機体スペック
型式番号 | AMX-014 |
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所属 | ネオ・ジオン軍グレミー派・スペースウルフチーム、ネオ・ジオン軍残党・「袖付き」 |
製 | アクシズ |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 22.0m |
本体重量 | 36.8t |
全備重量 | 74.5t |
ジェネレーター総出力 | 5,250kW |
スラスター総推力 | 87,300kg |
装甲材質 | ガンダリウム・コンポジット |
固定武装 | |
携行武装・選択武装 |
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概要
アステロイドベルト潜伏時の内紛やグリプス戦役時の戦傷によって、人的資源やパイロットの練度に難を抱えるネオ・ジオン軍は、開発される新型機に単機の性能を徹底的に底上げする事でそれを補っていた。しかし、ガンダム・チームの活躍によって戦線は悪化の一途を辿っており、特にジュドー・アーシタの駆るZZガンダムの圧倒的な火力は並のMSでは追随する事もできなかった。
そのためネオ・ジオン軍は、すでに配備が進みつつあったドライセンに代わる次期主力機の開発に着手。機体の汎用性を時代に合わせて昇華させたザクⅢと共にコンペディションに提出されたのが、地球連邦軍のNT研究員ローレン・ナカモト博士がアクシズに亡命した際に持ち込んだ試作MS、『ガンダムMk-Ⅴ』をベースに開発された本機である。
機体解説
同時期に開発された第四世代MSの中でも異色な、一般兵向けの準サイコミュを導入した超攻撃型量産機である本機は、その構造もまたすさまじく異色の存在となっている。
機体の基本的な構造自体はガンダムMk-Ⅴを踏襲しており、これにティターンズ崩壊によって投棄され、アクシズに鹵獲されたサイコガンダムMk-Ⅱを参考に各種武装を配置、さらにローレン博士の合流によってハンマ・ハンマの時点で未完成だった準サイコミュをコンピュータ等のメカニックで代用することにより、量産機への搭載に成功した。またバックパックに大型の高出力スラスターや脚部のラウンドスラスターの他、機体全体に当時の標準設置数を大きく超える17基のサブスラスターを搭載し、22メートル級の大型MSながら機動性も非常に高い水準を保っている。
機体の汎用性を武装の豊富さで際立たせるといった面はザク系統の機体にも通ずるが、ローレン博士独自の思想により、本機の場合はそれらのほとんどが専用/固定装備となっており、その結果本機は単独で対艦・対MS・オールレンジ攻撃をこなし、戦略兵器級の固定火器を内蔵するという原型機を遥かに凌ぐ攻撃性能を手にいれている。
しかし、本機の突出したスペック及び多彩な兵装群は、操縦するパイロットに大きな負担をかけるものなっている。一般人によるサイコミュ使用を可能にしたとはいえ、一部の熟練パイロットにしか機体性能を引き出すことができず、乗り手を選ぶ点に変わりはない。また胸部メガ粒子砲の直上にコクピットが配置されており、パイロットの安全性にも問題を残している。
それでも人的資源に乏しいネオ・ジオン軍にとって単機の性能を追求した本機の設計思想は魅力的なものであった。本機は同時期に完成したザクⅢを火力・推力の両面で上回っていたとされ、コンペの結果これを下し制式採用されている。
活躍
グレミー・トト率いる反ハマーン派に所属する、ラカン・ダカラン大尉率いる「スペースウルフチーム」に配備された6機が登場。
グレミー軍のカラーであるシルバーに塗装されそうになるがラカンがこれに断固反対し、グレミーへの直訴の結果、グレミー軍でしか運用されていない機体ということでこれを免れている。
キャラ・スーンのゲーマルクによって3機が、マシュマー・セロのザクⅢ改との相討ちで1機が撃破され、ラカン機もジュドー・アーシタのΖΖガンダムによって撃破された。残る1機については不明。
第一次ネオ・ジオン抗争後、アクシズ内に残されていた残存機は連邦軍に回収されシルヴァ・バレトに改装され各種データ取得用のテストベッドとして活用されたほか、ネオ・ジオン残党である「袖付き」においては1機の運用が確認されている。
武装
先述の通り、量産機としては破格な程武装が多彩であり、劇中でも全ての使用が確認されているわけではない。
ビームライフル
専用の主兵装。
出力は12.5MWと、単装式の携行火器としては最高クラスの火力を有する。形状はバズーカやランチャーに近いサイズであり、あまりにも大型なため通常は肩掛けで保持される。この取り回しの悪さは、シルヴァ・バレトへの改修時に問題視されたようで、同機で運用された際にはジェガンのシールドと組み合わせたビームランチャーへと生まれ変わっている。本体メガ粒子砲に接続し、砲身を加速器として使用することでメガランチャー(後述)として機能する。
胸部2連装メガ粒子砲
出力5.3MW。サイコガンダムMk-Ⅱを参考にした、メインジェネレーター直結型のメガ粒子砲。これのみでも高い火力を有するが、砲口にビームライフルを接続することでさらなる高火力化が可能である。ただし、発射機構がコクピットの直下であり、安全面に難があることから改修された機体からはオミットされている(実際にリーベン・ヴォルフとシルヴァ・バレトには採用されていない)。
メガ・ランチャー
ライフルの後端を胸部メガ粒子砲の砲口に接続することによって使用可能となる大出力メガ粒子砲。その出力は40.2MWに達しており、マゼラン級戦艦を一撃で撃沈できるとされている。出力は任意で調整できるらしく、劇中で使用された時は出力を抑え連射を行っていた。
ビームキャノン
背部のバインダーに内蔵された副砲。出力4.2MW。
副兵装ながら一般的なMSのビームライフル以上の威力を持ち、可動性の高いバインダーにより射角も広い。
マイクロミサイルランチャー/対艦ミサイル
背部バインダーに対MS用のマイクロミサイルランチャーを搭載。左右で12×2の最大24基。
また、オプションで対艦用の大型ミサイルを外付けで装備することができる。
共に劇中未使用。
インコム
ベース機となったガンダムMk-Ⅴから受け継がれた武装。
バックパックに内蔵された有線式の遠隔操作可能なマイクロ・レーザー砲。
後述のビームハンドと合わせて、オールドタイプであっても限定的ながらオールレンジ攻撃が可能。
劇中未使用。
有線(無線)式ビームハンド/隠し腕
本機の前腕部はジオングのように射出し遠隔操作することができる。
掌部にはビームガン(出力2.3MW)が内蔵されており、これを用いた牽制射撃が可能なほか、敵を捉えて電流を流す事も可能。また、ビーム・サーベルを持ったまま射出する事も可能となっており、変則的なリーチでの斬撃も行う事ができるなど運用の幅は広い。
操作方式は有線式とレーザー通信による無線式があり、指揮官機に後者が採用される。
無線式の場合、射出したあとの腕にも隠し腕が仕込まれており、マニュピレータ喪失によるデメリットを軽減する事が可能。
ビームサーベル
サイドスカート内に左右合わせて二基搭載された近接戦闘用装備。
マウントしたまま後方攻撃用のビーム砲としても運用可能。
重火力を誇る本機だが、前述の有線式ハンドや隠し腕等を応用することによってトリッキーな格闘攻撃が可能となっている。
その他内蔵武装
頭部30mmバルカン×2、胸部グレネードランチャー/スモークディスチャージャー
などを有する。
関連動画
バリエーション
ガンダムMk-V
原型機。詳しくはガンダムMk-Ⅴの項目を参照。
リーベン・ヴォルフ
ジオンマーズによる発展改修大量生産型。詳しくはリーベン・ヴォルフの項目を参照。
シルヴァ・バレト
連邦軍による改修機。連邦が開発したガンダムをベースにネオ・ジオンが開発した機体が、一周回って連邦軍の機体として改修されるという複雑な開発経緯を辿っている。詳しくはシルヴァ・バレトの項目を参照。
ドーベン・ウルフ(袖付き仕様)
第二次ネオ・ジオン抗争後、ネオ・ジオン残党「袖付き」に流れたドーベン・ウルフ。貴重な高性能機である事からエースパイロット用として主に資源衛星「パラオ」の防衛の為に運用された。
基本性能は機体色はグレーを基調とした物に改められ、「袖付き」の所属を示すエングレービングが腕部や胸部に施されている。
『UC』原作及びアニメでは未登場であり、漫画版『バンデシネ』ではユニコーンガンダムと交戦するも撃破されている。
主なパイロットはザミュ・サミュ大尉。ただし彼は複雑な操作系を嫌い、シンプルな構成を持つドライセンを愛用した為、搭乗回数は少ない。後に、下記のワークラッハ少尉の搭乗機となる。
ドーベン・ウルフ(ワークラッハ・バナム専用機)
ザミュ大尉がドライセンに乗り換えた事からモスボール保存されていたドーベン・ウルフをブランダムール隊所属のワークラッハ少尉の乗機として再登録したもの。
ジェトロの後任の担当機付き長であったヘンプティ・ラス曹長の趣味により、赤と青を基調とした派手なカラーリングに変更され、ハンマ・ハンマのシールドとクィン・マンサのビーム・サーベルを装備されている。
特に高出力のクィン・マンサ用ビーム・サーベルを増設した事により、接近戦では出力分配に気を配る必要がある為、パイロットは「行儀の良い」人間が適任とされている。
立体物
本放送時に1/144スケールで発売された旧キットのものと、『ガンダムUC』展開時にHGUCで袖付き仕様が発売。後にHGUCのZZ仕様のものが発売されている。
ガシャポンSDフルカラーシリーズにて、ラインナップ。メガランチャーを構えた状態となっている
※現在、入手困難
外部出演
ゲーム作品でも劇中同様、全ての武装が使用された例がない。
- スーパーロボット大戦シリーズ
基本的には敵として登場したラカンの乗機だが、ヤクト・ドーガ同様ジオン系の終盤量産機として登場することも多い。
また、αシリーズ等々では条件を満たすとプレイヤー部隊でも運用可能。非ニュータイプが乗り回して並以上には役立ってくれる良機となっている。ただし、機体だけでありラカンが自軍入りする展開はほぼ無い。
余談だが、この機体の代表するパイロットであるラカン・ダカランは理性的な軍人と憎まれ役のどちらも担えるシリアスキャラが本作に少なかったためか、意外とスパロボでは出番は多い。
これまではザクIII改の自爆勝利ポーズに登場するに止まっていたのだが、EXTREME VS.2にてプレイアブル参戦。コストは2000。
自衛面や機動力に難があるものの、ミサイルランチャーやメガ粒子砲といった多数の射撃武装を持つ重鈍な後衛向き機体となっている。
だがエクバ2時代の頃になるとゲームスピードがより早く、より強力な武装を持った機体が多数参戦した後であり、その自衛面の脆さから参戦当時から向かい風な環境であった。
それゆえに続編等々でキャンセルルートの追加やゲロビの曲げ撃ち可能へとアップデートで強化されている。
特徴的な武装は無線式ビーム・ハンド。これはロケットパンチみたく相手に飛ばす武装なのだが、これが当たり腕に組み付かれた相手には機動力が低下するデバフ武装。専用のゲージが0になる(約20秒)、ドーベン側がコマンドを再入力、自身がダウン、対象の機体が撃墜等々出ないと解除されないという他機体には無い独自要素を持ったデバフ武装となっている。
一方でビーム・ハンド、つまり腕を飛ばしてしまう為かこれを射出中は使用時に足が止まる使い勝手の悪い武装に切り替わってしまう。そのため自力で相手にデバフを付与しても単独で相手を詰め寄れないというもどかしい仕様となっている。ゆえにビーム・ハンドを付けた相手はきちんと相方と連携して追い詰める必要がある。
余談だがエクバで豊富な武装はかなり再現されたのだが、それでもゲームでも未使用な武装もある。
小話
ジオンの後継たるネオ・ジオンの開発した量産機ではあるが、先述の通り連邦のガンダムタイプの機体をベースとし、ザクの後継機を掲げる機体を下して主力機として制式採用されるなど、同組織の中において特異な立ち位置にある機体であると言える。
ドーベン・ウルフの初期設定名は「G-V」となっており、サイコガンダムの直系のMSであるため、ガンダムタイプの機体としてデザインされていたことがうかがえる。だが、本機は量産機という位置づけであり、「ガンダム乱立」を防ぐという意味で、ガンダムの面影の薄い頭部にデザインし直すこととなる。※この過程で没案になった頭部デザインはクィン・マンサのものとして差し替えられた。
この初期稿をブラッシュアップしたものが「ガンダムMk-V」である。
なお、グレミー軍のMSはほぼ全てが灰色にリペイントされたのだが、ラカンはオリジナルカラーリングを個人的に気に入っていたのか本機に関してはグレミーに直訴したほど強硬に反対しており、結果として本機はリペイントを免れた。ちなみに、この一幕は『当時のサンライズが割と深刻なセル画用塗料不足に陥っていた』という洒落にならない裏事情の産物であり、監督が指定した緑系統のモノトーンに近い配色もそれが原因。
旧キットのプラモデルにおける設定資料によれば、サイコミュ導入以前は腕部にヒートロッドを搭載する予定だったとされる。
元ネタが純粋な敵役ということもありSDガンダムでは幹部クラスの敵として出てくることが多かった。・・・が、三国伝では周倉役としてまさかの抜擢がなされ、主役ガンダム達がモチーフの蜀が元ネタのキャラたちと肩を並べて戦う勇姿が描写された。
関連イラスト
関連項目
明貴美加:生みの親
リア・ドーガ:連邦軍の教導団の機体で、シャルル機のバックパックはドーベン・ウルフのものに換装されている。