「インレのゆりかご」の大出力ジェネレーターを火星のインフラとして利用している。
RX-124IL/P ガンダムTR-6[ウーンドウォート]サイコ・インレ形態
インレにフル規格サイコミュを組み込んだ究極兵器構想。ファイバーⅡの頭部ユニットには9基のセルからなるVLSと2列の十字モノアイレールが一体化した武装サイロが増設されており、VLSにはNBC兵器、モビルビット、プラズマリーダー、リフレクター・ビット、巡航ミサイル、ギガンティック・ユニットなどを装填可能。
ファイバーⅡの頭部増加ユニットにはこの武装サイロや上記グラン・インレの増加ウェポンコンテナの他にも、EWACレドームや3号計画(ガンダムTR-6を万能機たらしめるOS「BUNNyS」の開発計画)き関わるとされる円柱状のユニットなど様々なものが構想されていた。
また、用途は不明だがコアMSとなっているアドバンスド・ウーンドウォート・ラーⅡはサイコガンダムのギガンティック・アームを接続している。
公式イラストでは接地形態と思しきMS形態に加え下部バインダーの先端に5連装拡散ビーム砲ポッドを装備している。