概要
警視庁に設けられた架空の部署・特命係に属する主人公・杉下右京と、彼の「相棒」となった刑事の、2人による活躍を描く刑事ドラマ。
2000年代以降の、テレビ朝日・東映制作による刑事ドラマの代表作の一つであり、2000年のシリーズ開始以来、レギュラー化以前のpre seasonも含めて21シーズン(2022年現在まで)が放送されている。また、テレビドラマ以外にも映画、漫画、小説、ゲーム、舞台など、多岐にわたるメディア展開も行われている。
現在でこそ、テレビ朝日系列の水曜21時台の刑事ドラマ枠(水9)の代表的シリーズの一つとして、広く認知されている本作であるが、元々は同系列の2時間ドラマ枠「土曜ワイド劇場」にて放送されていた、単発の2時間ドラマであった。2000年から2001年にかけて計3作制作されたこの2時間ドラマは、現在放送中の連続シリーズの前段階として「pre season」と呼称されている。
2002年、それまで年度の上半期(4月 - 9月)・下半期(10月 - 翌年3月)で交互に2クールドラマを放送していた水9が、下半期に1クールドラマを2本放送するというサイクルへと変更。pre season各作品が人気を博したのも手伝い、本作もその下半期に放送される1クールドラマとして、同年10月に連続ドラマ化される運びとなった。翌2003年放送のseason2からは放送期間も2クールに拡大。これ以降2022年現在に至るまで、年度下半期の定番シリーズとして定着している。
毎年元日には「芸能人格付けチェック」の後続番組としてスペシャル版が放送されており、「格付け」の視聴者もそのまま取り込み、あまたひしめく正月特番の中でも視聴率トップを獲得することが多い。
基本的には1話完結のドラマではあるものの、毎回重厚な人間ドラマから、社会派、人情話、コミカルタッチのものまで、その作風の振り幅は広い。他にも警察上層部の闇、新しい法制度の欠陥、人工知能やクローン人間などの先端技術、共依存や多重人格、果ては同性愛等のサイコサスペンス風の話が定期的に盛り込まれ、視聴者を飽きさせない。
実質的な初回たるpre season1作目からSeason7第9話までは亀山薫が、Season7第19話からは神戸尊が相棒として活動していた。
そして、Season11では3代目の相棒として甲斐享が起用され、右京自ら相棒に選ぶと言う今までにないパターンで、大きな話題を呼んだ。
Season14からSeason20までは冠城亘と言う法務省のキャリア官僚が4代目となり、初の警察官以外の相棒が誕生した(その後、紆余曲折を経て彼も出世街道を外れて警察官となったが)。
2022年10月より放送のSeason21では、初代相棒の亀山薫役である寺脇康文が5代目相棒として14年ぶりに出演する。
作品本編のナレーターは存在しないが、近年(Season14以降)では予告ナレーションをゴブリン氏が担当する事がある。
あらすじ
警視庁の陸の孤島と言われる窓際部署、特命係。そこには、かつて上層部と対立し、
出世コースを外された元エリート刑事の杉下右京が一人いるだけだった。
特命係とは、何か特殊な命令がある時以外は一切の役割を持たない閑職であり、
ここに配属された刑事はその変人ぶりも相俟って、すぐに退職してしまう為、
いつしか右京は人材の墓場と呼ばれるようになっていた……。
登場人物
特命係
警視庁特命係の係長。卓越した推理力と強い正義感を持つ、警視庁一の変人
歴代の相棒
初代相棒。
警視庁捜査一課に属する刑事だったが、ある日指名手配犯を捕らえようとして、逆に人質にされた挙句、それをテレビで報道されるという失態を起こす。
右京の機転によりその場は解決したものの、薫は上層部の逆鱗に触れ、特命係へと異動になる。
当初は右京の変人ぶりに翻弄され、対立していたが、共に事件を捜査するうち、互いに共通する正義感を知り、やがてかけがえのない相棒になっていく。
一度は自身の夢のために警察官を辞め右京の元から去るも、14年後に再会し「警視庁の嘱託職員」として特命係へと"復帰"した。
右京と同様に出世街道から外れたかと思いきや、その目的は杉下右京の監視。
警察内の不祥事を含む数々の難事件を暴く右京の存在が、警察組織にとって有益かどうかを判断するため、尊は警察庁からスパイとして派遣されたのだった。ときに反目しながらも、尊は右京とともに特命係の一員として捜査を続ける。
だがそこには、かつて尊が関わっていた監視システムへの、警察庁警備局の思惑があった。
相棒としては上記のみだが、スピンオフ映画第2弾で再登場してからは不定期で本編に登場している。
右京からの指名で特命係に配属されてしまった三代目相棒。
刑事という職業に純粋な憧れを持ち、所轄の交番勤務を経て刑事課・捜査一係の刑事となったが、警察庁次長・甲斐峯秋の息子と言う御曹司の一面も持つ。
そんな彼が、香港国際領事館での拳銃暴発事故の後、偶然右京と出会い、事件の裏で起きた総領事殺害事件を共に解決。その後、峯秋の思惑と相まって特命係へと異動になった。
四代目相棒。
元は人事交流と言う名目で警視庁に出向してきた法務省のキャリア官僚。しかし出向組は”客人扱い”であり、現場の仕事に興味があったものの、出向組は所謂「お客様」であり、主のいない”旧・特命係”にて暇を持て余す日々を送っていた。
そんなある日、関東地方のとある刑務所で受刑者が刑務官を刺殺するという事件が発生し、偶然帰国していた右京と共に捜査を行い、これを解決に導く。
その後、天下りと言う形で警察官になった彼は正式に特命係の一員となり、様々な事件の捜査を行っていくことになったのだった。
※以下原則として、これまでに2回以上登場したレギュラーキャラクターを挙げる。
警視庁
トリオ・ザ・捜一
リーダー格。亀山とは同期であり、長年のライバル。スピンオフ第2弾では主演を務めた。
伊丹や亀山の後輩。亀山の口車に乗せられて情報を流す事も多かった。
season19より登場した紅一点。
かつては白バイ隊員だったが、ある銃撃事件により大怪我を負い、捜査一課に異動してきた。
鑑識課
特命係と親交がある優秀な鑑識員。現在は警察学校の教員として勤務している。
スピンオフ映画の第1弾では主演を務めた。
口が悪くぶっきらぼうな性格だが、鑑識員としての腕前は高く、伊丹からの信頼も厚い。特命係の個人的な捜査にも割と協力的。ネコ好きという意外な一面を持つ。
組織犯罪対策5課
課長。よく特命係にコーヒーを淹れに来る。口癖は「暇か?」
上層部
刑事部長。特命係の存在に頭を痛めている。
- 中園照生(演:小野了)
監察官。通称"ピルイーター"。神戸とは警察庁時代からの知り合い。
Season15からの副総監。
青木年男の父親とは幼馴染であり、年男の警察学校への入学ならびに警視庁への入庁も彼のコネがあった模様。
Season13時点までにおける警視総監。
首都を守る点から警視庁を他の道府県警察より特別な存在と考え、警察庁の金子長官と対立している。
Season15の警視総監。武闘派で強い正義感を持ち、犯罪者に対し強硬姿勢を持つ。
その他本庁関係者
捜査一課の経理担当。正義感が空回りし、度々特命係に飛ばされ"第三の男"となる。
内閣情報調査室総務部門主幹 → 警視庁広報部広報課長。
峯秋とも面識がある。ロシア人スパイとの間に一女:マリアを儲けている。
極度の警察嫌いながらもある理由から警察官になった亘の同期。
生活安全部サイバーセキュリティー対策本部の捜査官だが、とある事件が原因で一時期特命係に左遷されていたことがある。
サイバーセキュリティ対策本部の捜査官であり、上記の青木とは同僚の間柄。
season20で青木が内閣情報調査室へ異動した為、特命係への情報提供者と言う役回りは彼が担う羽目になってしまった。
享の警察学校の同期だった刑事部の女性刑事。清楚な見た目に反してかなりの武闘派。
生活環境課刑事。食中毒事件で特命係と協力した。
本庁の刑事としては珍しく特命係と良好な関係を築いている。
警視庁No.1の名スナイパー。階級は警部補。
各所轄
警視庁千束署刑事課強行犯係の刑事。
ある事件で米沢とコンビを組み、それが縁となって後に特命係と事件の捜査をすることに。
享の所轄時代の上司で、享曰く「自分を刑事にしてくれた恩人」。
だが、過去に起こしたとある不祥事を皮肉にも享の配属された特命係の手によって暴かれてしまい、それがきっかけとなって退職に追い込まれた。
警察庁
警察庁長官官房室長。通称"官房長"。
特命係を作り、右京を島流しにした張本人であり、特命係の最大の味方であると同時に、最大の敵でもあった。
享の父親で、享を警察から追い出そうと右京から提案された享の特命係行きを了承した。
その後、亨が起こした事件によって次長から降格し、
現在は特命係の責任者として彼らの行動を注視している。
警視庁副総監 → 警察庁長官官房付。
警察庁長官。
警視庁を一都道府県警察として見下しており、田丸警視総監とは犬猿の仲。
警察庁長官官房総務課長 → 警備局局長。
とある事件を利用して警備局長の要職を手に入れた狡猾な男。
法曹関係者
浅倉禄郎など、特命係の関わる事件の被告を度々担当していた弁護士。
画期的判決を出す事で有名な東京地裁判事。右京とはあまり意見が合わず対立している。
東京地検検事。Season16に登場し、日下部の指示で特命係を立件するべく周到な罠を張り巡らせるが…
東京地検特捜部の検事で、亘の元同僚。
亘とは過去に何かしらの因縁があったらしく、彼のことは快く思っていないが、反面右京のことはその正義感の強さに感銘を受けたためにもの凄く慕うようになる。しかし、その後ある理由で地方へと左遷されることになり、物語の表舞台から姿を消してしまった
…と思いきや、Seaeon19にて法務省を辞職していたことが明かされ、ジャーナリストという立場にて物語に再登場することとなった。
凶悪犯を担当することが多い弁護士。
その過程で特命係と関り合いになることも少なくない。初見の人からすれば「犯人扱い」される程の胡散臭い顔をしているが、並外れた記憶力の持ち主。
政府関係者
政界絡みの事件にはほぼ確実に姿を現す衆議院議員。ある事件をきっかけに議員辞職した後、尼として出家を果たす。
出所後は住職に戻っている。
元外務省事務次官・特命全権大使。通称"閣下"。
薫時代の特命係とちょくちょく対立した人物で、外務省時代に得た人脈と権力で特命係の追求に対抗した。
亘を昔から気にかけている法務省事務次官。
後ろ盾役だったが、ある一件をきっかけに特命係、特に杉下を敵視するようになり、Season16にて彼らを潰そうと暗躍するも失敗に終わる。
国家公安委員長を務める衆議院議員。
常に飄々とし、本心がどこにあるかわからない掴みどころのない性格。しばしば「地獄耳」だと自負する。特命係の実力自体は高く買っており、(どこまで本心なのかは定かではないものの)警察をクビになったら、自分の事務所で雇うつもりでいるらしい。
メタ的には、演者が死去したことで再登場の叶わなくなった瀬戸内の後釜と言える存在。
Seaeon18時点での内閣官房長官。
かつて特命係によって失脚した朱雀武比古の弟子で、小野田を「理想の権力者」と称するほど尊敬している。
特命係と縁のある女性
フリーのジャーナリスト。薫の恋人で、様々な紆余曲折を経て結婚。
暴力団の愛人だったが、右京の薦めで「花の里」を引き継いだ2代目女将。
初のゲストからレギュラーになったキャラ。
享の恋人のCA。姉御肌で気風のいい性格。
右京達が新たな行き付けにしている小料理屋「こてまり」の女将。
かつては赤坂の料亭の人気芸者・小手鞠として活動し、政財界にも多くの顧客を持っていたが、
峯秋の一言で独立し、現在に至る。
葉林社「週刊フォトス」編集部に所属する記者。
美彌子の「隠し子疑惑」の記事をきっかけに特命係と交流を持つようになる。警察の不祥事を度々記事にしている事から上層部から睨まれる存在となっている。
その他
院内紙記者。薫と結婚前の美和子を一時的に略奪した、薫の元恋敵。
元東京地検検事の死刑囚。
薫と美和子の大学時代の親友だったが、連続殺人事件を起こし逮捕された。
元テロリストで爆弾のプロ。小野田とは学生時代からの付き合い。
右京が渡英していた際の相棒。
スコットランドヤードの刑事で、優秀な捜査能力を持つされるが…?
「平成の毒婦」の異名を持つ凄腕の女詐欺師。
現在は逮捕され拘置所に収監されているが、それでも面会に訪れた男性達を巧みな話術で翻弄し、自身の手足かの如く自由に動かす等油断のならない人物である。右京や亘もその話術にまんまと嵌められたことがあるほど。
- 加西周明(演:石丸幹二)
作品情報
Pre Season
タイトルは『相棒 警視庁ふたりだけの特命係』(Season1まで同じ)。
土曜ワイド劇場で2000年6月3日、2001年1月27日、11月10日に単発放送。
テレビシリーズ
※「スペシャル」は+1時間以上、「枠拡大」は+10 or 15 or 30分を指す。
※放送期間はSeason1が10月~12月、それ以降は10月~翌年の3月。
Season | 放送年 | 話数 | 元日SP | その他備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 2002 | 12 | (なし) | 唯一の1クール放送。初回と最終回のスペシャルが恒例化 |
2 | 2003 | 21 | (なし) | タイトルが『相棒』に簡略化、以降2クール放送 |
3 | 2004 | 19 | (なし) | ハイビジョン制作を開始(アナログ放送ではサイドカット)。現在使用されているメインテーマが初採用。第6話にて特命係が初の3人体制(+陣川)。第7話は現状唯一の欠番 |
4 | 2005 | 21 | 日曜 | メインテーマが今日まで続く完成形となる。元日スペシャルが恒例化 |
5 | 2006 | 20 | 月曜 | アナログ放送ではサイドカットからレターボックスに変更 |
6 | 2007 | 19 | 火曜 | |
7 | 2008 | 19 | 木曜 | 初代相棒が途中で勇退、最終回で2代目相棒の顔見せ。番組ロゴに通しの数字が入る |
8 | 2009 | 19 | 金曜 | 2代目相棒が本格的に登場 |
9 | 2010 | 18 | 土曜 | 初回がスペシャルではなく第1,2話の前後編 |
10 | 2011 | 19 | 日曜 | 2代目相棒が引退。ロゴの数字が英語表記になる |
11 | 2012 | 19 | 火曜 | 3代目相棒が登場 |
12 | 2013 | 19 | 水曜 | 三浦信輔が辞職。報道ステーションとのステブレレス接続を開始 |
13 | 2014 | 19 | 木曜 | 3代目相棒の引退。番組ロゴの数字がローマ数字に戻る |
14 | 2015 | 20 | 金曜 | 4代目相棒が登場 |
15 | 2016 | 18 | 日曜 | 最終回にて某伝説の戦士が登場 |
16 | 2017 | 20 | 月曜 | 初回スペシャルに代わり第1,2話の前後編+枠拡大が恒例化。中盤にも「300回スペシャル」として枠拡大。最終回から衣笠藤治役が杉本哲太に交代。特命係が再び3人体制(+青木)になる |
17 | 2018 | 20 | 火曜 | 初回に大木長十郎役の志水正義を追悼。最終話が平成最後の放送となる |
18 | 2019 | 20 | 水曜 | 初回が令和最初の放送。番組の見逃し配信を開始。中盤からは冠城亘を据えたコラボCMを放送 |
19 | 2020 | 20 | 金曜 | 初回に風間楓子役の芦名星を追悼。「出雲麗音が異動するきっかけとなった事件」が長期エピソードとして第1,2,19,20話の拡大枠かつ前後編2本で放送 |
20 | 2021 | 20 | 土曜 | 「出雲麗音の事件」の続きを第1話(15分拡大)、2話(10分拡大)、3話の3部作で放送。最終回は枠拡大+前後編。4代目相棒が引退 |
21 | 2022 | 21 | 日曜 | これまでの見逃し配信に続きTVerでのリアルタイム配信も開始、5代目相棒として初代相棒が「復帰」。亀山薫の帰国と特命係の復職を第1~2話(15分拡大)。最終2話(15分拡大)の官房長に関わる事件で薫と神戸尊が初対面 |
劇場版
各作品ごとに歴代相棒が1人ずつ登場しており、さらに尊は2作目に「主人公格」の相棒として登場後は3作目以降もチョイ役で登場している。
※正式タイトルはポスターなどに記されてはいるが、本編では一貫して『相棒』のみの表記。
タイトル | 公開日 |
---|---|
相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン | 2008年5月1日 |
相棒 -劇場版II- 警視庁占拠! 特命係の一番長い夜 | 2010年12月23日 |
相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ | 2014年4月26日 |
相棒 -劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断 | 2017年2月11日 |
スピンオフ
映画
特命係はほとんど登場せず、サブキャラクターがメインの作品。
- 相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿
ノベライズの映像化で、その著者と本作の監督が親子同士だったりする。
2013年3月23日公開。伊丹が主人公。
TELASA限定
動画配信サイト「TELASA」にて独占配信されている短編ドラマ。
- 杉下右京はここにいる
- 冠城亘はここにいる
- とりしらべ
余談
TVer内でのリアルタイム配信は、配信中は提供クレジットこそ出さない(見逃し配信では提供クレジット自体を割愛している)ものの、CMに関しては「地上波と同様のスポンサー(日産自動車・大正製薬・黄桜など)を内包」してCM配信を実施している。
関連タグ
相棒
ドラマ 刑事ドラマ
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相棒100users入り 相棒1000users入り 相棒5000users入り
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:本作以前に、水9の年度下半期の定番シリーズとして放送されていた刑事ドラマシリーズ