概要
カフェは飲食業のひとつの業態。コーヒーやお茶、スイーツ類といった軽食をメインに提供する飲食店である。
スペインやイタリアのバルもこれに近く、昨今ではカフェでもカクテル・ビールなどの酒を提供できるが、その場合は未成年飲酒対策の措置が必須となっているため、カフェバーと名乗り区別していることが多い。
歴史
カフェの発祥は、トルコなどのイスラム圏である。コーヒーがヨーロッパにもたらされたのは17世紀頃でオスマン帝国の影響によるものであり、それから欧州全体に広がったとされる。
もともと「カフェ」の語は「コーヒー」を表していたが、それが転じて「コーヒーを飲めるお店」の意味になったものである。日本では言葉としてカフェの歴史は案外古く横浜、神戸といった外国人居留地から始まり、明治中~末期には全国に浸透、カフエー(カフエとも)と呼んでいた。。関東大震災以後、カフェーは急速にブームとなり、雨後の筍のように増加した(芥川龍之介の小説にも震災後に増えたものはカフェーばかりで甘味屋がめっきりなくなったと嘆く短編がある)。
しかし、カフェのサービスは過激化していきキャバクラ紛いの風俗行為も浸透し、カフェ-がバーの性格を兼ねていったことが、のちの喫茶店(これが純喫茶と言われるようになった)とカフェの違いを生む契機となっている(この辺の歴史は喫茶店を参照)。
戦後になると法律によって酒類提供できない軽食店が喫茶店、酒類提供のできる軽食店がカフェとなったが、カフェは鳴りを潜め、代わりに喫茶店が「喫茶」という名称で呼ばれ、若者文化の中心地となった(ガロの『学生街の喫茶店』などといったヒット曲もある)。また、酒類提供できる店はバーへと役割分担していき、コーヒーに特化した店は当時は時代の最先端だったアメリカに倣ってコーヒーショップと呼ばれることが主流であった(その頃を代表するヒット曲の一つがコーヒールンバなどであり、モカコーヒーやキリマンジャロが通好みの味として持て囃された)。現在もアメリカではスターバックスなども含めコーヒーショップと呼び、日本でもコーヒー提供に特化した店はコーヒーショップと呼んでいるケースがある。一方、昨今のようにパフェ、フルーツなどデザート系をメインに提供する店はパーラーと呼ばれパーラー喫茶も多く存在し、多くの女性客を惹きつけた。一方で、当時は乱痴気騒動、風紀を乱す元凶であった風俗業のカフェーのイメージを強く引きずっていたため、カフェという言葉が憚られていたようである。
コーヒーショップが再びカフェと呼ばれることが多くなったのは、海外旅行が解禁されヨーロッパ文化が日本に浸透してきたのと喫茶店が「サ店」と呼ばれた頃には非行学生の溜まり場となり、イメージが悪くなっていたからである。とりわけ1980年代後半、商社らの思惑によってフランス(尤も、フランスの場合はそれ以前にも大きなムーブメントが何回かあった)、イタリア文化が盛んに日本に紹介されることになり、ヨーロッパ式の開放型コーヒーショップが相次いで開店、それらはカフェテリア形式、オープンカフェなど種々であったが、結果カフェと名乗る喫茶店が多くなった。またセルフ形式のドトールコーヒーが大きく売上を伸ばした時期でもある。1990年代後半からは同じくイタリアンカフェの影響を受けた、スターバックス、タリーズに代表されるシアトル系カフェの日本進出によって、再度カフェが若者文化の拠点となったことでカフェは復権を果たしたといえる。
また、前述したように喫茶店業界も個人経営からスターバックス、ドトールに代表される大手資本の流入も大きく影響しており、それらがカフェと名乗っていたこともカフェの勢力を強くした。一方で、飲食メインのコメダ珈琲店は、公式ページにてフルサービス型喫茶店と名乗っているなど、フルサービス喫茶店は個人商店からチェーン店化している傾向も強い。
喫茶店との違い
以前はカフェは「飲食店営業許可が必要」、喫茶店は「喫茶店営業許可が必要」と、法的な位置づけも異なっていたおり、喫茶店は酒類提供ができなかったが、カフェも役回りが変わり、酒類を提供していない店が増加していた。よって2021年に法改正され飲食店営業許可に統合された。これによりカフェと喫茶店の法的な違いはなくなり、どう名乗るかは店主のこだわりや店の雰囲気に依るところが大きくなった。
喫茶店文化が依然として強い中京界隈などでは、喫茶店には「喫茶・軽食」と書かれていることも少なくない。コメダ珈琲店、ドトールの喫茶店スタイルである星乃珈琲店に代表されるようにモーニングなどの食事(洋食)メインの場、カフェは従来のコーヒーショップ同様、飲食、スイーツ類の軽食メインの場と位置づけられている。
喫茶店文化が廃れたエリアからは、時代に取り残された店のような誤解を与えるようになり、レトロな雰囲気な店が喫茶店、若者向けでおしゃれな雰囲気な店がカフェという珍妙な間違いを与える元凶になっているが、歴史をたどれば性格は全く同じである(神戸や徳島のように喫茶店がカフェと同じ性格のままでいる都市もある一方、純喫茶と呼ばれる店がもはや昭和ノスタルジーを感じる場所になっている事象は全国で起きており、逆にそれを観光資源にする都市もある)。
洋食専門店の少ないエリアでは喫茶店が洋食屋の代役を担っているケースも少なくない。大阪などもかつては喫茶店文化が非常に強いエリアだったのだが、カフェの勢力が強くなると喫茶店=洋食を提供する店という位置づけに変化していった。
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自然音…カフェのうるさ過ぎず、静か過ぎない人の声、騒音が有名。
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