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概要

番数245番目
使用期間1912年7月30日~1926年12月25日(14年148日間)
天皇第123代大正天皇
勘申者国府種徳
典拠『易経』彖伝・臨卦「亨以、天之道也」
他の候補天興、興化、永安、乾徳、昭徳

日本元号大正天皇の在位期間である大正元年(西暦1912年)7月30日から大正15年12月25日までの期間の元号。この時代を大正時代という。

世界情勢

1914年(大正3年)に第一次世界大戦(当時の日本では歐洲大戦と呼ばれた)が起こった。日本はこれに連合国側として参戦。連合国の勝利後は敗戦国であるドイツの権益を一部引き継ぎ、また当時の国際連盟の常任理事国になった。

同大戦後のロシア革命およびアメリカ合衆国との協調外交によって日本周辺に大きな脅威が無くなったことから軍縮が図られ、海軍ワシントン海軍軍縮条約の締結(大正11年)による八八艦隊計画の破棄、陸軍は山梨軍縮(大正11〜12年)および宇垣軍縮(大正14年)で人員縮小と軍備の近代化がなされた。他方、大正7年から米英仏などの列強と共同でシベリア出兵を行い、日本は他国が撤退した大正9年以降も出兵を続け大正12年にようやく撤兵したことから他国に領土的野心を疑われ、特に日米関係に禍根を残した。

世相

新中流階級(サラリーマン)が発生し、従来の藩閥政治に代わって政党政治が定着。後の時代に大正デモクラシーと呼ばれる自由主義的風潮が中流層に広まった。

文化的には、主に大都市部で大正浪漫と呼ばれる華やかな文化が隆盛したが、田舎は近代化から取残され、小作争議などもしばしば起こった(日清・日露戦争以降の日本が満洲などの対外進出に傾斜し、地方の開発や貧困層の救済に注力しなかったことが一因である)。

先述した第一次世界大戦で「成金」が多数生まれるなど日本経済は好況を呈した。しかし戦後、加熱した投機ブームに起因する不良債権が顕在化。大正12年に関東大震災が首都圏を襲い、震災恐慌が発生、その後起こる昭和金融恐慌(世界恐慌の影響で発生した昭和恐慌とは異なる)の遠因となった。

年表

  • 大正元年 - 乃木希典大将殉死(9月13日)。護憲運動が起こる(12月)。
  • 大正2年 - 木村鈴四郎徳田金一の両中尉が墜落死し航空界の初犠牲となる。翻訳劇が流行し松井須磨子の「カチューシャの唄」が全国を風靡。護憲国民大会が暴動化し軍隊出動。大正政変内閣総辞職)。
  • 大正3年 - 桜島爆発噴火(1月)。東京停車場竣工(3月)。昭憲皇太后崩御(4月11日)。シーメンス事件の予審終結(4月25日)。対独宣戦、第一次世界大戦(8月23日)。青島を占領する(11月)。
  • 大正4年 - 大浦事件(7月)。井上馨が亡くなる(9月)。即位御大礼が行われる(11月10日)。大隈重信首相の車窓演説・与党の大勝利(総選挙)。邦文タイプライターの発明。
  • 大正5年 - スミス・アートの来日(5月)。簡易生命保険法が公布される(10月)。裕仁親王の立太子式(11月)。
  • 大正6年 - 小額紙幣の発行(10月13日)。東京芝浦にて第3回極東オリンピック大会(5月8日)。地中海にてドイツ海軍と戦う(6月)。輸出禁止(9月)。チャップリン髭の流行。
  • 大正7年 - シベリア出兵に決定(7月)。米騒動勃発(8月)。欧洲大戦休戦条約なる(11月11日)。製鉄所疑獄事件に判決(12月28日)。民謡の流行(安来節鴨緑江節小原節など)。
  • 大正8年 - 戦艦陸奥の進水(5月30日)。ヴェルサイユにて平和条約調印(6月8日)。東京市で平和祝賀会挙行(7月)。活版職工の罷業(8月)。第1回国際労働会議派遣代表鎌田栄吉ら出発(10月)。東京・大阪間に初めて郵便飛行を試みる(10月)。世界大戦講和条約正文発表(11月)。東京麹町区永田町の松本虎雄訓導が殉職(11月20日)。スペイン風邪(流行性感冒)の流行。
  • 大正9年 - 明治神宮造営。日独平和克復の大詔が煥発される(1月10日)。尼港事件の報が伝わり世論惹起(5月)。第1回国勢調査(10月)。明治神宮鎮座祭(11月)。
  • 大正10年 - 皇太子海外巡遊(3月3日。9月3日に還啓)。熊谷一彌清水善造の両テニス選手がデヴィス・カップ戦に出場(8月)。共産主義者検挙(8月下旬)。皇太子が摂政に任じられる(11月)。原敬首相が刺される(11月4日)。ワシントン会議開会(11月)。日英同盟破棄(12月)。
  • 大正11年 - 国勢院調査の結果日本総財産額が860億円と決定(2月)。未成年者飲酒禁止法制定(3月)。平和記念大博覧会(3月10日)。イギリス皇太子が入京(4月)。信託法公布(4月21日)。宮城県の小学校訓導小野さつきが殉職(7月)。監獄を刑務所と改称(10月)。理化学研究所が合成酒を発明。
  • 大正12年 - ロシア代表ヨッフェが入京して後藤新平と会見(2月)。普選示威運動(3月22日)。郡制廃止(4月)。日本共産党検挙(6月)。関東大震災(9月1日)。暴利取締令(9月)。『国民精神作興に関する詔書』煥発(11月10日)。虎ノ門事件(12月)。
  • 大正13年 - 皇太子ご成婚(1月)。アメリカ議会排日法案通過で内外の論議沸騰(4月)。総選挙で護憲三派大勝、清浦内閣総辞職(5月)。メートル法実施(7月)。各省に政務官(政務次官・参与官)を1設置(8月)。福田雅太郎大将が刺される(9月1日)。
  • 大正14年 - 東京放送局がラジオ初放送(3月22日)。四ヶ師団廃止(3月)。治安維持法公布(4月)。普通選挙法公布(5月)。秩父宮が英国ご留学(5月)。但馬・豊岡・城崎地方の激震で死者数千(5月)。初風・東風の両飛行機が訪欧飛行(7月25日出発、10月27日ローマに安着)。片岡弓八がスペイン沖にて八坂丸金塊引揚に成功して帰国(9月)。皇孫照宮成子内親王ご誕生(12月)。小鳥の愛玩が大流行。ピス健と名乗る殺人強盗・大西性次郎が現れて世間を騒がせる。
  • 大正15年 - 第2回女子オリンピック大会に出場した人見絹枝が国際女子運動競技連盟より名誉賞授与(8月)。鬼熊と通称された殺人犯が世間を騒がせる(9月)。神宮体育大会(10月28日)。長慶天皇を皇統に奉列する(10月)。大正天皇崩御、昭和天皇践祚(12月25日)。

大正の典拠

典拠は『易経』臨、「いに亨りて以てしきは、天の道なり」、『易経』大畜、「剛上りて賢を尚ぶ、能く健を止む、大正なり」。

「すべてとどこおりなく順調にはこび、正しさを得るのは、天道に合致している」「その徳は剛直で、賢人を尊び、また篤実なものが過度に健やかなものを抑止して、大いに正す」という意味の元号である。

「大正」「天興」「興化」「永安」「乾徳」「昭徳」の元号案があったが、最終的に最初の三案に絞られ、枢密顧問の審議により「大正」に決定した。

「大正」の勘申者は国府種徳

典拠一覧

易経』臨、「亨以、天之道也」

『易経』大畜、「剛上而尚賢、能止健、大正也」

『易経』无妄、「動而健、剛中而応、亨以、天之命也」

書経』武成、「惟有道会孫、周王発、将有大正于商」

『書経』冏命、「今予命汝作大正、正于羣僕侍御之臣」

春秋公羊伝』「君子

後漢書』「通天然之明、建聖之基、改元暦、垂萬代則」

他の元号案の典拠

天興

国語』晋語四、「之所、誰能禦之」

興化

姜公輔対策、「夫中於道者易以興化

永安

文選』「神霊扶其棟宇、歴千載而弥堅、永安寧以祉福、長與大漢而久存、実至尊之所御、保延寿而宜子孫」

『文選』「為無為、事無事、有民、以孔

後漢書』鄧皇后伝、「永安漢室、綏静四海」

晉書』「臣聞天子者、所以済育羣生、永安萬国」

乾徳

易経』朱注、「元亨利貞、之四

易緯』注、「人象乾徳而生者也」

易林』「扶陽之政、以保乾徳、終終蠱惑」

呉志』薛瑩伝、「乾徳博好、文雅是貴」

関連動画

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