概要
インドシナ半島中央部とマレー半島北部に位置する立憲君主制国家。
南はマレーシア、東はカンボジア、北はラオス、西はミャンマーと隣接する。
1939年までは『シャム王国』と呼ばれていた。
現国王はチャクリー王朝のラーマ10世。
(フルネームはマハ-・ワチラロンコン・プラワチラクラーオチャオユーフア)
国民の信仰の自由は憲法で保障されているが、国王は仏教徒でなければならないと定めている。
略史
起源
現在のタイ王国の国家的起源は、13世紀にカンボジアのアンコール王朝から独立したシーインタラテット王が開いたスコータイ王朝である。
その後アユタヤ王朝(14~18世紀)、トンブリー王朝(1767~1782)を経て、1782年以降は現在のチャックリー王朝となる。
近代化
19世期後半に東南アジアにおける欧米諸国の帝国主義による植民地時代の絶頂期を迎えると、時の国王の判断により近代化への移行を開始する。
東西に迫る英仏との巧みな外交で独立を維持し、日本と共にアジアにおける植民地化を免れた。
1932年に立憲君主制へ移行。
第二次世界大戦中は日本と同盟を結び連合国に宣戦布告をするが、その裏でアメリカなどと二枚舌外交を展開。
1945年には、長期に渡って日本に手を焼きソ連の台頭を危惧していた米英に対して、タイ軍が占領した地域の返還などを条件として停戦講和を成立させた。
戦後
アメリカの支援により、共産主義化や周辺国の動乱による直接的な甚大な被害を免れる。
東南アジアではシンガポールと共に早く社会が安定化し、国民の教育水準が高かった事から工業化と都市化が進んだ。
「東南アジア諸国連合」(ASEAN)と「アジア太平洋経済協力会議」(APEC)には結成時から参加している。アジア通貨危機で経済は停滞するものの、すぐに回復して日本や中国の企業進出も進んだ。
近年
警察国家的な現政権や現王室を批判し民主化や貧困対策などを要求する大規模なデモが相次ぎ、軍事クーデターが2回も強行されるほど政情が安定しない。
国旗
タイの国旗は昔は「白象」を描いた物だったが、現在は「赤・白・青」の三色を使った旗になっている。「赤は国民」「白は仏教」「青は王族」を意味する。
食文化
現在はスプーンやフォーク、箸が日常的に使われるが、「手で食事を食べる文化」を守っている地域もある。
タイ、特にバンコクなど中部の料理は、基本的に「甘味」「辛味」「酸味」の三つを重視している。
出された料理をすぐ自分好みに調整しても良い文化があるため、飲食店や屋台には様々な調味料が並ぶ。
地理
国土全体的には山岳地帯よりも平地や台地の割合がやや多い。
最高峰は北部の「ドーイ・インタノン」山(2,576m)。
地域の地形や土壌などで異なる場合もあるが、基本的には年間を通じて気温と湿度が高く、雨季になると降水量が非常に多く深刻な洪水化にもなりやすい。
経済
タイは工業国として製造業がGDPの約34%、輸出額の90%弱を占める。
しかし就業者の約40%は農業が占めており、世界的にも知られている米を中心にキャッサバ、天然ゴム、サトウキビなどを生産している。
沿岸部では日本など国外向けのブラックタイガーなどの養殖も盛ん。
渡航
観光目的なら査証は不要。パスポートが破けてたりメモ書きがあると入国拒否の可能性あり。入国スタンプの押し忘れにも注意。
日本の外務省はバンコクの危険情報は解除されたが、詐欺やお金に関するトラブルが頻発しているため用心してほしい。さらに、マレーシア国境は分離独立を掲げるイスラム武装勢力による襲撃や爆破事件が頻発しているため絶対に近づかないように、カンボジアと接するプレアビヒア寺院は過去に軍事衝突が発生したため注意とのこと。