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インコム

いんこむ

インコムとは、『機動戦士ガンダム』から始まる、宇宙世紀シリーズに登場する、有線式遠隔攻撃端末である。“素養”を有さないオールドタイプであっても使用可能なため、主に非ニュータイプ専用の高コスト機に採用された。
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概要編集

機動戦士ガンダムシリーズに登場する架空の兵器。

長らく外伝作品を中心に登場していた事もあり、公式映像作品での初出は『機動戦士ガンダムΖΖ』の番外編にあたる短編アニメ『GUNDAM_EVOLVE../10』と遅めで、本格的なアニメ作品に至っては『機動戦士ガンダムUC』が初出であった。


機能解説編集

有線式準サイコミュ兵器(簡易サイコミュ兵器)の一種。

宇宙世紀においてはミノフスキー粒子の存在により電波通信による長距離の無線制御が封じられており、それに対する対抗手段(カウンターメイジャー)となったのが、精神感応波による遠隔通信技術・サイコミュである。とはいえ、基本的にビットやファンネルなどのサイコミュ兵器は、高い空間認識能力と精神感応能力を持つニュータイプ、もしくは投薬や心理操作によりニュータイプ能力を人工的に引き出された強化人間でないと扱えない特殊兵装でしかなく、運用には多大な制限がかかっていた。

しかし、グリプス戦役末期において、地球連邦軍の兵器開発部門であるニュータイプ研の一部門・オーガスタ研究所の成果として、これら特殊な才能を必要としない小型有線遠隔操作攻撃端末が開発された。これこそが本項で述べるインコムであり、これにより、本兵装搭載機は一般兵(オールドタイプ)でも全周囲からの複合攻撃であるオールレンジ攻撃が可能となっている。


一年戦争当時より、MSの制御には光コンピューター(光集積回路によって構成された高度な量子コンピューター)が用いられてきていたが、インコムは、時代経過によって演算能力が向上した光コンピューターによって完全制御、あるいはパイロットの特定脳波を事前にサンプリング・マシン言語として登録する事で、有線を介した非手動操作によって疑似的にサイコミュ的な挙動を再現することが可能になっている。


小型のビームガンを内蔵したインコム端末の形状は、小型の円柱状が一般的である。この内部にワイヤーおよびリレーインコムが巻かれ、収納されている。

MS本体から射出されたインコムは、ワイヤーを繰り出しながら展開し、一定の長さまでワイヤーが伸長した時点でリレーインコム(小型の変節点となるおもり)をリリース。このリレー部から、インコム本体が本体ベクトルを変えてさらに伸長する事で、敵機の死角まで展開し、ビームガンで攻撃を加える。

ワイヤーはあくまでインコムの位置変更・制御用のため、エネルギーサプライ機能は有しておらず、ビームの射撃用エネルギーはインコム主端末が有するエネルギーCAPによって賄われており、射撃を終える(三射程度が限界とされる)と、ワイヤーを巻き取る事でインコムを本体に回収・収納し、エネルギーを再チャージする必要がある。

ビームガンの出力は4MW前後とスペック上は当時の標準的なビームライフルと同程度である。しかしエネルギーCAPの容量限界から、実際の威力はMSの重装甲化が進んだグリプス戦役~第一次ネオジオン抗争期において十全とは言えないものであった。よってファンネルと同じく、廉価な機体であれば一射で撃墜することも可能であったが、高級機の装甲に対しては命中しても撃墜に至らない場合もあった。


使い手を選ばないという点でファンネル最大の問題である『適応者の絶対的な不足』を解決しているが、有線であるが故にファンネルほど端末の自由度は高くなく、小型端末ゆえに耐久性も低い。また、コンピューター制御の限界により機動は単純二次元的なものが限界である。そのため熟練パイロットにとっては見切るのも難しい事ではなく、Ex-Sガンダムシルヴァ・バレトのインコムは劇中で簡単に撃墜・使用不可とされてしまっている。

そして、ニュータイプ専用機程では無いにしても、やはり搭載MSは高コスト化を免れない。何よりビットやファンネルと同様にサイコミュ兵器の1種のためパイロットへの負担は避けられない点は変わらない。


歴史編集

インコムを初めて実戦で使用したMSは、同システムを研究した地球連邦軍北米オーガスタ研究所で開発されたガンダムMK-Ⅴとされている(その前身となるガンダムMk-Ⅳにも搭載はされていたとされ、その他量産型サイコガンダムガンダムTR-6アドバンスド・ウーンドウォート]にも搭載のデータがあるが、実戦運用されたかどうかは不明)。

本機は、超高コスト機Sガンダムの量産型であるネロを数分で九機撃墜するなど、抜群な戦果を上げたが、制御系が極めて複雑なため、FAZZ全機撃破の際の限界起動で機構が破損し、専用スタッフを擁していなかったニューディサイズおよび月面都市整備拠点では、完全状態への復旧および連続出撃後のメンテナンスが不可能であり、Ex-Sガンダムとの決戦時には最早不調が限界に達してしまったなど、稼働率の維持が困難であるという欠点も見せた。


ネオ・ジオン軍においては、連邦軍からガンダムMk-Ⅴと共にインコム関連の技術がもたらされた結果、同機体を基にした量産型重攻撃MSドーベン・ウルフが完成。ネオ・ジオン軍でもインコムの技術が実用化され、(グレミー・トトの叛乱によって皮肉にも同軍に対して)大きな戦果を上げている。

更に後年には、ハンマ・ハンマの設計思想を受け継いだローゼン・ズールに、同機で難渋していた有線ビーム砲の技術をインコム・システムに置き換えて搭載した結果、サイコジャマーによって敵サイコミュ兵装を無効化した宙域内で、自機のみはオールレンジ攻撃を可能とするなど、非常に高い有効性を発揮した。これにより、ラプラス事変でローゼン・ズールはゼネラル・レビルからの攻撃部隊をインコム主体の戦法で一掃するなど、非常に大きな戦果を挙げている。こうして、連邦由来のインコム・システムは、皮肉にもネオ・ジオンの研究によって完成をみることとなったのである。

ネオ・ジオンはこの他に『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』に登場するトーリスリッターに、ドライセンのトライブレードをベースとしたインコムも装備している。


連邦軍においても、量産型νガンダムは一般兵用機にインコムを採用。また、ドーベン・ウルフの連邦軍接収機であるシルヴァ・バレトにはインコムの他に、有線式のファンネルも追加されるなど、当該技術は連邦とジオンの間を行き来しながら熟成されていった様子が窺える。

その他、特殊モデルナラティブガンダムのオプションとして用意された。


しかしながら最終的にはファンネル同様、コスト及び運用面の諸問題を解決するには至らず、インコム搭載機は戦場から消えていく事となった。


U.C.0116年にRFケンプファーシャルルリア・ドーガがインコムを装備している。

リア・ドーガのものはドーベン・ウルフのバックパックに換装して搭載しているが、RFケンプファーのものは従来のインコムとは逆にパイロットに素養を付与する事で有線式のファンネルとして改良されている。もはやインコムと呼んで正しいのかも怪しいものである。


一般人用サイコミュ編集

インコムとは異なる非ニュータイプ用のサイコミュ技術。こちらは『一般人の脳波でも使えるサイコミュ』と言う方向性の技術として開発されている似て非なる物。

ジオン公国軍においては、非ニュータイプが操る有線式のサイコミュ兵器という設計思想においての歴史は古く、ジオングに装備された有線式メガ粒子砲で導入されていたが非ニュータイプが扱う際には機体制御と火器管制を分担する二人乗りである事が必須であった。

終戦後はアクシズで開発が引き継がれていたが、MSサイズにその技術を落とし込むのには苦心したようでノイエ・ジールゾディ・アックといった大型モビルアーマーに有線式のクローアームが装備されていた。第一次ネオ・ジオン抗争の時代では、MSサイズにその技術を落とし込む事に成功し、ハンマ・ハンマに有線式のビーム砲が装備されていた。しかし、この時代の一般人用サイコミュは機能が不十分だったため開発は中断される事になる。


リフレクターインコム編集

通常のインコムと違い、ビーム砲ではなく小型のIフィールド発生器による反射デバイス(リフレクタービットと同様の技術)を搭載している。このデバイスを有線で制御し、母機から撃ち込まれたビームを反射することでオールレンジ攻撃を行っている。

Ex-Sガンダムの膝部に搭載されている。

詳細は個別記事を参照。


関連項目編集

ビット ファンネル


アナザーガンダム編集

特別な才能を必要としない小型攻撃端末

ドラグーンシステム(第二世代) GNファング


ハイドラガンダム:当時のガンプラの組立説明書上の設定には記載されていない仕様だが、劇中終盤においてショルダークローをインコムのように射出して有線式遠隔攻撃ビーム砲として使用するシーンがある。未公開設定だったのかコミック版のオリジナルギミックなのかは不明。

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