星乃珈琲店(ほしのこーひーてん)はドトールコーヒーが、洋麺屋五右衛門などを運営する日本レストランと共同出資して出店しているフルサービス型喫茶店チェーン。業界6位。店舗数は約270。厳密にはドトールではなく日レス傘下に属するが、コーヒー焙煎のノウハウなどはドトールの影響が強い。
同系統のコメダ珈琲店とよく比較対象になり、店内をまるで知らない人からはパクリなどと呼ばれているが、コメダとは真逆のコンセプトを持つ店舗である。
コンセプト
端的に言えば、喫茶店を愛好していたシニア層をターゲットにしており、ゆったりくつろげる空間を提供する店である。そのため、白やベージュを貴重とした明るく開放的な雰囲気のコメダ珈琲店とは真逆に、黒や茶色を貴重とした、それこそ目指しているのは昭和時代の純喫茶であり、シックな高級感、レトロ基調を売りとしている。
また、力を入れているのはコメダ珈琲のようなシロノワールに代表されるデザート、スイーツ系ではなくドリア、カレー、オムライスといった洋食類であり、後述するコーヒーの価格を抑える代わりに、コメダより主食メニューの価格帯を上げている。パン系のみのメニューしかないコメダに対し、ライス系とパン系の双方のラインナップを充実させているのも星乃珈琲の魅力の一つで、またスフレパンケーキといった看板スイーツもある。
コーヒーは店舗ごとのハンドドリップ方式、星乃ブレンド、苦みが強めの彦星ブレンド、すっきり味の織姫ブレンドの三種類に絞っており、コメダよりコーヒーの価格を抑えている。
店内は完全分煙であり、また専用個室も設けている。一方でフリーWi-Fiを設置していない店が大半(かつては全く設置していなかった)なので、ビジネス客や若年層の多いコメダより、のんびりと時間を過ごしたい人向け。
経営戦略の比較
つまりは、名古屋という喫茶店文化の最先端地で揉まれ、その文化を全国に広めていったコメダ(そのためWi-Fi、SNS受けのメニューなど時代のニーズに応えた店舗作りをしている)とは真逆に、フルサービス型喫茶店衰退エリアで生まれ、その古き良き文化を今に残そう、またそれを愛好していた人たちに空間を提供しようとしているのが星乃珈琲店である。また、グループ向けの商品を充実させテーブル単価を上げる戦略をとっているコメダとは対照的に、個人客を重視し(そのため、場合にもよるが席を変えたいという要望は答えてくれることが多い)個人あたりの単価を上げる戦略をとっている。
歴史
2011年、埼玉県蕨市に1号店をオープンし、郊外型店舗のモデルとなった。都市テナント型店舗の2号店は新宿東口にオープンしており、看板メニューとなったスフレパンケーキはここで始まっている。以来駅構内、百貨店内や駅近くのロードサイドを中心に出店することで着実に業績を伸ばしている。なお、運営当初はドトールとは提携の関係にあったが、現在は持株会社となっており、事実上ドトール系列のフルサービス型喫茶店という認識が強い。
追随企業との競争
この星乃珈琲店のビジネスモデル成功の方が、追随する類似店舗を多く生むようになった。外食産業の雄、すかいらーく系列のむさしの森珈琲店、そのすかいらーく創業者でもある実業家、横川竟(きわむ)が始めた高倉町珈琲店、銀座ルノアールがキーコーヒーと提携して始めたミヤマ珈琲店などが該当し、フルサービス型喫茶店空白地域となっていた首都圏郊外を中心に、シニア層を取り囲む激戦を繰り広げるようになっている。
関連イラスト
pixivでは看板メニューの一つ、スフレ関係のイラストが多いほか、メイン画像のように昭和モダニズムを押し出したようなユニフォームも人気があるようだ。