かませ犬
かませいぬ
本来は闘犬用語であり、若い闘犬に自信をつけさせるために噛ませる犬のことを指す。闘犬は強い犬を子犬のころから選び抜いて育てるシステムのため、引退した老犬や他の品種(野良犬など)、選別をパスしなかった犬などが使われる。
- 本来の「かませ犬」とは若い闘犬を育てるために働く経済動物としての立派な仕事であり、いわゆる「弱い犬」の例えに使うのは失礼であるという意見もある。
そこから転じて主人公やその仲間たちの強さを引き立たせるキャラのこと指す。
味方側にいるかませ犬と、敵側にいるかませ犬、ライバルポジションにいるかませ犬という大まかに分けて3つのパターンがある。
味方側にいる方のかませ犬
戦闘シーンが存在するマンガやアニメ等では徐々に強力な敵が登場する事になる場合が多い。当然その分主人公や仲間達も強くなるのであるが、やはり主人公達が敵うか敵わないか分からないような強敵が現れ、その強敵を打ち倒していく、という白熱した展開になることが多い。如かしながらまず主人公達もそうだが、読者や視聴者に新しく登場した敵は強いですよ、こいつのせいで今大変な事になっていますよ、という事をアピールしておかなければ敵の強さが分からず、物語が盛り上がらない。このため、新しく登場した敵が誰かを倒してみせる必要がある。
主人公がやられるというケースもスポーツものなどなら有り得る(後にリベンジする)が、命を賭すような戦闘シーンが存在する場合は主人公がやられるという事は基本的にあり得ないため、代わりに犠牲にされるのが所謂「かませ犬」の役割である。
最も多いのは主人公よりやや強いか、味方の中でも中堅に位置する実力を持つキャラクターである。これが主人公とライバル関係にあったりすると、さらに割合が増し、敵だったキャラクターが味方になると、新たに現れた敵のかませ犬役になることが多い。
戦闘ものであった場合は一般市民が役割を担う事もあるが、一般市民は基本的に無力(背景同然)であることが多い為、ある程度の実力がある主人公の仲間や警察、普通の軍隊が選ばれ、敵に軽々と撃破される、という方が敵の強さを知らしめやすい。
また、作中指折りの実力者、あるいは最強クラスのキャラクターであっても、パワーインフレについていけなくなると「あの○○さえ負けた!」「無敵の○○が敗れた!」などと新たなキャラクターの強さの指標になりやすい。そもそもこの手のキャラは活躍させ過ぎると「こいつがいれば主人公いなくても全部解決するんじゃね?」なノリになって話に面白味がなくなってしまうので、かませ犬扱いされる事になっても仕方がない所はある。
大体この手のアニメでは一人くらいこの役割を担うキャラクターが居る事になる。その為かかませ犬になるキャラクターは総じてヘタレなどと呼ばれる事が多い。
一方で、満を持して登場した強敵が元から登場していたさらに強い主人公に負けることも稀にある。
敵側にいる方のかませ犬
上のパターンの逆。つまり、主人公など味方側のキャラクターの強さを見せつけるために登場する敵(あるいは、そうとしか思えない描写をされている敵)。
戦闘を描写する作品においては、主人公たち味方キャラが爽快に敵を打ち砕く展開が求められることが多い。この際に、「主人公や味方キャラに爽快にやられる」ためだけに登場するのが敵側のかませ犬である。
後述する再生怪人の例がわかりやすいだろう。以前の敵と主人公が再戦をする場合、敵がパワーアップしていれば、主人公がそれに負けじと全力を尽くすこととなり、燃える勝負となる。しかし敵がまったくパワーアップしていなかった、あるいはパワーアップが主人公にまったく追いついていなかった場合、瞬殺と呼べるスピードで片付けられることがある。怪人の方からすればひどい話であるが、しかし以前は苦戦した相手を一蹴する主人公の姿は、それはそれで主人公の成長をはっきりと示し、一種のカタルシスをもたらすのである。
こういった部類の「主人公側を立てるための展開」の犠牲となって散っていくのが、敵側のかませ犬であると言える。
ライバルポジションのかませ犬
スポーツものやバトルもので、ライバルポジションにいるかませ犬のパターンもある。だいたい自分がエリートであることを鼻にかけ、主人公を田舎者だの落ちこぼれだのと侮蔑するが、主人公の才能や勝利への執念で逆転負けし、鼻っ柱をへし折られることになる。
そこからベジータやグエル・ジェタークのように作品の裏主人公レベルまで出世することもあるが、その後を特に触れられず使い捨てにされる(いわゆる猿展開)という悲惨な扱いを受けることも…。
拡大解釈
言葉とは時間が経つにつれ意味が拡がったり、本来の意味とは違う形で使われており「かませ犬」もまさにそれであり、最近では意味が拡大解釈されている。
- 強さに限らず、新キャラなどの描写全般のために犠牲になるキャラクター
- 他のキャラ描写とは特に関係ないが読者・視聴者に「優越感」や「侮蔑・嘲笑」の感情を催させるキャラクター
これらも「かませ犬」と呼ばれるケースも出てきている。
前者は新しい意味として許容できなくもないが、断定が難しいところがある(特に出番云々に関しては一部のファンが被害妄想的に言っているだけというケースさえある)。後者に至っては「別のキャラクターを立てるために犠牲になる」という意味が完全に消失しており、厳密には誤用と言える。
以下「他キャラの強さを示すためのやられ役」・「登場時期に不釣り合いな弱キャラ」を中心に列挙お願いします。なお誰が敗北したかのネタバレを含んでいますのでご注意を
バトル関連
対象 | 主な要因 |
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オーズとノブナガとMOVIE大戦byレドルバス |
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袖白雪by三色網戸。 |
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世紀末だよ全員集合!by味之介 | |
神心会bytokage | |
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ロボット関連
対象 | 主な要因 |
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ズゴックbyひろぽん♪ | |
映画ラストby海草新十郎 |
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perfume的な何かbymstk |
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組織関連
対象 | 主な要因 |
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砂漠のゴジラ・コマンドbyHAL9000 | |
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スポーツ関連
対象 | 主な要因 |
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データマン爆誕2020by誠。 |
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ファンタジー・バトルもの関連
対象 | 主な要因 |
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勇者Vtuberああああbykaramatsu0larch | |
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ヒロインレース関連
ヒロインが多数存在するラブコメ、かつハーレム物でない場合、主人公とどのヒロインが結ばれるかを曖昧にして読者の興味を引くヒロインレース(別名:正妻戦争)と言う形式を取る事が多い。
これらの作品においては、明らかに主人公とくっつきそうにないのに、女の子の数を増やすためだけに登場したとしか思えないヒロインが登場したりする。これもまた、恋愛的な意味でのかませ犬と言って良いだろう。
そして、こうしたかませ犬になりやすいジャンルのヒロインと言うのも存在する。これについては負けヒロインも参照。
対象 | 主な要因 |
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なろう系関連
小説家になろうやカクヨムに投稿されるネット小説、いわゆるなろう系においては、かませ犬の登場率が非常に高い。主人公がチート系の能力者で敵に一切苦戦しないという事が多いので、その場合、主人公に敵対する者は必然的にあっさりやられるかませ犬になるのである。
さらに、かませ犬をひどい目に合わせる事を主目的としたジャンルであるざまぁ系すら存在する。賛否の多いやり方で何かと叩かれやすいが、その一方で根強いファンもいるジャンルである。
詳細については上記文章内のリンクなども参照。
対象 | 主な要因 |
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特定のキャラクターの強さを分かりやすく示せると言う事で、古今東西さまざまな作品で使われて来た有用な手法だが、一方で、「何かを下げる事で何かを上げる」と言う手段は一歩扱いを間違えると反感を買いやすい。
特に昨今ではメインキャラそれぞれに一定のファンがつく推し文化が盛んであり、そうしたファンのいるキャラを下げる手法には反感を買いやすい傾向にある。
ただ、これに関しては「話の展開次第」と言う物もある。例えばかませにされる側を悪趣味に下げるのではなく、負けるなりにしっかり食い下がったりすると、そのファンから反感も買いにくくなる。
具体的な例としては北斗の拳のトキがわかりやすい。彼は様々な相手から一目置かれる実力者だが、作中では二度噛ませ犬にされている。
一度目はラオウとの兄弟決戦だが、これは「因縁深い兄との対決であり、この対決自体が非常に盛り上がる展開」「トキもラオウに食い下がり、膝をつかせるまでに追い詰める」「ラオウが『病んでさえいなければ』と涙を流す」など、敗れたトキも格が上がる展開となっている。その結果、作中でもトップクラスの名バトルとして、ファンからの評価も高い。
一方、二度目は余命いくばくもない所をリュウガに襲われた展開だが、「リュウガがポッと出で魅力が感じられない」「ストーリーの意義が良くわからない」「バトルそのものもいまいち盛り上がらない」等から、ファンからの評価は非常に低い。
全く同じファンが相手でも、噛ませ展開のやり方によって反感を買う事も称賛される事もある、と言う実例と言えるだろう。
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