「俺はクルマに乗ることが好きだから、誰よりも速く走りたいから、頂点に立つドライバーになりたいんだ」
声優・俳優 | 三木眞一郎/宮野真守(新劇場版)/ジェイ・チョウ(実写版)、野島健児(実写版吹き替え) |
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年齢 | 18歳(初登場時) |
身長/体重 | 174cm/58kg |
職業 | 高校生→運送会社勤務 |
好きなもの | 新緑の季節、ハチロクのおしり、昼寝 |
嫌いなもの | 遊んでいる女の子、威張っている奴、負けること |
得意技 | 溝落とし、ブラインドアタック |
搭乗車種 | トヨタ・スプリンタートレノ GT-APEX(AE86前期) |
ボディカラー | ハイテックツートン |
主な外装パーツ | CIBIE製フォグランプ、RSワタナベ製ホイール※、カーボンボンネット(舘智幸戦以降)、メーカー不明メッシュホイール(原作第一部で積雪時期のみ) |
ナンバー | 群馬55 お 13-954/秋名50 せ 2-674(新劇場版・MFゴースト) |
※ゲーム『頭文字D THE ARCADE』ではパナスポーツ製ホイールになっている(RSワタナベが前作頭文字DAS ZEROを以て降板した為)
人物
漫画『頭文字D』の主人公。
初登場時点では高校三年生で、第一部終盤で地元・渋川市(原作ではS市)の運送会社に就職した。
搭乗車であるハチロクについて、第二部途中までは父である藤原文太の愛車であり、あくまでも必要時に彼から借りていた状態だったが、京一戦でのエンジンブローによるエンジン載せ替えの際に、拓海が自身のバイト代も出し修理した事を機に文太から「これからはこのクルマ、半分おまえのだ」と使用許可が下り、プロジェクトD編では文太がインプレッサを購入したことを機に「 ハチロクおまえにやるワ 」と完全な拓海名義の車になった。
第一部では足回りやギヤ比など文太がセッティングを行っていたが、パワーはせいぜい150馬力(高橋涼介の人間シャーシダイナモによる結果)、ラリー用のクロスミッションを装着している以外のスペックはあまり明かされておらず、原作では「気合いでパワーアップ」など曖昧な説明しかされなかった。
エンペラー登場時に馬力の低さが課題になり須藤京一戦でエンジンブローさせてしまうが、AE101用の4A-GがベースとなったグループA仕様のエンジンに換装して以降は、パワーの問題はかなり解消された(ただしパワー以上にエンジンオイルの循環方式がドライサンプになったことによるエンジン本体の搭載位置の低下でハンドリングに磨きがかかり、拓海が持つ荷重移動を柱とする『曲げの技術』が一気に進化した)。
第二部ではプロジェクトDによってチューニングが施され、涼介と専属メカニックの松本修一の手により話を追うごとにかなり本格的なチューニングマシンへと変貌していった。代表的なものとしては、舘智幸戦にてカーボンボンネットと軽量ヘッドライトユニット、城島俊也戦後(足回りの損傷)にロールゲージ、FRP製ハッチゲート+アクリルウインドウ、そしてワンオフメーター。なお神奈川エリア戦時にエンジンの耐久性を考慮し、ECUチューンによりレブリミットを9,000rpmに抑え、低・中速域のトルクを太らせるセッティング変更を受けている。
第一部にて群馬エリアで鳴らしていた赤城レッドサンズのナンバー2・高橋啓介を破ったことでその名前が知られるようになり、それ以降も多くの手強い相手に挑んでは挑まれ、そして勝利し「秋名のハチロク」の異名を轟かせた。
第二部では涼介が結成した県外遠征専門のスペシャリストチーム『プロジェクトD』に加入し、ヒルクライム(上り)のエース・啓介に対して、拓海はダウンヒル(下り)のエースとして2枚看板を張り、関東制覇に貢献することとなる。
実力・評価
運転免許を所持していない中学生のころから、無免許運転の状態で文太に豆腐の配達を命じられて以来ずっと秋名山を走り込んでいるため、同年代のライバルより運転歴が長く「拓海外伝」にて描かれた中学二年の時点で難なく配達をこなしており、文太からも「気持ち悪いぐらいスジがいいな」と評価されていた。秋名山での習熟度は文太を除けば敵う者はなく、加えてコースの特性を活かした「溝落とし」で、相手がどんなに格上の車でも打ち破っていく。
配達では積んでいる豆腐を崩さないよう、紙コップに入れた水をこぼさずに走るという訓練をこなしているため、車の荷重移動を駆使する技術にも長けている。加えて配達帰りは「早く帰ろう」という思いで秋名の下りを攻めていたため、優れたブレーキング技術も身に付けている。元ネタは土屋圭市がかつて金属部品の配達をしていたことと思われる。
さらに仕事である以上は年中走りこむので、雨・雪・霧など様々なコンディションも全く苦にしない。拓海いわく走る事は「顔を洗うのと同じ日常」であるという(池田竜次に『走ることとは』と聞かれたときの解答)。なおこうした拓海の経歴は、彼が啓介を破るまで武内樹や池谷浩一郎達は知らなかった。
拓海の実力は文太譲りの才能と英才教育という部分はあるが、一番はこの毎日の走り込みの積み重ねから来るものである。1回サーキットを走るのに大金が必要なプロのレーシングドライバーよりも多く走りこんでいると文太は自信を持っており、事実、峠ではプロドライバーをも撃破した。
ハチロク以外の運転は出来ないと語っているが、イツキのAE85レビンで彼と愛車を馬鹿にしたナイトキッズのS13とSW20(TVアニメ版と新劇場版では180SX、またチームも「THUNDERS」となっている)を溝落としでブチ抜く、池谷のS13シルビアや塚本の180SXを初走行で本来のスペック以上のスピードで走らせてみせる(塚本の件はTVアニメ版ではカット)、それまで乗ったことがないハイパワーターボの4WDである文太のインプレッサを初試乗ながらそれなりに走らせてしまうなど、コツさえ掴めばどんな車も乗りこなしてしまう天性のドライビングテクニックの持ち主である。その他、ハチロクがエンジンブローで修理に出されている間は、文太が何処かから持ってきたボロい軽トラにも乗っていた。
ハチロクのステアリングを握るとさらに凄まじく、ガムテープデスマッチではすぐにコツを掴んで練習を積んだ庄司慎吾を破る、コースをほとんど知らない状態で互角以上に戦って打ち破る(特に碓氷峠での佐藤真子&沙雪戦、正丸峠での秋山渉戦、いろは坂の京一戦)、フロントタイヤを側溝の上を飛び越えさせてコーナリングする「側溝ショートカット」を実戦で2度も成功させるなど(もみじラインの末次トオル戦)、人間離れした業を見せる。すべてのコーナーをガードレールすれすれの四輪ドリフトで走破し、涼介が長年にかけて構築し提唱する「公道最速理論」の完成形に限りなく近いドライバーと言わしめるほど、神がかり的なドラテクを持っている。
また神奈川エリア編に入った際、涼介によると「長年を共にしてきたハチロクと拓海が高いレベルの集中力で調和した時、他の車とドライバーならどうしてもオーバースピードと直感するような状況でも、拓海とハチロクの組み合わせなら行けてしまう」という現象が起こるという。これを涼介は「藤原ゾーン」と名付けた。
しかしプロジェクトD加入以降からはサーキットの常連やプロドライバー、地元のスペシャリストを含む強敵が続々登場したことから、ヘッドライトを消して相手をかく乱させる「ブラインドアタック」のような奇襲攻撃も用いるようになった(智幸戦、坂本戦、城島戦、大宮智史戦、乾信司戦)。
バトルの展開としてはシルビアやランエボのように、ハチロクより重くハイパワーな相手に対して車体の軽さを生かし、タイヤの限界を超えるコーナリングで勝利するパターンが多い。そのため坂本が駆るカプチーノのような、逆にハチロクより軽いマシンの相手には苦戦を強いられたこともある。
5年以上走り込んできた秋名の下りでは無敗を誇っていたが、文太がインプレッサに試乗していたとき勝負を挑まれ完敗している。
また、これ以外で拓海が実質負けたとされているものは、
- 赤城山で京一に抜かれた後ハチロクがエンジンブロー。
- 智幸に先行されたまま最終セクションに入った時、動物が飛び出してきたため彼が急ブレーキをかけ、その隙に抜き去って勝利。
- 城島に8本目で大きく引き離された上、変形溝落としのやりすぎでサスペンションを破損して必敗となったが、直後に城島が折からの体調不良で嘔吐しリタイア。
といったものがあり、いずれも敗北が見えた時点で何らかのトラブルが起きて勝利、あるいは水入りとなっている。それ以外にも雨などがなかったら勝てなかったかもしれないという勝負も少なくない(坂本戦など)。
このうち「ハチロクが負けた」とハッキリ作中で言われているのは京一戦のみであるが、これは拓海が赤城山を一回も走ったことがない状態で、かつ茂木なつきとの一件で自棄を起こした勢いでランエボに挑んでいた末の結果であり、高橋兄弟からは「あれは最初からバトルじゃない」、勝った京一すらも「オレはバトルをしたつもりはない」「勝負はあずけておいてやる」と言うなど、結果はともかく内容的には負けとするには酷な部分があった。ただし、拓海自身は「秋名で勝負しても勝てなかった」と述べてはいる。
逆に上記の智幸、城島戦や岩城清次戦などのように、明らかに拓海が勝利したにもかかわらず、拓海のほうが「秋名じゃなければ負けていた」「勝ったと思っていない」「気分的には負け」と吐露したり、「こんな勝ち方で良かったのか」と思い悩むようなこともしばしばあり、走り屋としてのプライドの高さが覗える。
必殺技
拓海は連載中に様々な必殺技を駆使、また発案して強力なライバルを打ち破っていった。以下、その一覧である。
- 溝落とし
コーナリング中にイン側のタイヤを排水溝に引っかけて慣性に抵抗することで、常識では考えられないほどのスピードで曲がる技。啓介との再戦で初出。拓海の代名詞とも言える技で、連載当時はこれを真似しようとして愛車を破損、または事故る人たちが続出した。フタ付きの排水溝でなければ成立しない技ではなく、いろは坂でカイとバトルした際にはアスファルトの段差にタイヤを引っかけて溝落としを完成させてしまった。
- 立ち上がり重視の溝落とし
先述した溝落としの別バージョンで、原作中では「必殺溝落としパート②」とも呼ばれる。旋回速度を高めるのではなく、速いスピードでコーナーをクリアし立ち上がり加速につなげることで加速力の差をカバーする技。清次戦にて初出。文太は中学時代の拓海に「溝にタイヤを落とすタイミングも脱出するタイミングも違う技だ」と語っており、難易度はこちらのほうが高い。アニメ版では涼介戦が初出で、涼介も溝落とし自体は知っていたが、このもう一つの溝落としは流石に予想していなかったようで、一か八かで拓海が成功させた際には、普段冷静な涼介も「あいつ、一体何を!?」と珍しく感情を露わにして驚いている。
- 溝またぎ
拓海の類まれなる荷重移動技術でなければ成立しない技で、早めに車の向きを変えて加速態勢に移ることでフロントに乗っていた荷重を一気にリアに移し、フタのない側溝をショートカットする。トオル戦にて初出。車種どうこうの話では語れない必殺技で、いきなり真似をしようとしたトオルは案の定タイヤを脱輪させてしまい横転の憂き目に遭った。しかし啓介や城島、星野好造など熟練のドライバーは筑波山で難なく決めてしまったので、荷重移動に長けていれば実現は不可能ではないと思われる(実際ラリーの世界でもこの技を成功させてしまうドライバーは実在する)。この溝またぎを一輪版としてコンパクトにまとめた技にインホイールリフトがあり、カイとのリマッチで披露した。
- ブラインドアタック
追走時にヘッドライトを消すことで相手をかく乱し、パッシングのチャンスを広げる技。智幸戦にて初出。きっかけは八方ヶ原往路のスネークヘアピンで「消えるライン」を決められ追い抜かれたことからで、「見えなければいいんだ」という単純な思い付きから実行。まんまと引っかかってラインを開けた智幸の虚を突いた。バンパープッシュでまたしても抜かれたときには完全ブラインドアタックに発展。相手の車のヘッドライトが照らす道路と、涼介のFCで同乗したときに教えられたラインをなぞることで、ライトを消していても前走車と何ら変わりないレベルで走ってしまった。坂本とのバトルで見せたように視界が悪くなる雨などではもっとも有効な手段ではあるが、「できれば多用したくない」というレベルの、まさに「奥の手」ともいえる技である。
- 多角形ブレーキング
旋回速度の速さと制動距離の短さを両立させる技で、ブレーキング→操舵→ブレーキング...とひっきりなしに繰り返すことで速いコーナリングを実現する。ランエボVIの男との戦いで初出。
- 変形溝落とし
タイヤを引っかける対象が縁石になった溝落としの発展形。城島戦にて初出。車重以外のスペックで何もかも上回るS2000に対抗する唯一の手段ともいえる技で、同時にサスペンション関係にかかる負担は普通の溝落としの比ではない。わずかに荷重移動をミスっただけでシワ寄せが一気に機構に来るという非常にリスキーなものだったが、これが城島の持ち味である盤石のコントロールを崩すことに効いた。
性格
好きなものは新緑の季節とハチロクのおしりと昼寝で、嫌いなものは威張っている奴と負ける事と遊んでる女の子である。実際に威張っている奴にキレるシーンは多いが、清次にハチロクをバカにされたときだけは親友の樹の方が怒っていたので逆に冷静になっていた。
元々は運転は仕事の一環であったため面倒臭がっており(最初期では頬杖をつきながらドリフトをするなどやる気のなさがモロに出ていた)、ハチロクをただの仕事用のボロ車だとしか思っていなかった上に、車でバトルをするという発想自体もなかったが、峠を攻めて勝負をする走り屋たちの想いや言葉に感化され、徐々にハチロクに愛着がわき、走ること自体も楽しいと感じるようになっていく。
「走り屋はクルマで挑戦されたら 受けて立たなきゃいけないんだろ?」
また最初は車の知識も全然無く、イツキが欲しい欲しいと騒ぐ「ハチロク」が自分の運転している車のことだということに気づかず(「トレノ」としか思っていなかった)、それどころかメーカーをマツダ(ハチロクはトヨタのクルマである)と間違える有様だった。メカニズムの面でも当初は「LSDってなんだ、知らねーよそんなの!(イツキのハチゴー初試乗でのセリフ)」と言うほどの素人であったが、渉に「 おまえには走り屋として大事なものがポッカリ欠けてるぜ!! 」と自身の知識不足を指摘されたことで気づき、これがプロジェクトD加入へ背中を押すこととなる。加入後は涼介や松本の元で知識を蓄え、ボルトオンターボでチューニングされたイツキのハチゴーの助手席だけで「ダンパーがちゃんと動いてない気がする、これだけパワーが出てるんだったらもうちょっとしなやかにストロークさせないと」と欠点をズバリと言い当て、スピードスターズの面々を驚愕させた。また涼介の「なるべく色々な感想を言うように」という教えの元でセットアップの才能を開花させていった。
高橋兄弟のような追っかけがいる描写は見られないが、彼自身もイケメンの部類ではあり、沙雪から気に入られ可愛がられたり、クラスの女子から「かっこいい男子No.2」に選ばれたほどの顔。佐藤真子曰く「癒し系の顔」。恋愛に積極的だがまるでモテないイツキからは嫉妬されることも。
ただし、本人は鈍感な上に奥手。ただし作中では2人も彼女が出来ている。また涼介の顔を見て赤面したこともあった。
第一部終盤で同級生の茂木なつきと付き合っていた時はほぼ完全に振り回されていたが、第二部中盤でニセモノ事件をきっかけに交際が始まった上原美佳に対しては明らかに積極的になっており、成長が窺える。美佳はそこそこ知名度があるゴルファーで、互いに世界を目指すことでシンパシーを感じてもいるようだったのだが…(後述)
一方で父親の影響から、中年男性に対するコンプレックスがある。城島との対決では「モヤモヤとまとわりつく」圧力を感じ「インプレッサころがしてるどっかのクソおやじ(=文太)とイヤんなるくらいそっくりなんだよな...」と吐露した。また、ゲーム版ではプレイヤーの車がインプレッサだと、やや険しい顔になるなど苦手意識があるようである。
普段はぼんやりした性格で気力に乏しいが、一度決めた事は曲げないといった父親譲りの頑固さや負けず嫌いの一面も持っている。序盤の走り屋としての自覚が薄くバトルに乗り気でなかった時期、立花祐一はかつて文太を唆したのと同じ言い方で拓海を挑発し、中里毅とのバトルに向かわせたこともある。
また一度キレると何をやらかすかわからないタイプで、
- 高校時代には当初サッカー部に所属していたが、先輩・御木が当時部のマネージャーをしていたなつきに手を出し、そのことを他の部員に自慢していることに腹を立て、自分の拳の骨が折れるほど殴り倒して退部となった。
- イツキがハチロクと間違えて買ったハチゴーをナイトキッズの下っ端に大笑いされ激怒し、ハチゴーを運転して2台を得意の溝落としでブチ抜く(その前にイツキを大笑いした池谷と健二のことも睨みつけていた)。
- 慎吾とのガムテープデスマッチでは、自分とバトルさせるために直ったばかりの池谷のシルビアを故意にぶつけてスピンさせ危うく事故らせようとし、さらにアニメ版ではデート帰りのイツキにバトルを仕掛け、イツキを事故らせて病院送りにした時には普段の拓海とは想像もつかない形相で憤慨し、バトル中も故意にぶつけられてスピンさせられたことで完全にブチ切れ、時に土手に乗り上げたり、ガードレールにぶつけながらの猛追を見せたが、怒りすぎて勝利後もぶつけたことを忘れていたほどであった。
- なつきが援助交際をしているのを見て激昂し自暴自棄になり、「行くつもりはない」と言っていたはずの須藤京一とのバトルに、コースの練習も一切せずに突っ込んでいった。
などのエピソードがある。当初は表情の変化も少なく、感情を露にすることはめったになかったが、回が進むにつれて成長したのか内面の熱さや笑顔を見せたりと次第に表情豊かな顔を見せるようになっていく。
また作中では度々天然ボケやある種のサービス精神を発揮しており、史浩からも「大物」と評されている。以下がその例である。
- 先輩である池谷に頼まれ秋名の下りを走った際、わざとハチロクのバンパーをガードレールに接触させ、池谷を失神させる。(しかも池谷の座る助手席側、その時の拓海は頬杖を付きながら運転していた)
- プロジェクトD筑波遠征にて啓介と共に旅館に泊まった際、一人語る啓介をよそに爆睡。
- 寝起きでロフトから降りようとして、ハシゴを滑り落ちる(啓介に大笑いされる)。
- 取っておいた弁当のおかずを啓介に奪われる。
- 「インプレッサとFDで勝負したい」という啓介に対し、酔っ払いながら「インプレッサじゃ速すぎて勝負にならないれすよ」と煽る。
ハチロクにサンキュー
ここから最終盤ネタバレ注意!
拓海のハチロクは乾信司とのバトルで最終的にはエンジンブロー。
最初にエンジンブローした時と違い、今回は車体自体にも限界が来ておりプロジェクトDの解散を機に廃車、インプレッサで配達をしいつものように秋名山を走っている場面で物語に幕を下ろすという寂しいものだった。
TVアニメ版では流れが異なり廃車にはせず地道に修理していくので残しておきたいと文太に懇願。文太に「この車はもう限界だぜ」と言われるも「バトルとかで使うのではなく、ただこいつ(ハチロク)と一緒にいたいだけ」と純粋に「相棒」として一緒にいたいという拓海の願いを聞き入れ手元に残る事が決まり藤原豆腐店の駐車場に停まっている。
そしてエンディング中のラスト、インプレッサで配達帰りの秋名山を下っているときにオレンジの86(ZN6前期型)とすれ違っているが、この時の86のナンバーは「86-239(ハチロクにサンキュー)」であった…
こうして、拓海とハチロクの公道最速伝説の物語は幕を閉じた。
MFゴースト
事実上の続編となる「MFゴースト」においても存在が示唆されており、その後の拓海の様子が史浩達の会話中で語られている。
20歳でイギリスに渡り、現地のラリー競技に参戦。とりわけ舗装路(ターマック)で無類の強さを発揮し、3年目にしてタイトルを奪取。現地人から「フライング・ジャン(空飛ぶ日本人)」とまで評された。
その後トヨタとのプロ契約を結び、世界ラリー選手権にフル参戦。プロとしての道を歩み始めた矢先に、テスト走行中によるマシントラブルが原因で谷底に転落、後遺症が残るほどの大怪我を負ってしまう。
これによりプロとしてのキャリアを絶たれてしまった拓海は一時消息を絶つが、レーシングスクール「RDRS」の講師に転身し次世代レーサーの人材育成に挑む。
生徒達への教訓は、漠然としているが確信をついた重みのあるものを授け、それを生徒達が自分で考え・悩み、解答へ導き出すように促す内容となっている。
中でも当時、生徒だったカナタ・リヴィントンに己の技術と知識を注ぎ込んで、鍛え上げ『馬力が高いマシンを求めてはダメだ、相手よりも馬力の低いマシンを求めて挑め』という教訓の一つを授けた。
事故の件やプロD時代のことは度々言及されるにもかかわらず、長らく近況が不明だったのだが…
第119話にてついに渉の口から語られたところによると、普段の態度はかつてとあまり変わらないらしい。
そして何より、一年前にイギリスにて「リハビリ中の拓海を支えていた」「埼玉出身で日本ツアーに出ていたことのあるゴルファー」と結婚していたことが判明。(作中世界での)相手の知名度を考慮するとして名前の言及は避けられたが、プロフィールからしてほぼ間違いなく上原美佳の事であろう。ここまで言っておいてまさかプロフィールの似た別人などということはあるまい…
ここで気になるのが、「日本ツアー」としか言われなかったこと。(美佳であるという前提で)5th Stage時点では彼女も世界進出を目指していたのは先に述べたとおりである。その上で渉の発言を考慮すると、拓海のリハビリを優先した…すなわち、夢を絶たれた恋人の道連れを選んだ可能性が非常に高いと言える。
他作品のある人物の言葉を借りれば、カップル(夫婦)揃って呪いの道に進んでしまったというのか…
ちなみに、頭文字Dの舞台となる年代は199X年、MFゴーストの舞台となる年代が202Xなので、仮に頭文字Dを1999年、MFゴーストを2020年と最短で考えても、拓海は40歳、美佳は39歳で結婚というかなりの晩婚ということになる。
その後も未だに拓海本人は姿を見せていないが、美佳の方は「藤原美佳」名義で登場を果たしている。
余談
声優関連
拓海役のオリジナルキャストである三木眞一郎は実際に藤原豆腐店仕様のハチロクトレノを所有しているが、これは元々は頭文字D第一期放送中に購入した前期型トレノGTVを京都府にあるAE86専門店カーランドの企画により状態の比較的良い後期型レビンとのニコイチでレストアされたもの(当初は藤原とうふ店(自家用)ステッカーも貼られていた)。
その後も原作の進行での仕様変更に合わせてチューニングが施されている。
なお、三木は以前よりカーランドのCMのナレーションをしており、アニマックスで頭文字Dシリーズが再放送される際に高確率で放送されていた。
新劇場版ではキャストが三木から宮野真守に変更されたが、最終章の『Legend3-夢現-』にて86に乗る謎の男が登場。この男を演じているのが三木であり、目元辺りは隠されているが拓海に似た容姿で、ナンバーも「群馬355 お 3-954」など、TVアニメ版の拓海を彷彿とさせるキャラであった。なお、86発売記念に作者が描き下ろした拓海が86を運転しているイラストが存在する。『頭文字D Final Stage』最終回に登場したものも含め、これらの86は全車オレンジメタリックである。
後述の実写版で拓海役のジェイ・チョウの吹き替えを担当した野島健児は、映画公開より約7年前にTVアニメ版First StageのACT.1に出演しており、役名無しの脇役(主にスピードスターズのモブキャラなど)を演じていた。
頭文字Dの続編であるMFゴーストでは拓海の直接登場していないものの、ナレーターとして三木が登板している(拓海が喋るシーンが無いため出演が決まった際に三木は「MFゴーストに出られるとは思われなかった」と語ってる)。
その他、三木はデアゴスティーニのAE86トレノのCMやアプリゲーム「ザ・峠 ~DRIFT KING 1980~」のPVのナレーションをするなど、頭文字D以外の各種メディアでもハチロクトレノに関連するものであれば起用されるケースも多い(ザ・峠に関してはPV映像を制作したスタジオにTVアニメ版頭文字DのCG班がいると思われ、全く関係ない訳でも無い)。
実写版
実写版では性格自体は原作と大きく異なる部分は少ないがイツキと殴り合いをしたり文太からは暴行を受けていたりと、原作ではありえない設定が幾つか見られた。特徴だったのは樹とドライブした時に南葛SCの10番のユニフォームを着ていたこと。現実ではレプリカユニフォームを着ていたり、誰かのコスプレで運転することはあるがフィクションでは権利の問題で難しい、ということを考えるとスタッフの遊び心だといえる。
MFゴースト関連
トヨタのWRC復帰が現実と同じく2017年からなので、本編から3年後(遅くとも2005年ごろ)に英国選手権を制覇してから10年以上間があるが、その間の経歴は不明。順当に考えればERC(欧州選手権)やWRCの直下カテゴリーであるWRC2を経験しているはずである。
トヨタのワークスドライバーになった(なりかけた)経緯を考えると、豊田章男(MFG連載開始時のトヨタ社長。現会長)やトミ・マキネン(MFG連載開始時のTGR-WRTチーム代表、現モータースポーツアドバイザー)、勝田貴元やオィット・タナック(MFG連載開始時の所属ドライバー、現ヒュンダイ)らと肩を並べる未来もあったのかもしれない。
ちなみに90年代末期に18歳なので、セバスチャン・オジェらと歳が近いことになる。
また、アニメ版ではカナタのアカデミーでの回想中、S2000に搭乗している描写があるが、これがアカデミーの試験用車両なのか拓海の自家用車かは不明。