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曖昧さ回避編集

  1. 黒澤明監督の1949年公開の映画。何度かリメイクされている。⇒野良犬(黒澤明)
  2. ARBのデビュー曲。1978年発売。
  3. 1986年の松山千春の楽曲。

概要編集

飼い犬ではない、つまり誰にも飼われていない野生野犬宿無しの犬であるが、野良猫などと同様、近隣住民から餌を貰っていることもある(条例によって野犬への餌やりを禁止している地域も多いが、違法でなくても迷惑行為なので絶対にしないこと。後述)。


人間などを野良犬呼ばわりすることもある(大概蔑称だが)。


日本でも、昭和時代までは街中で多くの野良犬を見かけた。その頃は飼い犬の管理も緩かったので散歩中にリードを外しても咎められなかったし、動物愛護意識も低かったから捨て犬への抵抗感も薄かったが、子供などが犬に追いかけられたり噛まれたりする事故がちょくちょくあった。昭和末期以降は野犬狩りが徹底され、平成に入ってからは野良犬の数は激減したものの、まだ野良犬が多く生息している地域もある。


タイには今でも街中に多くの野良犬がたむろしており、飼い犬を放し飼いする習慣もあるので、犬が苦手な人にとっては辛い環境である。タイでも放し飼いは違法だし、野良犬や飼い犬が人に噛みつく事案が頻発して社会問題になっているのだが、かつての日本と同様取り締まりが緩いので事実上野放しの状況となっている。


問題点編集

犬はオオカミが家畜化された動物であり、「犬歯」と呼ばれるほどは鋭く、走ればウサイン・ボルトを軽く凌駕するほどのスピードを出す。言うなれば彼らはハンターになるべくして生まれたような生き物であり、闘犬猟犬の戦いぶりを見れば彼らがいかに強い生物かは容易に想像がつくであろう。


前置きが長くなったが、野良犬の問題とは要はそういうことである。


犬は三日飼えば三年恩を忘れぬと言うが、飼い主のいない彼らは平気で家畜を襲い、人間相手も恐れずに(またはビビりすぎるあまり逆切れして)牙を剥く。加えて、と違い犬は群れを成す性質が高く(イヌ科において「一匹狼」は珍しい)、相手をスタミナ切れに追い込むまで吠え追い立て、体中に食らいついてバリバリ噛み砕くという狩りを行う。こうした群れは人畜に著しい被害をもたらすこともあるため、飼い主のいない犬はほとんどの国で野犬狩りの対象となっている。


また、これらの野犬の多くはと同じく狂犬病やらエキノコックスやら人体や家畜に悪影響を及ぼす病原体を保持していることも多く、尿や咬まれた傷からそういった病気に感染するリスクも抱えていることがある(野生の肉食動物はほぼ全てそうだと考えた方がいい)。


もし犬を飼う機会があったら、絶対に捨てることなく、法律で定められた予防注射などは必ず行い、最後まで責任をもって育てて頂きたい。犬の寿命は人間に比べて格段に短いのだから、その少ない命を人間からの憎悪と敵対だけに向けさせるのは、双方にとってあまりに哀しい事である。


日本における野良犬の歴史編集

かつての日本では野良犬が当たり前のようにいた。というか江戸時代以前は、凶暴な闘犬などは別にして犬を繋ぐ習慣がなかったので、野良犬と飼い犬が今のようにキッチリ分けられていたかも怪しい。


風葬の習慣があった平安時代の日本では、野良犬が野晒しにされた人間の死体を食らっており、人体の一部を咥えた野良犬が街中に出てくることもあった。その頃には捨て子の習慣もあり、山に捨てられた幼子などはおおかた生きたまま野良犬に食われていただろう。また、人は人で犬の命もなんとも思っておらず、鎌倉武士たちは弓矢の腕を磨くため、野犬を的にしていた(犬追物)。その頃の日本には犬食の風習もあり、射殺した犬は郎党に美味しく頂かれていた


江戸時代には徳川綱吉の代に生類憐れみの令が敷かれて捨て子や犬の虐待などが禁止され、そういった世紀末状態には一区切りつくものの、犬の管理は相変わらずいい加減なままで、江戸時代中期(享保年間)に狂犬病が入ると、狂犬病に感染した凶暴な野犬が人や牛馬を襲うようになった。この結果、狂犬病が流行するたびにその地域では犬の飼育禁止令が出されたり、大々的な野犬狩りが行われた。だが、気ままに過ごす犬が人里から姿を消すことはなく、幕末近くなっても、野良犬に金玉を食い破られた勝麟太郎(後の勝海舟)の例のように、野良犬が人間に噛み付いて重傷を負わせることもあった。


明治時代になると、狂犬病対策として畜犬取締規則ができ、飼い犬は首輪をつけることが原則となった。首輪のついていない犬は野犬狩りで駆除されても文句は言えない。それでも犬を放し飼いする習慣は根強く残り、有名な忠犬ハチ公も首輪こそつけていたものの放し飼いであった。狂犬病対策として飼い犬の登録が義務付けられ、放し飼いが禁止になったのは第二次世界大戦後の昭和28年(1953年)にようやくのことである。この成果もあって狂犬病は昭和32年(1957年)までに日本からほぼ根絶された。


しかし、飼い主のない野良犬は昭和の終わり頃までは当たり前のようにいた。それが、多くの地方から姿を消したのは、昭和50年代に野良犬が子供を襲う事故が相次ぎ、警察による駆除が徹底されてからである。


だが、令和の今でも野良犬が比較的多い地域もあり、北海道道北道東は今でも多くの野犬が山野や都市郊外に生息する。ニホンジカが大繁殖しているため餌に困らず、北海道の大地は広大なため駆除の手も行き届かない。犬が牧場の牛を集団で襲うなどの事件が度々起きている一方、野犬が都市部へのヒグマの侵入を防いでいる面もあり、北海道における野良犬には功罪あるようである。


このほか山口県周南市ではなぜか平成後期以降野良犬が極端に増加し、人が野良犬に噛まれる、散歩中の飼い犬を襲う、庭を荒らされるなどのトラブルが絶えず、深刻な問題になっている。日本の多くの地域で野良犬が姿を消す中、周南市周辺でのみ増えている原因は不明な点が多いが、密かに餌をやっている市民がいる疑いがあり、市では「野犬対策キャンペーン」を展開して餌やり禁止を強く訴えている。


野犬を題材とした作品編集


関連タグ編集

 野良 野犬 野生

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