「あのジジイ いつまでも俺をガキ扱いしやがる」
CV:鳥海浩輔
概要
『龍が如く7』に登場する東城会系組織「荒川組」組長・荒川真澄の息子。24歳。
幼い頃、とある事情から多臓器不全を患っており、車椅子での生活を余儀なくされている。
本作の主人公である荒川組若衆・春日一番とは、奇しくも同年同日に生まれた同い年であり、父・真澄の配慮により介護役を任されている。
真斗自身はカタギではあるが、春日を始め荒川組の組員たちからは「若(わか)」と呼ばれている。
真澄は息子の身を案じ、常々気を配っているものの、当の真斗は体の自由が利かないことや、父やその部下たちが取り巻く環境のせいで「ヤクザの息子」というレッテルが付き纏う事に対し強いコンプレックスを抱いており、(あくまでも自分の目から見た)自身のどん底のような人生を受け入れられず、幼い頃から癇癪を起こしては真澄を困らせており、同い年の春日が組に入ってからは父親の意向もあって、日常生活を春日にサポートさせていた。
しかし、献身的にサポート役を務める春日のことは冷遇しており、その扱いは、人当たりがよく滅多なことでは否定的なことを口にしない春日をして「人使いが荒い」と言われる程で、傍から見ていれば「奴隷」と揶揄されるほどに扱いの悪いものであった。
また、自身はヤクザの生き方を受け入れられない反面、多くのことが金で解決できるという偏った思考を持つ部分があり、他人の心情を斟酌しない非情な人間性が垣間見える。
一方で、ヤクザに対する軽蔑とは裏腹に、外出時には常に札束と拳銃を携行し、さらには一時的に歩ける体になる為にその財力を駆使して日本では認可されていない医薬品を独自のルートで入手したり、自身が惚れ込んだキャバ嬢に高額な誕生日プレゼント(本人曰く「高級マンションが買えるほどの高価な腕時計」)を贈ったりなど、歯止めのない散財を自由に使える組の金で繰り返しており、堅気とは到底思えない生活を送っている。
名前の由来は父・真澄と、真斗にとっては祖父にあたる真澄の父・斗司雄(としお)から一文字ずつ授かったものとおもわれる。
経歴
過去
所謂コインロッカーベイビー、ただ「捨て子」というのには語弊があり、1977年頃に真澄と恋人関係にあった女性「茜」が諸事情から子供をコインロッカーに預けることになってしまったためである。
事の始まりは、「氷川興産」という東城会の三次団体に所属していた真澄が、組長の娘との縁談を勧められたことであった。
前述の茜を本気で愛していた真澄はその縁談を受け入れられず、のらりくらりと躱し続けていたが、茜が妊娠してしまったことでそれを続けられなくなってしまう。やむなく組長に事情を話して縁談を断るが、それが組長の逆鱗に触れてしまい、茜は氷川の組員たちから命を狙われることになる。
出産間もなく赤ん坊を抱いて逃亡する茜は、真澄から電話で「すぐに保護するから」と指示を受け、子供を新宿駅のコインロッカーに隠して逃亡するが、懇意であるスナックに駆け込んだところを組員に捕まり殺害されてしまう。
その後、なんとか新宿駅に辿り着いた真澄によって子供は救出されるが、長い時間真冬の外気に晒されたことで低体温症による危篤状態に陥っており、急いで病院に運び込まれた。
なんとか一命はとりとめたものの、低体温症による後遺症で多臓器不全と診断され、物心ついた頃には車椅子生活を余儀なくされる。
1984年、真澄は独立し「荒川組」を設立。その暫くした後、後の若頭・沢城丈が荒川組に入る。“殺しの荒川組”という通り名を体現するような冷徹かつ苛烈な性格の沢城であったが、何故か真斗に対しては常に親身になって接し、真斗も唯一彼には信頼を置くようになる。
真斗が中学を卒業した頃、同い年の春日が真澄と親子盃を交わす。春日は当初、その年齢もあり真澄たちから極道入りを阻まれていたが、連日に渡る懇願が実り、真澄から盃を与えられた。真斗は、その100日目、つまり盃を交わす当日に初めて彼を見かけている。
その後、春日は真澄からの頼みもあり、シノギの傍ら真斗の身の回りのサポート役を請け負うことになる。
本編
2000年の大晦日、当時お気に入りだったホステス・夢乃の誕生日を祝うため、春日を連れて彼女のいる神室町の高級クラブ「Culb Zephyr」へと出かける。
このとき、愛する彼女のために気を張ろうと、日本では非合法な医薬品で一時的に歩行可能な状態までに回復し、様々な高級品を誕生日プレゼントを用意するなどしてアプローチするも、当の彼女は当時神奈川県警から警視庁に入庁したばかりの堀ノ内十郎と既に蜜月な関係であり、また真斗が「ヤクザの息子」であることや歯止めをかけない金の使い方を蔑視していた。二人が陰で「金ヅルとして利用しよう」と馬鹿にしている会話を聞いてしまった真斗は傷心し、たまたまトイレの個室に入っており一部始終を聞いてしまっていた春日に精算用の札束を投げ渡すとそのまま一人でクラブを後にした。
上記の出来事があった翌日、東城会直系組織「坂木組」の組員を沢城が射殺するという事件が発生し、春日は自身の命の恩人である真澄に身代わりになるよう頼まれ、彼への恩返しとしてそれを快く承諾し、18年の刑期を終え神室町に帰ってきた際に、事件の数年後に病気が悪化し死亡したということを中学の先輩だった雑誌記者に聞くが……。
以下、重大なネタバレ
「お前が身代わりになんなくたって沢城はパクられなかったさ」
「なぜなら沢城は 鈴森を殺してないんだから」
実は、沢城が犯人というのは真澄が咄嗟についた嘘であり、実際に殺した真犯人は真斗だった。
時は遡り2000年の大晦日、春日に大金を渡して別れた後、喪失感に苛まれながら街を彷徨っていた真斗は、途中で薬の効果が切れて建物の陰に身を寄せていたところを、その建物内に事務所を構える坂木組の組員・鈴森近雄から因縁をつけられ、自暴自棄から拳銃を取り出し、射殺してしまう。
その後、真斗はすぐさまに組の若頭である沢城に事情を伝え、彼を介して真澄にも報告されることになる。
坂木組は当時、荒川組とは同じ東城会傘下ながら因縁深い関係にあり(真澄が坂木組が行っていた近江連合へ東城会の内部情報を横流しした件を本家の幹部会にて告発しようとしたため)、直系団体である坂木の組員を荒川の関係者を殺害したというこの事態は組の存亡にもかかわる重大なものであり、真澄は苦慮の末、翌日の早朝、春日にこの殺人を肩代わりして出頭してもらうことで難を逃れた。
上記の真相を春日は真斗と再会した際に知らされることになる。
春日が刑務所に入った後、真斗は自らを表向き病死したことにし、過去の自分と決別するため戸籍や身体を変え、表社会で成り上がっていくこととなった。
『龍が如く維新!極』では
『5』の青山に代わって、幕府軍艦奉行並「勝麟太郎(勝海舟)」として登場。劇中では薩摩の西郷吉之助に対し、イギリスの武器商人であるトーマス・グラバーと関わりのある「もう一人の坂本龍馬」を紹介した。
余談
実は彼は龍が如くシリーズではもは定番演出となっている登場人物紹介(キャラ登場シーンで背景がモノクロになり「ドンドン」のSEと共にキャラの肩書きと名前が現れるアレ)の際に肩書きが無く名前のみ表示がされた初にして唯一のキャラクターである。
後の彼の軌跡を思えばこれも一種の伏線だったのかもしれない。
関連タグ
ドラ息子…真斗の事情からすると少し違うが、父親の職業であるヤクザを嫌っている割に、普通のカタギなら持てない拳銃やそのヤクザがシノギで稼いだであろう金は、組長の息子の特権として遠慮なく利用するという点を鑑みるとそう表現するのが妥当。
堂島大吾…極道の組長の息子、親の金を好き放題使うバカ息子ぶり、自身を若と呼んでくれる者がいるなどの共通点があるが、真斗と違い大吾自身は極道として生きてゆく道を選んだ。
巌見恒雄…同じく極道の組長の息子であり、自身は極道になることを夢見ていたが、父親の要望により家業を継がなければならないというジレンマを抱えていた。