語意
大正浪漫(大正ロマン)とは、大正時代の都会の華やかさと不安感が混在した社会思潮および退廃的で和洋折衷の雰囲気をまとった文化を表す言葉である。
pixivのタグとしては主に学生や高等遊民、書生や将校の男と大正時代の着物を身にまとった女との淡い恋愛を描写した作品が多い。また少年愛など耽美的なイラストも存在する。
この項目では、まず大正時代の時代像、続いて大正期の服装(ファッション)について説明を行い、末尾にProjectDIVAのモジュールに関して説明を行う。
別名・表記ゆれ
時代像
大正期の日本は、第一次世界大戦(欧州大戦)でヨーロッパの製造業が機能不全になったため日本製品が良く売れ、成金が続出した(戦争景気)。
日清戦争・日露戦争以降の工業化が一層進み、交通・金融・流通が主要都市を結び、大衆に新聞や書籍といったマスメディアも行き渡った。政党政治が定着し、大正デモクラシーと呼ばれる自由と民主主義を尊ぶ風潮、思潮が発展した。
大日本帝国海軍は戦争景気を背景に八八艦隊と称する大軍拡を推し進めたが、財政面での負担が大きかったことから挫折を余儀なくされた(ワシントン海軍軍縮条約)。大日本帝国陸軍も欧州大戦後の緊張緩和により宇垣軍縮などの軍縮が進んだ。欧州大戦とロシア革命の余波により、米騒動をはじめとする大衆運動が勃発、穏健なものから急進的なものまでさまざまな社会主義・無産者運動が起きた。
この時代は関東大震災による東京・横浜の壊滅と再建によって一区切りがつき、昭和初期、いわゆる昭和モダンの時代へと移っていく。
しかし昭和モダンの時代には世界恐慌が襲来、さらに治安維持法制定に伴う特高警察の暴走、政党政治の腐敗と右翼らによる暗殺・クーデター事件の続発、軍部の台頭と権力掌握、連合国との戦争に至る暗い影が日本を覆うことになる。
別の言い方をすれば、大正浪漫とはある意味で「戦前日本の最初で最後の平和な全盛期」を象徴する文化なのである。
大正時代の芸術
芸術面では、アール・ヌーボー、アール・デコ、表現主義等、欧米の芸術潮流が取り入れられた。
画家ではほぼ活躍期間が大正時代と一致する竹久夢二が代表的である。
小説においては志賀直哉の『城の崎にて』『暗夜行路』、芥川龍之介の『羅生門』、有島武郎の『カインの末裔』などがこの時代を代表する。
代表的な芸術家
北原白秋 高畠華宵 竹久夢二 夏目漱石 野口雨情 坪内逍遥 芥川龍之介 松井須磨子
関連タグ
エンターテインメント作品のジャンル一覧 デザイン 世界観 浪漫
アール・デコ アール・ヌーボー アンティーク ハイカラ モダン レトロ
外部リンク
大正時代の服飾
伝統的な和装が根強い一方で、都市部ではいわゆるハイカラと呼ばれた洋装が定着しはじめた時代である。
しかし、現代において「大正浪漫」といえば思い起こされるのは、この時代に特徴的な和洋折衷の服装であろう。
女子学生
矢絣袴に代表される、前もって染め分けた糸で模様をつけた絣の着物に女袴の和装で髪には大きなリボン、足元は活動的な革靴やブーツを履くスタイルが特に有名である。
このスタイルは、明治30年ごろから全国に女学校が成立、明治10年代からの欧化主義を広めようとした鹿鳴館時代の欧化過剰を修正したい政府の方針もあり、明治末から大正初頭にかけ定着した。( 増田美子『日本衣服史』pp.310-315 )
女学生の袴スタイルは当時の教育者である下田歌子が考案したとされる。裾が二つに分かれていないスカート様の行燈袴と呼ばれる形式であり、従来の男性用と区別して女袴と呼ばれた。
増田によれば女袴の色は海老茶、赤みの茶色もしくは紫みの暗い赤色が代表で他には紫紺や藤紫などが用いられた。上は着物と束髪、西洋靴を履き、西洋建築の学校での勉学に適した斬新な一種の洋装であったという。
制服としてセーラー服を採用したのは、大正9年、京都の平安女学院であるとされる。
男子学生
詰襟のいわゆる学ランに、冬は将校が用いたためその名がある将校マントと呼ばれるマントを羽織り、学生帽に下駄といったバンカラスタイルが流行していた。特に他人の家に住み込んで働きつつ勉学する者を書生と呼んだが、当時は広く行われた習慣であった。
大人の服装
この時代には和装洋装がいりまじっており、農民はなお伝統的な野良着を着ていたが、商業の発達によってサラリーマンが登場したのもこの時代であり、彼らは洋装が主であった。
女性
女性の場合、メイドやウェイトレスは、着物にフリルの洋風白エプロンを付けて働いていたが、銀行などの事務員、鉄道の出札係、電話交換手といった職業に関しては女袴に西洋靴の女学生風が多かったといわれている。( 『日本衣服史』 )
その他の成人女性は和服が多かったものの、関東大震災においては動きにくい和装によるものと思しき犠牲者多数出たといわれ、さらに火災等によりそれまで着用していた和服が失われたこともあり、昭和モダンの時代にかけて、洋服が流行した。
モガ・モボ
震災後、若い男女の間で、それまでとは異なる衣装が流行し、モガおよびモボと呼ばれた。
女性はモガ( モダンガール )と呼ばれる「ひざ下丈のワンピース、クロッシェ( フランス語で釣鐘という意味で、頭の部分はなだらかに丸く小さなつばは全体に下向きとなった帽子 )」が特長となる衣装が女性の間で流行した。
一方男性ではモガに対してモボ( モダンボーイ )というファッションが流行し、山高帽にロイド眼鏡( セルロイド縁の丸眼鏡、アメリカの喜劇役者ハロルド・ロイドが劇中で着用していた )、メンズのセーラーパンツが流行った。
関連イラスト
関連タグ
大正ロマン....表記ゆれ
四五式軍衣……大正期に陸軍で使用された軍服、いわゆる「将校マント」
関連作品
赤い鳥 鬼さんやめてえぇっ!! 葛葉ライドウ(デビルサマナー葛葉ライドウシリーズ) 鬼滅の刃 恋文ロマンチカ サクラ大戦(帝国華撃団) さくらの雲*スカアレットの恋 小説千本桜 シルバー假面 大正メビウスライン 大正冒険奇譚編(パワポケ7裏シナリオ) 大正野球娘。 ドラえもんのび太の創世日記 ニル・アドミラリの天秤 はいからさんが通る 御神楽少女探偵団 吾輩は猫である 紡ぐ乙女と大正の月
外部リンク
- モダンと古典のマリアージュ!大正浪漫なイラスト特集 - pixivision(2016年3月8日)
- モボ・モガ集合!大正浪漫な男女のイラスト特集 - pixivision(2016年12月2日)
- 和と洋の境界線で。大正ロマンのイラスト特集 - pixivision(2018年5月28日)
ProjectDIVA
「初音ミク -Project DIVA- 2nd」に『MEIKO発売6周年記念』として配信されたモジュールである。原案はピアプロのtomenoさん。
ピンクの着物が可愛らしい和風モジュールであり、袴と袖はグラデーションになっており桜の花がワンポイントとなっている。
検索の際にはProjectDIVA、またはMEIKOタグを併用する事をオススメする。