概要
大正デモクラシー(たいしょうデモクラシー)とは、日本で1910年代から1920年代(概ね大正年間)にかけて起こった、政治・社会・文化の各方面における民本主義の発展、大衆の自由を求める自由主義的な運動、風潮、思想の総称である。
日本国内では都市化・工業化の進展とともに労働者階級(無産階級=プロレタリアート)が広がるとともに新中流階級(サラリーマン)が発生し、従来の藩閥政治に代わって政党政治が定着することになる。この時代に広まった自由主義的風潮は、後の時代に「大正デモクラシー」と呼ばれる。
第一次世界大戦中の大正7年(1918年)には、業者の買い占めにより米価高騰が激化し、全国で暴動に発展する(米騒動)。さらに戦後恐慌で労働者の生活が苦しくなったため労働争議も頻発した。しかし、当時は労働組合法もなく、労働者の争議権も認められていなかった。
当時は納税額により参政権が限定される制限選挙であったが、明治の末年から無産階級に参政権の開放を求める普通選挙権運動が盛んになり、1925年(大正14年)に普通選挙法が可決成立。1928年(昭和3年)から25歳以上男子普通選挙が実現した。同時に女性参政権運動も起こるが、実現は第二次世界大戦後の第22回衆議院議員総選挙に持ち越されることになる。
終わる時期は定かではないが関東大震災、治安維持法制定、満州事変あたりなどとされる。