概要
警務部は、各警察本部に必置の部である。総務部(警察)の置かれていない中小規模警察本部においては、総務部の分掌業務も所掌する。
もっぱら、人事や会計、教養、監察など、警察内部の業務を取り扱う。幹部クラス(警部や警視以上)へ出世するためには、管理部門である警務畑での勤務経験が必然的に重視される。
必置の部
日本の警察では、各都道府県毎に管轄する警察本部が設けられている。(警察法第47条)
警察本部には、管轄する都道府県によって規模が異なるほか、警察法においても区別されている。
このうち以下は、警察法の条文内においても、権限や規模等々で、他警察本部と区別されている。
一例としては以下。
- 都警察の本部を警視庁と呼ぶのに対し、道府県の警察本部は道府県警察本部と呼ぶ。警察法第47条
- 都警察の本部長を警視総監と呼ぶのに対し、道府県警察本部の本部長は本部長と呼ぶ。警察法第48条
- 北海道内を5つ以内の方面に分け、それぞれに方面本部を設け、方面本部長を置く規定。警察法第51条
警察本部は、下記の4つに大別できる。
さらに、その他の警察本部でも、人員規模により中規模警察本部と小規模警察本部とに区分することがある。
警察本部内には、業務内容に応じて様々な部が設けられるが、警察本部の規模に応じて設置される部と、規模によらずとも設置される(必置)部がある。
- 必置の部は、警務部(本項)・刑事部・警備部・生活安全部・交通部の5つ。
- 警察本部によって設置される部は、地域部・総務部(警察)・組織犯罪対策部(本部によって名称は異なる)・公安部(警視庁のみ)が挙げられる。
編成
警視庁において、警務部長はキャリア警視監が着任する。このポストに着任するのは、入庁年次が同じ同期間での厳しい競争に勝ち抜いたエース級のキャリア警察官であることがほとんど。
将来の副総監、警視総監、警察庁長官など、『上がり』ともいえるポストへ向け、重要人物が着任することが多い。
各警察本部では、警察庁出向のキャリア警視正が警務部長に着任し、警察本部長であるキャリア警視長を補佐することが通例である。
- 人事第一課
- 警部・警視以上の警察官の人事を担当。このほか、警察官の表彰や退職警察官の叙勲、さらには内務調査を担当し"警察の中の警察"として畏怖される監察官も、この人事第一課に属している。
- 警視庁制度企画室
- 訟務課
- 訟務を担当。
- 給与課
- 給与支給、公務災害補償を担当。
- 厚生課
- 福利厚生や待機寮を担当。公務災害により警察官が殉職した場合、ご遺族の意思にもよるが、警察事務職員への採用や関係団体(退職警察官の雇用を受け入れる企業等)への紹介なども行なう。
- 警視庁職員相談センター
- 教養課
- 教養を担当。
- 警視庁拳銃指導室
- 警視庁通訳センター
- 【附置機関】
- 警視庁健康管理本部:職員の保健衛生や、警察嘱託医・嘱託看護師との連絡調整を担う。あさま山荘事件などのような大規模警備事案や、災害に際しては救護所の運営も行なう。ちなみに、健康管理本部では、課ではなく科と呼称する。