-桐生一馬伝説、最終章-
概要
2016年12月8日にSEGAから発売されたPS4専用ソフト。
『龍が如く』シリーズのナンバリング作品では、2012年12月に発売された前作の『5』以来4年ぶりである。2015年のTGSで『極』のPVの最後に発表された。
上記のキャッチコピーの通り、これまでシリーズの看板キャラクターであった「桐生一馬」の最後の物語という位置付けとなっている。
楽曲担当は、シンガーソングライター「山下達郎」。
ストーリー
2012年、雪の降る夜。
日本最大規模のライブ会場で数万のファンが見守る中、一人の少女が告白する。
「私は、桐生一馬の家族です」
それは、一人のアイドルが一人の人間……
澤村遥として自身の本当の夢を宣言した瞬間だった。
時を同じくして、“堂島の龍”桐生一馬は
日本五大都市を巻き込んだ一大抗争の決着に辿りついていた。
降りしきる雪の中、再会を果たす桐生と遥。
その先には、小さく穏やかな日々が訪れるはずだった……
(公式HPから流用)
特色
舞台は広島県の尾道をモデルとした「尾道仁涯町(おのみちじんがいちょう)」。
今までの神室町をはじめとするギラギラした歓楽街ではなく、瀬戸内海に面したのどかな田舎町となっている。勿論シリーズお馴染みの神室町も登場する。
なお、『4』から続いていた複数主人公制ではなく、ナンバリングとしては『3』以来となる桐生単独の物語で、作品の雰囲気もどこか『3』に近いものとなっている。
お馴染みの実在の人物を題材にしたモデリングも存在し、メインゲストとして藤原竜也、小栗旬、真木よう子、大森南朋、宮迫博之(雨上がり決死隊)、ビートたけしが出演。
さらにサブストーリーにおいては新日本プロレス所属の6名のプロレスラー(オカダ・カズチカ、棚橋弘至、小島聡、天山広吉、内藤哲也、矢野通)やダーツプレイヤーのポール・リムが本人役で登場している。また、懐かしのポケサーファイターや曽田地などの顔ぶれも登場する。
その他、メニュー画面がスマートフォンになっていたりなど、時代の変化を感じさせる描写も多い。また、本作から使用されたゲームエンジン「ドラゴンエンジン」によってバトルや店への入店も完全シームレスで進むため、画面切替時のロード時間が無くストレスを感じさせない環境に進化している。
また、初のオートセーブ対応ではあるが、バグが多く不評だったのか、本作の次に制作された『極2』では廃止された。
サブストーリーも「素潜り漁」「草野球」「クランクリエイター」など豊富。お馴染みのキャバクラやカラオケ、ダーツも実装。そして最後には因縁のあの男も…!?
登場人物
※一部人物のみ表記(主に本作のみ・からの登場人物)
主人公
- 桐生一馬(きりゅう かずま)
CV:黒田崇矢
かつて「堂島の龍」の名で恐れられていた伝説の極道で、元東城会四代目会長。
本作では自らの罪を精算するため、人生二度目の刑務所に入り、その出所後、服役期間に失踪した澤村遥が生んだ子供「ハルト」を連れ、この子の父親が誰なのかを探るため、遥が失踪時に滞在していた尾道へ向かうこととなった。
東城会
- 菅井克己(すがい かつみ)
CV:中尾隆聖
東城会本家相談役及び直系「菅井組」組長。
二代目の時代から在籍している古参幹部で、神室町の亜細亜街で発生した火事の責任を問われ逮捕された堂島大吾に代わり会長代行に就任したが…
- 染谷巧(そめや やくみ)
CV:小栗旬
東城会直系「染谷一家」総長。若くして直系にのし上がった有望株。
ある理由から桐生を毛嫌いしており、作中で何度も対峙することになる。
モデリングされた一人。
陽銘連合会
広島を拠点とし、世界的な造船会社「巌見造船」を始めとする「巌見グループ」をフロント企業としている。
- 巌見兵三(いわみ へいぞう)
CV:津嘉山正種
巌見造船の創設者で会長を務める老紳士。しかし、それは表の顔に過ぎない。
その正体は「来栖猛(くるす たける)」という伝説の極道で、現陽銘連合会会長。
- 巌見恒雄(いわみ つねお)
CV:大森南朋
巌見造船の社長で、会長・巌見兵三の息子。如何にもサラリーマン的な風貌だが…
モデリングされたキャラクターの一人。
- 小清水寛治(こしみず かんじ)
CV:谷田歩
陽銘連合会若頭及び直系「小清水組」組長。会長の兵三に代わり陽銘連合会の実質的な指揮権を握っている。
- 舛添耕治(ますぞえ こうじ)
CV:高木渉
陽銘連合会直系「舛添組」組長。
「広瀬一家」の親組織でもあり、ミカジメの徴収を行わない南雲に強く当たる。
- 広瀬徹(ひろせ とおる)
CV:ビートたけし
陽銘連合会系四次団体「広瀬一家」総長。
若い頃は近江との抗争にて、最前線で爆弾を投げていたという武闘派だったが、現在は組の仕事を部下に全部任せ、自身は保険金詐欺を利用して、自由気ままに隠居生活をしている。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 南雲剛(なぐも つよし)
CV:宮迫博之
広瀬一家の若頭。よそ者である桐生を快く思っておらず、彼に度々決闘を挑んでくる。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 宇佐美勇太(うさみ ゆうた)
CV:藤原竜也
広瀬一家の若衆。南雲に付き合わされる形で桐生と対峙している。
モデリングされたキャラクターの一人。
- 松永孝明(まつなが たかあき)
CV:ドロンズ石本
広瀬一家の若衆。他の若衆の兄貴分。
- 田頭直人(たがしら なおと)
CV:細谷佳正
広瀬一家の若衆。
その他
CV:森田順平
亜細亜街を拠点とする香港マフィア「祭汪会」の総帥。
組織の幹部を血縁者のみで構成する「血の掟」を遵守し、掟を破った者を容赦なく粛清する。
CV:間宮康弘
ビッグ・ロウの従兄弟で「祭汪会」の幹部。
人を痛めつけて殺すことを好むサディスティックな人物。
CV:中村悠一
『2』にも登場していた韓国マフィア「真拳(ジングォン)派」の当代頭目を務める銀髪の男。
過去シリーズで桐生とも馴染みのあったホストクラブ「スターダスト」を買収し、東城会や祭汪会と渡り合って神室町内で勢力を広げている。
- 笠原清美(かさはら きよみ)
CV:真木よう子
尾道仁涯町にて、「スナック清美」を経営する女性。
南雲に惚れられており「キヨちゃん」と呼ばれている。
モデリングされた一人。
- 飯野和明(いいの かずあき)
CV:檜山修之
桐生が尾道で滞在することになる「水軍アパート」の管理人。
南雲や清美とは幼馴染みである。
- 小野ミチオ(おの みちお)
尾道をPRするためのご当地ゆるキャラで、八朔(はっさく)を模した巨大な頭が特徴的。
後のシリーズにも度々登場することになる。
各章
章 | サブタイトル |
---|---|
1 | 自由の代償 |
2 | 新たな芽 |
3 | 異邦人 |
4 | 嘘 |
5 | 覆面 |
6 | 足跡 |
7 | 黒孩子 |
8 | 共謀 |
9 | 失踪 |
10 | 血の掟 |
11 | 親父と息子 |
12 | 眠れる巨人 |
13 | 許されざる者 |
評価
当時の炎上
シナリオ
発売前情報では大物芸能人であるビートたけしの出演や、キャッチコピーにも書かれてる通り桐生の最後の物語ということもあってか、シリーズのファン達から「大団円」を期待する声や「桐生の最後」に別れを惜しむ声があるなどSNSで話題になっていた。
しかし発売後いざプレイしてみると
- 全ての元凶の一人の浅はかで短絡的な問題行動
- 浅はかな気持ちで妊娠させた身勝手な事件の元凶
- 桐生をさんざん甚振っておき、最後の最後で(一応、敗北を認め)自害して勝ち逃げした小物
- 桐生が今まで積み上げて来たもの全てをぶち壊したヘタレなラスボス
- 物語序盤、児童相談所に何の許可もなく誘拐に近い形で赤子を無断で連れ出す計画性皆無な主人公(その後一応伊達真から諭されて反省はする)
といった従来のシリーズであまり見られなかった自分勝手に行動し、または自己中心的な考えを持つ人物が多く登場する展開に違和感を感じ、困惑するファンが多かった。またその殆どがプレイヤーが納得できるような相応の罰や責任を負わないままフェードアウト。
更には結果的に事件解決に奔走していた桐生は最後まで報われないまま後味の悪い結末を迎えるという、大団円とは程遠いシナリオに強い不快感や怒りを覚えるプレイヤーが続出し、SNSで大炎上するという事態に発展する。
その荒れ具合は凄まじく、果てには制作会社や公式SNSに直接抗議するどころか、怨嗟の声が問題の人物を演じた演者にまで向けられてしまうほど大きく荒れていた。
言うまでもないが、双方は役者/声優としての仕事をこなしただけであり、彼らを批判するのは筋違いである。
またキャッチコピーで「最後の物語」と謳っていながら真島や冴島など東城会のメインである彼らを「逮捕」という形で出番を大幅に削る、東城会の行く末を曖昧なままフェードアウトさせる、代わりに陽銘連合会や広瀬一家といった広島の極道達をメインに活躍させるというこれまた異色な展開であり、最終作なのにも拘わらずシリーズの看板的存在である東城会の影の薄さや雑な扱いにシリーズファンたちからは難色を示されている。
それらの批判についてエンドロールで脚本にクレジットされていた横山昌義は「シナリオへの賛否両論はあくまで狙ったもので、真摯に作品に向き合ってくれる人が多いという事がとても嬉しい」とユーザーの批判した点とは違った回答を返したためファンの怒りを買ってしまい、横山本人のみならずシリーズ総合監督・名越稔洋を初めとした開発スタッフの責任を問う声が上がるようになった。
発売前のインタビューで横山氏がシリーズ構成に近い立場になっていると明かしている。
そして後年になって、横山氏はシナリオに大きく関わったのは『0』までで、『6』以降、つまり本作からは古田氏や竹内氏にかなり任せており、横山氏はシナリオの原案のみを担当していたことを2024年のインタビューで明かしている。
つまり事実上、本作では横山氏から古田剛志氏にメインライターが交代したという形となっている。
別の記事によると横山氏はこの原案について約1年ほど構想を練っていたらしいのでシナリオに一切関与していないわけではないが、この記事内容を踏まえてみると本作が従来とは違った作風であることや、横山氏が上記のような回答を行った理由に説明はつくと思われる。
なお本作から古田氏にメインライターが交代した理由はハッキリとは言われていないが、横山氏を含めた開発スタッフは元々『6』以前から「桐生を主人公に据えた龍が如くの物語」を構成していくことに頭を抱えており、その悩みを時折のインタビューなどの際にセガの内外に零していたほど既に限界に達していた。
そうした状況の中で横山氏が本作で原案の担当に回るといった流れであるため、やはりこれが関係しているのでは?という声も。
そもそも、期待を高まりすぎた桐生の人気に引っ張られてそのまま主人公に据え続けてしまったことが前作の『5』や今作における悲劇の一因だとも挙げられていた。
そして、作品を重ねることに桐生の主人公としての魅力が高まり続けた一方で、作品の衰えとマンネリ化の意見も多少なりとも増え、龍が如くという作品から離れていった声も出てしまっていた。
結果的に本作は制作の上でプレイヤーのシリーズへの期待が大きすぎるあまり限界を超え、期待に応えられない状態だったのではないか?というファンの考察もある。つまり、遠回しに言えば開発スタッフたちにとっても色々と不幸が重なったとも言われている。
その後、続編の『龍が如く7』では結果的に主人公が交代したため、本作で批判されていた作風の違いによる違和感は消滅したからか、むしろ好意的なファンも増えてきた。またスピンオフ作品『ジャッジアイズシリーズ』のラスボス達(リンク先ネタバレ注意)もそれぞれ、同情されるべき一面を持っていたり、外道であればきちんとそれに相応するだけのケジメを与えたり、本作のラスボス程見苦しい小物っぷりは晒さない等と、極力(特にモーションも兼任している)演者のイメージに悪影響が及ぶ事がない様にキャラ設定の配慮がなされている。
それでもシナリオ構成上から恒雄のような憎まれ役がどうしても必要だったり、見ようによっては質の悪いと取られかねない劇中の行いが上記のような過剰な非難に晒されかねない場合は本業の声優を起用して演者を用いない完全造形したキャラクターに担わせている。
もう一つに長期続いた喧嘩アクションのマンネリ化を脱却するために、『7』以降のナンバリング作品のジャンルはRPGへ路線変更。リメイク版やジャッジアイズシリーズ含む外伝作品は従来のアクション路線へ方針を固めるようになった。
システム面
上述の荒れ具合はシナリオだけに留まらずゲーム性にも批判されており『維新』から好評で続いていた自由にスタイルを切り替えられる戦闘システム「バトルスタイル」を削除して旧作を意識したアクション、ヒートアクションの種類減少、従来からあった銃火器などのストックが出来なくなる、天啓や師匠などの強化要素の廃止と桐生が弱体化されるなど従来の爽快感とアクションの自由度が大幅に減少し更に敵AIが賢くなって強化されるなど戦闘難易度が大幅に上昇しており、恐らく本作での戦闘はシリーズ最高難易度を誇る。
それ以外ではカジノや賭場が消されたせいで資金繰りが難しくなる、神室町の公園前通り及び賽の河原やチャンピオン街に行けない、シリーズ恒例の真島との戦闘がない、本編に負けず劣らずのクオリティであったミニゲームやサブストーリーの量がかなり削られるなどやり込み要素が従来よりも少なくシリーズをやり込み続けてきたプレイヤーからは物足りなさと不満の声が上がっている。
またシナリオの途中でハルトをあやすミニゲームをプレイすることになりコントローラを振ってあやすという仕様なのだが、コントローラの認識が理不尽なまでのシビアでテンポが悪い。
このようなゲームバランスの悪さは次作「極2」で改善されたり、スピンオフ作品『ジャッジアイズシリーズ』で今作の戦闘システムを廃止して再び「バトルスタイル」を採用している。
最近だと…?
残念ながら相変わらず賛否両論のままではあるが、本作で批判されていた点は最後の物語なのにその要素が薄いといったことや作風の違いによるものだったため、上記のように主人公を交代した続編の『7』で違和感が解消されたり、また桐生が続投した事や、最近では『7外伝』や『8』にて桐生が主人公としてカムバックしたことで、今作が彼の「最後の物語」ではなくなったため本作で指摘された問題点はその後大きく改善されることになった。
また『7』にて今作や東城会自体の結末に対するある一つの答えも描かれたり、『7外伝』や『8』のラストで多少なりとも桐生が救われたことで、徐々に当時より論調も落ち着いていき、『6』の反省が生かされた『ジャッジアイズ』等から他のシリーズ作品に触れてくれる人が増えていったのにつれて、「言うほど酷い物語ではない」「良い部分もちゃんとある」という声も徐々に増えてきていたりする。
確かに「桐生一馬の最後の物語」「今までの龍が如くを締める作品」にしては人気キャラの扱いが悪く、ラスボスがショボく、何よりずっと応援してきた桐生が幸せになるどころか、一人大損を背負わされて終わっており、結末に納得できないプレイヤーが多いのも仕方がないと言える。
しかしシナリオライターが実質的に交代したということや、ドラゴンエンジンへの移行など諸々の事情を考えれば、これまでの集大成ではなく新規のストーリーとして評価できる部分はあるという意見もあり、特に広瀬一家とのやり取りと一部のサブストーリーの評価は非常に高い。
また過去作の関連に関しても「桐生と遥を中心とした色んな親子の話」という根幹はちゃんと伝わるようになっていたり、登場人物や彼らのやり取りを通す事で過去作を思い出させる描写があって感慨深かったなど、きちんと最後まで遊んだ上でそう評価するプレイヤーも存在する。
総じて問題点の多い本作だが、結局のところ実際にプレイしてどのような感想を抱くのかは人それぞれのため、あくまでこれらの評価は買うかどうか迷った時の参考程度にするといいだろう。
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作品の前後
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龍が如く6 命の詩。
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関連タグ
細谷佳正、檜山修之、新谷真弓…広島出身者として本作に出演している。
XPERIA…主人公の桐生をはじめ様々な登場人物が持っているスマートフォン。
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ライザップ…「結果にコミットする」でおなじみの健康管理を始め、様々な業種にも手を伸ばす会社。
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