概要
「山高帽」は、フェルトを堅く加工したクラウンの丸い帽子。もしくは、クラウンの高い帽子の総称。
堅く加工したフェルトを用いて、ブリムの端を外に反らし、頭頂上を丸くした主に男性用の帽子である。クラウンの高さやブリムの反り具合は、時代ごとに流行があり、色は黒色やグレーや茶色がポピュラーである。
18世紀半ばにイタリアのフィレンツェに、次いで1810年頃にはイギリスで乗馬用に同型の帽子が考案されたといわれている。
1850年、コーク卿は自らデザインした乗馬帽の試作をロンドンのロック帽子店に依頼。ロック帽子店はウィリアム・ボーラー(William Bowler)にこれを作らせ、コーク・ハットと名づけたが、次第に「ボーラー・ハット(Bowler hat)」と呼ばれるようになった。
アメリカでは乗馬帽であることから、ダービーステークスの創設者のひとりであるダービー伯爵(第12代)にちなんで「ダービー」(derby)と呼ばれるようになった。
ドイツやフランスでは半球型のクラウンの形状にちなんで「メロン」(melon)と称された。
紳士たちに愛用され、19世紀末には黒が一般の礼装用となっていったのである。