概要
略して「政令市」、「指定都市」とも呼ばれる。
総務省は政令指定都市を「大都市」と定義している。
その歴史は古く戦前まで遡る。
1922年に国から指定された六大都市(東京市・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市)は強い自治権を有し、区制施行を認められていた。
後に特別区に再編された東京を除き、1956年に横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市の5市が政令指定都市に移行した。後に指定都市は増え、現在では全国で20市が指定されている(詳細は下記)。
条件
市が政令指定都市に移行するためには、人口( 法定人口 )が最小50万人が最低条件とされる。
しかし実際のところは、「人口100万人以上、もしくは近い将来人口100万人を超える見込みのある市」でないと国から認可が下りないとされる。
だが平成の世は人口減時代。平成の大合併に際して特例が設けられ、「人口70万人以上の市」に要件が引き下げられた。この特例は現在は終了しているが、新たに人口70万人以上の市が登場した場合、政令指定都市に移行できる可能性はある。
実際のところ、特例加入組が100万人を目指すならばさらに合併しないと無理ゲーである。
しかし政令指定都市に移行した場合、市が担当する業務が増え、区役所を設置することになるため、行政組織の大規模な改革を行う必要がある。
そのため、人口70万人を割ってもわざわざ指定が解かれることはない。
他の市との違い
普通の「市」との違いとして、市の区域内に「行政区」( 区役所 )を設置できる。
ただし、この「行政区」は行政上の自治権を認められておらず、あくまで市の出先機関と考えたほうがいい。市に匹敵する自治権を持つ東京の「特別区」と全く異なる制度なので注意すること。
政令指定都市は多くの権限を都道府県から移譲されており、保険衛生や福祉、都市計画など多くの業務を都道府県に依らず、独自で処理することができる。つまり政令指定都市が誕生すると、そこの都道府県は担当業務が大きく減ることになる。
政令指定都市の市長は、都道府県知事に匹敵する発言力を有している。
日本国内の政令指定都市20市
北日本から順に記載、各都市の区割りも掲載。市役所がある区は太字とする。
- 札幌市(北海道)
- 中央区、北区、東区、白石区、豊平区、南区、西区、厚別区、手稲区、清田区(10区)
- 仙台市(宮城県)
- 青葉区、宮城野区、若林区、太白区、泉区(5区)
- さいたま市(埼玉県)
- 浦和区、西区、北区、大宮区、見沼区、中央区、桜区、南区、緑区、岩槻区(10区)
- 千葉市(千葉県)
- 中央区、花見川区、稲毛区、若葉区、緑区、美浜区(6区)
- 横浜市(神奈川県)
- 中区、鶴見区、神奈川区、西区、南区、港南区、保土ヶ谷区、旭区、磯子区、金沢区、港北区、緑区、青葉区、都筑区、戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区(18区)
- 川崎市(神奈川県)
- 川崎区、幸区、中原区、高津区、宮前区、多摩区、麻生区(7区)
- 相模原市(神奈川県)
- 中央区、南区、緑区(3区)
- 新潟市(新潟県)
- 中央区、北区、東区、江南区、秋葉区、南区、西区、西蒲区(8区)
- 静岡市(静岡県)
- 葵区、駿河区、清水区(3区)
- 浜松市(静岡県)
- 中央区、浜名区、天竜区(3区)
- 名古屋市(愛知県)
- 中区、千種区、東区、北区、西区、中村区、昭和区、瑞穂区、熱田区、中川区、港区、南区、守山区、緑区、名東区、天白区(16区)
- 京都市(京都府)
- 中京区、北区、上京区、左京区、東山区、下京区、南区、右京区、伏見区、山科区、西京区(11区)
- 大阪市(大阪府)
- 北区、中央区、都島区、福島区、此花区、西区、港区、大正区、天王寺区、浪速区、西淀川区、東淀川区、東成区、生野区、旭区、城東区、阿倍野区、住吉区、東住吉区、西成区、淀川区、鶴見区、住之江区、平野区(24区)
- 堺市(大阪府)
- 堺区、中区、東区、西区、南区、北区、美原区(7区)
- 神戸市(兵庫県)
- 中央区、北区、東灘区、灘区、兵庫区、長田区、須磨区、垂水区、西区(9区)
- 岡山市(岡山県)
- 北区、中区、東区、南区(4区)
- 広島市(広島県)
- 中区、東区、南区、西区、安佐南区、安佐北区、安芸区、佐伯区(8区)
- 北九州市(福岡県)
- 小倉北区、小倉南区、八幡東区、八幡西区、門司区、若松区、戸畑区(7区)
- 福岡市(福岡県)
- 中央区、博多区、南区、東区、西区、城南区、早良区(7区)
- 熊本市(熊本県)
- 中央区、東区、西区、南区、北区(5区)