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概要編集

大正末期から昭和初期に生きた秋田犬渋谷駅前に銅像が設置されており、現在も人々から親しまれている。「ハチ公前」が待ち合わせ場所としてよく使われるのは、ハチの生い立ちもあってのことだろう。


1920年代は、和犬そのものの頭数が少なかったため、ある種の珍獣として見られた。


後述するハチ公のエピソードに感動したヘレン・ケラーは、来日した際秋田県へ赴き、秋田犬を所望したという。ちなみにその送られた「神風号」が死んだ際、血縁である「剣山号」がヘレンに送られている。


ハチの生い立ち編集

1923年11月生まれ。大学教授(東京大学農学部農業土木工学教授)・上野英三郎の飼い犬であった。

現在の秋田県、大館市で8頭の兄弟として誕生。父は「オオシナイ(大子内)」、母は「ゴマ(胡麻)」。1924年1月、生後2ヶ月のとき上野に30円(当時の額で。ちなみにその頃の銀行員や大卒者の初任給が50円位である。決して安い値段ではない)で購入されて東京に運ばれ、以降、ハチと名付けられて可愛がられていた。

主人の出勤を見送るのが日課で、最寄駅の渋谷駅まで送り迎えすることもあった。


しかし、1925年5月、上野が仕事中に脳溢血で倒れ帰らぬ人となってしまう。

ハチはいくら待っても帰って来ない主人を憂いでか、この後3日間何も食べなかったという。


上野と妻の八重は、双方の両親の許しがなかなか出ぬままの結婚であったことから八重は家を出ねばならず、知り合いの家に居候することになったが、ハチを居候先に置いてはおけず、八重の親戚の日本橋伝馬町の呉服屋へ預けられた。

しかしハチは大型犬なのもあり食費がかかることや、人懐っこい性格から客が来ると飛びついてしまったりなどしたことから、結局知り合いの家へたらい回しされていたが

1927年、上野家お抱えの植木職人だった小林菊三郎のもとで落ち着いた。


小林もハチを可愛がっていたが、ハチは元・主人の上野を忘れることが出来ないのか

「旧・上野家に出向いて窓から中を覗き、上野がいないことを確認するとその足で渋谷駅へ向かう」

という行動を繰り返すようになった。当初は虐待や心ないイタズラをされることも多く、また首輪を盗まれて(首輪が高価なものだったこと、犬が安産の象徴とされ当時は首輪が妊婦お守りになるとされていたことなどから)、何度か野良犬駆除業者に捕まることもあったが、1932年に朝日新聞でハチの生い立ちが特集されてからは一転、「ハチ公」の愛称で親しまれるようになった。


そして主人の死から約10年。1935年3月8日にハチは満11歳で亡くなった。寄生虫病のフィラリアの進行もあったが、何より、癌が致命的だったことが後の解剖と分析で判明している。

いつもの改札口とは反対側で亡くなっており、その日に目撃した人によるとお世話になった人の家々を回ってお礼参りをしていたとされる。

12日に渋谷駅で上野家や小林家、駅や周辺の街の人々が参列する盛大な告別式が行われた。墓は旧主・上野の横に建てられ、遺骸は解剖の後、剥製となり、現在も国立科学博物館で来館者を迎えている。




渋谷駅前の銅像編集

渋谷駅前の「忠犬ハチ公」の銅像は二度作られている。

渋谷駅 (昭和初期シリーズ)

初代のものは1934年、ハチの生い立ちに感動した彫刻家・安藤照によって作られ、除幕式にはハチ自身も参加。その後ハチが亡くなるまでの1年ほどは実物と銅像が同時に見られた。場所は現在と異なり、駅舎の屋根の下の改札前だった。

しかしこの銅像は、大東亜戦争の金属供出のために1944年に撤去されてしまった(保管運動もあって戦争が終わるまで別所にて保管するという事で表向きは「撤去」だったが、結局、この約束は守られなかった)。撤去後も暫くは保管されていたものの、1945年8月14日というギリギリのタイミングで溶解され、機関車の部品に鋳込まれてしまった。


二代目のものは終戦後の1948年、初代製作者の息子である安藤士によって作られた。

微妙に場所を変えながらも渋谷駅前に座り続け、長年にわたって人々に愛されている。


尚、ハチ公の銅像はハチの故郷である秋田県の大舘駅(こちらは若い時のイメージで左耳が垂れていない)、旧主・上野の故郷である三重県の久居駅(上野の像と共に)、上野が教鞭をとっていた東京大学農学部が現在ある本郷キャンパス(同じく上野の像と共に。尚、上野が生きていた時期の農学部は駒場キャンパスにあった)にも置かれている。




余談編集

2022年4月22日放送の水曜日のダウンタウンの企画「本物のハチ公を見たことがある人、まだギリこの世にいる説」で、「見たことがある人」が放送当時大体90歳代だった為、見たことがある人が「ギリ」ではなく「かなり」発見された。


目撃情報では

・駅前経由で焼き鳥屋で肉を貰う姿が多数報告

・名物になりすぎてハチ公を撫でるために小学生の順番待ちの列ができた

・秋田犬でもかなりの健体で目立つ為、山手線の車窓からも目撃された

・ブームに便乗してハチ公煎餅等が売られていた

・本物の生前のハチ公が映る映画(昭和9年公開の『あるぷす大将』)が存在する

・母がハチ公を飼っていた(前述の植木職人・小林氏の親族?)という人から、特徴的な折れた左耳は、ある日怪我をして帰ってきたのを母が縫い合わせたが素人なので折れてしまったと聞いた

等の報告が多数出る事となった。



忠犬ハチ公を扱った作品編集


渋谷のイメージキャラクター化編集

やがて認知度が上がり、渋谷の待ち合わせ場所・イメージキャラとなったハチ公は、渋谷区の公式キャラクターとなり、活動の場を広げている。

例えば、渋谷区のコミュニティバスはハチ公バスだし、還元率の高い渋谷区内決済アプリはハチペイだ。

また、2024年に100周年を記念してイベントを開催、アニメ「SHIBUYA♡HACHI」を4月に公開した。


関連タグ編集

表記揺れ:ハチ ハチ公 HACHI

 忠犬 秋田県 大館市 秋田犬

駅前 渋谷 渋谷駅 スクランブル交差点 銅像  待つ 待ち合わせ


ガメラ3ガメラギャオスによる怪獣同士の戦いで渋谷が火の海になり、ハチ公像が火炎で焼かれるシーンがクローズアップされている。



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