「今度の犠牲者は誰になるんだ? 教えてくれよ……《八神先生》」
CV・モデル:谷原章介
概要
『JUDGE EYES』に登場する神室署組織犯罪対策課の警部。常に捜査の陣頭指揮を執り、署内でも高い検挙率を誇るエリートで人望も厚く、本庁の幹部からも強く信頼されており、その上男前と同じ神室署の刑事・綾部和也曰く「隙が全く無い完璧人間」で、事実彼の汚職も既に見通している。
また、関西共礼会組員連続殺人事件の犯人として自身が逮捕した松金組若頭・羽村京平を、主人公・八神隆之によって無罪にされてしまいメンツを潰されたため、彼を目の敵にしている。
余談
- 演じる谷原氏は『龍が如く』シリーズのプレイヤーでもあり、オファーをもらって嬉しかったと語っている。
- また、モデリングをする際にダイエットしてからモデリングに望んだが、「顔だけでOK」と言われ「2週間前に言ってほしかった」と冗談めかして言っている。
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ネタバレ注意
ゲームクリアした後で閲覧することを推奨します。
八神「お前は親っさんを殺した……このまま逃げ切れると思うな!!」
「お前もなぁ!!」
彼こそが今回の一連の事件の犯人である、殺し屋「モグラ」であり、本作におけるラスボス。
元々黒岩は綾部と同じような立場の情報屋、即ち警察の情報を外部に横流しする汚職警官であった。当初は裏の世界との繋がりは無かったようだが、作中の20年程前に悪徳警官であった上司が悪事を密告されて飛び降り自殺して居なくなると、その地盤を引き継ぎ前任者の取引相手であった羽村と組むことに。
最初の頃は情報屋らしく拳銃や情報の横流しをする程度だったが、どうやら裏の世界で生きる才能があったらしく、どんどん依頼が増えていったことで最終的には殺人の依頼すら請け負うようになった。この頃になると羽村もすっかり黒岩には頭が上がらなくなり、後述の卓越した実力から決して裏切ってはいけない相手と恐れられるようになる(綾部曰く自殺した上司を密告した同僚の刑事も自殺したらしいが現場の状況から他殺であった可能性があり、羽村と組む前から殺人を犯していた可能性が示唆されている)。
戦闘能力は警官の範疇を逸脱したもので、二人がかりで挑んだ海藤正治と東徹をたやすく叩きのめし、武装した複数人の松金組組員をたった一人で射殺、仕向けられた刺客や終盤に駆け付けた警官隊も返り討ちにするなど銃の腕前も格闘技術も常人離れしている。
当然、単なる戦闘要員としてだけではなく殺し屋としても優秀な腕前を持ち、被害者を昏睡状態に陥らせ口を封じた状態にしつつ一定の期間を置いて死に至らしめる傷を負わせることで、警察に計画的な殺人と見破られないように偽装して殺害できるほど暴力に知悉している。
そこで今作の黒幕である創薬センター研究員・生野洋司、厚生労働省事務次官・一ノ瀬薫と結託して、今作のキーワードである認知症治療薬「アドデック9」の人体実験に関係する「眼球くり抜き連続殺人事件」を引き起こすが、警察官としての立場もあって共礼会組員・久米敏郎殺害の一件では協力者の羽村を逮捕する。
その後は羽村を無罪にされたことで証拠集めに協力した八神を目障りな存在として目をつけ、初めて相対した際には意趣返しと言わんばかりに三年前の事件を引き合いに上記の皮肉を吐き、その後も連続殺人事件を追い続ける八神の行動を見透かしているかのような、意味深な態度をとっていた。
またこの頃、真相に近づこうとした源田法律事務所の弁護士・新谷正道を手に掛けているが、まだ尻尾は出さずに八神の前ではあくまで警察側の権力者として振る舞っていた。
終盤
Chapter11「バックステージ」にて、モグラに繋がる情報を得るために八神が羽村を追い続け、ついに羽村の身柄を押さえて共礼会に引き渡すと、共礼会の殲滅と羽村の口封じを目論み、彼もついに表舞台に登場する。
共礼会のアジトが松金組の放火で炎上する最中、松金組と共礼会の戦闘が膠着状態になったのを見計らって全身黒のレインコート姿で登場し、松金組を蹴散らして羽村を銃撃しようとするも、組長の松金貢が羽村を庇ったことで初撃を外し、さらに火事による建物の崩落で分断されてしまい羽村の始末に失敗する。
この時点では羽村は厚生労働省との繋がりやモグラの所業など様々な情報を吐いていたもののモグラの正体が誰であるかまでは喋っていなかったのだが、親として慕っていた松金組長を殺されたこと、自身が口封じされる立場に回ってしまったこと等から黒岩と決別を決め、モグラの正体が黒岩である事を八神に教える。
八神が火事から脱出した後は、あたかも火事の現場に駆け付けたばかりの警察を装って現場に刑事として姿を現し、八神を火事の重要参考人として連行する。
取調室では八神にモグラの正体について問い詰められるが、正体を誤魔化すどころかアドデック9の利権で自身が守られている事を理由に彼に対して傲岸不遜な態度で接した。
その後は元々の相棒である羽村を失っても、生野や一ノ瀬などアドデック9の利権に関わる人物の手駒として暗躍を続ける。
八神が創薬センター長・木戸隆介を拉致・尋問して得た情報を基に、廃墟となった神室町のラブホテルの中にある生野の秘密ラボを突き止めた時は、アドデック9の利権に絡んでいた森田邦彦検事正が秘密ラボにある証拠を握りつぶしていた裏で、単身で木戸を救出している。木戸は海藤と東の2人が見張っていたのだが、2対1にもかかわらずこの2人を叩きのめしている。
この時、黒岩は既に八神たちには正体を知られていると分かっているからか、素顔のままで登場している。
さらにFinal Chapter「トカゲの尻尾」では、裁判の直前に裁判での綾部の心証を悪くするため綾部の裏カジノに摘発をかける。
カジノに駆けつけた八神が森田検事正を説得しようとするもそれを妨害。八神と戦闘になるが敗北、激昂して八神に銃を向けるも、「もみ消すにも限度がある」という森田の制止によりここでの発砲は思いとどまり、そのまま立ち去る。
八神らの調査は全て潰し、ダメ押しに綾部への悪印象も上乗せし、裁判には万全の体制で挑むと思われたが、泉田圭吾検事が上司である森田の立場に反して八神に協力した上、失踪していた羽村が姿を現し八神に証拠を提供、自らも証人に立つ事を決めたために事態が急転。
泉田検事に誘い出されて一ノ瀬が検察側証人として裁判に出る事を承諾してしまう。
そこで裁判上で羽村が提供した「新谷弁護士殺害指示の音声データ」を公開され、捏造だと抵抗するも音声の本人である羽村が証人として登場。ヤクザや「モグラ」との繋がりを暴かれ追い詰められてしまう。
後がなくなった一ノ瀬は、せめて黒岩には証言をさせまいとアイコンタクトで傍聴席の部下に指示を出し、口封じの刺客を差し向ける。黒岩は「トカゲの尻尾」として切り捨てられたのである。
その指示通りに神室町を歩いている時にチンピラに襲われているが、その後の様子からして難なく返り討ちにしたものと思われる。
自身に刺客が向けられたことで一ノ瀬の窮状を悟ったのか、事情を知らない部下の警官を引き連れて創薬センターに向かう。
創薬センターでは追いかけてきた八神に対して部下の警官をけしかけ妨害し、その隙に生野の確保を目論む。
センター内では警備員や研究員などを次々と殺害し、渡り廊下で追いつかれそうになった際は廊下ごと爆破して妨害するなど常軌を逸した様子で生野のいる場所へ向かう。
八神がかろうじて追いつくと黒岩は生野の背後に銃を突きつけた状態で現れる。八神はこれを「逮捕確実の身となったために生野に復讐しようとしている」と見たが黒岩はそれを否定、「生野には生きていてもらう」と発言。
八神がその意味を理解できないでいる所に警官が駆け付け、「生野に銃を突き付けている黒いレインコートの男」に銃を向けるが、黒岩は躊躇なく警官に向け発砲(上記の廊下爆破の時点までは刑事のスーツ姿だったが、どこかで着替えたのか生野を確保した時は黒のレインコート姿だった)。
その隙に逃げた生野とそれを助けた杉浦文也にも銃弾を浴びせ、八神も始末するためにそれを追う。
姿を現した八神に「もう終わりだ」と突き付けられるも黒岩はそれを認めない。一連の闇を全て暴かれている上、センター内で大勢の人間を殺害しているにもかかわらず、「アドデック9さえ完成すれば俺は終わらない」と繰り返し、八神にも「正気じゃねえ」と呆れられてしまう。
そのまま弾が切れた拳銃を投げ捨て、八神との最終決戦に挑む。
八神に敗北して倒れた黒岩は、黒岩の疑惑(そしてセンター内での警官の殺害)に気づいた部下の警官たちに包囲されてしまう。そこに肩を撃たれて部屋の隅に隠れていたはずの生野が現れると、人質に取るつもりだったのか、それとも完全に正気を失って錯乱していたのかは不明だが、彼の姿を見た黒岩は隠し持っていた刃物で生野に襲い掛かる。
一度は海藤が投げつけたソファーに直撃するが、それでもしぶとく生野に接近したため、止む無しと判断した警官隊の一斉射撃を浴びてついに倒れ伏した。
虫の息で生野に「これで実験ごっこも終わりだな」と投げかけるが、これに対し生野は「アドデッグ9は完成した」と宣言。生野はそれを証明するため、アドデッグ9を自らに投与するも結果は変わらず、絶叫と共にアドデック9の副作用を発症。そんな彼の顔を見た黒岩は最期に「そういうことか…」と言い残して息絶えた。
木戸の証言によると、アドデック9は人間に投与すると、激しい頭痛と共にそれを引き起こすアドデック9由来の毒素が眼球内に蓄積し、眼球が真っ青に染まった状態で絶命する。つまりアドデック9の副作用で死亡した人物は、誰がどう見ても明らかな状態の物証を残すため、人体実験ではその物証を消すために被害者の死体から眼球が抉られていた。
黒岩はヤクザ達の拉致こそしたものの殺害までは行っておらず、眼球をえぐり出していたのは他ならぬ生野自身だった(それゆえ彼も目を抉っていた「モグラ」の一人だったと言える)。
黒岩は死体処理を任されていながら「何故自分が拉致した被害者の死体が全員目が抉られているのか?」や、アドデック9には致命的な副作用があると聞いてはいたが「具体的にどんな副作用なのか?」を知らなかった。
それを、今際の際に生野の眼を見たことで全て悟り、事切れた。
評価
直近の『龍が如く』シリーズのラスボスは、因縁が薄く伏線が少なかった『5』の相沢聖人や、卑劣で命乞いも辞さない『6』の巌見恒雄等、ラスボスとしての奇縁にやや欠ける者が続いていた。
対して、本作のラスボスである黒岩は他者を容赦無く殺害する冷酷さと戦闘技術を始めとした実力と、劇中で主人公の元同僚であり兄弟子でもある新谷、主人公の父親的存在の松金組長を殺害と因縁の深さも持ち合わせており、ラスボスとしての奇縁が十二分に描かれていた。
演じる谷原氏の演技もあり、OPでの扱いや作中でいい意味でも悪い意味でも醜態を見せなかった事も拍車を掛けている。
事実「彼がモグラである」という証拠は文字通り毛筋一本残しておらず、公的に彼の正体がバレた創薬センターへのカチコミも、一ノ瀬達の身内斬りによって姿を隠せなくなったため、生野を人質に取るための破れかぶれの苦肉の策としての行いであり、元を辿れば雇い主側の不手際である。
最後の最後まで彼本人に羽村を殺し損ねた以外一切の失点がないのは文字通り「隙の全くない完璧な殺し屋」と称して問題ないであろう。
しかしながらその一方で、本作に登場する悪人たちの中で彼だけが手を染めた悪事の大きさに見合うような理由が語られていないという特徴がある。
生野や森田検事正はアルツハイマー病患者の介護の現場及びそれに由来する辛く重い事件を目の当たりにし、アルツハイマーから人々を救うという強い使命感を抱いているが故の歪みが見える。
一ノ瀬や木戸は単なる金や名誉及びその保身だが、指示を出すだけで直接手を下さない上の立場の人間特有のものと解釈できる。
しかし、黒岩は直接手を下す実行者でありながら、金以外の目的が見当たらない。
上司の地盤を引き継いで羽村と繋がり悪徳刑事の仕事を始めた頃はそうだったかも知れないが、それが殺し屋にまでエスカレートしても金以外の理由が新たに描写される事は無く、殺意と狂気のみに従って暴走するモンスターのような描かれ方をしている。
実際、「高検挙率を誇り周囲からの信頼も厚い豪腕刑事」と「自ら裏社会に営業をかけてまで殺人稼業を請け負う極悪の殺し屋」の二重生活をなぜ彼が求めたのかという動機は描かれずに物語は完結した。
本作のPVには「あらゆる人の心に潜む“闇”が すべての光を閉ざしてゆく」というフレーズが登場しているが、このあらゆる人の心に潜む“闇”が具現化し、擬人化したのが黒岩という人物なのかもしれない。
ちなみに殺人に関する描写や言及だけでも本作どころか『龍が如く』シリーズを含め個人のキルスコアとしては最多最大である。
そして疑惑も含めればさらに増えるというブッとび具合である。これで証拠を一切残していないのだから恐ろしいことこの上ない。
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Penumbra(戦闘曲)
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悪徳警官 殺し屋 シリアルキラー こいつおまわりさんです ラスボス(龍が如く)
相馬和樹…次回作に登場する実際の俳優の顔がモデリングされているボス繋がり。更に、物語を進めてゆくと彼等にはある共通点がある事が分かってくる。