概要
ジオン残党軍の一つであるオールズモビル軍の士官で、同軍の中核であるシャルル艦隊を率いる指揮官。階級は少佐。25歳の若年でありながら数多くの経験を積み、ジオン軍の誇りを受け継いでいる。
その出自は火星に逃げ延びたジオン軍人の孫である事が判明しており、111年から地球圏に潜入していた模様。潜入したのは火星ジオン軍の総帥から怨念返しではなくニュータイプとして世界を見てほしいと言う願いからである。
指揮官としての能力のみならずパイロットとしての技量も高く、カスタムタイプのRFゲルググを操り幾度となくガンダムF90を有するベルフ達第13反連邦組織掃討部隊と激戦を繰り広げる。
経歴
- U.C0112年機動戦士ガンダムF90FF
このころはオールズモビルではなく、それ以外のジオン残党軍に属する新米の一兵卒だった。特別な地位などないリゲルグを駆る軍曹でしかなく、いつ報われるとも知れない反連邦活動に身をやつしていた。
そんなある日、サイド6の廃棄コロニーで仲間のザクⅢ改、ギラ・ズールと共に資材を漁っていた時に突如として出現したランデッカー重工のモビルスーツ、ティグリスに他の2機を破壊され、恐怖に慄きながら這々の体で逃げ帰った。
- U.C.0116年
おそらくはボッシュ・ウェラーの招きで地球連邦軍に潜入し、フォン・ブラウン教導団に中尉として所属している。このとき19歳で、ジオン残存の人員が連邦軍のかなり奥深くまで入り込んでいることが語られる。
また、この世代には既にジオンの最大最悪の怨敵であったガンダムという存在への忌避感も薄らいでいるようであり、月面で演習を行うガンダムF90を興味深い目で眺めていた。また、己と兄と慕う妹分カナタ・サワメもファステストフォーミュラ隊の一員として、連邦軍の最新鋭モビルスーツF90のパイロットとなっており、このことを嬉々としてシャルルへの手紙でしたためる場面もある。
その反面、教導団をする中で信念を捨てて略奪や殺戮などを行う他のジオン残党と戦っており、ならず者に成り下がった彼らの醜態に不服を漏らす。カナタも理想のために蜂起するエゥーゴ残党の犠牲に心を痛めていた。
トリムールティ防衛戦では教導団の一員として防衛に参加、ジオン残党軍レガシィと交戦した。
サイファーにより暴走するトリムールティから離脱するが、カナタは止めようとするディルの元に向かっており、その後カナタは行方をくらませたと思われる描写がある事からおそらくそれっきりとなったと思われる。
ガンダムは人の命を吸うという事をボッシュから聞いている模様。
- U.C. 0122年第二次オールズモビル戦役
細かい動向は不明であるが、おそらくボッシュの裏切りが表面化したことで連邦からの追跡を逃れて軍を脱し、地球圏に逃れたオールズモビルと合流したと思われる。そして彼らの実質的なリーダーとして中核戦力であるシャルル艦隊を率いる。
このとき、それまで丁寧に撫で付けられていた長髪は無造作なものとなり、精悍な顔や目で狩人を彷彿とさせる言葉遣いをするようになっている。
オールズモビル掃討部隊へガンダムF90を輸送する戦艦エイブラムを執拗に追跡し、時には岩石デブリに爆弾を仕込むなどの罠を張り巡らせて追い詰める。各地で幾度となく激突するも、そのたびに戦力をすり減らし、地上軍の壊滅後にはシャルル艦隊も敗走することとなる。
そんな状況下にあっても月面のマスドライバー基地を占領して地球へ質量弾の投下を狙うも、これも基地を奪還されて失敗。
残存部隊をシャルル空撃隊として再編した後は、スポンサーであるクロスボーン・バンガードの指揮下に入り、イルルヤンカシュ宇宙要塞に立て籠もって徹底抗戦の構えを見せる。だがクロスボーンに利用されている事に気付いており、彼らのことを「クロスボーンのタヌキめっ! しょせん 我らはすてゴマかっ!」と吐き捨てながらも部下に雌伏を命じる。しかし、最後までジオンの旗のもとに戦うことを覚悟した彼らの心意気に応え、最後まで戦い抜く。クロスボーンから供与された専用のゲルググを駆って善戦するものの、ガンダムF90に敗れて戦死した。
余談
U.C.0091年頃の火星の情勢が描かれた漫画作品『AOZRe-Bootガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』では、シャルルと似た苗字をもつジオンマーズ総司令官アウトロー・チェスター(ならず者チェスター)と、その息子チェスターJr.が登場している。特にチェスターJr.は乗機がゲルググ系統かつ、終盤のある行動によりローチェスター(法のチェスター)の名声を得ているため、シャルルはその血筋である可能性が非常に高い。(シャルル自身は0097年生まれであるため、チェスターJr.の息子であると仮定すれば、チェスターJr.は20歳前後で父となった事になる。)
また、アウトロー・チェスターは、キシリア・ザビ親衛隊でギャン系MSを駆っていたとも、かのジョニー・ライデンが隊長を務めたキマイラ隊の一員であったともされる過去がある。キマイラ隊はキシリア・ザビ直轄の特別混成大隊のため、シャルルが使う機種と配色の由来が仄めかされている。
民間人として火星のアルカディアシティにはシャルルという同名の戦災孤児が登場しているため、何らかの関連があるのではと考察されているが、本人であるというのは0091年という時代から年齢的にあり得ない。ジオンマーズ(とティターンズ残党)によるレジオンへの反抗作戦に協力するなど、ジオンマーズに関わっており、後にジオンマーズに参加する等により(仲間等の名を子に与えるといった理由から)シャルルが同じ名を与えられたとも考察されている。