青木遼
あおきりょう
CV:鳥海浩輔
『龍が如く7』に登場する作中2019年時点での東京都知事で、NPO法人「ブリーチジャパン」の設立者。42歳。
20歳過ぎまで引きこもりだったが、一念発起してアメリカに留学(作中の会話からおそらくハーバード大学)。帰国後、留学先で知り合った盟友・小笠原肇と共にブリーチジャパンを創設し、地道な活動とメディア出演を続けて知名度を上げていく。その知名度と人気を地盤に2017年に史上最年少都知事として当選し、その支持率の高さから40代の若さにして次期総理大臣候補としての呼び声も高い。
都知事当選後すぐに「神室町3K作戦」を実施し、見事成功させて神室町から東城会を遂に駆逐する事に成功。更なる支持を集めている。
穏やかな物腰と紳士的な態度を崩さない正義感に厚い清廉潔白な人物で、その支持率はなんと80パーセント以上と政治家としては敵なしと、まさしく日本の頂点ともいえる存在だが……。
本作のネタバレを含みます
その正体は主人公・春日一番もよく知る、「荒川組」組長・荒川真澄の一人息子「荒川真斗」であった。
春日の入所以前の真斗は、カタギではあるものの組長の息子ということもあり、組員たちからは「若(わか)」と呼ばれており、幼い頃に低体温症となったことで患った多臓器不全により車椅子での生活を送っていたが、父・真澄の頼みで、奇しくも同年同日(1977年1月1日)に生まれた春日が世話役を務めていた。真澄からは、極道社会のいざこざで母を失っただけでなく、自身の救出が遅れたせいで多臓器不全になってしまったこともあり溺愛とも言える扱いを受け、春日もそんな境遇や同じ親を持つ存在として、彼を出来得る限り支えようと理不尽な要求にも真摯に従うなど、それぞれから何にも代えがたい大切な存在として大事に想われていた。
しかし真斗自身は、体の自由が効かず、彼らが取り巻くことで「ヤクザの息子」というレッテルがついて回ること、更には持ち前のプライドの高さから、当時の境遇に人一倍強い劣等感を持っていた。車椅子の自分を見る赤の他人の目はもちろん、自分の身体を心配する真澄や春日の態度すら、自分を下に見ているように感じていた。
そのため、父や春日への態度は辛辣で、特に春日への当たりは他の組員たちから「奴隷」「拷問」と比喩されるほど苛烈であった模様で、基本的に誰かの陰口を叩かない心優しい性格の春日が、後のストーリーで小笠原に「若は人使いが荒いからな、使いっ走りさせられて苦労してんだろ?」と煽る等思うところはあったようだが、それでも春日は、大事な家族で、友達であり唯一人の兄弟である(と一方的に思っていた)若のために尽力し続けた。
2000年12月31日深夜、以前から惚れていたキャバ嬢・夢乃の誕生日を祝うため、春日を連れて彼女の店を訪れる。この際に上述のプライドから、国内では認可が下りていない薬品の力(春日は怪しげなクスリを使おうとする真斗を必死に止めていた)で一時的に自力で立ち上がれるようにしたり、先客であった、当時の刑事部長で、後の警視総監・堀ノ内十郎に夢乃を譲るように札束を叩きつけたり、いざ対面した夢乃にマンションを買える程の高額な腕時計をプレゼントしたりなどしたが、当の夢乃は、既に堀ノ内と密接な関係にあり、また真斗については店に来るたび(おそらく普段も上述のような)金にものを言わせる無茶苦茶な振る舞いから蔑視しており、二人が真斗がいない所で彼を散々に侮辱し、「貰ったプレゼントは次の日に売っぱらえばいい」とすら言っているのを陰で聞いてしまう(なお、腕時計の前に春日が自身のセンスで選んで渡した「お婆ちゃんが使っているようなダサいハンカチ」は他のキャバ嬢にこそ冗談混じりで酷評されていたが、夢乃本人は普通に嬉しそうにしていたため、単純に「真斗個人の振る舞いがそもそも嫌いだった」可能性が高い)。
夢乃は「そんな事をしたら何されるか」と当初は怯えていたが、堀ノ内が自身の立場を出して「何かしてきたら即逮捕できる」とした事で乗り気になっていた。
惚れていた女性の真意を図らずも知ってしまった真斗は、春日に支払いを任せ、そのまま一人で店を後にする。
しかし途中で薬の効果が切れてしまい、周りの人々の好奇の視線に晒されながら文字通り這う這うの体で薬を打った場所に戻ったものの、物陰に隠していたはずの車椅子は手違いからゴミ捨て場に置かれていた(車椅子は真斗のハンディキャップの象徴のようなものだが、それがゴミ扱いされた形である)。屈辱の連続で心が折れてしまった真斗は車椅子の前で失神するが、奇しくもそこは、東城会の直系団体である坂木組事務所のあるビルでもあった。
しばらくして目を覚ますと、坂木組組員・鈴森近雄が立っており馴れ馴れしく話しかけてきた。ただでさえ荒れに荒れていた真斗は大嫌いなヤクザが上から目線で自分に接してくることに耐えられず、彼に銃を突きつけてしまう。一瞬怯んだ鈴森だが、堅気と思い込んでいたことから(実際そうではあるが)すぐに玩具のモデルガンと断定、撃ってみろと挑発するも一向に撃とうとしない事で呆れたのか、「二度とヤクザに歯向かうな」と言い残し事務所に向かおうとするが、再度真斗は銃を突きつけ、流石に鈴森の怒りが再燃したが、年を越して21世紀に変わるちょうどその瞬間、ついに発砲、鈴森を射殺してしまった。
撃った場所が外から死角になっていたこと、新年、それも新世紀を祝う花火が同時に上がっていたことで、幸いにも誰もこの事件を目撃せず、銃声にも気付かなかったが、彼の身体では逃走する事すら不可能であるため、彼は荒川組若頭・沢城丈に連絡を取る。
この件は真斗から連絡を受けた沢城を介し真澄にも伝えられ、真澄は苦渋の末、春日には真斗の罪を伏せ「沢城が坂木の組員を銃殺してしまった」と説明し、代わりに罪を被ってほしい(当時、坂木組は近江連合との繋がりを荒川組にバラされ非常に険悪であった上、いくら大元の非が坂木組にあるとはいえ、所詮三次団体の荒川組が直系の坂木組の者をハジいたとなれば東城会そのものに喧嘩を売ったとされてもおかしくなかった、そのため「組を絶縁されカタギになっていた春日が腹いせに殺した」ことにしないと荒川組そのものの存続が危うかった)と願い、真澄に命を救ってもらった大恩があった春日も、今こそ恩返しができると申し出を受け入れ、後の所内での問題行動もあり刑期が延長し18年間服役することになる(春日が、自身の被った罪が真斗によるものだと知ったのは、刑期を終えて出所した後暫くしてからとなった)。
春日が身代わりに刑務所に入ってから3年後、荒川組の資金力と闇取引を駆使し、「青木遼」という同年代の引きこもり青年の戸籍を入手し、「荒川真斗」は死んだという情報を流した。同時に移植手術が可能なアメリカへ渡り、低体温症の後遺症を直す手術(肺移植)を受けて完治させ、人並みに歩き回れる身体になる。長年コンプレックスだった「不自由な身体」「ヤクザの息子という肩書」を克服した真斗だが、これまで味わってきた数々の挫折から、表の社会で認められる為の「表の力」である「人気」を渇望するようになり、そのために以後、自身の持つ「裏の力」を行使して自身の名声を広めようと野心を巡らせていく。
表面上は「穏やかな紳士」という風に振舞っており、秘書の女性には細やかな気配りを見せる様子も見せ、彼女は明らかに彼を男性として意識している様子さえあった。
また笑顔が爽やかでカメラ映りが非常に良く、メディア出演の効果も抜群に高い。
が、実際には自分の思い通りに人が動かないと気が済まない性格をした冷徹な人間で、「青木遼」と名乗り始めてからは、その性格に拍車がかかる。
父親・荒川真澄の人生哲学(ヤクザらしい家族観)が大嫌いであり、「荒川真斗」として生きていた時代から、「金や暴力で人をどうとでもできる」という考えを持っていたようであるが、「青木遼」になってからは悪い意味でその考えを改める。
上述の堀ノ内刑事部長(当時)が下っ端のチンピラヤクザとはいえ春日の恫喝に毅然と対応したこと、自身の札束による懐柔を跳ね除けたことから、「金やヤクザ、暴力では動かない奴がいる」事を認識。
成り上がるためには、金や暴力といった「裏の力」だけではなく、「表の力」である「人気」、もっというと「大衆の支持」を手に入れる必要がある…という考えを持つようになり、そのために東京都知事の座を目指す。
他の何でもなく東京都知事である理由は「基本的に主流政党内のトップがなる総理大臣等と違って、国民からの直接選挙で選ばれる役職の中で最も大きいのが東京都知事である」、即ち「人気の象徴」としての頂点は東京都知事であり、またその人気に裏打ちされた「道理」によりヨーロッパの一国の予算と同等レベルの14兆もの金を動かせる唯一の役職でもあるという考えから(総理大臣は数百万、数十万動かすだけで一々与野党を説得する必要がある)。
表面上はグレーゾーンの撤廃とヤクザの壊滅を謳いながら、実際には手段を選ばず、裏では自身の裏社会のパイプを使って邪魔者は排除し、使えない部下は切り捨てるどころか、少しでも自分の不利になる行動をした人間は始末するような冷酷無情な性格へと変貌。
「人気」を手に入れるためには、家族である父親すらも手駒の一つとしか見ることはなく、仲間はおろか、部下すらも信じずに利用していき、ついには表と裏の両方の世界で権力を手に入れる。
ちなみに鬱屈としていた環境から直情的だった「荒川真斗」の頃が嘘のように演技や政治パフォーマンスが上手くなっており、自分の手で友人・小笠原を殺しておきながら、小笠原の葬式で彼の死に対する悲しみや、その遺志を継ぐという思いを涙ながらに訴えるという行動に出る。
この行動は何も知らない一般市民・マスコミを感動させる一方、裏に隠された事実を知っている春日たちにとってはある種の恐怖であった。
しかし、東京都知事となり、神室町を支配するようになっただけでは飽き足らず、日本の政治すらも裏から思うがままに動かそうとする底なしの野心に取り憑かれるようになってしまい、荒川真澄や春日一番といった彼をよく知る人物からは、「一度どん底に落ちないと身を滅ぼしてしまう」と言われる程の男になり果ててしまう。
こうしてますます「表の権力」への欲を強め、当時の日本政府与党である民自党幹事長の座を狙うため、現幹事長・荻久保豊の失脚を狙い、荻久保の資金力の源が横浜・伊勢佐木異人町にあると睨み、ブリーチジャパンや近江連合を使って様々な工作を仕掛ける。
「異人三」の睨み合いによる「肉の壁」で外部組織の干渉を受け付けない異人町だが、異人三の一つ「横浜流氓」のナンバー2である馬淵昌を「近江の直参幹部にしてやる」と懐柔し、抗争の火種を撒いていく。横浜流氓が分裂し弱体化した後は、コミジュルと接触して真実を知ったナンバからの情報提供を元に、ブリーチジャパンと近江連合を使ってコミジュルのアジトに襲撃をかける。
春日たちの妨害により偽札事業の現場そのものを押さえる事こそ失敗したが、証拠隠滅のためにコミジュルが自分でアジトを焼き払わざるを得ない状況に追い込み、荻久保の資金力の源であった偽札事業を潰すことには成功。
こうして異人町をズタズタにすることと引き換えに荻久保を失脚させた(これにより、荻久保が所属していた大道寺一派の政治的な影響力は著しく損なわれ、青木は一派から要注意人物としてマークされるようになり、しかしながらその「人気」故に手出しできない存在になってしまったことが『7外伝』にて語られた)。
その後、青木は内閣総理大臣に荻久保の後任として幹事長にする様迫り、総理からは若すぎる、現職知事との兼任は前例がないなどと渋られるが、荻久保の失脚による今後への不安を突く一方、自分が幹事長になった上で解散総選挙すれば議席の2/3以上を確約すると強く迫り、とうとう民自党幹事長の座をも手に入れた。
しかし、そうして権力を手に入れ続ける「青木遼」の周りには、当然のことながら彼を理解してくれる友人や家族も、心を許せる仲間も存在せず、徐々に孤独感を増していくようになる。
そして、「邪魔者を徹底的に排除する」性格が、やがて父親である荒川真澄に対して牙を剥く。
八代目近江連合若頭・渡瀬勝の出所日、「東城会・近江連合同時解散」という予想外の事態が発生。これにより、自身が裏の後ろ盾としている近江連合の力を大きく削減されると共に、「荒川真澄の手綱は最初から握れていなかったのではないか」と堀ノ内に痛烈に皮肉を言われ、プライドを大きく傷つけられる。そして荒川真澄を含めた、同時解散の立役者であった幹部らの始末を命じる。
渡瀬や東城会会長・堂島大吾は東城会のレジェンド幹部らが付き添っていたため暗殺できなかったようだが、護衛を付けずに一人でいた荒川真澄は自身の腹心である天童陽介により殺害に成功した。
その後自らが幹事長となって始めた衆議院解散総選挙だが、中でも異人町のある神奈川二区は「前幹事長の荻久保の地盤だった異人町で勝利する事で完全に幹事長の座を自分のものにできる」と考えて特に重視しており、ブリーチジャパンの支部長である久米颯太を立てたが、青木遼との接触を目論んだ春日たちが同区で立候補する等のイレギュラーを起こされる。
(ちなみに伊勢佐木異人町のモデルである現実の伊勢佐木町があるのは神奈川一区であり、神奈川二区というのはあくまで架空の設定)
とはいえ殺しのマエがある上、学も目新しい展望も特になく広報もロクにやっていない、出馬自体が目的の春日たちはどこからどう見てもただの泡沫候補であり、万が一にも当選する訳はないのだが、それでも目障りというだけの理由で武力行使を決定。
出来れば本人を黙らせたいが立候補者として露出した以上直接始末してしまっては不味い、という事で春日の後ろ盾である横浜星龍会会長・星野龍平の暗殺という強引な手段まで取るが、(続編『8』では真澄を殺せない沢城を信用していなかったため、沢城が星野会長の殺害予告を匿名でネットに上げたことを把握しており、青木は保険として別の人間に星野会長殺害を依頼し、沢城にその身代わりになるよう命令していたことが判明した)実行役の沢城…いや別の殺し屋が星野会長殺害後、沢城は春日達に敗れそのまま身代わりとして逮捕されてしまう。
このまま放置しておけばいつ沢城が「青木遼から殺害を指示された/別の殺し屋によって殺された」と自供してしまうかわからず、仮にしないとしても指示したという情報を持っているだけで目障りである事で、ミラーフェイスという腕利きの殺し屋(異人三のメンバーは素顔を見た事があった)を雇い、沢城を殺害しようとする。
しかし任せていた石尾田礼二がまたもや春日たちに敗北、ミラーフェイスも身柄を取り押さえられてしまう。
が、実のところそれも予想の範囲内で、潜伏拠点にしていた事務所には爆弾が設置してあり彼らの敗北を確認した天童の部下からの報告を受けそのまま爆破させ、春日たちや用済みとなったミラーフェイスを石尾田諸共亡き者にする。
そして投票日前日、石尾田とまとめて始末したと思っていた春日が生き延びており、立候補者の応援演説で神室町にやって来ていた青木の前に春日が姿を現す。
選挙活動の一環であるかのように振る舞って青木の隣に立った春日に「青木が沢城丈に荒川真澄殺害を命じた音声データが残っている」ということを告げられる。
もしそれが本当であればわざわざ宣告などせずに黙って確保しに行くはずだ、ただのブラフだと理性では考えるものの、僅かでも邪魔なものは全て排除してきた性格がそれを許すことができず、また「ありませんでした」では済まされない上それがただの見落としだった場合致命的な事態に陥るとして、天童及び東京近江連合のほぼ全軍にそれを探しに行くよう命じる。また、この時の青木は軽い疑心暗鬼であり、直接「確保しにいけ」とは命令せず遠回しに察しろアピールで命令しており、天童から内心では呆れられていた。
こうして不安を抱えたまま衆議院解散総選挙の投票・開票を迎えたが、青木個人の不安とは別に選挙そのものは異人町を含めて青木率いる民自党の大勝利に終わった。
歴史的な勝利を果たし肩透かしな気分で記者会見を総理と共に開くが、総理に続いて壇上に立ってコメントをしているまさにその時、背後のモニターに「殺人、及び殺人教唆で青木遼に逮捕状」というテロップを流され会見場は騒然。
そしてその場でニック・尾形に「あなたの本当の名前は荒川組組長の息子・荒川真斗だ」と暴露されてしまう。これは「親がヤクザの組長」ということが公になっただけでなく「戸籍が偽物である」というとてつも無い大スキャンダルでもあった。
テロップは偽物で会見場のモニターで流れていただけのものだったのだが、そのモニターが記者会見のテレビカメラに映っていたため、本物だろうと偽物だろうと結局同じ事だと後に青木は堀ノ内に対し怒鳴っている。
慌てて会場を後にした青木だが、荒川組事務所の家探しに行かせた天童と連絡が付かなかったことから青木はますます疑心暗鬼に陥り、堀ノ内からの「今は動かない方がいい、ミレニアムタワーに行くなどもってのほか」という警告を「(ブラフなら笑い話だが万が一ブラフでなかった場合に)春日たちに証拠を確保されたら面倒なことになる、動かなかったことを後悔しても遅い」と怒鳴り返して無視し、自らミレニアムタワーに向かう。
ミレニアムタワー最上階の荒川組事務所に着いた青木が目にしたものは、天童の足元に倒れ伏す春日たちであった。
電話に出なかった事を責めるも、状況が状況だったことは目の前の光景から明らかであるため、説教はそこそこに事態の収拾を図る。
が、その状況に警戒が緩んだのか、その場で「会場にテロップを出した仲間を見つけ出して、こいつらと共に確実に殺して、死体は埋めるなり溶かすなりして始末しろ」と口走ってしまう。
実はこの状況は全て春日たちの演技であり、本物の天童はノックアウト済み。
「邪魔者を切り捨てて始末する」と言うやり方で外部の雇われに過ぎない自分まで始末しようとした事で反感を抱いて青木を見限り、また春日たちにギリギリ助けられたミラーフェイスが春日たちに協力して天童に成りすましており、全く逆の状況を演出していたのだ。
さらにはハン・ジュンギと向田紗栄子が脇に隠れており、殺人を命じる現場をはっきりと動画撮影され、即座にネットにアップロードされ拡散されてしまい、最早青木に言い逃れる術は残っていなかった。
そして春日に
「あんたは自分でも止まり方をわからなくなっちまってんでしょう…」
「知事になって、昔自分を馬鹿にした奴を見返して権力者になった、でもそれで何が手に入ったんです?」
「今のアンタには大事な人間も、大事に思ってくれる人間もいねぇ!」
「持て余した権力に目が眩んで自分が何を無くしたのかも分かってねぇ!ならその先は、手にした権力守るためだけに邪魔なもん全部消し続けるだけの人生だ」
「そんなもん望むほどアンタ馬鹿じゃなかっただろ!?」
そう問われてもなお「それでも俺は進むしか無い」と返し、「絶対に止める」とした春日を相手に、進退窮まった青木は、引き連れていた東京近江連合の手下に始末を命じ、春日たちとの最後の戦いが始まるのであった…。
一戦目
東京都知事 青木遼
「やれ!! こいつら全員 ここで始末しろ!!」
ムービーが挟まるとはいえ、天童からの連戦となる。回復していないので注意。
東京近江連合の部下に攻撃を任せ、増援を呼んで部下を増やし、自身は銃で牽制し逃げるという、初代『龍が如く』の神宮京平を思わせる戦闘スタイル。
護衛の数が多い上にターンが進むと青木の周りを固めるように陣形を作る為、倒すのに時間が掛かる。ただ、護衛は数こそ多いものの道中の近江連合より弱く、全体攻撃で吹き飛ばせば一瞬で丸裸になり、増援を呼ぶのは一度だけ行う陣形固めの四人同時呼び以外は一人ずつなうえ、街のチンピラの呼び出す増援と同レベルの低体力仕様であるため呼ばれた端から薙ぎ倒されることになる。
青木本人のHPをある程度削ると、逃亡し勝利となる(連続攻撃で一気に体力を削っても、逃亡は青木遼の手番でのみ起きるため、自分のターンが来るまでHP1で耐え続け、倒す事ができない)。
二戦目
荒川真斗
「俺とサシなら丸腰でも勝てるってか…?」
「そのムカつくニヤけヅラ…… ぶっ潰して二度と笑えねぇようにしてやるよ!」
天童という強敵の後多勢に無勢を制したことで流石に疲弊し動けなくなった仲間の後押しを受け、一人で追いかけて来た春日に銃を撃つも、ひるまない春日を見て、銃を捨てて、春日とのタイマンで決着をつけることを決める。
「東京都知事」の肩書きも無く、名前も偽名の「青木遼」ではなく本名の「荒川真斗」になる。
また、この戦闘の開始時点の真斗の台詞通り、春日の職業がフリーターへ強制的に変更され素手で戦うことになる。また、この戦いにおいてはフリーターのレベルを上げていなくても、フリーター用の全ての極技が使用可能になっている。
「ジョブがフリーターに固定された”勇者では無い”丸裸の春日一番」VS「”権力”も”護衛”も何もかも剥ぎ取られた何の肩書もない荒川真斗」というどん底の最終決戦という構図はアツいものがあり、泥仕合で見苦しい対決は正にどん底を味わい成長した春日一番の最終戦に相応しい物となっている。
アメリカで独自に習得したケンカ技で攻撃する。スジモン図鑑でも「確かな力を持つ」とのことだが、どうも一般人と比べての話であるようで、今まで数々の強敵と戦ってきた春日と比べれば、ハッキリ言って弱い。
一応殆どの攻撃にカウンターを返してくるが、直前の天童との戦いや近江の部下を引き連れた戦闘に比べたら受けるダメージもせいぜい10前後と微々たるもので、戦闘前に全回復スポットもあるため、天童を倒せるキャラレベルなら負ける方が難しいという所謂勝ちイベントである(一戦目の状況にもよるが、回復スポット未使用、通常攻撃縛りでもほぼ負ける事はない。また、最後のQTEを失敗してもゲームオーバーにはならない。ただし、セーブポイントは存在しないため、後述するバグに注意)。
『龍が如く』シリーズは毎回「ラスボスが弱い」と言われ、実際プレイヤーからも「天童の方が苦労した」との声が多い。
しかし、有料DLC『プレミアムマスターズパック』適用後のHARD以上では周回前提な事もあり、ステータスが大幅に上昇し、春日のフリーターのジョブランクや本人レベルが低いと返り討ちに合うほどの強さに調整されるので、例え強くなった天童に苦労して勝てたとしても油断は禁物である。
(PS5インターナショナル版では、このDLCは最初から実装済み。)
だが、それを逆に利用した、全ての肩書と権力を捨てた「ただの荒川真斗」に立ち戻ったらどうなるかを表現した演出と言える。
なお、現在修正されているかは不明だが、デリバリーヘルプのナンシーを使用した毒のスリップダメージで、真斗の体力ゲージをQTEの発生条件となる一定のラインまで減らすと、終了後戦闘画面に戻り操作不能となるという詰みバグが存在する。そして直前のセーブポイントも存在しないため、この状態になると一度ゲームを終了する以外に解決方法がなく、ラストダンジョンであるミレニアムタワーを最初からやり直すことになるため、倒し方には注意が必要。
春日たちとの戦いに負けた後、「この国を動かすのは自分にしか出来ない、正義を全うできる唯一の人間なんだ。だから多くの人間が望んでるように、自分が日本を綺麗にしてみせる」と呟き続けるも、春日に「実際のあんたは好き勝手やって誰かにケツ拭かせるしか能がない」と性根を言い当てられ、「世の中には替えのきかない人間といくらでも替えがきく人間がいて、自分は父親や沢城のような替えがきく人間とは違う」と苦し紛れに反論するが、「使われる側は犠牲になっても仕方ないってことかよ」と、荒川の親父や沢城といった、真斗によって利用され死んでいった人間を侮辱するかのような発言に激怒される。
「てめえと俺は…… 同じ日に生まれた光と影みてえなもんだ!」
「もちろんてめえが光だぜ? 昔からてめえは 俺にねえもん全部持ってた!」
「本当にはじめから全部…… 持ってたのに…… なんであんた そんな人間に……!」
暫くしてから警官隊(足立宏一曰く「警視総監の息がかかっている警官」)が駆け付け、ハンが戦いの前に撮影していた殺人教唆の現場の動画を見せた(既にネット上に上げられており、民自党のアンチによる拡散済みである事も宣告)ため、流石に揉み消しは不可能と判断した警察は真斗に署までの同行を願う。
部下の刑事が自身の元に近づき、手錠を掛けようとした次の瞬間…
その場に転がっていたガラス片を突きつけ、動揺した刑事の懐から拳銃を強奪。天井に発砲して威嚇し、刑事を人質に抵抗する。
「銃を下ろしてください…若。警官を人質になんてとったら、いくら若でも殺されちまいます…
俺はもう、家族が死ぬのは見たくねえんです!」
という春日の必死な説得にも聞き耳を持たず、「ヤクザの義理だ人情だので家族意識、仲間意識を押し付けてくる価値観に反吐が出ていた」と反論。人質を連れてエレベーターに乗り込み、ミレニアムタワーから逃走した(なお、人質の刑事は用済みとしてエレベーター内で殴って気絶させた)。
一方神室町では、自身の殺人教唆をしている映像が繁華街の大モニターでも放映されており、人々はその映像に夢中になっている様子だった。
そんな中、モニターの自分に注目している人々とすれ違いながらフラフラと繁華街を彷徨う。(この際、人々は知事本人が目の前を歩いているにもかかわらず、誰1人その存在に気がつく者はいなかった…)
苦労して築き上げた社会的地位が消えていくことに絶望し途方に暮れていると、自身の原点とも言える新宿駅のコインロッカーに辿り着く。
「もし、またゼロからやり直したいと思ってくれているならきっとここに辿り着くと思った」
今の自身の行動を想定し、先回りしていた春日がその場に現れる。
説得してくる春日に逆上し、先程奪った銃を再び発砲して威嚇。通行人が銃声に気づいて騒ぎ立てる中、それでも春日だけは怯まず、説得を続ける。
そんな彼の覚悟に抵抗することをやめ、今度は銃で自殺を図ろうとする。
必死に制止する春日に、18年前の堀ノ内との夢乃を巡るトラブルの顛末を語って自嘲。
夢乃は陰で真斗の事を嘲笑していただけでなく、なんとその後堀之内と結婚しており、青木遼となった真斗が後遺症を治療して日本に戻り、ブリーチジャパンを立ち上げてそれなりの有名人になった後、堀之内の警視総監就任パーティーで彼女と再会した際に、(バレないように真斗の方も細心の注意を払っていたとはいえ)真斗の事に全く気付かないどころか「生まれ持った知性と品性を感じる」と真逆の評価をしたことで真斗のことを若と呼んでいたヤクザも、夢乃も、肩書きでしか自分を見ていない、誰も自分のことなんか見てくれていないと決定的に拗らせ、肩書きに固執し始める原因になった。
しかし、
「荒川の親父と沢城のカシラだけは、ずっと本当のアンタだけを見てたんですよ。俺もそうです。ムショでて最初に青木遼って人間を見た時、それが荒川真斗だって、すぐわかりました…間違えるはずがない!大事な人なんですから!」
「フッ…またお得意のヤクザの家族愛でも語るのか?」
「違ぇ!そんなんじゃねぇ!!アンタがどんなに悪りぃ事しても、なんで最後まで荒川の親っさんも沢城のカシラも俺も放っておけないのか、そりゃあなぁ!…理屈じゃねぇ…!心の根っこの部分で繋がっちまってるからなんだ!好きとか嫌いとかそんな割り切れた感情じゃねぇ!」
「誰も本当の俺を見てねぇだと!?ふざけんな!!みんな放っておけねぇんだ!!放っておいたことなんて一度もねえんだ!!アンタのことをよ!!親っさんや沢城のカシラの気持ち…いい加減分かれよ、この馬鹿野郎が!!!」
「アンタは嫌がるかもしれないけどよ…やっぱり若と俺は兄弟なんすよ。だから、若には…死なないで欲しいんですよ、俺…お願いです…お願いですから…わかって…ください…」
という涙ながらの春日の渾身の訴えにとうとう根負けし、銃を持つ手を下ろす。
その後、銃をコインロッカーに入れ(「貴重品を入れないでください」と何度も映っていた事から恐らく「暴力を以って維持してきた権力」とその象徴である「銃」を入れる事で真斗にとって最早権力は貴重品=価値のあるものではないということを表している)、憑き物が落ちたような顔で電話で秘書に「自首してくる」「後のことは…いや、もう…好きにしてくれ」と連絡。
警察に出向くことを決意するが……
次の瞬間、突如その場に現れた久米の凶刃に倒れてしまう。
久米「ひどいじゃないですか…青木さん。私は信じていたのに…。青木さんの正義は漂白された真っ白なものだと信じてたのに…。
でも、まだ間に合う。本当の正義は…
勝 つ ん で す…‼︎」
今までブリーチジャパンの理念を信じて尽くしてきた人間を「代えの利く存在」として利用してきた自身の所業がもたらした、正に因果応報とも言える最期であった。
なお、『龍8』では、久米は逃亡の果てに捕まっていた事が判明し、久米もまた、因果応報とも言える結果となった。
だが、彼がなぜ2人のいるコインロッカーの場所を突き止めたのか、謎の部分が多く、詳しくは、本人の記事を参照。
今際の際…
「お前は生きろよ、イチ……」
「どん底からやり直すか…… いいもんだよな……」
と春日の望んだ未来を肯定し息を引き取った。
権力も名誉も全て失ってこの世を去った真斗ではあったが、小さな葬儀場の僅かな人数の前で、荒川真澄と共にひっそりと送別会が施行された。また、春日の住居にも簡易ながら二人のための仏壇が備えられた。春日の言う「理屈じゃない繋がり」だけは真斗の手元に残ったと言えるかもしれない。
「ドン底まで行きゃあ…あとは上しか、行く道がねぇ」
「ドン底から見える景色ってのは、真っ暗じゃねえ…」
「地に足付けて、上を見上げりゃあ、希望で輝いてんだ」
「アンタの言う通りですよ、若……‼︎」
実は荒川真澄は真斗の実父ではない。
本当の父親は若頭の沢城丈であり、同じくロッカーに入れられていた幼き頃の春日と取り違いになってしまった。
沢城は父親がアル中DV野郎という荒んだ家庭に育ち、15の頃には喧嘩に明け暮れる「クズ」としか言いようのないチンピラ以下の男になっていた。やがて、神室町で自分と同じような行き場のない少女と出会った沢城は彼女とままごとのような同棲生活を送るようになり、彼女を妊娠させるも、妊娠させた事を知りながら(金がなかったこともあるが)堕胎させるでもなく放置。やがて男の子が生まれてしまうが、まだ20にもならない沢城には父親になる覚悟も財力も何も無く、「嫌なものは蓋をして目を逸らせばいい」というガキの価値観を矯正してくれる大人とも出会えなかった彼は、さも当然のようにコインロッカーに捨ててくればいいと言い放ち、反対する彼女を押し切って実際にコインロッカーに捨ててくる。
しかし、同じ日の同じ時刻、全くの偶然でコインロッカーのすぐ隣にもう1人の赤ん坊が入れられていた。
荒川真澄が氷川興産の組長の娘との縁談を断ったトラブルから追われる身になっていた荒川真澄の妻「茜」は、追われながらかつて務めていたソープ「桃源郷」で何とか出産。生まれた赤ん坊を真澄に引き渡す手段としてコインロッカーに入れておき、真澄が引き取りに来るという手筈を整えた。
この赤ん坊こそが本作の主人公である春日一番であり、ひいては本来の「荒川真斗」である。
茜が赤ん坊を入れたコインロッカーは101番、沢城が自分の子を捨てたコインロッカーは99番。
なんとかロッカーに子供を引き取りにきた真澄は、聞こえた赤ん坊の泣き声を頼りに99番のロッカーを特定。まさか赤ん坊が2人も隣り合ったコインロッカーに入っているとは夢にも思っていない真澄は、その99番のロッカーの中にいる赤ん坊を自分の子だと断定し、拳を痛めながらなんとか強引にこじ開けて赤ん坊を救出した。これが現在の真斗である。
やはり赤ん坊を捨てたくないと引き返した女を追ってコインロッカーに戻り、その光景を見た沢城は「気掛かりもなくなったろ」と女を説得するが、しばらく二人ともその場を動けなかった。
その後、二人の男性が現れ、どういう訳か鍵の開いたロッカーを開けて回り、101番のロッカーから赤ん坊を取り出すのを目撃、落胆しながらも大事そうに抱えていった男性を見送りながら、沢城は一つの確信を経た。
「赤ん坊の取り違えが起きちまった」
茜がソープ桃源郷で出産したことやコインロッカーを通じた受け渡しを計画していた部分などは沢城の想像で補完された話ではあるが、沢城が99番のロッカーに自分の子を入れたこと、真澄がその99番のロッカーをどういうわけか必死にこじ開けて赤ん坊を連れていった事、その後桃源郷の店員らしき別の人物達が、片っ端から隣の鍵の掛かっていないロッカーを探して回り、101番のロッカーから赤ん坊を見つけている事は沢城が自分の目で目撃した事実である(勿論101番のロッカーから連れていった人物は、桃源郷の店員かもしれないという沢城の予想に過ぎないので、春日=本来の真斗は確定していないが、沢城の子=真斗は確定である)。
この事実を知っているのは荒川組関係者の中では沢城だけで、話したのも春日達が唯一のため、荒川真澄及び真斗はこの事実を終ぞ知る事は無かった。
春日はそのことも含め、喧嘩後の真斗に言い放ったのが「光と影」(一章のサブタイトルにもなっている)の話であり、『7』のサブタイトル「光と闇の行方」とは、この二人の関係の事を指していることが暗示されている。
また、荒川真澄に先にロッカーから出された真斗が低体温症により障害を負ってしまったのに対し、それよりも時間が経ってからロッカーから出された春日が特に障害を負っておらず五体満足である事も、この沢城の推測を間接的に裏付ける。
沢城は自分の子を「捨てる」、つまり死んでも構わないという腹積もりでロッカーに入れていたため、防寒対策などはロクに施していなかった可能性が高い、だからこそ沢城達は赤ん坊を入れたロッカーに鍵を掛けたのである。
対して茜は赤ん坊の受け渡し、つまりその後荒川がきちんと引き取って育てる、死んでもらっては困ると考えての行為であるため、防寒対策は急場凌ぎとはいえある程度しっかりしていたと思われ、更に引き渡しに失敗した時のことを考え、念の為ロッカーを確認しに来た桃源郷の店長・春日次郎達が「鍵の掛かって無いロッカーだ!片っ端から開けるぞ!」と言い、片っ端から開けているのも沢城が目撃している。
このように赤ん坊側にも差があったと思われるため、もし取り違えが起きず、荒川が101番のロッカーを開けていた場合、残された99番のロッカーの子は防寒対策がされていない状態で長い時間放置されることになり、死亡にまで至っていた可能性がある。
そもそも普通に考えれば、先述の通り、茜がロッカーに鍵を掛けるなどあり得ないのだが、茜が刺客に狙われていることを聴かされていた荒川が、正常な判断能力を完全に失う程パニックに陥っていたことも、この偶然を引き起こす要因となっている。
また、春日は防寒対策がされていたおかげか、桃源郷の店長達が発見した時泣く元気があったが、真斗は荒川が発見した時、既に重度の低体温症で泣くことすらできない状態であった。
では荒川が真斗の場所に気付いた泣き声は誰のものだったのか?
もしかしたら「荒川は隣で泣く春日の泣き声を真斗の泣き声と勘違いした」のではないだろうか?
だとすれば「春日は生まれてまもなく、真斗の命を救った恩人であった」ことになる。
沢城本人は「DNA鑑定をするまでは俺の与太話に過ぎない」とも述べているが、赤ん坊それぞれの状況や、その赤ん坊に預けられた想いを比較すると、荒川真斗=沢城の子は確定しているとしても、春日一番=本来の荒川真斗という推理は正解である可能性の方が高い。
なお、事件解決後、ナンバが、DNA鑑定を受け、荒川真澄との親子関係をはっきりさせることを春日に勧めたものの、「俺の親父は、春日次郎と荒川真澄の二人であり、血縁がどうのと言ったところで、その事実は変わらないし、変えたくもない」と拒否してしまったため、真実は明らかにされず、数年経過した『8』でもその気持ちは変わっていない。
春日は、憧れの存在だった荒川真澄の息子として生まれ、周りからも頭を下げられ、非常に裕福な生活をしていた真斗を「光」、ソープランドで生まれ、喧嘩に明け暮れ、どん底を生きていた自身を「影」と表現していた。だが、おそらく真斗は逆に、なんのしがらみもなく周囲の人々に愛され、要領は悪いもののあらかたの事は一人で何でもできる春日を羨ましい存在と思っており、真斗の認識ではむしろ逆だった可能性が高い。それが原因で春日に世話役をさせていた頃に「奴隷」と呼ばれるほど辛辣な扱いをしていたと考えられる。
そして、皮肉なことに、青木遼として強大な権力を追い求める過程で真斗は多くの人の生命を食い物にして暴走するモンスターと化してしまい、異人町の人々をはじめとする被害者たちにとっても、真斗が自分たちを蝕む「影」、春日が自分たちを救ってくれる「光」となってしまった。
真斗がもっと早くに、コンプレックスはあくまで自らが貼ったレッテルに過ぎず、春日の目から見た自分はもっと輝いていることに気付けば悲劇は回避できたのかもしれない。
裏社会の力をフルに活用したとはいえ、障害を克服し、アメリカ留学を経て全くの地盤ゼロから都知事及び与党幹事長にまで昇り詰めた手腕・頭脳、そして根性自体は本物であった。惜しむらくは手腕と頭脳は権力に固執するあまり脇が甘くなり、根性の方は長年の鬱屈で腐り果て、「好き勝手やって他人にケツ拭かせるだけしか能がない」とドン底のチンピラフリーターに言われてしまうほどに堕ちてしまった事や、それに気付いてやり直そうと決意した際にその機会を与えられずに最期を迎えてしまった事か。
ちなみに、全てが終わった後のエピローグで逮捕・連行された堀之内に対し、足立が18年前のキャバクラでの出来事についてそれとなく尋ねるが、堀ノ内本人はまるで記憶になく、「なんのことだ?」と困惑していた。真斗にとっては戸籍を変えて権力を追い求めるきっかけとして一生のトラウマとなる程の騒動でも、堀ノ内にとってはただのチンピラが因縁をつけてきたという些細な揉め事として忘れていたというのはなんとも皮肉な話である。
今際の際で真斗が言った台詞は、プレイヤー側には無音となっており、エピローグで初めて明かされるという演出になっているため、周囲のモブキャラを除けば、真斗が最後に遺した言葉を直接聞くことが出来たのは、主人公・春日一番だけということになる。
回想シーンで101番のロッカーを開けた人物に「店長」と呼ばれ、赤ん坊を取り出した人物は春日次郎その人の顔で描写されており、公式にも春日の出自は沢城の推測通りである事を示していると言えるだろう。
なりすまし対象であった「本物の青木遼」がどうなったかは不明。しかし、真斗の用心深い性格(自分ですら"無い"と思うような万が一の脅威さえも可能性が浮上した途端徹底的に排除する)からして、彼自身も近江連合を使って家族ごと人知れず殺害されている可能性が高い。
龍が如く 龍が如く7 ブリーチジャパン 東京都知事 ラスボス(龍が如く) 黒幕 因果応報
桐生一馬…作中で死を偽装したキャラ繋がり。こちらも同じく別の名前がある。
錦山彰…↑の兄弟分。物語のラスボスで、恋敵と手を組んだりと、共通点がある。なお声優は春日と同じ中谷一博である。
峯義孝…同じく龍が如くシリーズのラスボスで、どん底から成り上がったという共通点を持つ。また、ラストシーンで秘書と通話する場面がある(その秘書から好意を寄せられていたともとれる描写も存在する)という点も共通。峯は幼少期には極貧の生活をしており、裸一貫から成り上がったのに対して、青木の場合は成り上がる以前から裕福な生活をしていたという違いがあるが、青木は生まれつき重い障害と難病を20年以上抱えていたため、どちらも過酷な身の上から手段を選ばず成り上がったという点ではやはり共通。ただし、孤児であったがためにヤクザ的な価値観(擬似家族制)に憧れていた峯に対して、青木はヤクザの息子というレッテルを疎ましく感じヤクザ的な価値観を嫌っていたという点は対照的である。
小笠原肇…ブリーチジャパンの創設メンバーで現代表だが、真斗に損得勘定で従っている下僕。内情を話したかどうか聞かれた際の返答に真斗は怪しみ「リスクマネージメント」に基づき始末され、「肉の壁に立ち向かった英雄」として政治利用された。
久米颯太…ブリーチジャパン支部長。小笠原の部下であるため青木の事実上の部下でもある。
真斗の悪事が露見するその瞬間まで、青木遼の掲げていた「穢れなき正義」を純粋に信じており、ただ利用されていたことにすら気づいていなかった。とはいえ潔癖な正義漢ではなく、ブリーチジャパンが集めたがっていた「何もした事がないし何もしようとしない癖に何かをした気になりたいバカ」の典型例であるため同情の余地はあまりない。
海老名正孝…彼と中の人が青木=真斗と同じ1977年生まれである事から、『8』発売前は海老名こそが、真斗に戸籍を奪われた本物の青木遼ではないか?と言う考察があったが、推測はハズレに終わった。
鶴見正…過去作の悪役で同じく東京都知事。
相沢聖人…同じ読みの名前のラスボス繋がり。
コメント
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