CV:阿部敦
概要
神奈川三大勢力「サイドワインダー」の北条豪がダウンヒル担当ドライバーとして呼び寄せた18歳の少年。
死別した父の遺品であるAE86スプリンタートレノ(後期2ドア)に乗車している。
温和な性格を始めとし拓海に似た経歴をいくつか持つ。
学業成績は芳しくないが、知能指数と空間認識能力はずば抜けて高い。また、見かけによらず豪胆な性格で、悪気はなくとも車を平然とぶつけるなど荒々しい走り方をする。
小学4年生の頃に疲労を押して自分を学校に送迎する母を見かねて下り限定でハンドルを握るようになった。
独特のリズムがあり、ノンブレーキ走法が原点となっているとされている。その為スピードのある走りができるのかもしれない。
この走りは助手席に眠る母親を起こさないようにという彼の優しさの表れで、横Gの移動を感じさせない為、本当に助手席で眠ってしまうと母も言っている。
同時に「どれだけブレーキをかけずに走れるか」というゲーム感覚も持ち合わせている。
ただし、あくまでコースに特化した走りである為、他所のコースでは平凡なドライバーだろうとも評されている。また、当人は技術以前に速さを競うモータースポーツの面白さが理解できないため、モチベーションの低さが唯一の欠点である。
走行中のクルマを見るだけでドライバーの実力や感情の変化を察知できる特殊な能力を持ち、チームスパイラル戦では啓介のFDを「黄色い火の玉」と喩え、拓海のハチロクには「白い翼」を見たと発言する。
母にせっつかれバトル会場に赴くものの、今だ迷いを断ち切れずギャラリーとして北条豪と高橋啓介のバトルを観戦する。そこで知り合った佐藤真子と沙雪との会話を経て心を動かされ、激走を繰り広げる豪と啓介の姿を見て「走りを通してヒーローになってみたい」という願望を抱き、ついに出走を決意する。
余裕を持った独特のリズムで先行して拓海を苦しめるが、以前に見た「白い翼」をもう一度この目で見たいという思いから、突然ハザードを点灯して進路を譲り、拓海を前に出すという常軌を逸した行動に出る。拓海は混乱から走りの精彩を欠き、信司は「白い翼」を見ることができずに失望、真子と沙雪が見ている目前で拓海のハチロクに接触しながら抜き返しを図り、見事成功させた。
その後、再び先行のままバトルを続けるも、意図せず走行ラインが乱されると本来の走りができなくなるという弱点を拓海に見抜かれ、ブラインドアタックで抜かされる。その際に拓海のハチロクから「白い翼」が生えるのを見る。
終盤では、走り方の違いから拓海のハチロクのタイヤが苦しくなり、コーナーへの突っ込みが甘くなっているのを見抜き、再度インからハチロクに接触しながら抜き返し、その後拓海に並走されると、お互いガードレールや標識、車体同士に接触しながらのバトルを繰り広げる。
最後はゴール直前にブラインドアタックを駆使して抜き返した拓海のハチロクがエンジンブローを起こしスピン。窮地に直面したことのない信司は判断が遅れ、接触を回避しようと自らのハチロクもスピンし、体勢を立て直そうと360度ターンさせるも大きく失速。
拓海のハチロクは180度スピンした直後クラッチを切り、惰性でバック走行してゴールラインを駆け抜け、信司の敗北という結果となった。
信司は天性の才能とホームコースに特化した圧倒的な走り込み経験を武器とし、それを理解した者から専用チューンの車を与えられた、言ってしまえば第一部前半での「拓海」そのままなキャラである。拓海より走行歴が長く、サイドワインダーに所属しているためドラテクは第一部の拓海を上回るものの、同等の実力を持つ他者と競り合った経験が無いという弱点は同じであり、最終的にそれが勝負の分かれ目になった。
愛車の詳細は明かされていないが、レース用エンジンと高橋涼介のトータルチューンで武装した拓海のハチロクと互角に勝負できたことから、それなりに高度なチューニングが施されていると思われる。尚、エンジンは16バルブ仕様のままであることが確認できる。
藤原拓海との比較
案件 | 拓海の場合 | 信司の場合 |
家庭環境 | 父子家庭 | 母子家庭 |
マシン | 84年式AE86トレノ(3ドア式・前期型) | 85年式AE86トレノ(2ドア式・後期型) |
車を操るようになった時期 | 中学1年生 | 小学4年生 |
ハンドルを握ったきっかけ | 豆腐配達の手伝い | 母への労わり |
父 | 元ラリースト・豆腐屋店主、健在 | ラリースト・事故により他界 |
担当部門 | ダウンヒル | ダウンヒル |
レーサーの技量 | 全域的 | 局地的 |
主な走法 | 溝落とし | ノンブレーキ走法 |
など、いくつか拓海と似通っている部分・対となる部分が存在している。
余談
- ファンからは、『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジが元ネタではないかと言われている。名前が似ているだけでなく、独白的な心理描写が多いことや、「逃げ出したい」と怖気づきながらも自らを奮い立たせるといった共通点がある。
- 拓海をはじめとした他のドライバーがブレーキを残しながらコーナーに進入、コーナー前半は減速し後半は加速するのに対し、信司はコーナーの入口までに減速を終わらせ、入口から出口まで速度変化をさせずに旋回している。モータースポーツの世界ではこの走りの違いを「日本式と欧州式」または「和式と洋式」として紹介されることもあり(参照)、旋回時に速度を一定に保つアクセル操作は「バランススロットル」と呼ばれている。