─日本中が狂喜乱舞していた時代。「龍」の伝説は、ここから始まった。─
概要
2015年3月12日にセガから発売されたPS3・PS4用ソフト。
『龍が如く』シリーズにおけるナンバリング作品で、時系列的には『1』より以前となる、所謂エピソード0のくくりになる。
「金、女、暴力」をコンセプトとして、バブル景気真っ盛りの1988年、昭和最後期の日本を舞台に激闘が繰り広げられる。
今作では、主人公として桐生一馬だけでなく、人気キャラクターである真島吾朗も主人公としたダブル主人公制を採用している。
舞台は東京・神室町と大阪・蒼天堀のシリーズ二大都市で、当時のギラギラした繁華街がリアルに再現されている。
楽曲担当は、レゲエグループ「湘南乃風」。
ストーリー
初代『龍が如く』より17年前の1988年。
バブル景気の影響を受ける東京の歓楽街・神室町。
桐生一馬は恩師の後を追って関東最大の暴力団「東城会」でもトップクラスの傘下組織である「堂島組」に入ったものの、とりわけ夢や希望はなく、借金取りのアルバイトで食いつなぐ生活をしていた。
時を同じくして、大阪の歓楽街・蒼天堀。
東城会の「嶋野組」に属していた真島吾朗は組織に逆らった罰として極道社会から追放され、関西最大の暴力団「近江連合」の「佐川組」に一般人として監視されて生きる事になり、赤字続きのキャバレー「グランド」の支配人を任される事になる。グランドを黒字経営に戻した事で「夜の帝王」と社会的承認を受けるも、刑務所に入った兄弟分の帰る場所を作る為に極道への復帰を望んでいた。
神室町では堂島組が「神室町21世紀再開発計画」で行われる巨大商業施設「ミレニアムタワー」建設の利権獲得の為に100億円以上をかけて周辺の土地買収を行っていたが、その中に「カラの一坪」という土地が発見され、その土地の所有者から所有権を手に入れなければ計画を実行できないという問題を抱えていた。
桐生と真島はカラの一坪を巡る抗争に巻き込まれ、同じく巻き込まれた一人の盲目の女性を守る事になる。
東城会に「堂島の龍」「嶋野の狂犬」という二つの伝説が生まれる物語が始まる。
システム
バトルアクションに加えて、経営シミュレーションが重要な要素として取り入れられている。
バトルにおいては、金を支払うことで能力を買うという仕組みを取り入れているため、シミュレーションに金を稼ぐことで、バトルを有利に進めることができる仕組みになっている。
シミュレーションにおいては、真島はキャバクラを、桐生は不動産屋を経営することになる。
主要登場キャラクター
主人公
- 桐生一馬(きりゅう かずま)
CV:黒田崇矢
後に伝説の極道「堂島の龍」と呼ばれることになる男。20歳。
堂島組若衆として過ごしていたある日、自身が借金の取り立てを行った相手の死体が発見され殺人の疑いをかけられてしまう。自身の潔白を証明し、渡世の親・風間新太郎を窮地から助けるべく「カラの一坪」を巡る一連の事件に巻き込まれていく。
まだ年若いゆえか、泣いて謝る無抵抗の相手を必要以上に痛めつけたり、ヤクザ社会の掟の理解が甘かったり、理想論で啖呵を切るも相手から現実論で言い返されるなど、『1』の37歳の頃やその後のシリーズで年齢を重ねていった桐生と比べて、粗暴で青臭い面も描かれる。
- 真島吾朗(まじま ごろう)
CV:宇垣秀成
後に超武闘派極道「嶋野の狂犬」と呼ばれることになる男。24歳。
従来は桐生のライバルとして出演していたが、今作ではもう一人の主人公として活躍する。
今作では東城会を破門されており、大阪・蒼天堀でキャバレー「グランド」の雇われ支配人として働いていたが、極道に戻る条件として「マキムラマコト」の殺害を命じられたのをきっかけに、事件の中心に巻き込まれていくことになる。
若かりし頃は地味で控えめなファッションに身を包み、人生を抑圧されていることもあって陰気で閉塞感に満ちた雰囲気を漂わせているなど、現在の人柄とのギャップが激しいことになっている。
あの「真島吾朗」という強烈なキャラクターが完成するに至るまでの経緯の描写も物語の見どころの一つ。
東城会
- 堂島宗兵(どうじま そうへい)
CV:江川央生
東城会直系「堂島組」組長。
若頭の風間を始めとした強力な幹部を従えており、東城会内部での勢力を伸ばしている。
欲しいものの為なら手段を選ばない強欲な性格の持ち主。
- 久瀬大作(くぜ だいさく)
CV:小沢仁志
堂島組若頭補佐及び堂島組内「久瀬拳王会」会長。
堂島組の「暴力」担当で、桐生を何度も付け狙ってくる。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 阿波野大樹(あわの ひろき)
CV:竹内力
堂島組若頭補佐及び堂島組内「泰平一家」組長。
堂島組の「渉外(脅し)」担当として、狡猾な一面を見せる。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 渋澤啓司(しぶさわ けいじ)
CV:中野英雄
堂島組若頭補佐及び堂島組内「渋澤組」組長。
堂島組の「事務方」担当のため、残りの二人とは違い目立った動きは見せなかったが……
モデリングされたキャラクターの一人。
- 錦山彰(にしきやま あきら)
CV:中谷一博
堂島組組員で、桐生の幼馴染にして兄弟分。
如くシリーズを経験したプレイヤーは知っての通り『1』では敵対関係になるキャラクターだが、この『0』では桐生最大の理解者かつ協力者として、共に「カラの一坪」を巡る事件に巻き込まれていく。
- 嶋野太(しまの ふとし)
CV:楠見尚己
東城会直系「嶋野組」組長で、真島の渡世の親。
代紋違いの兄弟分である佐川を通じて、真島に「マキムラマコトの殺害」を命令する。
- 世良勝(せら まさる)
CV:大川透
東城会の秘密組織「日侠連」総裁。
表向きには代紋を掲げておらず、所謂「裏」の仕事を請け負う。
- 二井原隆(にいはら たかし)
CV:柴田秀勝
東城会本家二代目会長代行。
現東城会のトップであるが、急速に勢力を伸ばしている堂島組は制御しきれず手を焼いている。
近江連合
- 佐川司(さがわ つかさ)
CV:鶴見辰吾
五代目近江連合直参「佐川組」組長で、嶋野の代紋違いの兄弟分。
キャバレー「グランド」のオーナーで真島の上司でもあり、極道に戻りたがる真島の前に何度となく立ちはだかり、その邪魔をする。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 西谷誉(にしたに ほまれ)
CV:藤原啓治
五代目近江連合直参「鬼仁会」会長。
『1』以降の真島に似た狂気的な性格で、蒼天堀のトラブルメーカーとして恐れられている。
- 立華鉄(たちばな てつ)
CV:井浦新
立華不動産の社長で「カラの一坪」を巡る中心人物の一人。
「闇の不動産王」として神室町でその影響力を増している。
桐生を「カラの一坪」を巡る事件に巻き込んだきっかけとなった人物。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 尾田純(おだ じゅん)
CV:小西克幸
立華の部下であり、彼を強く慕う男。
一般人
CV:田中一成
蒼天堀にある整骨院「ほぐし快館」の店長。
整体の腕も確かであり、巷で「ゴッドハンド」の異名を持つ。
また、蒼天堀の身よりのない女性の保護もしているらしい。
CV:沢城みゆき
「ほぐし快館」でマッサージ師として働いている盲目の女性。
マキムラマコトの殺害のため店を訪れた真島と遭遇するが…。
各章
章 | 主人公 | サブタイトル |
---|---|---|
1 | 桐生 | 盃の掟 |
2 | 〃 | 闇の不動産王 |
3 | 真島 | 輝く監獄 |
4 | 〃 | 極道の証明 |
5 | 桐生 | 白への道 |
6 | 〃 | 極道たちの生き様 |
7 | 真島 | 黒の流儀 |
8 | 〃 | 争奪戦 |
9 | 桐生 | 大包囲網 |
10 | 〃 | 男の値段 |
11 | 真島 | ドブ川の底 |
12 | 〃 | 欲望の巣窟 |
13 | 桐生 | 罪と罰 |
14 | 〃 | 不滅の絆 |
15 | 真島 | 木洩れ陽 |
16 | 〃 | 愛の証 |
17 | 桐生&真島 | 白と黒 |
評価
『龍が如く』シリーズの中でも最高傑作と評されている。
特にシナリオ面は非常に評価が高い。全体的に状況が複雑化しており、難解な部分が多かった『5』と比べてかなりシンプルに分かりやすくまとまっていることがまず大きな理由の一つと思われる。
また、劇中で出番が少なくやや描写不足なキャラが一部存在したり、『1』『2』でシナリオ監修を行った馳星周氏が既に不在であることが理由かその2作品の描写と比べると少し違和感がある部分(堂島宗兵に関する描写など)があったりと多少の難点はあるが、基本的に『1』に繋がる過去編としてほぼ違和感はない出来になっており、完成度は非常に高い。
またストーリーは作品の主人公として従来の主人公であった桐生一馬に加え、シリーズ中でも最高の人気を誇る真島吾朗の二人を据えており、二人の視点を交互に追っていくことで謎が明らかになる構成となっている。
『1』の過去を描いていることから、作品中では死亡していたキャラクターの生きている姿や彼らの活躍も描かれる。
桐生一馬のストーリーは悪役との戦いを通して彼の葛藤、そして正義に目覚めるきっかけや、錦山との友情がクローズアップされている。
真島吾朗のストーリーにおいては、『4』で描かれた真島の過去から『1』までの空白期間に何があったのか、個性の塊のような現在の真島がどのようにして形成されたのかが明かされ、またその過程で真島の悲恋も描かれている。
現在のシリーズに繋がるように散りばめられたこれらの伏線がこれまでの作品をやってきたファンへのサービスになっていることや、また初見から入るにも分かりやすい作品であることから総合して高評価である(なお、エンディングではのちの作品のネタバレが含まれるため、注意が必要)。
余談
- 本作の脚本は、前作に当たる『5』と同じく横山昌義氏がメインシナリオを担当し、古田剛志氏と能登秀美氏がシナリオの協力を行っている。
- 横山氏はインタビューにて本作がシナリオに大きく関わっていた最後の作品と語っている(『6』以降もプロットなどは担当しているとのこと)。
関連動画
ストーリーショートトレーラー
ストーリーロングトレーラー
最新トレーラー
ゲームトレーラー
オープニングムービー
作品の前後
作品発売上の前後
龍が如く0 誓いの場所
物語時系列上の前後
←なし
龍が如く0 誓いの場所
関連タグ
龍が如く8:同じくダブル主人公制のナンバリング作品。