ピクシブ百科事典は2024年5月28日付でプライバシーポリシーを改定しました。改訂履歴

概要

文政6年(1823年)~明治32年(1899年) 。幕末から明治初期にかけて活躍した幕臣である『幕末の三舟』(他に山岡鉄舟高橋泥舟)の一人。

幕府では軍艦奉行陸軍総裁などを務めるかたわら、坂本竜馬らを門下生に迎え神戸海軍操練所の建設を進める。戊辰戦争中に西郷隆盛と会談を行い、江戸無血開城を導いた。明治維新後は初代海軍卿などを歴任、伯爵に叙せられた。著書に『海軍歴史』『陸軍歴史』『開国起原』『氷川清話』などがある。

フィクションの勝海舟については後でまとめて記載する。

生涯

名は義邦、通称は麟太郎。

安房守だったので安房と称し、のちに安芳と改名。

文政6年1月30日(1823年3月12日)、江戸幕臣の勝家の長男に生まれる。勝家は旗本であり御家人ではなく、海舟の高祖父の代で鉄砲玉薬同心から広敷番頭に出世したことで御家人から昇格した家だが、2連続で末期養子が続いて石高が41石と旗本としては異例に低くなったので、勘違いされやすい。父方の男谷家は幕臣としては新参の家であるが、母方の勝家は江戸幕府ができるより前からの徳川家の家臣である。

なお余り知られていないが、海舟の母方高祖父である勝市郎右衛門は幕末の大奥御年寄の滝山の曾祖父で、海舟の母は滝山の従姉妹でもある

ちなみに、父親で勝家の婿養子の勝小吉は不良旗本として有名であり、関所破りや道場破りの常習犯で江戸のみならず関東各地で悪名を馳せた。

就職を嫌い、まだ3歳の息子(後の勝海舟)に家督を譲ろうとしたなど、逸話の多い人物である。息子同様に自伝も残している。

文政12年(1829年)に父方の伝手で幼少時に徳川家斉の孫の一橋慶昌の遊び相手に取り立てられたが、慶昌は早死にしてしまい、側近として出世する可能性は消えてしまう。

慶昌が早死にした天保9年(1838年)に父の隠居を受けて勝家の家督を相続。しかし天保年間に父の素行不良のために、保科栄次郎邸に両親ともども預処分となる。…ついでにいうと、保科栄次郎邸はパリ万博博覧会使節団として渋沢栄一らとともに派遣された保科俊太郎正敬の実家である。

しかし男谷精一郎などから剣術と学問を学び、そこで佐久間象山と交流するようになる(海舟の妹は象山に嫁いだが、海舟も象山も自信家であり、象山の傲慢な性格もあるせいか、回顧録で海舟は象山を良く言っていない)。

黒船の来航後、老中・阿部正弘や海防掛・大久保忠寛(一翁)の知遇を得て長崎海軍伝習所に入る。

万延元年(1860年)に幕府遣米使節団の一員として咸臨丸を指揮して渡米。行きは船酔いがひどく船長室にこもりっきりだったらしいが、帰りは無事に航海している。慶應義塾の創始者・福沢諭吉も通訳として咸臨丸に同乗しているが、このころから海舟との仲は険悪だったらしい。

帰国後、神戸に海軍操練所を設立して軍艦奉行となり、この時期に坂本龍馬西郷隆盛らと知り合っている。

その後、保守派の多い幕府首脳部に睨まれて一時職を退いていたが、第二次長州戦争の停戦交渉のために政治後見職・一橋慶喜から引っ張り出されるが、慶喜自身により頭ごなしに孝明天皇の勅命を引き出され、怒った海舟は江戸へ引き上げた。ちなみに、徳川慶勝(尾張徳川家)と西郷隆盛も、第一次戦争の後で穏便に処置したのに慶喜に再戦され、心証を害している。

しかし、慶応2年(1866年)、慶喜が将軍に就任し、佐幕派の孝明天皇が崩御すると事態は一気に武力倒幕へと動き始める。慶応3年(1867年)11月、先手を打った慶喜は大政を朝廷に奉還したが、翌慶応4年(1868年)正月、鳥羽伏見の戦いで旧幕府軍が敗れると大坂城から慶喜は逃亡、官軍(薩長主体の明治政府軍)が東征を開始した。誰も対応できない徳川家は海舟を呼び戻す。徳川家の陸軍総裁となった海舟は、徹底抗戦を主張する小栗上野介の意見を「関東以北の残存勢力では新政府側に勝てる望みがない」「フランスの支援に頼ると内戦に外国を引き込んでしまう」と握り潰し、旧幕府側を代表して旧知の西郷隆盛と交渉し、江戸明け渡しの任を全うした(ついでに、邪魔な近藤勇などを、大久保一翁らと共同で適当な理由を出して、江戸から追い出している)。とはいえ、榎本武揚大鳥圭介らに幕府軍主力艦隊を率いさせたまま「脱走」させ、彰義隊に江戸市中の警備を任せさせるなど、徳川家の政治力を保つために動くのは怠りなかったが、(主に彰義隊の軽挙妄動のせいで)京都の新政府から新たに来た大村益次郎に彰義隊を壊滅させられてしまい、実質的にも江戸の支配権を奪われた(朝廷もこの年の正月にさかのぼって「明治」に改元している)。

明治維新後は、政府で参議・海軍卿・枢密顧問官などを歴任、徳川将軍家の家臣の代表格として伯爵に叙せられた。また、慶喜の名誉回復と旧幕臣の再就職の世話に尽力している。

政治的主張で対立を繰り返し、第二次長州戦争では顔に泥を塗るような真似までされたうえに、海舟が先代の徳川家茂に心酔していた事もあり、慶喜とはたがいに嫌いあうほど関係が非常に悪かったらしい。それでも海舟の実力は認めており、江戸開城のおり慶喜に海舟を呼ぶよう命じられた近臣は驚きを隠さなかったという。海舟もその期待に応え、江戸無血開城を果たし、慶喜の助命と社会復帰に尽力、将軍家とは別の家として公爵位を得させる事ができた。晩年、跡取りに先立たれた勝は慶喜の十男精(くわし)を婿養子として迎えており、何だかんだ言いながら両者の交友は最後まで続いている。

福沢諭吉は、自然科学に疎く大言壮語を繰り返す海舟を嫌っており、自伝や「痩我慢の説」で当てつけがましい事を書いているが、海舟としては気にしていなかったらしい。

逸話

  • 幼少期はド貧乏で年末にたまたま他所の家の子供が大量におをもらっているのを見て母親に「おいらも餅食いてえ」とねだり母親が親戚に相談して餅をもらえることになる。数日後、親戚から餅をもらったはよいが帰る途中石につまづいて餅を落としてしまう。それを周りの通行人が「武士の子がw」と嘲笑うのを見て急に自分が情けなくなり、餅を全部橋から川に投げ捨ててしまったという。
  • 7歳の頃、寺子屋からの帰り道に野犬に教われ睾丸をかじられてしまう。かかりつけの医者に相談したところ「保って今夜まででしょう」と診断される。そこで父・小吉はなんとか息子の命を助けたいという思いで毎日近くの神社に行き水ごりをして海舟の回復を願い、自らも懸命な看病をしたことで海舟の容態は峠を越し回復した。
  • 16歳になったばかりの長男・小鹿をアメリカに留学させており、武士の誇りを守ることを諭す訓戒状が残されている。

創作上の勝海舟

ドラマ

演者:「作品」(年)

萬屋錦之介:「田原坂」(日本テレビ、1987)

津川雅彦:「五稜郭」(日本テレビ、1988)

田村正和田村亮:「勝海舟」(日本テレビ、1990)

小日向文世:「日曜劇場 JIN-仁-

内藤剛志:「竜馬におまかせ!

井深克彦:「戦国鍋TV」⇒幕×JAPAN

福冨慶士郎鈴木福稲葉友:「小吉の女房」(2019年・2021年、NHKBS時代劇)

高橋克典:「新十郎探偵帖」(NHKBS時代劇、2020年)

味方良介:「大奥(よしながふみ)」(NHK)

NHK大河ドラマ

演者:「作品」(年)

渡哲也松方弘樹:「勝海舟」(1975)

林隆三:「翔ぶが如く」(1991)

坂東三津五郎:「徳川慶喜」(1998)

野田秀樹:「新選組!」(2003)

北大路欣也:「篤姫」(2008)

武田鉄矢:「龍馬伝」(2010)

生瀬勝久:「八重の桜」(2013)

遠藤憲一:「西郷どん」(2018)

アニメ

CV:「作品」

八木光生:「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」

小杉十郎太:「陽だまりの樹

てらそままさき:「サムライガン

外部リンク

Wikipedia:勝海舟

コメント

コメントが未記入です

pixivに投稿されたイラスト

すべて見る

pixivに投稿された小説

すべて見る
  • 塵の街

    塵の街・第四章 赤坂元氷川、深更~?~

    見植えたくはない、最暗黒の正体は。 「最後の男」との再会を越えて勝麟太郎が向き合った最後の深淵、心臓を握りつぶすほどの恐怖をもたらすそれのまことの名―――闇の諱とは。
    11,464文字pixiv小説作品
  • 塵の街

    塵の街・第八章 江戸城応接間、春暮~水戸天狗~

    舞台は再び慶応四年三月へ。 江戸城で勝海舟が新たに向き合わされる人物と、その背後にわだかまるもの。
  • 【幕末R】 美味しい食事

    すっかり泰平化されて、井伊大老の幸せを願ってやまない幕臣ゆらくです。 あまあまらぶらぶな徳川主従が見たいです。あと、ひそかにカイ直とかも推してまいりたい。あとカイ桂もですね……茨……? 供給の少なさに自給自足、慣れてる慣れてる!(涙) アニメとゲーム、ごっちゃになってる感がありますが一応ゲーム準拠で。 ノーマルEDの後、江戸城で実は生きてた直弼が発見され(でも瀕死レベルの衰弱、意識不明)、京都から慶喜様が駆けつけて目は覚ますものの、まだ移動はさせらんないのでいったん新生活準備のために慶喜様だけ京都へ戻り、用事を済ませたらとんぼがえりで江戸へ来ました、という、前提、で……。 ここらへんの妄想も書き起こしてみたい。需要? 知らない子ですね。 ……しかしこれ、東海道線もびっくりですよね。東京-京都間って、幕末期のこどもがそう簡単に短時間でほいほい行き来できるもんなのか……と、調べようかと思ったけどやめました。気が向いたから的な気軽さで全国行脚する戦国武将もいるのだから、いいじゃない……どうでもいいけど「幕末R」って略すと、幕末リターンズ、みたいで格好良いですね。いや、どうだろう。 表紙の扉は、こちら(http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=43951528)からお借りいたしました。
  • 塵の街

    塵の街・ 第二章 黒船来航

    過去回想。黒船来航から禁門の変後の西郷との出会いと罷免処分まで。
    13,259文字pixiv小説作品
  • 【腐】世界ってのァえらく広いんだぜ【竜勝】

    随分前に書いてた気持ち竜馬×勝。まだ竜馬が千葉道場に通ってた頃の話。
  • 塵の街

    塵の街・ 第三章 日本橋、午後~新門辰五郎~

    西郷との会談を明日に控え、江戸の町を巡回する勝海舟。そこで彼が見たもの、胸中によぎるものとは。
  • 勝先生がこんなやつなわけない!!

    勝海舟が召喚されたカルデアの話。 独自解釈と女体化があります!注意!
  • 通史日本史

    第六巻 第二章 公武合体の破綻

    本作品は、シナリオ完成まで行きながら没になった、児童向け歴史マンガ『通史日本史』(全十巻予定、シナリオは全七巻)の原作です。旧石器時代から平成までの日本史全てを扱います。 マンガ原作(シナリオ)をそのままUPしていますので、読みにくい箇所もあるとは思いますが、ご容赦ください。
  • 塵の街

    塵の街・第三章 大廈将顛、非一木所支也

    大廈の顛れんとするは、一木の支うる所にあらず―――西郷との会談が刻々と迫る中、勝の脳裏によぎる、乱離骨灰の有為転変。 そして出会う、最後の男。
    12,721文字pixiv小説作品
  • お月見ロック

    ゲームED後、トサカくんと勝先生がロックについて語り合う話。 いつもご閲覧頂き恐縮であります。 毎度お馴染「我楽しい故に我書く」な一人楽しんでるお話です。 トサカくん、慶喜様、そして勝先生という三人組が好きで好きで… といいますか勝先生が大好きでして! 勝先生をかかれる方は是非私めにご一報くださいませ!! 9/28 追記 トサカくんが勝先生を「先生」と呼んでるのは私の趣味です。 超魂では「勝のおっさん」でしたね…人の夢と書いて儚いと読むのです…
  • 塵の街

    塵の街・第九章 今の侯伯その胆識遠図我が君上の右に出る者これなく

    過ぎる慶応三年、愛しい者の死、憎んだ者の死。 そして出来する崩壊―――同じ生き方が、別々に見えただけ。 激動の末に、勝が至った境地とは。第一部完。
    25,675文字pixiv小説作品
  • 突撃リポート! イン幕末

    ネットに接続していないパソコン内にあったもう一作の昔の作品です。 当時はノリノリで作成しましたが、今読むと顔が引きつりもんですね・・・。 先に申し上げておきます。どうもすみませんでした
  • 龍馬と海舟

    龍馬と勝海舟の出会いからの続きを書きました。 勝海舟と龍馬の交流を書いています。 勝の思想により、龍馬が成長していくのがポイントです。 あなたにとって、良い幕末史でありますように。
  • だってそのためだったんだから。

    だってそのためだったんだから。~11

    どうも皆様、あけましておめでとうございます。全く正月臭がしなくて恐縮ですが、ねつ造話の続きです。そして仁先生と咲さんの甘々は今回もお預けです。本当に申しわけありません。次回はきっと、ちょっとゆっくり甘くなってもらえるかと…。☆★☆仁咲の甘々も書きたいのですが、この回の《何故江戸の人々は南方仁を忘れたか》のお話も書きたかった内容です。あれほど大活躍してくださった《こん国の民を救うた》あの先生を、歴史の修正力なんかで忘れられてたまるかいっ、と言う訳で、勝先生にお出ましいただき盛大にねつ造してしまいました。ええ、ねつ造です。ご都合主義です。スミマセン。☆★☆閲覧・ブクマ・評価、本当にありがとうございます。今年も亀の如きノロさではありますが、がんばって書きますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_)m
    11,633文字pixiv小説作品
  • 【結んで繋いで、そして紡いで】(完結)

    【六_坂本龍馬 弐】(新選組厳しめ)

    今回も色々と難産でした。私の中では、坂本龍馬は扱いづらいキャラです。 坂本の母が猫と一緒に寝ていたのは、史実のエピソードですが、二番目の姉が猫と一緒に寝ていたかは創作です。 (二番目の姉は母親に似て病弱だったらしい) 今回登場した土佐の忍びは公式小説「狂気の病」に登場しています。 「狂気の病」では、薫が上京した理由に、 「新選組に軟禁されている雪村という人物がいる」 「その人物に風間千景が接触しようとしている」ということでしたが、 風間視点の小説「飽くなきもの」では、文久三年に薫は上京していると描写されていました。 ということで、何度も薫は京と土佐を往復しているイメージ。 鬼だから、普通の人間より移動速度は速い筈です(苦しいですね) あと、新選組の苦情については、CDドラマ「会津隠密帳」と「刀鑑定します」の内容を混ぜています。随想録で斎藤が刀を前に饒舌に語っていますし、 「面影げ花」を見る限り、かなりやらかしていると思う。 ちょっと、表現を変えていますので詳しい内容はCDを買ってご確認ください。 (なんの宣伝)  
  • 北辺の星辰

    【Web再録】黒猫

    Web再録、歴史創作短編。本日、映画『燃えよ剣』が公開なので。総司と“黒猫”。『夏草〜』と一緒に出した本なので、こちらもそろそろ許されよ。""が縦書き仕様です…… ▼これも番外編ですね。元々は相方が夢で見た話。私の書く総司は、全部相方。「猫が切れねェ」の意味が腑に落ちたので書いたのです。薄暗い。 ▼土方の女は、司馬遼ではなく、池波正太郎準拠(?)。御室桜は背が低い=花が低い→鼻が低い……京女ェ。あ、京言葉は似非です。当然。 ▼勝さんたくさん出した! 小三からの、年季の入った勝ファンなので! そう云う意味では、今年の大河は寂しい……草彅慶喜のために見るけども! ▼次はいつもどおり、ザビ家成り代わりですよ~。
    15,276文字pixiv小説作品
  • 君との約束10題

    一生かけて愛すると誓うよ

    大奥(よしながふみ)(ドラマではなく原作の方です)の家茂と勝海舟の関係性が大好きで、たまらず書いてしまいました。 上洛二回目の、船でのお話です。例によって船酔いしている勝を見舞う家茂。それから勝が見た、ありえたかもしれない未来の夢。 ----------------------------------------- ジャンル・カプごちゃ混ぜで10のお題「君との約束」に挑戦中。カプは男女限定です。 お題は「永遠少年症候群(http://jushin.chu.jp/)」さまから頂きました。ありがとうございます!

このタグがついたpixivの作品閲覧データ

勝海舟
9
編集履歴
勝海舟
9
編集履歴