概要
組織犯罪対策部は、警視庁に設置される部のひとつである。その名の通り、組織、特に暴力団や半グレなどの反社会的組織による犯罪である「組織犯罪」の捜査を主とする。
いわゆる『マル暴』と呼ばれる刑事たちが所属する部である。
銃器や薬物の押収、不法就労者や外国人犯罪などの摘発、違法風俗店の手入れなども行なっているが、これも付帯して暴力団などの犯罪をしのぎとする組織が関与していることが多いためだ。
元来、警視庁では銃器・薬物事犯は保安部(現・生活安全部)内の銃器対策課、薬物対策課が担当。
暴力団などの組織犯罪は、刑事部内の捜査第四課、暴力団対策課が担当していた。
しかし、組織犯罪が多発することから、平成15年(2003年)に部として独立させることとなった。これが現在の組織犯罪対策部である。
名称こそ異なるものの、福岡県警では暴力団対策部(暴対部)として、警視庁同様、刑事部とは別個の部として独立した体制を取っている。
(警視庁の部長の階級は警視長、福岡県警の部長の階級は警視正である。)
また、刑事部の隷下ではあるものの———
———として、部局を設ける警察本部もある。
この場合、本部長・局長には、各警察本部採用のノンキャリア(叩き上げ)警視正が着任することが通例である。
大阪府警などを除き、基本的に上位組織である刑事部長の指揮下に入るものの、階級上では刑事部長と同格の警視正であることや、俸給(給与)表では刑事部長と同俸ないし1級下であることが多い。
このことから、実質的な部長級ポストないし、部参事官級ポストと見ることができる。
部や本部、局として独立させていない警察本部においては、刑事部・捜査第四課や、暴力団対策課、組織犯罪対策課などの名称で課として設置している。
編成
腕章には、臙脂色地に各課の名称と『組織犯罪対策』の英称"Organized crime control"が記されている。
(ドラマ相棒や、映画アウトレイジ最終章では、小道具でも再現されている。)
警視庁では、令和4年(2022年)に『外部から活動内容がわからないため』と、組対部内各課の名称変更が行なわれた。
(刑事部や公安部を除いた各部では、課の名称からおよその活動内容が掴めるものとなっている。)
- 組織犯罪対策総務課
- 組織犯罪対策の運営、予算、部警察官への実務教養などを担当。
- 附置機関が課として独立したほかは分掌業務の変更はなく、名称も唯一変更されていない。
- 【組対総務課の附置機関】
- 警視庁組織犯罪対策情報分析室
- 〈執行隊〉
- 組織犯罪対策特別捜査隊
- 【組対総務課の附置機関】
- 犯罪収益対策課
- クレジットカードの不正使用や、マネーロンダリングの捜査を担当。
- かつての組対総務課の附置機関『マネー・ローンダリング対策室』を増強したもの。近年、多発する犯罪収益の国内外問わずの移転や、インターネット上での資金のやり取り、振り込め詐欺の摘発など、重要度が増している。
- 国際犯罪対策課
- 国際犯罪組織の捜査、国際捜査共助、在日米軍関係者、国際航空路線機内における犯罪、不法就労者の捜査を担当。
- かつての組対一課(国際犯罪捜査担当)と、組対二課(国際捜査共助、在日米軍関係者・国際線機内犯罪・不法就労者捜査担当)を合併したもの。
- 暴力団対策課
- 暴排条例違反に係る行政命令、関係者の保護、情報収集、相談受理、離脱(足抜け)、暴力団犯罪の捜査などを担当する。
- かつての組対三課(暴排条例違反や相談を担当)と、組対四課(情報収集や捜査を担当)が合併したもの。フジテレビにて報道もなされたが、捜査員らの間では「せめて、伝統ある四課の名前だけは残したかった」と惜しむ声が聞かれたという。
- 薬物銃器対策課
- 薬物事犯、銃器事犯の捜査・対策にあたる。組織改変前と比べ、薬物対策部門が増強されたり、インターネットでの薬物対策の部署を設置したりと、近年広まりを見せる薬物事犯への対策を重視していることが窺える。
- かつての名称は組対五課。名称変更のほか、上記したように薬物事犯関連の捜査体制が強化されるなど、課内での組織改変がなされた。
※なお、余談だが…ドラマ相棒にて特命係のコーヒーを我が物顔で飲んでゆきつつ、お駄賃がわりに重大情報を残してゆくメガネをかけた警視が率いるのもこの課である。おそらく、最新のシーズン21においては、名称変更がなされるものと思われる。
関連タグ
ダブルフェイス(ドラマ):神奈川県警察・組織犯罪対策本部に所属する潜入捜査員と、潜入する暴力団のスパイを描いたドラマ。原作は香港映画インファナル・アフェア。