「間違いない。あれはガンダムだ。あれをやりゃあ、大佐だろうが総帥だろうが…!」
概要
第二次ネオ・ジオン抗争時、ギラ・ドーガをベースとし、ニュータイプ専用機として開発が進められていたモビルスーツ。
新生ネオ・ジオン軍が独自に開発した「ギラ・ドーガ サイコミュ試験タイプ」がサイコミュシステムの小型化に失敗したことで運動性に問題があったため、アナハイム・エレクトロニクス社の協力を得て、その改良型として本機が開発された。
本機は新技術としてサイコフレームが採用されており、これによってサイコミュの小型化に成功している他、大型の高出力ジェネレーターやスラスターの追加等様々な換装が施されており、ベースとなったギラ・ドーガ系とはムーバブルフレームこそ共通だが、全く異なる機体として完成したと言っても差し支えない。
このようにして開発された本機は非常に優秀なスペックを誇っていたが、量産機をベースにニュータイプ専用機として半ば強引に仕上げた為、総帥専用機としては要求スペックを満たせず、またギラ・ドーガ系フレームでの開発は既に限界が来ていた事もあり、機体バランスの悪化を招く結果となった。
このため、シャア総帥専用機としてフレームから新造したサザビーが新規開発されるに至っている。
なお、型式番号のMSN-03は旧ジオン公国の最終モビルスーツであるジオング(MSN-02)からの通し番号で、実に13年ぶりに使用された。
ギュネイ・ガスには深緑と金色で塗装された指揮官用アンテナ付の機体が与えられ、後にネオ・ジオン軍に加わったクェスには赤と銀色をベースに塗装された機体が与えられた。
クェス専用機が赤い機体色なのは、元々シャアのサザビーの予備機だったためである。
実戦投入されたのはこの2機のみである。
実戦に於いて、ギュネイ機はアムロ・レイの乗るνガンダムにより撃墜され、クェス機はルナツー強襲作戦の折に被弾し右腕を欠損。クェスがα・アジールに乗り換えた後は使用される事はなかった。
残されたクェス機はその後ネオ・ジオン残党『袖付き』に回収された。
尚、クェス機に似た機体が存在しておりネオ・ジオン女性兵士が乗り込んで、シャア反乱戦争から10か月後の0094年にバリュートを装備して追撃してきたジェガン部隊を振り切って地球へと降下、10か月後、海岸線で連邦軍捜索隊と交戦した。なんとこの機体はパイロット無しでもサイコミュの精神感応によって外部からコントロール可能な機体であり、これで油断した捜索隊を次々に仕留めたがマサダ中尉が搭乗するνガンダムと相打ちになった。
武装
ファンネル
両肩部にサザビーと同型の物を6基搭載している。
第一次ネオ・ジオン抗争当時にキュベレイなどが装備していたものに比べ搭載数は少ないが、個々の端末の性能は格段に上昇しており、特に出力が強化されている。
なお、サザビーがファンネルのエネルギー・推進剤の再充填機能を有しているのに対して、本機にはその機能がなく、完全な使い捨ての補助武装となっている。
ビームアサルトライフル
ギュネイ機が使用。オーソドックスな仕様のビームアサルトライフル。
メガ・ガトリングガン
クェス機が使用。面制圧に向く連射兵装。
クシャトリヤ用のビーム・ガトリングガンもこの装備が設計母体となっている。
ビームサーベル
柄の部分にヒートナイフを有するビーム・サーベル。
ヒートナイフはサーベルのフェイルセーフティとしての側面を持つ。
シールド
ギャンやハンマ・ハンマ、パラス・アテネの様な武器内蔵型シールド。
表面部にメガ粒子砲を装備する。
関連動画
バリエーション
ギラ・ドーガ サイコミュ試験タイプ
型式番号AMS-120X。
メカニックデザイン企画『CCA-MSV』に登場。
ギラ・ドーガにファンネルを装備したニュータイプ用実験機。ファンネルに由来する高い火力を持つ反面、運動性に難があったため、のちに欠点を改善した後継機としてヤクト・ドーガなどが開発される事になる。
所謂、プロトタイプ・ヤクト・ドーガと言える機体。
詳細はギラ・ドーガ サイコミュ試験タイプを参照。
サイコ・ドーガ
型式番号MSN-03-02。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場。ヤクト・ドーガに相当する機体。サイコ・ギラ・ドーガとも呼称される。
詳細はサイコ・ドーガ(小説版)を参照。
ヤクト・ドーガ量産型
『スーパーロボット大戦シリーズ』に登場するゲームオリジナルMS。
一般兵用の量産型であり、緑色に塗装されている。機体形状はクェス機に近く、武装はギュネイ機と同一仕様。
シリーズ最初期に何度か登場しただけで、それ以降はギュネイ機が量産型(雑魚)扱いで出現する。
ガンダムにはよくある「劇中に1,2体しか出なかった機体の量産型」だが、今でも公式に採用されたことはない。
ヤクト・ドーガ 袖付き仕様
型式番号MSN-03。
小説・アニメ『機動戦士ガンダムUC』に登場。
第二次ネオ・ジオン抗争で損傷したクェス機を回収・修復した機体。宇宙世紀0096年の小規模軍事衝突(ラプラス事変)において、ネオ・ジオン残党組織である「袖付き」が運用した。機体色はカーキー。他の袖付き機同様、腕部に「袖」を思わせるエングレービングが施されている。過去にクラップ級のミサイル攻撃で失った右腕をギラ・ドーガのもので補修。携行武装はギラ・ドーガ用ビームマシンガンのみで、シールドは非装備。ファンネルも破損した分が補充されず、使用可能な物が左肩の2基のみとなってしまっている、と「袖付き」の懐事情を垣間見る事が出来る。
劇中においても、上記の通りファンネル再充填機能を有さないにもかかわらず、使用後のファンネルを(わざわざ)肩アーマーへと戻していため、やはり「袖付き」が極めて切迫した状態であると解る。
なお、その後は吹っ飛ばされたシュツルム・ガルスの元へ向かうジューリ・クインティの護衛に就いており、生き延びたことが確認されている。
パイロットはフル・フロンタル親衛隊所属のゼクスト少尉。
小説版の外伝『不死鳥狩り』では、シナンジュの代わりにハルユニットへ組み込まれており、当作品における重要な機体となっている。
ギーセン・ドーガ
ゲーム『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』のアムロ・シャアモードにてサイコ・ギラ・ドーガに相当する機体。
右肩の装備をギラ・ドーガのショルダーアーマーに変更され、ファンネルの搭載数が3基に減らされている。カラーリングはギュネイ機のみヤクト・ドーガの物と同じだが、もう1機は袖付き仕様に近い物となっている。ギュネイ機はサイコ・ギラ・ドーガと同様、戦闘の末大破しシャアに促されるまま放棄された結果鹵獲され、サイコフレームをνガンダムに組み込まれている。
小説・アニメ『機動戦士ガンダムUC』に登場したヤクト・ドーガ 袖付き仕様との整合性を意識した機体とも思われるが、詳細は不明。
なお、機体名の「ギーセン(gießen)」はドイツ語で「注ぐ」「溢す」「鋳造する」などの意味を持つ語である。
ヤクト・ヴァイゼ
VR映画『機動戦士ガンダム:銀灰の幻影』に登場予定。
型式番号:JW-001。
元々はネオ・ジオン残党軍に譲渡される予定だった予備のヤクト・ドーガを傭兵部隊アージェント・キールが独自に入手し、独自改修を行った機体。
サイコミュ系の機器は全てオミットされている。センサー類の強化に加えてショルダー・シールドも一新され、推力容量が増大。武器は専用品のビーム・ショット・ランチャー。
カラーリングはアージェント・キールのシンボルカラーである銀色になっている。
立体物
以下の3種類でギュネイ機とクェス機の両方発売されている。
RE/100に限ってマスターグレードと同じ縮尺。また、クェス機は公式通販限定で販売され、このときクェス・エア機名義となっている。また、クェス機はMGギラ・ドーガ(ユニコーンVer)のパーツを組み込む事で塗装変更込みながら袖付き機が再現可能なようになっている。
SDガンダム系統では、元祖SDガンダムではギュネイ・クェス双方が同時に発売。一方でBB戦士ではギュネイ機のみが発売されていたが、Gジェネ版でクェス機がようやく発売された。※ライフルにはスプリングによるBB弾発射ギミックが採用されている。
カプセルフィギュア「SDガンダムフルカラー」にラインナップ。ギュネイ機はサーベル、クェス機はメガガトリングガンを構えた固定モデルとなっている。 ※現在、入手困難
余談
- 『同じ立ち位置の機体』が別名義で複数も存在すると言うガンダムの世界でも割と不思議な現象を起こしている。