―世界一、運が悪くて―
―世界一、ハッピーなヤツらの物語―
概要
『龍が如く』シリーズのナンバリング第8作目にして最新作。2024年1月26日に世界同時発売された。
対応機種はPS5、PS4、Xbox Series X / S、Xbox One、Windows、Steam。
桐生の主人公復帰と、そして『0』以来のダブル主人公体制に多くのファンが驚いた。
ただし、あくまでも春日がメインとも明言されていた。
舞台は横浜・伊勢佐木異人町や東京・神室町だけでなく、ついにシリーズどころか龍が如くスタジオ作品初の海外・ハワイ(ホノルルシティ)へと飛び出す。
ゲームのボリュームとしては過去最大級で、チーフプロデューサー・阪本寛之氏曰く「メインストーリーだけでも通常プレイで100時間はかかる」とのこと。
春日と桐生以外の見知った人物も登場し、足立宏一にナンバ、向田紗栄子の初期メンバーから、趙天佑やハン・ジュンギといった、後からパーティに参加した者も続投。そして今作ではコミジュルの総帥・ソンヒがプレイアブルキャラとして使用できる。
ただし鎌滝えりは『7』の助演女優オーディションで選ばれたゲスト出演の立ち位置(更に言えば任意加入のキャラ)のため、残念ながら登場しないと公式からアナウンスされている。
他にも真島吾朗・冴島大河・堂島大吾といったシリーズお馴染みの人気キャラや、なんと沢城丈と荒川真澄も再登場する。
また、井口理(KingGnu)・成田凌・長谷川博己といった人気俳優も出演。
更に総合格闘家・朝倉未来、実況者兼VTuber・kson、ウェザーニュースキャスター・檜山沙耶&駒木結衣、ラッパー兼評論家・宇多丸も参加する模様。
さらにプレイスポットの1つ「ドンドコ島」ではガチャピンとムックが登場することが判明している。過去にSEGAが関わった別のゲームとコラボしたことこそあるものの、本シリーズとは特に関係のなかったマスコットであるため多くのファンを驚かせた。
さらにデリバリーヘルプでは権田原組長とナンシーちゃんが続投する他、前作で僅かに出演していたポケサーファイターや伊達真が追加としてこちらも続投。
更に過去作シリーズに登場した小雪&ユキ、一輝&ユウヤ、狭山薫、秋山駿が再登場。
そしてエンディングノートトレーラーでは古牧宗太郎、小野ミチオ(現状はアクリルキーホルダー)も登場しており、あらゆる人気キャラ、ヒロイン、主人公が集まる龍が如くオールスター作品に仕上がっている。
また、前作に当たる『LOST JUDGMNT』同様本作も録画禁止区間は存在しないが、サムネでのネタバレの明示は控える等のガイドラインが設定されている。
加えて一つ注意点として、本作は上から「アルティメット・エディション」「デラックス・エディション」「スタンダード・エディション」という3つのバージョンが存在するが、最安値のスタンダード・エディションは「PREMIUM NEW GAME(所謂強くてニューゲーム)」が搭載されていない(別途DLCを購入する必要がある)。
その後、2025年2月28日に本作から半年後を描いた外伝作品である『Pirates in Hawaii』が発売予定となっている。
ストーリー
「ハマの英雄」と呼ばれるようになっていた春日一番は今、横浜・伊勢佐木異人町でハローワークの契約社員として働いていた。
順風満帆とは行かなくても、ナンバ、足立、紗栄子の仲間達と充実した日々を過ごしていた……そんなある日のこと。
春日は勤め先の会社から契約終了の知らせ、つまりクビを宣告される。どうやら多々良ひそかという暴露系配信者の動画が原因らしく、それは全くもってデタラメなものだった。
意味も分からず再び無職となってしまった春日だが、足立から「星龍会の動きが最近怪しい」と聞き、ひとまず恩がある横浜星龍会の本部へ足を運ぶ。
会長室にいたのは新会長の高部守……ではなく、若頭の海老名正孝。海老名は春日に「会ってほしい人物がいる」と話し、それに了承した春日は仲間と共に指定された場所に向かう。
そこで待っていた人物とは、かつて春日が所属していた荒川組の若頭で、今は刑務所にいるはずの沢城丈だった。
春日一番の人生を大きく変えた人間の一人と言っても過言ではない沢城から、ある頼み事をされる。
それは尊敬する親父・荒川真澄が唯一愛した女性にして春日の母親でもある茜に会ってほしいというものだった。
彼女は現在ハワイにいるようで、荒川の遺骨をペンダントに携えた春日は早速旅立つ。
同じ飛行機の乗客だった車いすの青年・三田村英二を手助けし、ハワイの地に降り立った春日はエリック・トミザワが運転するタクシーに乗り込む。
しかしトミザワは人気のない場所まで連れて来ると、いきなり車を停めて拳銃片手に春日を脅した。
そして春日一番は───目が覚めたら、何故か全裸でハワイの砂浜に転がっていた。
当然通報されて捕まり、事情聴取を受ける事になった春日は正直にこれまでの経緯を話すが、警官には全く信じてもらえない。
留置所に連れてかれそうになりながらもなんとか隙を突いて逃げ出した彼の元に現れたのは、かつて「堂島の龍」と呼ばれた伝説の極道・桐生一馬であった。
桐生は大道寺一派の指令でハワイに来ており、その目的は春日と同じで茜を見つける事らしい。
そしてこの時を契機に次々と起こる、ヤクザやマフィアが絡む騒動。事は次第にハワイだけでなく日本にまで及び、絶対に誰にも知られてはならない「桐生一馬の死は偽装されたものだった」という事実が暴かれようとしていた。
再びどん底から這い上がる男、春日一番。
人生最期の戦いに挑む男、桐生一馬。
龍を背負う二人の男の戦いに待つ結末とは───
システム
『7』に引き続きRPGコマンド制。
今作では戦闘中にキャラの立ち位置を移動でき、近くの物を利用したアクションを行いやすくなりバトルの幅が広がった。
なお、桐生のみ戦闘中に覚醒状態となると、短時間ながらコマンド選択から従来のアクションに切り替わる。また、桐生がRPG式で戦う経緯についてはストーリーの方で説明されると、総合監督・横山昌義氏が発言した。
そしてサブコンテンツとして、春日が無人島の開拓を行っていく「ドンドコ島」や、桐生の人生を振り返る「エンディングノート」が用意されている。
登場人物
主人公
- 春日一番(かすが いちばん)
CV:中谷一博
今作のメイン主人公(1~7、9、11、13~14章)。前作での活躍により、「ハマ(横浜)の英雄」と呼ばれる様になった。
ハローワークの契約社員として働く傍、極道だった者たちを社会復帰させるという荒川真澄の遺志を受け継ぐべく奮闘していた……のだが、多々良ひそかの動画のせいでクビになり、またもや無職に。
沢城に頼まれ向かったハワイで、桐生一馬と再び邂逅することとなる。
- 桐生一馬(きりゅう かずま)
CV:黒田崇矢
今作のもう一人の主人公(8、10、12、14章)。前述の通り「春日がメイン」なため主人公パートは少なめで全14章の内4章ほどしか操作する機会は無い。
言わずと知れた伝説の極道「堂島の龍」で、現在は大道寺一派のエージェントとして生きている。茜を見つける為にハワイに来ており、そこで春日と再開し共に戦うことに。
実は、医者に「何故こんな状態で出歩けるのか」と言われる程の重度の癌に侵されている。
パーティメンバー
CV:井口理
ハワイのタクシー運転手。
タクシーに乗った春日に銃を突きつけ、脅していた。
どうやら春日の仲間になるようだが…?
- 不二宮千歳(ふじのみや ちとせ)
CV:伊波杏樹
ハワイにある茜の屋敷で家事手伝いをしている女性。
- 難波悠(なんば ゆう)
CV:安田顕
異人町で暮らしていた元ホームレス。愛称は「ナンバ」。
現在は医療器具メーカーに勤めるサラリーマン。
- 足立宏一(あだち こういち)
CV:大塚明夫
神奈川県警の元刑事。
現在は「足立調査代行」という防犯関係の会社を設立し、夢の続きを追っている。
また、元極道の社会復帰に尽力する春日の手助けもしている。
- 向田紗栄子(むこうだ さえこ)
CV:上坂すみれ
横浜のキャバ嬢。
恩人・野々宮勲が遺したキャバクラ「Club Silky Queen」の共同経営者に就任している。
青木遼の野望を阻止するため共に戦った春日から思わぬアプローチを受けることになるが……?
CV:武田華
異人町を拠点とする巨大組織「コミジュル」と「横浜流氓」を束ねる女傑。
裏社会の住人である自分達と関わっていたら春日たちが真っ当に生きていけないと考え、彼らとは距離を置いている。
CV:中村悠一
コミジュルの参謀にしてソンヒの右腕的存在。
ソンヒの考えに従い、春日たちとは距離を置いている。
- 趙天佑(ちょう てんゆう)
CV:岡本信彦
横浜流氓の元総帥。今はソンヒに総帥を任せ、街で自慢の料理の腕を振るっている。
主要人物
- 茜(あかね)
CV:榊原良子
春日の母とされる人物。
既に死亡したものと思われていたが、ハワイで生きていることが明かされた。
- 山井豊(やまい ゆたか)
CV:子安武人
日系人を中心に構成されている暴力集団「山井一派」の頭目。
常夏の島・ハワイにありながらスーツの上にコートを羽織っても尚「寒い」と話す、不気味な人物。
CV:松田修平
ホノルルシティ裏社会の一大勢力「バラクーダ」の総帥。
ならず者が集うバラクーダを暴力と恐怖で操る実力者。
CV:増元拓也
バラクーダと並ぶ勢力を誇る中華マフィア「ガンジョー」の総帥。
巨万の富を持つ実業家でもある。
CV:古谷徹
ハワイの宗教団体「パレカナ」の代表。
ホームレスへのフードバンク活動などを行っており、行政関係者からの信頼も厚い。
- 花輪喜平(はなわ きへい)
CV:東地宏樹
『7外伝』にも登場した、桐生の管理を担当する大道寺一派の一員。
茜の捜索のために、桐生をハワイへ派遣する。
- 多々良ひそか(たたら ひそか)
CV:???
暴露系配信者。春日一番に関するデマ動画を投稿した。
- 三田村英二(みたむら えいじ)
CV:成田凌
春日と同じ飛行機に乗っていた車いすの青年。
プログラミングに長けている。
- 沢城丈(さわしろ じょう)
CV:堤真一
元荒川組若頭。
前作で逮捕されて服役していたはずだが、何故か横浜星龍会の一員として行動している。
春日に茜が生きていることを明かし、ハワイに向かうよう伝えた。
- 荒川真澄(あらかわ ますみ)
CV:中井貴一
元荒川組組長。
前作で死亡した為、回想での登場になると思われる。
- 海老名正孝(えびな まさたか)
CV:長谷川博己
異人町の極道組織「横浜星龍会」若頭で、服役中の会長・高部守に代わり組を仕切る切れ者。
桐生一馬が表舞台から姿を消すに至った経緯を知っている模様。
各章
各章のサブタイトルは全て日本の楽曲名に由来している。(これは海外版も同様で、一部を除きエルヴィス・プレスリーの楽曲名が使用されている)
また、本作のエンディングでは最終章のサブタイトルの元ネタである椎名林檎による「ありあまる富」が流れる(本作におけるテーマ曲の位置づけである)。後述する英語版サブタイトルと重ね合わせると、中々意味深いものになっている。
章 | 主人公 | サブタイトル | 元ネタの楽曲アーティスト |
---|---|---|---|
1 | 春日 | 白日 | King Gnu |
2 | 〃 | 異邦人 | 久米小百合 |
3 | 春日&桐生※ | また逢う日まで | 尾崎紀世彦 |
4 | 〃 | イミテーション・ゴールド | 山口百恵 |
5 | 〃 | 魅せられて | ジュディ・オング |
6 | 〃 | 慟哭 | 工藤静香 |
7 | 〃 | 美しく燃える森 | 東京スカパラダイスオーケストラ |
8 | 桐生 | リライト | ASIANKUNG-FUGENERATION |
9 | 春日 | うそ | 中条きよし |
10 | 桐生 | 嵐の素顔 | 工藤静香 |
11 | 春日 | 祭りのあと | 桑田佳祐 |
12 | 桐生 | 粉雪 | レミオロメン |
13 | 春日 | つぐない | テレサ・テン |
14 | 春日&桐生 | ありあまる富 | 椎名林檎 |
本作におけるテーマ曲「ありあまる富」は発売まで担当アーティストも含めて一切伏せられた状態であり、発売日当日に龍が如く公式X、及び椎名林檎公式Xにて「椎名林檎の既存楽曲を使用した」旨が発表された。(2023年2月5日時点では使用した楽曲名について公式では発表されていないが、スタッフロールにて確認できる)
ちなみに、この曲が流れるシーンにおいて日本語版では歌詞が(昔の映画の字幕のように)右端部分に表示されているが、これは近年の椎名林檎が歌番組やライブでの歌唱披露時によく見られる表記を踏襲している。(別作品の例として、東京事変として「永遠の不在証明」を提供した映画『名探偵コナン 緋色の弾丸』にも見られる)
また当該シーン中、「青空をバックに空き缶や瓶などが空を舞う(投げつけられている)」カットが挟まるが、この曲のPVは「青空のもと、マンションから様々なもの(価値のあるもの)が投げ落とされ、しまいには爆発してしまう様子がスローで流れる」というものであり、PVのリスペクトとして挟まれたカットという意見もある。
※操作するのは春日で、桐生はパーティー編成。
評価
発売前から様々な媒体での宣伝やイベントを非常に盛んに行っており、ファンによる今作の期待は最高潮まで高まっていた中で、発売一週間で全世界100万本というシリーズ最速の売り上げを記録する事ともなった。
また、ゲーム自体のボリュームやシステム、前作での不満点を改善したバトル面などに関しては非常に評価が高く、日本は元より海外の大手メーカーの負けないクオリティの高さと言っても過言ではない。
しかし、肝心のシナリオ面については、中盤までのエンジンのかかりの遅さや、クライマックスの畳み方が性急なことによる爽快感の薄さ、“桐生から春日への世代交代”を描いたにしてはストーリーが桐生メインで春日の影が薄くなっている等、特に終盤の駆け足の速さや描写不足により賛否が分かれてしまっている。
一方で「桐生の最後の戦いの物語を丁寧にやってくれた」「しっかり主人公交代をやり遂げた快作」「春日らしい終わり方」という肯定的な評価もあるので、やはり自分の目で確認する事が一番だろう。
余談
横山昌義氏が初めて総指揮を務めた完全新作
これまで龍が如くスタジオで総指揮を執っていた名越稔洋氏が『LOST JUDGMNT』の発売後にセガを退職したため、リメイク版の『維新!極』を除くと今作が横山氏総指揮による初作品である(先立って発売された『7外伝』は『8』より後に開発が始められたため、本作が初ということになる)。
モデリングキャラクターの再登場
如くシリーズでは基本的に、芸能人がモデルの人物は一作品で退場するか、次回作からはフェードアウトするのが暗黙の了解となっていた(※)。
しかし『ロストジャッジメント』での木村拓哉氏や中尾彬氏の続投が契機となったのか、本作でも既存のモデリングされた人物が登場する。
中井貴一氏や堤真一氏は勿論だが、特に安田顕氏の続投が決定した事に喜んだファンは多いだろう。
(※一応、『見参!』に出演した寺島進氏が『極2』で復活、『5』に出演した大東駿介氏が『維新!』で続投していたりと、前例が全くなかったわけではないが)
サブタイトル
海外版タイトルは『Like A Dragon:INFINITE WEALTH』と副題がついており、これは「無限の富」を意味するが本作の日本版は副題がない。これは「自分だけの副題を付けてほしい」をコンセプトとして置いているためで、本作日本版は『3』以来の副題の付かないシリーズ作品となる。
シナリオ担当について
本作のシナリオは竹内一信氏が手掛けていて横山氏は6以降と同様にストーリー原案である。『5』『0』でシナリオに協力し、『ジャッジアイズ』シリーズでメインのシナリオを手掛けた古田剛志氏は脚本協力だが、下記のインタビューを見るとほぼ関わっていないとも推測されている(なお、オープニングでは古田氏をメイン脚本かのように表記しているため、プレイヤーを誤認させているという意見もある)。
なお古田剛志氏は本作の開発とほぼ同時期らしい7外伝でメインシナリオを担当しているので、あまり関わっていないのはこれが理由と思われる。
インタビュー抜粋
―『龍が如く8』で皆さんがどんなお仕事を担当されたのか、それぞれお聞かせください。
横山
自分はこれまでとあまり変わらないですね。今回は直接的な脚本は担当していませんが、ストーリーのプロット的な部分は手掛けていますし、ホントにいつも通りですよ(笑)。音声や演出のメイン担当は竹内ですが、重要なシーンはモーションや音声収録にも立ち会っています。あとは全体の設計と管理・監督という感じでしょうか。
竹内
メインストーリーとキャラクターまわりを担当しています。ストーリーのコンセプトを受けて、"どんなキャラクターたちが出てきて、どういう話にするか"というあらすじの構成からシナリオの執筆・ディレクションを担当しました。また、メインシナリオにおけるモーションキャプチャーや音声収録のディレクションも務めています。
―メインストーリーにまつわる実作業の大部分を担当されたわけですね。
竹内
そうですね。それとエンディングノートや絆ドラマといった、メインストーリーと距離の近い物語要素全般も、監修と一部執筆を担当しています。
関連動画
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作品の前後
作品発売上の前後
龍が如く8
物語時系列上の前後
←龍が如く7 光と闇の行方 / 龍が如く7外伝 名を消した男
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