CV:堀内隼人
概要
巷で人気の小型電動自動車玩具「ポケットサーキット」のイベント会場「ポケサースタジアム」を任されている男性。本名は藤沢(下の名は不明)。
頭に巻いた青いバンドと、赤・青・黄・白で彩られた派手なパイロットスーツが特徴。レースにおいては熱のこもった熱い実況を繰り広げてくれる、ポケサーを世に広めるマスコットキャラクター的存在である。
自分の立場や今後について思い悩むことも多いが、ポケサーを愛する心は本物であり、後進の育成や世代交代について真剣に考えている他、明らかにカタギではない人物が会場でトラブルを起こしそうになっても、怯んだりいつもの調子を崩したりすることなく制止する胆力もある。
経歴
龍が如く0 誓いの場所
1988年12月(当時29歳)、神室町七福通り西のビル内にて設置された「ポケサースタジアム」の路上宣伝を聞いた主人公・桐生一馬は、興味本位から会場に足を運び、ポケサーファイターと出会った。ポケサーについて教授された桐生は、自らもポケサーレースに参戦することを思い立ち、以降は同じくポケサーを愛好する人々と切磋琢磨していくことになる。ポケサーの流儀に従い、会場ではレーサーたちは皆年齢身分を問わず「○○君(男性)」「○○ちゃん(女性)」と呼び合っており、桐生もまたファイターたちから「カズマ君」の愛称で呼ばれている。
ある日、レース参加者の子供たちが、ファイターのことを「ドウテイ」だとからかい始めた際、カズマ君はファイターを弁護して子供たちをなだめ、30歳手前で経験のないことに落ち込むファイターのことも慰め、その場を収めた。
実は時給850円のアルバイトであり、他にもティッシュ配りなど色々なバイトを掛け持ちしている。子供たちを無視してより時給の高いバイトを優先したことで自己嫌悪に陥ったこともあったが、桐生の説得により立ち直った。
その後は、数々のレーサーを敗っていく桐生に対してその実力を認め、普段は余りの強さに負けた子供達が絶望してしまうという理由で封印しているポケサーでの勝負を挑み、本気の実力を見せる。しかし桐生に敗れると、その強さに感服し、ポケサーファイターの座を譲ろうとしたが、桐生から「それはいらん」と拒否される。
龍が如く極
2005年12月(当時46歳)、本作でも同じくポケサースタジアムの管理を務めており、長きにわたる服役生活を終えて神室町に帰還した桐生と17年ぶりの再会を果たし、前作で「神室町最速の男」となった彼の参戦を喜んだ。
ポケサー実況の腕を買われ、日本各地を飛び回りながら大会を盛り上げていた。正社員になれるチャンスにも恵まれたが、筆記試験に落ちてしまったため、立場は変わらずアルバイトのまま。一応時給は(毎年10円ずつ)上がり1020円になったが、雀の涙である。
全国行脚の最中にフィアンセと出会い、彼女の実家に挨拶に行ったものの「正社員じゃない男に娘はやらん!」と追い出されてしまったことも語られた。そこで、結婚の許しとポケサー業界の今後のため、後継者探しを決意。再会した桐生に2代目ポケサーファイターの称号を譲る事を提案するが、17年前と同じく、「それはいらん」と即答される。そのため、彼に代わりとして2代目候補者探しの手伝いを求める。その過程で、桐生は17年前に切磋琢磨し、大人へと成長した当時の3人の子供達であるヒデキとミカに再会することとなった。
最終的に同じく当時交流のあった子供の一人にして、F1レーサーを目指すも挫折し、スターダストで燻ぶりながらホストをやっていたタクマと再会。桐生からの説得と捨て切れなかったレースへの情熱もあり、桐生と怒涛のレースを繰り広げた後は、改めて2代目ポケサーファイターを引き継ぐと決意する。
本作の(厄介な)新システム「どこでも真島」のイベントの一つとして、桐生のいる会場に真島吾朗が登場する。桐生を真の極道として目覚めさせようとする真島だったが、即座にその興味の矛先はポケサーに変わってしまい、二人の口論に割って入ったファイターの勧めもあり、真島…改め「ゴロー君」もまたポケサーレースに参戦することになる(ちなみに真島は『0』でポケサーの店を通りかかった際には、「ガキの遊びか 下らん」と内心バカにしていた)。
始めこそ、カズマ君に負けて癇癪を起こしていたゴロー君だが、ファイターやカズマ君からマシンセッティングの奥深さや成功したときの達成感などがポケサーの醍醐味だと説かれると、以降はポケサーの研究に没頭。再登場時にはレーサーとして凄まじい成長をみせ、ポケサーにおいても桐生の強大なライバルとなっていくが、桐生との最後の一騎討ちに敗北した後にこのままポケサーを続けると喧嘩をするよりも楽しくなってしまうと告げ、ポケサー界から身を引くことになる。
なお、ファイターは桐生専用のカラオケ楽曲『ばかみたい -哀愁-』の特殊演出にも登場している。
本曲は、関西人女性の悲恋をテーマにしたしっとりとしたバラード曲なのだが、毎度の如く、歌い手たちが思いに耽る写真のチョイスが残念なことに定評がある。本作においては、おそらく『0』本編にて撮影されたであろう桐生とファイターの2ショット写真が登場。親しげに肩を組み合ってサムズアップするファイターと、誇らしげにマシンを掲げドヤ顔する桐生の姿は、曲とのギャップも相まって非常にシュールである。
龍が如く6 命の詩。
2016年12月(当時57歳)、タクマにポケサーファイターを引き継いで引退し、現在は実家である広島・尾道仁涯町の「藤沢豆腐店」を継いで細々と暮らしている。『0』の時代から30年近い時間が過ぎ去ったこともあり、髪はすっかり白髪になり、当時の覇気を感じさせない大人しい老人となっていた。また、東京にいた頃に結婚しており、現在は妻の美咲(ミサキ)と、一人息子の崎斗(サキト)と一緒に暮らしており、崎斗からは「ダディ」と呼ばれている。
職を失い、なし崩し的に家業を継ぐことになった経緯から自信を失っており、妻には頭が上がらないらしい。美咲のほうも、崎斗がそんな惨めな夫のようにならないようにと、弱冠8歳の彼を毎日のように英語教室に通わせ、日常的に英語を話すように躾けていた。
とある経緯で尾道を訪れていた桐生は偶然ファイターと11年ぶりに再会し、共に当時を懐かしみながらしばし談話を交わしたが、恐妻・美咲による崎斗の異様なまでに徹底された英才教育や、実父であるファイターとの会話を制限する過度な扱いを目の当たりにする。
その後、桐生は英語教室までの時間を持て余している崎斗を見かけて声をかけ、彼との会話の中で「本当は英語の勉強などしたくない」ことや「ダディ(ファイター)ともっと話がしたい」という本心を打ち明けられる。そこで桐生は、ファイターの事を知るならポケサーで遊ぶのが一番であるとファイターとの思い出でもあるポケサーを崎斗にも教えようと思い立ち、彼の家に保管してあったマシンを一緒になって組み立てた。
完成したマシンに喜ぶ崎斗であったが、ファイターは勉強をサボって遊びに没頭する崎斗を叱りつけ、崎斗も泣きながら飛び出してしまう。かつて、多くの子供たちを不器用ながらも笑顔にするために邁進していた当時のファイターを知る桐生は、「今のお前にだって(同じ事が)出来る」と叱咤激励するが、それでも「俺なんかの子供に生まれてしまったあの子は人一倍努力しなきゃいけないんだ」「だから俺もあの子も妻のやり方に従ってるのが一番」と答える。この態度には「見損なったぜ」と失望し、一人崎斗を探しに出かける。立ち去ろうとする桐生に、ファイターは「崎斗は悲しいことがあると、海の見える場所で黄昏れている」と伝え、崎斗のことを任せた。
海岸に辿り着いた桐生は、崎斗がチンピラ達に絡まれている現場に出くわす。
マシンを踏み壊そうとする彼らを止めよう歩みだしたそのとき、(少々色褪せていたが)当時のパイロットスーツを身に纏ったファイターが颯爽と現れる。崎斗の父として、そして「ポケサーファイター」として、子供を泣かせるチンピラ達に自ら挑みかかった。5人がかりで二人を袋叩きにしようとするチンピラ達だったが、桐生もまたファイター父子に加勢し、共にチンピラ達を叩きのめした。
その後、駆けつけた美咲は、崎斗に英語教室に行くよう強要するが、崎斗は勇気を振り絞り「お父さんと遊びたい」「ダディの様にならない様にというけどそもそもダディのことを何を知らない」「だからダディのことをもっと知りたい」と本心を打ち明ける。ファイターもこの言葉にこれまでの自分を反省し、これからは父親として自身を持って彼を育てることを誓い、なおも反論しようとする美咲を力強く説得する。美咲も、いままで焦りすぎていたと反省し、二人が遊ぶことを承諾。またファイターが若き日の情熱を取り戻したことに喜んだ。
絆を取り戻した家族は、改めてポケサーで遊ぶため、家に駆け出していった。
龍が如く7 光と闇の行方
2019年12月(当時60歳)、横浜・伊勢佐木異人町にて行われているカートレース「ドラゴンカート」の主催者「ドラゴンファイター」として登場。年齢は遂に還暦を迎えた。
普段は『6』と同様、穏やかで物静かな受付として活動しているが、愛するものへ向ける熱意の強さは昔と変わっていない。ポケサー以上に熱くなれるモノを探し求めていたとき、偶々実家の藤沢豆腐店が、情報番組に取り上げられたことをきっかけに大繁盛。さらに英語の得意な長男(おそらく崎斗)がネット通販サイトを立ち上げたところ、さらに商売が鰻登りとなり、まさかの上場を果たす。そのタイミングで、趣味と企業の宣伝も兼ねてドラゴンカートを立ち上げ、自らもレーサーとして出場し優勝記録を重ねていった。
しかし、毎回主催するレースで優勝してしまっては面白くない上、有望な新人が出てきても叩きつぶすような事をしてはドラゴンカートから離れてしまうと危惧し、自らが本気で戦える相手を見つけるため、一時的にレースから身を引き、人材発掘と育成に専念する事にしていた。そのため、本編の出場レーサー達もドラゴンファイターの正体が受付の藤沢とは知らずとも「ドラゴンカート創始者にして最強最速の伝説のレーサー」が存在することを認知していた。(恐らくそれとなく「そういう存在がいる」という噂を流していたのだと思われる)
そして、自身が実力者として目にかけるレーサー達を抑え、とうとうグランプリをも制覇した主人公・春日一番にその正体を明かす。「ポケサーファイター時代に熱くしてくれた男」である桐生と春日を重ね、久しぶりに本気のレースがしたいと最速のプライドを賭け勝負を申し込んだ。
敗北後は潔く負けを認め、当初の想定通り全力の勝負が出来たことを喜び春日の健闘を称えたが、同時に悔しさも込み上げてきたため再戦を提案。二人の激戦を見届けたライバルたちも情熱を焚きつけられ、同じく春日やファイターとレースがしたいと次々に声が上がり、春日を含む皆で改めてレース会場へと駆け出していった。
以上の様に、これまでの長いフリーター暮らし及びしがない豆腐屋であった生活とは一転、還暦を迎えたタイミングで「仕事と趣味を満喫しているエネルギッシュな上場企業の社長」としての立場を手にいれており、春日も顔負けの成り上がりを果たしている。先述の豆腐作りの腕も、大評判になるほどたった数年で上達したことから、ポケサーを通じて身に付けた研究熱心な職人気質が役に立ったのであろう。更に、前作ではあまり良く描かれていなかった崎斗への英才教育も、ちゃんと身になっており結果としてファイターの事業拡大の契機となっている。
50手前まで趣味のおもちゃのアルバイト、その後はなし崩し的に家業を継いだという自身のコンプレックスを克服し、かつての熱意を取り戻して家業を大きくし趣味も満喫、家族関係も良好になったことからか、くたびれていた『6』の時よりもやや若く見える容姿になっている(ゲームの進化なのかもしれないが……)。
なお、肝心のドライブテクニックについては、配送する豆腐を崩さないように峠を越えているうちに自然に身に付いたらしく、峠では敵なしだったとのこと。恐るべき高性能じいちゃんである。
また、プレイスポットとしてポケサーが復活した『7外伝』では、新たなポケサーファイター「ラン」が登場する。
龍が如く8
サイドコンテンツ「エンディングノート」にて再登場。
桐生がポケサーの近くを通りがかり懐かしんでいると、子供のマシンが足元に走ってきた事で当代のポケサーファイターと出会い、現在小学生を中心にポケサーが再燃、第二次ポケサーブームとして再び流行り始めている事を知る。
当代のファイターの雇い主も熱心なポケサー愛好家でポケサーの普及に命をかけていると言っていいほどだと聞き、桐生はポケサーファイターを思い出す。
当代のファイターとの交流の後、子供のレアマシン目当てに絡んできたチンピラを撃退、ファイターに手柄を譲るために身を隠したところ、ファイターの元へファイターの雇い主である社長が駆け寄ってくる。
「……っ!?ま、まさか、あいつの言っていた社長って…!」
そこに現れた社長こそ元祖ポケサーファイターであった。
流石に立場もあってスーツ姿となっているが、頭には当時と同じくバンダナを巻いている。
既に結構な高齢(2023年時点で65歳)のはずなのだが、豆腐屋、ドラゴンカートに加えてポケサーまで手がけるようになった挙句ブームまで再燃させ社会現象にまで盛り返す手腕を見せており、その才能は留まるところを知らない模様。
また桐生からしてみれば『6』でうだつの上がらない豆腐屋をやっていたところから、次に見た時には凄まじい敏腕社長になっている事になるので驚きもひとしおだった。
当代ポケサーファイターの語る「昔ポケサーをやっていたらしい男性=桐生」の話を聞き、昔から一緒に切磋琢磨した友達(=カズマくん)を連想、どころか話の内容からほぼほぼ本人と断定して話していたり、今でも親友だと思っていると語る等会えなくなっても友情は永遠であると改めて知らされることとなった。
余談
桐生にとってファイターは、『0』から『8』まで約35年来の付き合いで(但し、『0』から『極』の間で17年、『2』から『6』の間で10年、『6』から『8』の間で7年と、3回ブランクの期間を挟んでいる)、様々な陰謀渦巻く殺伐とした各本編ストーリーの中、因縁などを一切介さない純粋に趣味を共感し合った友人と呼べる存在であり、密度こそ違えど、立場としては本編キャラの錦山彰や真島に匹敵するとも見られている(さらに、ポケサーの流儀とはいえ桐生のことを下の名前で呼ぶ存在としても、作中ではほぼ桐生と呼ばれており、恩人である風間新太郎や幼馴染の澤村由美くらいなど、かなり希少な例だったりもする)。
また、桐生の友人の中では数少ない堅気で、存命キャラの中では堂島大吾に次ぐ付き合いの長さを誇る。
実際、桐生自身も『6』で再会した際には、上述通り外見も性格も職種すらも当時から変わってしまった彼をひと目見て即座にファイターだと気付き、その後の談話でもポケサーで遊んだのは輝かしい思い出で昨日のことのように思い出せるとも語っていた(この際、「ばかみたい」での写真と同じ場面が挿入されている。ちなみに、『7外伝』で桐生が「ばかみたい」をカラオケで歌った際には、写真が『6』で再会した際に撮ったであろうものに更新されている)。
ファイターの方も、桐生のことは(彼の本来の経歴や顛末をどこまで認識しているかは不明だが)同趣における友人でありレースのライバル、そしてプライベートの悩みを幾度となく解決してくれた恩人として強い愛着を抱いているようで、ドラゴンカートに転じた『7』においても、春日にレース勝負を挑んだ際におもわず…
「勝負だ! カズマく……」
「じゃなかった。」
「勝負だ! 一番くん!」
…と、言い間違えてしまう一幕があった。
関連動画
Let's Race!(登場曲)
曲名不明(ポケサー対決曲、『龍が如く6』戦闘曲)
関連タグ
桐生一馬(カズマ君) 真島吾朗(ゴロー君) 春日一番(一番くん)
ミニ四駆 / ミニ四ファイター:おそらくポケサーやファイターの服装の元ネタ。
ただしコスチューム自体はむしろMCガッツとの共通点が多く、ミニ四駆公式もこの事に言及している。
頭文字D:おそらく本人の名前や実家(豆腐屋と峠越えの特訓)の元ネタ。