「間違いない。あれはガンダムだ。あれをやりゃあ、大佐だろうが総帥だろうが…!」
CV:山寺宏一/松本保典(角川カセット文庫版、グラーブ・ガス)
概要
ナナイ・ミゲルが所長を務め、ローレン・ナカモトが補佐を務めるニュータイプ研究所出身の強化人間。階級は准尉。
元被験者のナナイだけでは強化技術に不十分だったためナナイにタカりに来たローレン・ナカモトを補佐役として据えている。フォウ、ロザミア、ゲーツ・キャパらに施したような強化はシャアからの強い意向により止めさせている。
久織ちまきの逆シャア漫画では、強化コンセプトは大佐の理想である「宇宙世紀を生きる新人類であるニュータイプに誰でもなれる」ことを証明するために強化された実験的な強化人間。
主な搭乗機はヤクト・ドーガ、サイコ・ドーガ(ベルトーチカ・チルドレン)、ホビー・ハイザック 、サイコバウ(機動戦士MOONガンダム)。
人物
サイド4の人口1万5千ほどの島一号タイプのコロニーに住んでいたが、両親を一年戦争時代コロニー潰しで喪い、それからギュネイはアウト・オービト(外宇宙)暮らしを送っていた。
強化人間になった理由は本人曰く「シャア・アズナブルのような人間が間違えると昔のギレン・ザビのようにコロニー潰しを行うので、それを阻止するためにニュータイプに強化してもらった」とローレンら技術者達に教えられている。
なお彼自身はシャアが自分を守るためにローレン・ナカモトに口添えしたり、歴代の強化人間達の末路を全く知らないのは皮肉としか言いようがない。
そして彼もまたカミーユ・ビダンのような新しき世代のニュータイプとなる事をシャアから密かに期待されていた。
(その割には前の作戦でフィフス・ルナをきっちり守りきり地球のチベットに落下させているのだが…)
従来の強化人間とは異なり、関連技術の成熟(と言う事に表向きはなっているが実はシャアの強い意向により従来のやり方は止めさせている)によって精神面の不安定さを見せる事は少なく、落ち着いた立ち振舞いを見せるが、その一方で自信家としての一面を覗かせる。
ニュータイプという存在に強い憧れを持っているので、自身は周囲から強化人間ではなくニュータイプとして認められたいという願望を持つ。しかし、NTや強化人間の存在を疎ましく思っているレズン・シュナイダーとは折り合いが悪く小説二作品では彼の出自を知るレズンやその取り巻き達と口論し、押し負ける一幕も。
ニュータイプであるシャア・アズナブルに対してシャアが期待と応援の暖かい目で見ているのとは裏腹に、嫉妬の感情を抱き、表面上では従いつつも内心では彼に対する反感を持つ。一年戦争時のコロニー潰しによって家族を喪った過去を持っていることもあり、シャアの提唱する地球寒冷化作戦に関しても快く思っていない。
特にスペース・コロニー「ロンデニオン」でネオ・ジオン側に付いたクェス・パラヤとの出会いがシャアへの反感を加速させたと言え、彼がクェスの才能を利用しようとしていることに対して不快感を示す。
結果、自分がシャアの宿敵であるアムロを倒す、またはその乗機のνガンダムを奪うことでシャアを倒し、クェスの心を自分のものにしたいという野心に突き動かされていく。
クェスに対しては、彼女の持つニュータイプとしての才能に惹かれ密かな恋心を募らせていく。しかしそこにあったのは一方的な独占欲でしかなく、彼女を一人の人間として思いやる気持ちは不足していた。
ギュネイの場合は、どちらかと言えばクェスの「ニュータイプ」としての一面しか見ていなかったとも取れ、彼女自身の「内面(大人を信じられない人間不信さや孤独感)」と必死に向き合おうとしていたハサウェイ・ノアとは対照的だったとさえ言える。
終盤ではその態度を取り繕わなくっており、NT研の女性から聞いた話では上司であるシャアがロリコンである、一年戦争時代の恋人に取り憑かれている病人だという悪評、悪口を吐き捨てる。しかし、当初からクェスの眼中にはシャアしか映っておらず、さらに自分の気持ちを無視するばかりか、憧れの存在であるシャアを貶めて自分のアピールばかりするギュネイの言動は逆効果どころか不愉快な思いをさせられるだけだった。
戦闘ではMSに搭乗してから日の浅いクェスを援護しながらロンド・ベルのジェガンを蹴散らしルナ・ツーを占拠する、ケーラの駆るリ・ガズィをものともしないなどパイロットとしての腕は高く、何より母数の少ないネオ・ジオンにとっては一二を争う貴重な戦力であったのは間違いない。
劇中冒頭からフィフスを狙ったアムロからの攻撃をファンネルを盾にして被害を防ぐ、アクシズを狙う核ミサイルを全て撃ち落とすなど防衛戦では優れた戦果を上げている。
最期
クェス「ギュネイをやったの!?」
しかし、なまじ勘が良く目がいいのが災いして、余計なものに意識を走らせてしまう彼の癖をアムロは初交戦の時点で見抜いており(リ・ガズィのBWSに気を取られている)、νガンダムのバズーカとシールドを使ったフェイントに気を取られた隙にビームライフルで狙撃され戦死した。断末魔の叫びすらない一瞬の出来事であった。
『逆襲のシャア 公式記録全集』によれば、νガンダムの狙撃に気づいて回避に動いていたと書かれているため、狙撃に気づけなかった訳では無い。アムロから逃がすまいと狙われた時点で、回避に切り替えても既に手遅れだったと言える。さらに、狙撃を回避できていても、νガンダムはバズーカで遠隔射撃できるので、いずれにしても詰んでいる。
メディアミックス作品関連
逆襲のシャアの初期項及び、それを基に執筆された小説「ベルトーチカ・チルドレン」ではグラーブ・ガスの名で登場。同作を元にしたカセットブック版では松本保典がグラーブを演じた。
スーパーロボット大戦シリーズでは、『逆シャア』がほぼレギュラー格という事もあり当然ギュネイの登場作品も多い。あまり突っ込んだ原作再現がされない一方で搭乗機体には恵まれており、クェスとお揃いでα・アジールに乗ってくる事もあった(まぁアルパも作品によってはモブ強化兵にまで回されるレベルで量産されているのだが…ついでにヤクトも量産化)。
スーパーロボット大戦Dではスパロボ補正による超大幅なストーリー改変が実施されたことにより主人公をジョシュア・ラドクリフに選んだ場合は剣鉄也と共に彼の相方ともいえる役回を得る。
序盤から自軍入りし、死亡イベントも存在せず、ステータスも悪くないので最後まで無理なく使用可能。最終的にはクェスともいい雰囲気になるという(クェスとの合体攻撃も用意)、映画本編ではケーラを人質にしたあげく最終的に殺害までやってのけた悪役をやっていた頃からは考えられないくらい凄まじい程の厚遇を受けている。
第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇では敵として登場し、カミーユの新たなライバル役として立ちはだかるが、中盤の短い間だけクェスやマリーダと共に味方になってくれる。また原作では一切関わりがなかったハサウェイ・ノアに対し「(クェス絡みで)カミーユ以外にも警戒するべきやつがいたか!」と少し焦りを見せている。クェスに対するアプローチも自分の力の誇示と上司への陰口ではなく「大佐やカミーユを超えてやる」という目標を掲げてアプローチしている。宇宙世紀以外のガンダムキャラとは『SEED DESTINY』の主人公シン・アスカとの絡みが印象的で彼から何かと気にかけられたりと親交を結んでおり、時獄篇中盤で再びギュネイが敵に回らざるを得なくなった際には互いにその事を惜しんだりしている。終盤ではツンデレ気味なことを言いながらアクシズ落としの阻止のためにZ-BLUEを援護しに来る。原作では一方的な敵意を抱かれていたレズン曰く「強化人間であることを鼻にかけたクソ生意気なエリート様じゃなくなった」と人間性の成長を認められる場面もあった。
天獄篇ではフロンタルの一派に属し、自らのやり方でネオ・ジオンの変革を目論むが条件を満たす事で再び味方になってくれる。フラグを成立させる事が出来ない場合でも無条件で生存し、最終話で蒼の地球で御使いと戦う場面が入る。またマリーダが死亡してしまった場合には「嘘…だろ…マリーダ…」と大きなショックを受けている。
スーパーロボット大戦Tでは条件次第で生存が明らかになり、本編で仲間にしているとエキスパンションシナリオでも継続して使える。本編終了からエキスパンションシナリオまでの間は、ホビーハイザックに乗って観光ガイドに就職していたらしい。
総じてスパロボシリーズにおいては上司であるシャアの立ち位置によってギュネイの立ち位置も変わるキャラと言えるだろう。
ACE3ではシナリオ上は敵として登場するが、条件クリアでプレイヤーキャラとして使用可能になる。クェスのヤクト・ドーガとの違いは通常射撃武器がビームライフルである他、ファンネルのリロード時間が短いところにある(というより、クェスの方が恐ろしく遅いのだが)。