概要
国家の中にある行政主体。日本の場合は一般的に「地方自治体(地方公共団体)」のことを指す。自治体としての最小単位を「基礎自治体」といい、日本では市町村と特別区がこれにあたる。
複数の基礎自治体が属する自治体を「広域自治体」といい、日本では都道府県がこれにあたる。「郡」や政令指定都市の「区」、北海道の「振興局」は行政主体ではないため自治体ではない。「町内会」や「自治会」などと呼ばれる「地縁団体」は行政組織ではないため自治体とは異なる。
日本以外の自治体
日本以外の国では、地方行政制度は大幅に異なるが、一般的には広域自治体ー基礎自治体という2層構造を基本として、中間自治体や自治権を持たない地方や行政管区などが挟まる。
イタリアを例をとると、「州」と訳されるレジョーネ (Regione) 、「県」と訳されるプロヴィンチャ(Provincia)、基礎自治体であるコムーネ(Comune)の三層構造であり、それぞれに首長と公選制の議会がある。プロヴィンチャには首長とは別に国が任命した官選知事がいる。イタリアのコムーネは人口規模によらず全て同格であるが、日本語に訳される際は「ローマ市」や「バローロ村」のように日本の自治体の規模に合わせて翻訳される。
広域自治体の名称としては、日本語では州の名が当てられることが多いが、連邦国家であるアメリカ合衆国のステート (state) と、単一国家であるイタリアのレジョーネは歴史的経緯や行政上の権限が大きく異なる別物である。
「郡」は日本では自治体ではないが、郡と訳されるアメリカ合衆国のカウンティ(county)は複数の基礎自治体を含み、郡長と郡議会、郡警察などの行政組織を備える自治体であることが多い。ただし、州によってカウンティの権限は大幅に異なり、コネティカット州やロードアイランド州のカウンティは日本の郡と同様実態を持たない地理的な区分に過ぎないが、ハワイ州のカウンティは下位の行政単位がなく、基礎自治体としての機能を持っている。
中華人民共和国の市は基礎自治体ではなく「直轄市」「副省級市」「地級市」「県級市」の区別があり、日本の都府県かそれ以上の規模で、都市部の他、周辺の農村部を含む。基本的には県より市の方が上級自治体であり、市の中に県がある。日本の感覚では中国の市は「都府県」に当たり、中国の県が「郡」に当たると考えたら分かりやすいかもしれない。